2019/08/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──む……」

人気も無く灯りもない、朧な月明かりだけが差す、寂れた夜の裏路地を、
一人のんびりと歩いていた金髪の男は、脇道から己の前に躍り出てきた影にふと、足を止めた。

『──ミャーオ』

それは猫だった。暗がりの中でなお黒く、逆に目立つシルエット。
その中で目だけが金色に浮かび上がっていて。

「……なんだ黒ぬこか。しかもお前平民地区でも稀によく会うヤツじゃねーか。
もうお馴染みすぎて顔すら覚えてしまう始末」

しかめっ面でそう言いつつしゃがみこむと、黒猫は気安く寄ってきて男の突き出した膝に
スリスリと顔や身体を擦りつけて来る。

「……愛想をしたってやるモン特になにもないから無駄だぞ。ってゆーか相変わらず
目ヤニまみれだなと呆れ顔になる。もうちょっと自分でキレイにすろ」

眉下げてフンス、と鼻を鳴らしつつ猫の顔を見やれば、目頭にこびりつく大きな
目ヤニが確認できて。片手で首根っこを抑えながら、もう片方の手を顔に添え、
親指でぺりぺりと目ヤニを剥がしてやってゆき。

エレイ > 猫も軽く抵抗するような動きは見せるも、危害を加えられるわけではないとわかっているためか
引っ掻くなどの強い抵抗をする様子はない。
やがて目ヤニを剥がし終えれば、男は満足げにフンス、と鼻を鳴らし。
そのまましばらく黒猫と戯れていたものの、黒猫は不意に何かを思い出したように
その場を去ってゆき。それを見送った男も、ふらりとまた歩き出して何処かへと──

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエレイさんが去りました。