2019/08/11 のログ
カイン > 「よし、これで決めておこう。
 全く、少しくらいは色をつけてくれてもいいだろうに」

常連相手に連れない事だとぼやきながら金を先に渡すと、
店主が目の前でそれなりの量の荷物を包み始めるのを眺めて肩を竦める。

「消耗品の類は平民地区とかだとちと足が付きかねんからなあ。
 全く世知辛い。昔はもう少し大雑把だったんだがな、この国」

自分の身の上的に考えていた仕方のない所ではある。
大手を振って歩ける身分では本来ない以上はどうにもならないが。
商品を用意してもらう間に周りを見回せば俄かに人の増えた様子。
それでもちっとも賑やかと思えないのがなんとも陰気である。

カイン > 「全く、出てくるのが遅いぞ」

暫く待たされた後に漸く用意された道具の数々を手に取って渋い顔。
仕方がないとばかりにぼやきつつもそのまま手を振って踵を貸して去っていくのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシャルティアさんが現れました。
シャルティア > 小さな少年が、娼婦街の一角を歩いてる
子供が娼婦街というのはいささか不似合いではあるが、昼から立ってる娼婦達は、少年をみるとにこやかに手を振ってるあたり、この一角は顔なじみが多い様子。
手を振られると、嬉しそうに手を振り返して、元気よく手を振ってあるく

「けいびー♪ぼーくはまちの警備兵ー♪」

少年は機嫌よく歩く。警邏ごっこのように見えて、実際この一角の治安は少年が来てから実際よくなってたりする

シャルティア > そのまま、次の区画へと向かう。少年は暑い中元気に今日も走り回って
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からシャルティアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にエンブリオさんが現れました。
エンブリオ > 高級、という形容詞は決して似合わない娼館。
特殊な趣味の者が、人に言えない嗜好を満たすために集まるような場所。
あるいは、後ろ暗い者たちが集まる酒場。
朝になれば客が身包みはがされて死体で見つかってもおかしくないような類の場所。
そんな店が細々と並ぶ街並みだった。

白い服の少年は、そんな路地裏を木箱に座って眺めていた。
薄汚れた木箱だ。中には酒か、腐りかけた食物か、あるいは仕置きを受けた娼婦か。
ともあれ、塵と呼んでも差し支えないものが入った塵のような箱。
その上に、一切の汚れのない白い衣服が座っていた。

「――こんばんは」

なんて、涼しげな声を通る者にかけるけれど、返事をする者はいない。
まるで、誰もいないかのように通り過ぎる者達。

――彼は微笑しながら見ている。
実際のところ、反応を返さない相手には興味はない。
演劇でも見るようなつもりで見ているだけだ。
その存在感に違和を感じるような人間――あるいはそれ以外の者。
そういう者を待っているように、楽しみにしているように。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にレリアさんが現れました。
レリア > 貧民街の大通りは様々な人間が入り交じっていた。
商人、騎士、傭兵、冒険者等々―――、
数えればキリがない人で出来た波を掻き分け、裏路地に入り込む一人の女がいた。
女には今夜、目的あった。故郷の村の自警力を高める為の武器の買付である。
場所は平民街、其処へ向かう近道として身の危険が伴う、貧民街の路地裏に差し掛かっていたという訳だった。

行き交う人の数は大通りに比べればやはり少ない。
すれ違う人々も貧民街特有の質素な格好の者ばかりである。
多少、腕に覚えがあるのかそんな危険な路地裏を足早に駆け抜けようとして矢先―――。
視界の端で、酷く歪な光景が飛び込んできた。

「……子供一人でこんなところに……。」

足を止めたのはその歪な光景である、少年の目の前。
少年へと向き直り、漏らす言葉は独り言なのか、その少年に向ける言葉なのか曖昧なくらいに小さな声だった。

「……迷子だったら送るけど…。」

子供が一人でうろつく場所では決してない。だけれども、何かしらの目的がある場合も多い場所である。
身なりだけで考えれば、貴族の子供―――とも思える。
であれば、金にも物を言わせて女を買いに来る輩もいなくはない。
故に促すでもなく、問うでもなく、という中途半端な言葉を投げ掛けるのだった。

エンブリオ > 箱に座り、ゆらりゆらりと揺れる白い衣服に包まれた脚。
それが、止まる。
コツリ、と踵が木箱にぶつかって響く音。
それにさえ目を向ける者は誰もいなかっただろう。
此方に視線を向ける女性以外は――。

「こんばんは。お姉さん。
 初めまして――迷子じゃありませんよ。」

涼やかに、挨拶する声が響く。
曖昧につぶやく彼女の視線をまっすぐ見つめる赤い眼。
それが、まるで測ったように正確な笑みを浮かべた。
問いかける言葉に、一度首を振った――次の刹那だっただろう。

――少年の姿は彼女の目の前に立っていた。
まるで、最初からそこで会話をしていたような自然さでそこにいる姿。
周囲の人間は、まるで「二人」がそこにいないように流れていく。

「でも、心配してくれてありがとう。
 僕の名前はエンブリオ。お姉さんの名前は――?」

と、問いかけが響く。重なるのは伸ばす手指の動き。
自分より遙かに高い彼女の顔を見上げて
そして、自分よりも大きな掌を、そっと握ろうと伸びていく指先。
極親しい友達や知り合いにそうするような、そんな仕草で。

レリア > 身なりの通りに、というべきか。
丁寧な言葉遣いから察すれば、予想の通り貴族の子息か何かか―――。
等と考えた次の間に、木箱に腰掛けていた少年は己の前の間にいた。
不自然過ぎるその動きを女はごくごく“自然”に受け入れてしまっていた。

「どういたしまして。そして初めまして。私の名前はレリアよ。」

王都にいる主な知り合いは主に武器や防具の仕入れで知り合った商人達がほとんど。
友人と言える間柄の者も何人かいるけれど、貧民街で遭遇するような柄ではないし、
ましてや目の前にいる子供の知り合いなどいる筈も無いのだけれど―――。
故郷で遊び相手をしている見知った子供と同じように、違和感を覚える間もなく、伸びてきた小さく細い指先を受け止めてしまった。
そのまま、その指先から掌へと己も伸ばし、柔く握り締め―――。

「まあ、何にせよ……。一人でブラブラするところじゃ無いわね。」

柔い笑みを浮かべて一つ告げる女。

エンブリオ > 傍から見れば、酷く、酷く不自然な情景。
身なりも、年齢も違う二人が話し込んでいる姿。
けれど、周りの人間は自然とその二人の姿を流しており
誰よりも、彼女の目の前の少年が、極々“自然なもの”としてその風景を奏でてしまっている。

「レリア、ね。よろしく。」

伝えられた名前を緩やかに呼んでみせよう。
そして、触れる手指。武器を扱う女の手に、柔らかな少年の指が這う。
そのまま、そっと指先を絡めながら握った手。
まるでそれは、暖かく滑らかな手枷のように彼女の手を取ってしまおう。
そして、そのまま緩やかに手を引いてしまって――。

「そうかな?
 じゃあ、二人でぶらぶらするのに良い場所に行こう?
 連れていってあげるよ。」

あっさりと、まるで遊びに誘うように零れ出る声音。
同時に、手を引いてしまおう。
そうすれば、そのまま――二人の姿は、まるで最初から誰もいなかったかのようにそこから消えてしまうだろう。

レリア > 互いの名前を確かめ合う姿は周囲を行き交う人々から見れば初めて出会った間柄ではないように見えるかもしれない。
勿論、その行き交う人々が二人のことを認識していれば、だが。

「ええ、そうよ。
 って、ちょ、ちょっと何処に行くの…!」

握り締めた掌から思いの他に強く引っ張られてしまえば、勢いのまま足を踏み出してしまう。
大人と子供、振り払うことは容易い筈なのだが―――。
いずれにせよ、彼の言葉のままに女は後ろを付いていくだけだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からレリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からエンブリオさんが去りました。