2019/08/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」にカインさんが現れました。
■カイン > 騒々しい声の響く貧民地区の酒場の扉を押し開けて、
濡れた外套片手に男が足を踏み入れる。
稀に興味を惹かれるものもいた様子だが、大半の意識が喧騒に飲まれる中、
躊躇うこと無くカウンターの端に陣取ると先程まで外を賑わせていた雨の仕業だろう外套をカウンターの端に引っ掛け。
「ったく、雨季はこれだからなあ…マスター、エール…いや、ワイン。少し良いやつを」
普段は躊躇うこと無く安酒を注文するところだが、
今日は気が乗らぬと少しは上等な酒を注文してみせる。
待ち時間の間に頬杖をつきながら周囲を見回してみると、
どうやら短時間降った雨とは無縁の人間が多い様子に肩をすくめ。
「俺もさっさと酒場に引っ込んどけばよかったな」
仕事が少し長引いたせいでこうなっているだけに愚痴が口をつく。
肩をすくめてゆっくりと目を細め。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」にタマモさんが現れました。
■タマモ > すぱーんっ、酒場の喧騒に対抗せんばかりに、酒場の扉が豪快に開く。
そこから現れたのは、異国風の着物を着込む一人の少女。
ところどころ、少し濡れた感じはあるが…被害は少々、と言った感じか。
周囲の客の反応は…時折、この酒場に来ているのだろう。
そんな見てくれの少女にも関わらず、すぐに元の喧騒に戻っていった。
「降るなら降ると、どうにか伝えられんもんじゃろうか。
まったく、雨を避ける場所がなければ、濡れ鼠になるところじゃった…!」
むすっとした表情を浮かべながら、ずかずかとカウンター席にやって来る。
そんな文句を垂れながら、席の一つに腰掛けた。
「店主や、適当に頼む」
と、腰掛けると同時にカウンター越しに注文すれば、ぐてーっとテーブルに突っ伏すのであった。
■カイン > 「…うん?」
のんびりと酒を飲んでいた所に聞こえてきたのは何とも騒々しい音である。
入ってきた人の気配の方へと他の客と同じく視線を向けると、
そこにいるのは見知らぬ風体の少女である。
肩を揺らしながらも、愚痴る内容からご同輩、つまり大して珍しいものでもないと見て取ればクックと忍び笑いしながら酒を煽る。
が、それが近くにやってきたのを見て取れば興味を惹かれた様子で視線を向け。
「よう、嬢ちゃん。災難だったみたいだな、雨にやられて逃げて来た口かい?」
そう笑いながら突っ伏す相手を見て軽く肩をすくめ。
■タマモ > 突っ伏しているところに、横から掛かる声。
ぎ、ぎぎ…と、その方向へと、少女の首が曲がる。
そして、僅かの沈黙…くわっ!と瞳が見開かれた途端、がばっと伏せていた体を起こす。
「………そう、雨じゃ!こう、いきなりどばーっとな!?
そして避けたら、さーっと引きよったのじゃ!」
ぱーんっ、ぱーんっ、とテーブルを叩きながら、問うてきた男へと、怒りを含み答える。
…が、言う事を言ったら満足したのか、実際にそこまで怒ってはいないのか、すぐに熱は冷める。
はふーっ、と一度深く吐息を吐く。
「まぁ、そんなところな訳じゃ。
して、お主もそんなところなのか?」
即落ち着き、改めて、その声の主を見遣りながら、問い返す。
■カイン > オーバーなリアクションが傍目には面白いとばかりに笑って応じながら、
相手の愚痴を聞きながらカラカラと声を上げて見せる。
吐息を吐いて一端落ち着いた様子を見れば、
酒を掲げて応じるままに頷き。
「ああ、そういうことさ。俺も出るにでられなくなっちまってな、
暇つぶしにこうやって酒を飲んでる訳よ。
お近づきの印ってわけでもないが、いるかい?」
そう笑ってツマミとして用意していたスモークチーズの乗った皿を相手の方に向けてみせる。
酒は相手が注文したもので事足りると判断している様子である。
■タマモ > 「ほほぅ…やはり、同じであったか」
うむうむと、腕を組み男の答えに頷いてみせる。
と、続く言葉に、本来ならば耳や尻尾が揺れるのだが…今は見えない、残念。
ただ、にこーっといい笑顔を浮かべていた。
「そうかそうか、くれると言うならば、貰ってやらねば逆に悪かろう。
もちろん、遠慮なく頂くぞ?」
そのタイミングで、ちょうど少女が頼んだ注文でエールが届いた。
片手でエールのジョッキを取れば、向けられた皿、その上のスモークチーズに手が伸びる。
ひょい、と摘み、ぱくり。
「………ふむ、頼んだ事がなかったが、なかなかに美味いものじゃ」
もぐもぐ食べながら言いつつ、ぐいーっとエールを呷った。
ぷあー…こう、満足気な顔を見せる。
■カイン > 「お陰で色気もなにもないこんな所に閉じ込められてるってのは、
業腹は業腹だが…ま、酒があるだけマシだよな」
クツクツと喉を鳴らして言い返しながら、
ぐいっとエールを煽って息を吐く。
それなりに飲んでいるのだろうがあまりよっている様子はない。
「どうぞ、遠慮されたらこっちのほうが扱いに困るとも。
なかなかいい食いっぷりじゃないか、というかチーズ食ったことないってのはそれなりに勿体無いな。
酒と違って人生を損するようなもんじゃないが、ツマミとしては十二分に適正のある代物さ」
笑いながらそう応じて見せつつ、少女が酒を飲む様子を眺めると軽く肩を揺らして言い放つ。
ツマミは食べなくてもいいが酒は飲まなきゃ人生を損してる、という辺りに飲兵衛さが透けて見えるだろう。
「ま、ここであったのもなにかの縁だ。俺はカインという、
気ままな傭兵家業をやっててな。ま、何かあれば適当に用命してくれ」
ここらで言えば連絡はつく、と何とも雑な自己紹介と売り込みをしながらエールの入ったジョッキを相手に向けてみせた。
乾杯を促す格好である。断られたら断らられたで、たいして気にもし無さそうだが。
■タマモ > 「あー………確かに、それはあるやもしれんのぅ」
男の言葉に、ぐるっと店内を見回してみる。
うん、色気もなにも無いのは分かった。
ウェイトレスの一人や二人、欲しいものだが…場所が場所だ、無理っぽいか。
男に合わせるように、こちらもぐーっとエールを更に呷る。
酔い具合も、見れば似たような感じと分かるだろう。
「あぁ、チーズ自体は食べた事はあるんじゃがな?
この…えーっと…何と言う料理じゃろう?これを食べた事はなかったのじゃ。
こうして食べてみれば、なるほど、合うものと分かるものでのぅ」
とりあえず、ちょっと言葉足らずだったようで誤解されたらしい。
そこは軽く訂正を入れつつ、ついでに、もう一切れ、ひょい、ぱくっと食べ、エールを飲む。
「おっと、名乗られて返さぬ訳にもゆくまいて。
妾の名はタマモ、まぁ…何じゃ、気の向くまま風の向くまま、適当にやっておる者じゃ。
たまに、平民地区の酒場で手伝っておったりもするがな?
その時にでも来てみるが良かろう、興味があるなら、賭博勝負なんてやってみるのも良いぞ?」
あれだ、適当に生きている少女に、傭兵はどう扱うべきなのか、実に迷う。
せっかく出会った縁ならばと、こちらはこちらで、気紛れに手伝う酒場の紹介をしておいた。
向けられたジョッキに、己のジョッキを打ち合わせるように寄せて。
ついでに、袖から一つの賽を取り出し、そこでやっている事も教えながら。
もしかしたら、噂程度で知っているかもしれないが。
ある酒場で、変わったミレー族っぽい少女がウェイトレスをしている時、賭博勝負が行われている、と。
………ちなみに、今は耳も尻尾もない一見普通の少女だ、知っているなら疑問に思うかもしれない。
■カイン > 「せめて店の中に華でもあればまだ眼福って言えるんだがな。
ま、お前さんが着てくれたお陰で多少はましになったが」
クツクツと喉を鳴らしながら相手の風体を見て、
それから周囲を見ると様々な意味で大分浮いて見える。
肩を揺らして笑いつつ、ゆるりと目を細めて酒をアオリ。
「なるほどなあ。そいつはスモークチーズってんだよ、まあ今度酒のツマミに困ったら頼んでみると良い。
何せここらの酒は、チーズやら何やらが基本似合うようになってるからな。
その格好、東方の衣装だろう?あっちだと干物とかがよく酒に合ったな」
昔旅先で飲んだ酒と食べたツマミのことを思い出し、
しみじみと声を漏らす。少女の格好を見て何やら思い出したらしい。
まあ、それで真っ先に出てきた内容が酒と食い物と言う時点で色々お察しだが。
「宜しくな、タマモ。……なるほど?
そういや、賭場やってる酒場の話は聞いたことがある気がするな。
あんまり平民地区の方には寄り付かないんだが、
今度機会があったら寄らせてもらおう」
噂程度には聞いたことがある話だった。
最も、そこでまけたという輩の話だけに恨み言なのだが。
取り出された賽を見て、クツクツと喉を鳴らしながらゆるりと目を細め。
「ああ、それを使った賭博はよくやったなあ。丁半かい?それともチンチロ?」
そう、賭博の種類に言及して問いを投げる。
どっちもいい思い出…と言うには少々どころじゃなく語弊の内容なのだが。
■タマモ > 「うむ、あるかないかだけでも、かなり違うものじゃ。
む…?妾か…まぁ、確かにそれはあるやもしれんな?」
自分から見た店内、それに気を取られていた。
男から言われ、ぽむ、と手を打ち納得した様子。
くすくすと笑いながら、同じようにエールを呷る、二人ともなかなかのペースだ。
「すもーくちーず?…む…何とも、覚え難そうな名前じゃが…覚えておこう、なるべく。
あー…あぁ、そうそう、遥か東方にあるところの、着物と言うものじゃ。
そうじゃな、干し物もあるが、漬物も良いらしいが…」
軽く額に指をあて、覚えようとする仕草…が、少女の言葉から、期待は薄そうだ。
己の格好の事を言われれば、僅かな間、思い出したように答えを返した。
そして、つまみの話しになると、これもまた思い出すように答えるも…最後の方は、どうも言い難そうだ。
理由は簡単、少女は酸っぱいのが苦手なのだ…もちろんそれは、一部を除く漬物も入っていからで。
「うむ、よろしくのぅ。
おぉ、聞いた事があったか、それはそれは…
と、まぁ、機会があったらで良い、妾も気が向いたらしか手伝わんしな」
どうやら、話だけは聞いていたらしい。
それならば、と思ったが、平民地区自体にそうそう寄らないらしい、と。
己が気紛れで出るだけに、うん、確率はかなり低そうだ。
賭博の話が続いてでれば、視線を指先で弄る賽に向ける。
「大小勝負じゃよ、負けたら一枚ずつ脱ぐと言う条件でのぅ。
なかなかに面白いぞ?勝負自体も、その後も、な」
まぁ、丁半とか、チンチロも、たまにはやるがな?と付け足して。
ぴんっ、と指で上へと弾き、浮いて、落ちたところを、はしっ、と掴む。
それを思い出してなのか、くすりと、軽く笑い。
■カイン > 「ま、俺の目からしたらって話ではあるんだがな。
お前さん的には華がない状態だというのに変わらんだろうし?
俺を何処からどう見た所で華には見えないだろうさ」
見えたなら良い頭の医者を紹介してやる、と笑い飛ばしながらエールをもう一杯。
酒にはどうやら極端に強い様子で、そんなペースでやっても顔見知りのはずのマスターが止める気配もない。
寧ろ勝手に酒を用意してあるあたり、どうにも興が乗った今のうちに飲ませてしまえとでも思ってる様子。
「酒のつまみにチーズを寄越せ、といえばだいたいこれがでてくるさ。
東方の方じゃあ確かに普通には言わない覚えだな。
お前さんはそっちの出かい?俺はイカの干物が好物だったんだがね、
こっちの方じゃああんまり手に入らないのが困りもんだ。
漬物はなあ…酸味がちょっと苦手だったな」
同じ理由でこちらのつまみにも苦手なものは幾つかある。
肩をすくめて苦笑いしながら、緩やかに息を吐きだしてみせる。
奇しくも同じ理由とは知らないままではあるが、そこは好みと割り切ってる様子。
「ハッハッハ、ま。そこは巡り合わせってモノさ。
運が良ければ合う、合わなきゃ合わない、それ以上にもいかにもならんのが人生ってな」
仕事の帰りなどで立ち寄ることはありそうである。
そんな事をつらつら考えながら、笑い飛ばして酒を改めていっぱい煽ると、
言われた言葉におやと声をあげてみせ。
「なるほどな。ま、ルールがソッチのほうがわかりやすいやね。
半丁なんて言われてもこっちの人間はピンとはこない」
実に理にかなってると笑い飛ばしながらも、やはり心惹かれるのは脱ぐ問いうフレーズである。
それを特に隠すこともなく、にんまりと笑みを浮かべて相手をみやり。
「じゃ、折角だ。ここで一勝負ってのはどうだい?
ま、まけた時の対価が俺に払えるならだけどな」
■タマモ > 「………まぁ、華は無くとも、面白いものがあれば良い。
今日は、そうした意味では良かった、と言うべきじゃろう」
少女にとってみれば、華であれ、面白いものであれ、暇が紛れればそれで良いのだ。
そう言った意味では、今隣にいる男は、それに該当するだろう。
似たようなペースで飲む少女だが、こちらにも制止が入らない。
男のように、勝手に用意されたりはしないが。
「ふむふむ…ならば、思い出した時にでも試すとしよう。
まぁ、そんなところじゃ、干し物はなかなかに良いな。
もし欲しかったら、知り合いにでも頼んで確保しておいてやるが、どうじゃ?
暇潰しとかで、よく作っておるからのぅ。
………漬物は…まぁ、うん」
なるほど、話を聞いた感じ、つけものの好みは近いようだ。
内心、同志…!とか思いつつも、それは言葉にしないでおこう。
「うむ、世の中そんなものじゃ。
やるにしても、一からやり方を教えるのも面倒じゃからな。
それに…何かある方が、燃えるってものじゃろう」
会話と共に、追加のエールがやってくる、先程に注文をしたからだ。
それを受け取り、男と同じように、酒を呷っていく。
当然、二人共いまだ、大して酔ったように見えないだろう。
と、そこで、賭博の話しに乗って来た男。
ふむ、と軽く考え込むも…
「妾は構わんが、お主は良いのか?負ければ脱ぐと、伝えておるはずじゃが。
あー…負け切った後は、金を払うか、何でも一つ言う事を聞く事じゃ。
後者に到っては、何度でも再戦可能じゃな、その分、その内容が一つずつ増えてゆくが」
そう負ける気はないのだろう、説明をしながらも、偉そうに胸を張る少女であった。
この条件で、受けるも放棄するも、男次第だろう。
■カイン > 「そりゃお眼鏡にかなったようで何より」
おどけて見せながらも、相手の物言いにクツクツと喉が鳴る。
そのまま、緩やかに肩を揺らして見せながらも酒を煽るとほうと息を吐く。
そのままつまみの追加を頼みながら、相手の物言いにおやと声を上げ。
「そいつはいいな。そうしてくれるなら、
是非に頼みたい所だ。こっちの方じゃあイカだのタコだの食べる風習がないからなあ。
あれ食べる分にはいいが、俺も現物を目の当たりにしたいとは思わないんでそりゃそうだが。
……ハッハッハ、まあ誰しも苦手なもんはあるよな」
相手の歯切れの悪い様子に喉を鳴らして言い返しながらも、
あてがあるナシはさておき苦手らしいということは何となく察する。
であれば特に願うこともないだろうと肩を揺らし。
「そりゃあそうか、高いか低いかってのは言えばそれで判るからな。
……まあ、そりゃそうだな」
掛けるものの有無。それは間違いないと笑い飛ばして見せながらも、
続いて言われた言葉に思わず目を瞬かせる。
たしかになるほど、言われたとおりではあるのだが。
「……ん。まあ、それなら構わんよ。惜しむような体でなし、
それとなら俺にとっては釣り合いが取れないくらいの条件だ」
相手の物言いに白々と言い放つ助平さ。
全く悪びれる様子も隠すつもりも無さそうである。
それならば、問題ないと受ける意志を見せ。
■タマモ > 「その点で言えば、お互い様、と言うものじゃ」
笑う男に、うんうんと頷いて。
そして、会話をするように、ぐいっ、と酒を呷るのだ。
「ここで預けておけば、お主に渡る、で良いな?
あれは趣味でやっておるようだし、出来たのを聞いた時にでも、幾分か渡しておこう。
………そう言えば、この辺りでは見掛けておらんかったな…そう言う事じゃったのか」
考えてみれば、求めていた物がない理由、それを考えた事がなかった。
なるほど、そんな風習がなければ、無いのは当然か。
仕方無い、これからは、そちらは式頼みにしよう、そう考える少女であった。
さて、そうして会話を続けていけば、話の流れは賭博へと。
場所がいつもと違うし、着ているものも、やっている時と違い着物だ。
深く考えても仕方ないか…そう思えば、気を取り直す。
「良かろう、では楽しませて貰おうではないか。
先手と後手、決めさせてやろう、どちらが良い?」
ここでは、少女の実力は知られていない。
そして、相手の運気の程も分からない。
楽しい勝負となるかは、まさしく運次第だ。
何を思い受けたかは気にせず、さっそく開始の手順を踏んでいこう。
それを問う少女の表情は、変わらず楽し気なものだ。
■カイン > 「お互い様…は、まあそうだな」
違いないと笑い飛ばして見せながら、
酒を飲み干すと追加を頼む。
と、当然用意されてるわけでそれが目の前に来れば当たり前のように酒をアオリ。
「ああ、ここなら間違いないだろ。
ま、所変わればってやつだな。それこそ東方では果実酒何かは一般的じゃなかったし、
そんなもんと言えばそんなもんなんだろうな」
だからこそ、口寂しく感じることがよくあるのだが。
笑い飛ばして言い返しながらも、
少女との会話の流れで賭博に興じることになれば、
当然先行後攻の話になる。半丁なんかではまた違うが、
今回行うのが単純明快なハイローとなれば同時とは行かぬのは当然で。
「……そうだな。じゃあ、後攻だな。
勝負師のお手並み拝見といこうじゃないか。
正直賽を久しぶりに見るんでね、まずは見て楽しみたいってのがないではない」
そう笑って言いながら相手に向けて手を差し出して、先行を譲ると宣言し。
■タマモ > 「あー…面倒じゃ、カインと同じで頼むぞ、店主」
次のジョッキも空になったところで、ひらひらと手を振って、店主へと注文を。
きっと、それはすぐに来るだろう。
なにせ、それをさせている男と同じ事を頼んだのだから。
「ふむふむ…えーっと…まぁ、確かに…そうやもしれんな?」
軽く、少女は視線を逸らす。
己が居た場所は、それこそ、頼めば何でも出ていたから。
そんな場所で生きていたからこそ、それに考え到るのが、少々困難だったのだ。
まぁ、それも今知ったのだから、無問題である。
「ほほぅ…大体の者は、結構な確率で先手じゃったが…
よし、では妾から行くとしよう」
選ばせておきながら、男の宣言に、意外そうな表情を浮かべる少女。
実際に、ほとんどの者が、これを伝えると先手を選ぶのだ。
ともあれ、決まったのだから、こちらが先手だ。
手にしたままの賽を、ひょい、とカウンター席に放る。 [1d6→2=2]
■タマモ > ころころ、ころん。
止まった賽の目は、『2』であった。
「おぉぅ…今日は緩やかな開始じゃのぅ…
ともあれ、ほれ、次はカインじゃ」
ふむ、と出目を確認すれば、賽を手に。
それを隣に居る男へと、差し出した。
■カイン > 「横着だが、いい選択だ。速さで行ったらそれ以上の選択は今の所ないだろうしな」
何せ用意ができてるものが流れてくるだけである。
タマモの言葉に笑い飛ばして見せながらも、
軽く肩を揺らしてみせる。どうにも浮世離れした雰囲気に、
東方からこの街にやってきたという知人に近いものを感じて目を細め。
「ま、この街まで東方からやってくる連中なんてのはどいつもこいつも事情持ちかもしれんが。
……先手を取っても有利になるわけじゃないからな、だったら目を見てからのほうが心の準備ってやつはできる」
良くも悪くも。負ける覚悟何ていうのも大概だが、
それでも賭け事である以上相手の手が強すぎたらそれはそれであきらめが付くものだ。
出た目と差し出された賽を受け取ると、軽くてのうちで振って見せる。
「こちらのほうが若干有利、って所だな。ま、さいの目なんてそんなに当てにならんのだが」
なまじ1がでてれば意気揚々といった所だったが、残念ながらそうも行かない。
ふっと軽く息を吐いて、賽を相手の目の前に放り。 [1d6→5=5]
■カイン > 「…5か、とりあえず今回は俺の方に運が向いたみたいだな」
かと言ってこれを連続でできるかと言うと正直な所無理があるだろうとも考える。
元々運気が良い方でもないのであるからして、
あまりギャンブルにのめり込むつもりがないのだが。
肩をすくめて見せながら、賽を回収して改めて相手に差し出し様子を眺める。
勿論、何を期待してるかということは隠しもしない。
■タマモ > 「うむ、どうせ今は懐具合に余裕はあるからのぅ。
これくらいが、丁度良い」
と、そんな事を言っていれば、言った側からエールが出る。
それを手に、変わらず、ぐいっと呷る。
と、男の出目は、いちらよりも上の『5』だ。
ふむ、と頷けば、軽く席の上で片方ずつ膝を立て、足袋を脱いでゆく。
「見ての通り、妾は数的に少ないのじゃ、これで良いかのぅ?」
脱いでから、そんな事を問うてみた。
見て分かる通り、少女が脱げそうなものと言えば、今の足袋と、帯、着物、後は…あれば、下着と言うところだろう。
まぁ、実際の話、下着はないのだが。
「さて、ささっと次にゆくとするのじゃ」
ぽん、と脱いだ足袋を椅子の背凭れに掛け、賽を手にする。
次はもう少しくらいは、とは思うが、これも運次第。
ぽいっ、と再び放る。 [1d6→6=6]
■タマモ > さて、どうか。
出目を確かめてみれば…うん、『6』だ。
確実に負けの無い数字だ、安心である。
「ふむ…これはこれで、いきなりくると、少々怖いものがあるが…
ともあれ、次じゃな?」
カウンターの上にある賽を、ぴん、と弾き男の前へ。
■カイン > 「随分と蟒蛇みたいだからな。俺が言うのも何だが、
かなり飲む方だよなあお前さんも」
ジョッキを傾けながら、そう言い返すともう空になってるのがみえる。
軽く肩を揺らして見せつつも、追加を注文してやってきた物を手に取り。
「何、それでいいさ。まずは最初だしな?
大物は後回しのほうが面白いってもんだ」
クツクツと喉を鳴らしてみせるものの、男の方とて衣服という意味ではそう多くない。
外套を含めたとしても、外套と上着とズボン、それに下着程度しか身に着けているものはないのだ。
流石に武器のたぐいを衣服と言い張る程勝負根性が強いわけでもない。
「…おお、コイツは流石に…まあ無理だろうなあ」
そうして見える次の数字は6。のぞみ薄にもほどがある。
流石に天を仰いで見せながらも、さりとて逃げるつもりもない。
弾かれた賽を空中で受け取りつつ、ゆっくりと振ってからカウンターに投げ。 [1d6→1=1]
■カイン > 「…こりゃあ随分な下振れだ」
呆れたように言いながら、外套を脱いで隣の席に放り捨てる。
店主の迷惑そうな顔などどこ吹く風、客が居ないんだから良いだろうと言わんばかりの態度だ。
「とりあえず、お互い厄払いは終わったってところかね」
ついでにある程度の幸運も吐き出したと行った所か。
そのまま、相手に賽子を軽く投げ返して次の一投を待つ。
■タマモ > 「うん?…まぁ、永い刻を生きていれば、強くなるものじゃて。
ただ、欠点は…量を飲めぬ、と言う事くらいじゃろうか?」
ぷあー…更にジョッキを空け、追加を待つ。
飲めるが、小食である為に、量が飲めない。
だからこそ、どこまでが限界なのか、少女自身分かってないのが現状だった。
現に、腹の具合で、後数杯が限度っぽいのを感じている。
「お、認めてくれたか、ありがたい。
確かに、それはあるやもしれんな?」
ふむふむと、男の言葉に、肯定の頷きを。
楽しみは後に、と言う言葉もあるくらいなのだから。
そして、次なる結果は…こちらの勝ちだ。
外套を脱ぐのを見遣りながら、再び賽を手に取る。
「さてはて、次なる結果はどうなるやら」 [1d6→3=3]
■タマモ > ころん、ころん、と転がる賽。
次なる目は『3』だが…何とも微妙な数字である。
「むむむ…これは、何とも中途半端な…」
とは言え、ある意味、次の男の賽の目に左右されやすい数字でもある。
さて、次は何が出るのやら。
■カイン > 「そいつは体質というか、まあ人によると思うがね。
それこそ数百年生きてる下戸なんか知り合いに何人か居るしな。
ま、そもそも酒を飲まないって選択肢もありではあるんだろうが」
自分の人生には考えられない選択肢である。
大変だなとクックと喉を鳴らして言い返しながらも、
少女の様子に軽く肩を揺らしながら目を細め。
「ま、何が目当てかと言えばこの遊びそのものが目当てには違いない。
深く考えた所で意味もないさ」
今はこれを楽しむのが優先だと笑い飛ばしながら、
さいの目を目で追いかければ3ときた。
なるほど、一番引き分けの多い目でもある。
さて、と息を吐きながら賽子に願をかけ。
「ではいこうか、こいつでどうかね」 [1d6→5=5]
■カイン > そう言いながら振ったさいの目は5。
今度はこちらの勝利であった。
気を良くして酒のツマミを追加で注文しながら、
再び賽子を相手に投げ渡し。
「ん、今度はこっちが貰ったな。
ここまで一進一退とは思わなかったが、これだから賭け事は面白い」
■タマモ > 「そう、それが残念でならん訳じゃ。
選ぶ道はあれど、妾は飲まない選択は…出来んのぅ」
うん、それは己とて考えられぬ選択で。
軽く考える仕草はするも、答えは案外あっさりと出ていた。
「なるほど、こうした遊戯が楽しいのは同意じゃ。
もちろん、その結果も同じくして、な?」
ちらりと、次に男が出した『5』の目を見て、軽く肩を竦める。
楽しいが、やはり負けが越すのは、何と無く悔しいものだ。
それはさて置き、負けは負けである。
軽く席から立てば、帯に手を沿え、するりと器用に解いて。
…と、そこで、周囲も何と無く、それを察してきたのだろう。
足袋のように、背凭れに帯を掛ける頃には、こちらに意識を向ける者達の気配が感じられるようになってきた。
「それが繰り返されれば、それこそ、楽しみもあるが…さて?」
賽を指で摘めば、ぴんっ、と弾いて転がして。 [1d6→2=2]
■タマモ > さて、何が出る?と思い出たのは『2』であった。
「お、おぉ…なんか、下がっておるのぅ。
上がり下がり、と言うよりも…それとも、乱れに乱れておるんじゃろうか?」
揺れる方が楽しいのだが、今日はそうでもないらしい。
ちょっと残念、と思いつつも、賽を男の前へと。
■カイン > 「同感だ。全く、本当に勿体無いったらありゃしない。
ま、それこそ酒飲みの理屈といわばそれまでだがな」
だからといって他の連中が、一体何を楽しみに生きてるのかが理解できないと言わんばかり。
やれやれと肩をすくめながらに言い返し。
「勿論、賭博ってのは結果をどう受け入れるかも含めて楽しいってなもんさ。
……ヘタにあまりやりすぎると、それはそれで命がけの問題に発展するから程々の引き時ってのも大事だが」
そう言い返して見せながらも、周囲から感じる視線を見れば若干億劫そうな様子を見せる。
それこそ、野次馬根性というかスケベ根性というか、
判るやつには判るもんだなと苦笑いじみたものが浮かび。
「さて、どうかね。それじゃあもう一投、どうなるかご覧あれ…っと」
そう言いながらに賽を受け取り、再び投げる。 [1d6→4=4]
■カイン > 「……おやま、今日は俺のほうに運が向いてるらしい」
そうしてでた目をみて、驚いた様子を見せる。
男自身、今日の引きには驚いていた。
とはいえ勝ちは勝ち、先程行ったとおりどんな結果でも受け入れてなんぼである。
そうはいうのだが、
「ま、だからといってその勝ち分を他人に分けてやる必要はないよな」
そういうなりパチンと指を鳴らすと、タマモの周囲に黒い影の帳が立つ。
文字通りの帳となって周囲の視界を塞ぎながら、相手の様子をみやり。
■タマモ > 「ふむ…それがすべてとは言わんが、一つ失った事が分かるだけにのぅ?」
とは言え、それによって、何か得られないものがあるかもしれない。
己には分からないが、そう言うものもあるのだろう、きっと。
「引き際か………まぁ、そう言うのも、あるやもしれんな?」
ふっ…と、一瞬だけ、どこか遠くを眺め呟いた。
その様子を見れば、大体察しは付くかもしれないが。
そして、次なる結果は出た、己の負けの結果として。
続けての負けではあるが、少女は特に気にしている様子はないか。
「ふむ…と、おや?隠してしもうたか。
これはこれで、楽しいものではあるが………確かに、特典は、対価を払う者とも考えるべきか」
さて、次は着物に…手を掛けたところで、男が何かしたのだろう、周囲から隠すように現れる影。
それを見回しながら、そう言葉を掛け、くすりと笑う。
そのまま、着物の胸元を肌蹴けさせ…そこで、手を止める。
男の目の前には、小柄ながらにも膨らみをみせる乳房が晒されるだろう。
「ふふ…楽しみは、後回し、で良いんじゃろう?」
その時点で、少女が下着を着用していないのは、予想が付くだろう。
それに気付けば、この行為は、納得いく…だろうか?
まぁ、駄目なら駄目でも、脱げば良い、そんな感じだが。
「もう一枚くらいは、いきたいものじゃが…さてはて」
胸元を隠す事もせず、賽を手に、少女は振るう。 [1d6→6=6]
■タマモ > 「………揺らぎが、大き過ぎじゃろ…これ…」
次に出た『6』の目、喜ぶべきだろう。
だが、何だろう、少女的にはいまいち納得いってない感じだ。
せめて、もう一つ低ければ…とか考えるのは、何かの拘りかもしれない。
■カイン > 「ま、世の中色々なやつが居るからな。
きっとそういう連中とはそっちの趣味では絶対わかり会えないと思うんだが」
こればっかりはどうにもならないだろう。
クツクツと喉を鳴らして言い返しながらも、
相手の様子を楽しげに眺めてみせ。
「タダ乗りはあまり俺が面白くないんでね。
ま、これくらいは許してほしいもんだ」
カラカラと声を上げて笑い飛ばしながらも、
相手の様子を中止していたのだが途中で止まったのを見れば軽く吹き出し。
「なるほど、確かに。言ったのは俺だな?じゃあ責任は取らないと」
なるほど、楽しみをすんドめされている状態。
それを受け入れれば手を打って笑い飛ばしてみせる。
しかしながら少女の投げた目の大きさに、思わず唖然とし。
「こういう時にあきらめが付くのが後攻の良い所だな」
何やら悟った様子で言い放ちながら、
賽を受け取り放り投げる。乱雑になるのも無理なからぬところではあるが。 [1d6→1=1]
■カイン > 「……うーむ」
そうしてでた目がこれである。
何かの因果でも関係してるんだろうかと割と真剣に考え始めつつ、
相手に賽子を投げ返しながら首をひねり、
上着を脱ぐ。下から隆々とした逞しい体躯が覗くのを気にもとめず、
腕を組みながら肩を揺らした。随所に古傷が残っているのは流石に傭兵といった所か。
■タマモ > 「じゃろうな、こうしたものは、同じものを持つ者を見付けるに限るじゃろうて」
こちらが『6』を出し、男が『1』を出す。
うん、本当に何だろう…この差は要らない。
しかし、賽がこの目を出しているのだから、仕方無いか。
そんな事を考えながら、言葉を交わし続けて。
さて、流れはどうあれ、今回はこちらの勝ち。
これで二枚目であるが…
「まぁ、そうあれば楽しいと言うだけで、強要はせん。
と、そうそう、後回しが良いと言うたしな?
とは言うものの、見ての通り、次はないがのぅ。
さて、振っておる間に、二枚目を頼むぞ?」
少女が少女ゆえに、男を脱がす事にも楽しみを見出している。
賽を手にし、そう伝えながら、それを弾く。 [1d6→1=1]
■タマモ > ぴたり、止まる賽の目は『1』だ。
最低値ではあるが、今の流れだと、どうだろう…同じ可能性も、無きにしも非ず、だ。
「さて、次が回ってくるのか、負けとなるのか。
ほれ、お主次第じゃ」
更に弾き、賽を男へと転がし渡して。
■カイン > 「全く持ってその通り、ついでに酒を飲んで楽しい相手ならこれ以上はない。
酒飲みってのは存外肩身が狭いもんだからなあ、同好の士は居るに越したことはない」
上機嫌ながらも何やら妙な実感を伴ってしみじみと告げる。
何せ長く生きていれば、酒飲みが決して歓迎されるだけの生き物ではないというとはそれこそ身にしみるのだ。
そしてついでに酒との付き合い方を一歩間違えた時の地獄も。
「さあて、何とも言えない流れだな、ここまで同値が一度もないというのが尚の事」
厄介に思えると笑いながらも、脱いだ上着をポイと外套の上に放り捨てる。
男の裸など見られても何ともないと言わんばかりに、
下に何も身に着けていない古傷の多く残る隆々とした上半身をそのまま晒し。
「その次がないのを追い詰めるのが良いんだろう?お互いに。
ま、こんな戯れの機会は早々ないからな」
精々楽しませてもらうと笑い飛ばしながら、賽を受け取ればゆっくりと奮った後に目を閉じ。
「よし、では行こうか」
そう言いながらに放り投げた。 [1d6→3=3]
■カイン > 「……これで俺の勝ち、だな。
やれやれ、負けが混んだらどうしようかと正直思ってはいたんだがな」
この酒場の笑い話になりそうである。
とりあえずは首尾よく言ったことを素直に喜びながら、
機体を隠すこともなく相手のことをみやり。
■タマモ > 相手の目は…うん、さすがに都合良くはいかなかった。
なんか、負ける時は、さらっと負けるな…とか何とか、考えて。
これも、運なのだろう。
「おぉ…巻き返しを期待したが、こうなってしもうたか。
行き着かず、勝ちをもぎ取りたかったが…これはこれで、ありかもしれんのぅ?」
ふむ、と賽の目と、男を見比べながら、そう呟く。
その言葉から、まだ完全な負けは認めていない…そう見えるか。
それはそうであっても、負けた事実は変わらない。
よいせ、と席から立ち上がる。
上を肌蹴けている着物に手を掛け、する、と脱ぎ去る。
それも背凭れの上に置けば、少女は隠すもののない肢体を晒した。
「後は、先も言った通り、金か続けるか。
………まぁ、答えは分かっておろうな?」
その格好のまま、少女は、賽を手に取った。
その先がどうなるか、それを知るのは、少女と男の二人だけとなるのか…
■カイン > 「ま、世の中こんなもんと言えばこんなモンだとも。
勿論、だからこそココからの巻き返しだって叶うかも知れないぜ?
というわけで勿論、このまま相手を続けてもらおうじゃないか」
クツクツと喉を鳴らして言い返しながらも、
そう言い放つなり相手の事をまっすぐ見据えて喉を鳴らす。
さて、これから先が本番だと言わんばかりに少女の賽の目を注視する。
一体二人がどのような時間を過ごすのか、それは二人のみが知ることになるだろう。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 とある酒場」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 「……」
貧民地区。奈落の風亭。
無愛想な店主。薄暗い照明。立地は通りから離れた細道に位置する店。
来客数。日に3人来たら繁盛ってレベル。
そんな、いわゆる不人気店で、男が酒を飲んでいた。
「……マスター。ライザントモルト、お代わり」
男の注文に、店主は返事もせず、ただ酒を出す。
男は男で、それを静かに飲む。
舌の上に広がる、広大な風景すら幻視できるほどの甘さとパンチ。
喉が焼けるのではないか、と思うのもつかの間。飲み干せば口腔から頭にかけて、爽やかな果実臭、原材料にこだわっているであろう樽の香りすら感じ取れる。
好事家だったら金貨1万枚も付けるかもしれない幻のモルトの味に、男は小さく頷く。
「相変わらず寂れた店だね」
『黙って飲め、若造』
マスターに声をかけてもこの通りである。
だが、男はそんな不人気店を愛していた。
酒。レア物から大衆酒まで幅広く取り揃えたラインナップ。
料理。経験豊富なマスターによる、外さないセレクション。
音楽。生演奏? 転送石による演奏の再生? 不要。無音こそ至高。
そんな店だからこそ。この店の良さが分かる人間だからこそ。
この店で、ただ酒を飲むのが最高に幸せなのである。
「……若造、か。
マスターにかかっちゃ、俺も形無しだ」
中年ながら若造と言われ、男は苦笑しつつ酒を飲む。
あぁ、いいなぁ、この店。そう思いながら。
(口にしない。そんな事を呟けば、店主ににらまれるからだ)
男は、静かな時を楽しんでいた。
■セイン=ディバン > 男は静かに酒を楽しむと、店を後にした……。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 とある酒場」からセイン=ディバンさんが去りました。