2019/07/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にカーレルさんが現れました。
カーレル > 廃屋か瓦礫の山かと言うような場所の戸口に立ち、中から出てきた女に懐から金貨の入った袋を手渡す
やつれた女の手を取り無理矢理に金貨袋を持たせれば二言、三言話しかけ、ぽんぽん、と肩を叩いた
金貨袋を持つか細い指先がわなわなと震えて、手に持った金貨袋を跳ね除けるように落としたかと思えば、
震える女の指先が胸元を捕まえた

とある貴族から関係を持った女に手切れ金を渡すという仕事
胸ぐらを掴む女の影には貴族の私生児だろうか小さな男の子がいて、此方を伺っているのが痛ましい
何やら喚き散らす女に、はあ、とため息を零せば指先でとんとん、と軽く女の額に触れた
指先から伸びた影がするり、と女の額に溶け込んでいくと急に大人しくなり、
胸ぐらをつかんでいた手を弛緩させたように落とす

「それじゃあ、これで解決という事で…今後一切、彼の前には姿を見せないでくれ
 向こうから貴女を訪ねることもしないそうだ…」

呆然とする女の前で襟を正すと影に隠れた男の子の前に膝を折りわしゃくしゃ、と頭を撫でる
これから色々大変だろうがお母さんを大切にな、と声をかければ2人を背にその場を離れる
ポケットから煙草を取り出し火を灯せば仕事の後の一服をしながら歩いていく

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にルビィ・ガレットさんが現れました。
ルビィ・ガレット > 貧民地区にある家屋にしては小奇麗、壁に落書きや漆喰にはぼろぼろした感じも無く、それでいてこちらの潜在意識に訴えかけてくる「何か」がある――そんな場所の扉から、ひとりの女が出てくる。扉には赤い何かで魔法円が描かれていた。

「――それじゃ。……お前も――、……」

女が出てきた後。薄く開いたままの扉の向こう側に、誰かいるらしく。二、三、その誰かと女は言葉を交わしてから、その後は振り返らず。扉は閉められ、女は歩き出す。

女の風貌はここいらでは目立つもので、というか浮いており。彼女に無遠慮な視線を投げつけてくる者も少なくなく――それを内心、女は愉しんでいた。
むしろ、絡まれたり、喧嘩を売られたりすることを望んでいた。今月に入って、まだ"ちゃんとした"食事はしていなかった訳だし――、

「……あっ。――すいません」

迷路みたいな悪路、細道を歩いていると、ひとりの男性とぶつかりそうになって。道が狭いものだから。
お互いの肩が触れそうで触れなかったあたりで、こちらから謝罪を。

カーレル > あの男の子に特別な思い入れがあったわけではない
貧民地区じゃあ、貴族の私生児、なんてのは自称も含めてゴロゴロしているし、
探せばひょっとしたら王様の子供、なんてのもでてくるかも知れない
ただ、何となく挨拶を交わしただけに過ぎぞ、胸の内に感傷があったとか、自分の過去と重なったとか全く無かった
そもそも、自分は農村の三男であるわけだし

煙草を燻らせながら路地を歩いていれば不意に前から来た人影とぶつかりそうになった
正確に言えば、触れ合うことはなかったのだけれど、彼女が謝罪の言葉を口にすれば、
ぴっ、と軽く煙草を持つ手を上げて

「気にしてない、気をつけなよお嬢さん」

僅かばかりか自分の内に秘めたるものがぞわり、と好奇心をもたげた感触があったが王都では珍しくもない
そんな感覚を無視して、狭い道でぶつかりそうになる事も、精霊が好奇心を示す事も、
『この街ではよくある事』とそのまま歩いていこうとした

ルビィ・ガレット > 感じの良さを努めて、愛想笑いを浮かべたまま。
それでいて、そこに"申し訳無さそうな"表情も少し混ぜて。
――本当は少しも「申し訳無い」などと思っていないのだが、控えめな声音で、

「あ。……待ってください」

こちらを咎めず、去り行こうとする彼を呼び止めた。
手を伸ばして、相手の肩や手を掴む……なんてことはしない。
なんとなく、こちらの声だけでいったんは立ち止まってくれる気がしたので。

――力に物を言わせて相手に襲い掛からないのは、こちらにそんな趣味は無いからだ。
それよりも、彼がこちらに因縁をつけてこないほうが気になった。
このあたりを出歩く者にしては、穏健に感じられたから。