2019/06/19 のログ
■リタ > 「ん、お帰り。」
シャワーから彼女が戻ってくる頃には料理は出来上がっており、座ると同じくしてカウンターに配膳される。
賄いという名の適当料理だが、店員自身も食するのであるが故にそれなりのお味。
「…断るに断れないしね…ずっと踊られたら今日みたいな事になるから、
時々給仕も兼ねて、なら良いかな。」
オーナーには逆らえないのが雇われの辛い所でもあるのだが、事実客が増えた。
それに彼女のおかげで売り上げも後半に限り、一気に増えた。断る理由は無い。
「…お酒、何か飲む?お任せでも可。」
カウンターを挟んで彼女に問いかけつつ、立ったまま炒め物をがっつく店員。
優雅に食する彼女とは対照的である。
■ティエラ > 「ただいま。」
軽く笑いながら、配膳されていく食事を眺める女。
適当な料理というのが一番いいのだ、気兼ねなく食べられるのだから。
「ええ、構わないわ?
そうね、給仕の時も、この格好でいいかしら?
制服とかあるなら、着るけれどね。」
彼女の提案に関しては構わないと。
そして、踊りを踊るタイミングはお店に任せたほうがいいわね、と。
正式に契約をするのだから、と。
「………『ブルームーン』……で、お願いするわ?」
問いかけられるがままに、女は軽く。
このお酒、好きなのよ、と。
軽く笑ってみせて、首を傾ぐ、できますか?と
■リタ > 湯上りの彼女に対して、寸前まで火を扱っていた店員は汗だくだった。
換気の為と窓を開けると、未だに店の中を覗いている客がちらほら…両手を合わせて彼女を見入っている人も居る始末。
店員は無言でカーテンを閉める。
「んー、制服…なんてものはないから、とりあえずはその衣装で。
…変な店に間違えられると困るから、とりあえずね。
それらしい服があるか、知り合いの商人に聞いてみる。」
食事時は客が多いのでその間は給仕を。その後のオトナの時間を踊って貰えれば、都合も良いだろう。
給金も今日の形式で良い様子だし、何より忙しさが減るのは有難い。
「…ブルームーンと来ましたか。確かにぴったりだね。」
少々強めの酒を注文してくる彼女。
店員はなれた手つきで棚からジン、バイオレットリキュール、レモンのジュースを手に取っていく。
シェイカーにそれらを入れ、かき混ぜればスミレとバニラの香りが立ち上る。
氷が入れられたそれは、店員の手によって強く、長く振られて軽快な音を放っていた。
「普段はこんな注文、受けないんだからね?」
なんて忠告しつつも混ざり合った酒がカクテルグラスに注がれれば、
彼女の美しい紫の髪に負けない、澄んだ紫が彼女の瞳に届くだろう。
■ティエラ > 「あらあら。あらまぁ。」
汗だくの彼女を眺めながら、女は軽く。
彼女がシャワーを浴びるのを待っていたほうがよかったかしら、と。
そして、窓のカーテンを開けられて、すぐに締められる。
なるほど、と思い、女は、胸元から2枚の符を取り出す。
「はい、とりあえず、汗だくの侭ではやでしょ?
簡単だけど乾燥と、冷気の符よ。体にある、汗の不快さは消せるから。
でも、あとでちゃんと汗を流さないと、そのいい匂いに、変な虫がよってくるかもよ?」
彼女の説明を受けながら了解よ、と返答を返す。
給仕も、そのあとの踊りの時間も、見極めるのは彼女に任せよう、と。
「ええ、これにしろって。オーナーのオススメよ?」
注文を聞く彼女に、女の声が滑るように。
彼女ならば、その意味が分かるのだろう、ふふ、と笑ってみせる。
オーナは、お酒の趣味もいいわね、なんて。
「ありがとう、味わって飲むわ。」
綺麗なグラス、その中身を眺めながら女は目を細めるのだ。
「よろしくね、店長。」
■リタ > 酒と交換するように符を受け取れば、その符から送り出される力を目の当たりにする店員。
これを店内に張りまくれば、天井で回っているシーリングファンの出番は無くなる。
30枚ほどそれくれない?と冗談めいた言葉を吐きながら、食事を終えた彼女の皿を片付け始めた。
「汗の匂いが良い匂い…ティエラさんってソッチが好きな人?なんて。
――オーナーのお勧め、ねぇ…
ということは、アッチの仕事も請けたって事、か…」
店員は窓へと足を運び、風に棚引くカーテンを一度開け、扉を閉めて再びカーテンを閉める。
完全に閉鎖空間を作り出した後、店員はカウンターの置くから、一枚のコースターを手に取った。
コルク製のそれは店の名前が刻印されており、彼女の目の前にあるようなカクテルの下に敷かれるもの。
しかし、彼女に配膳されたそれにはコースターは敷かれていない。つまり使われていないものなのだ。
「コレを持った客の注文は絶対。身分証明でもあるから、無くさないようにね。」
使われていないコースターを彼女に手渡しながら
「――よろしく、ブルームーン。」
と言葉を繋げた。
■ティエラ > 「え?そんなに無いわ。符は一時的なものだし、それに一々それを書くの面倒だもの。
直接紋章彫ったほうが恒久的にできるわ。」
魔道具を作成できるとしても、それに手間や労力があるのだ。
なら、恒久的に発動し続けることのできる紋章を床の下に魔法陣として組み込んだほうがいいと提案する。
皿を片付け始める相手に、ご馳走様、と軽く笑ってみせて。
「ええ、そっちの趣味よ?
そういうことよ、先輩。」
そう言いながらも、彼女の行動を眺める。
取り出されるコースターを手にして、それを矯めつ眇めつ。
それを懐に入れることにする。
「―――こちらこそ、レッド、アイ。
説明しておくけれど。
私のメインは、魔法……紋章魔法よ。
詠唱の魔法と違って、付与に特化しているの、符に関しては副産物というところ、ね。
体術は少々……並みていどよ。」
あと、これは言わないでおくことにする。
オーナーの実の妹だ、という事は、こういう場所では足かせでしかないし。
必要なら、オーナーから言うだろうから。
■リタ > 彼女の言葉に成程、美味くはいかないものだと肩を竦めながら、床に魔方陣を刻まれた店を想像する。
…地理も相まって怪しさ爆発である。違う店になりそうである。大きく首を横に振り、想像を散らす店員。
「…あはは、そっちの趣味なんだね…ん、否定はしないよ。解る部分もあるし、ね。
――了解。そりゃオーナーも喜ぶわけだね…ニターって笑いながら、使える子って言われなかった?」
無論彼女とオーナーの関係性を知らない店員は、彼女に向かってそういうだろう。
オーナーのがどういう人間か知っているからこそ、どう彼女を勧誘したかも想像がつく。
■ティエラ > 「………勘違いされると困るけれど、魔術とは秘匿するのも技術なのよ?
例えば、床に見えないように書き込む、とかもできるのよ?
魔術師が秘匿しないのは、未熟で秘匿をできないのか、それとも、必要がないかよ?」
魔術とは本当に様々な技術で行われるものなのだ。
例えば、天井でくるくる回っているあの羽の裏側に文字を書いて魔法陣を作ることもできるのだ。
魔力を持つものから見ればわかるかもしれないが、一般的な人間からは見えないものも作成は可能なのである。
やる前からできないは、魔法使いにとっては最大の屈辱になるからね?女は軽く笑って見せるのだ。
「そりゃ、もうね?
―――ふふ、それに対しての返答は避けるわ。
でもね?」
そうでなければ、ここにいないでしょう?
オーナーはああ見えて実力に関してはシビアに判定する。
そのメガネに適っている、つまりはそういうことなのよ。
女は人差し指を口元に持っていき、しぃっと息を吐くのだ。
だって、魔術的な防諜はしてないのだから。
■リタ > 「…罠とか作られるとすっごくキツそうだね…
そしてそういう事をさらって言う辺り…うわ、怖っ」
店員の彼女の評価は怖い、である。しかしそれは負の感情では無い。
力のある魔法使いである彼女に対する、尊敬を含む畏怖。それに加えて妖艶な姿、仕草。
怖いもの見たさ、に近い魅力がある事も否めず、体を震えさせながらも微笑む店員。
そして続けられる彼女の言葉に、その彼女自身の能力を肯定させられる。
「…あー…ぅー…そ、そう言えばティエラさん、何処に住んでるの?」
彼女の言葉の後に少々の沈黙。そして冷えた空気を誤魔化すような言葉が店員から吐かれた。
■ティエラ > 「むしろ、紋章術の十八番とも言えるわね、設置型の罠とか、拠点防衛の障壁とか。
あと、応用的に言えば、魔物召喚をする魔法陣なども、紋章術の範疇よ。
詠唱式と違うのは即効性がないから、戦闘では使いづらい。
――――あら。」
そんなに怖いかしら、と女は軽く笑ってみせる。
目を細め、口元を釣り上げてふふ、と軽い感じの笑である。
彼女がそんな負の感情を覚えているわけではないのはわかってるから、
「えと、ああ。オーナーのお家のうちひとつに、間借りさせてもらってるわ。
もともと根無し草だから。
場所は、この近く、よ。」
あの方、沢山おうちあるんですもの、なんて。
彼女ならばそれだけでどこだかわかるであろう、と。
■リタ > 「事前の準備さえ怠らなければソレ、強いね、かなり…
私としては罠、障壁ってだけでも有難いな…――敵に回らなくて良かった。うん。」
怖いよ?と冗談っぽく笑いながら彼女の笑顔を見ている店員。
その笑顔は相変わらず妖艶で美しく、女という武装を余すところ無く携えたように感じる。
そしてその武装は、女である店員にも通用しているのだ。ある意味、本当に怖い。
「成程、そういう事…それなら通勤は楽だね。
あー、ということはオーナーの近くに居る訳だね?
良くあんな所に住めるね…凄い。うん。アレならこの店に泊まってもいいから。時々なら、ね。」
色々な場所に塒を構えるオーナー、その内の一つで近い場所といえばあの場所。
表向きにはあまり住むには向かない雰囲気のその場所を察した店員は、少々気の毒に感じているのだろう。
戻りたくなければウチにどうぞ、と提案するのである。
■ティエラ > 「事前準備に関しては、魔術だけじゃないわよ、何事も……準備がしっかり出来ていれば、強いものよ。
もし必要なら、言って頂戴、しっかりと準備させてもらうから。」
ふふ、と女は笑いつつウインクを一つ。
恐怖もまた、一つの指針ねとそんな風に行って見せるのだ。
評価のうち一つであり、それに拘泥することもなかろうし。
味方なのだから。
「ええ、通勤は問題はないわ。
そんなにひどいところでもないと思うわ?
必要な時は泊めてもらうことにするわ。」
彼女の心配に関しては、女は気にしてなかった。
根無し草としては、屋根がありベッドがあれば十分立派。
それこそ、野宿だって星の数ほどしてるのだ。
仕事か何かで必要な時は止めてもらおうと決める。
■リタ > 「あら、これは一本取られた。うん、その通りだね。…ん、さんきゅ。その力、有効活用させて頂きます。」
ウインク一つも様になっている、ミステリアスでオトナの女性を見つつ、
店員は洗い終わった皿を拭き、布巾で水分を取り、棚に並べていく。
必要な時に他の客とバッティングしなければ良いな、と思いつつ、店員は一枚のメモを取り出した。
「…これ、覚えておいてね。義務。」
点と棒が並ぶそのメモは、符丁、信号の類。光の点滅で意思を伝える為の一覧表である。
店員はメモを渡すと、自らの瞳を強く、赤く点滅らせて、「今日はもう閉店」と信号を送る。
後に解った?と小首を傾げて見せた。
■ティエラ > 「一応、私の役割は、そういう方面だと、認識してるから。」
そう、言いながらメモを受け取ってちらりと眺めてそれを閉じる。
そして……一枚の符を取り出して渡すのだ。
「覚えたわ。
あと、これを使うのも、アリよね?」
渡した札を持てば、判るだろう。
(今日はもう、閉店ね?)
彼女の頭の中に直接声が響くのだ、女は口を開いてもいない。
己の意思を札を介して彼女に直接届くのだ。
(魔術とはこういうもの、便利を追求した結果。
もし、あなたの目が見える状況になくても、ね。
これを採用するかどうかは、あなた次第。
あるということだけ、覚えておいて、必要な時に活用すればいい)
そう、頭で伝えてから。
わかったわ、と、頷くのだ。
■リタ > 即覚え切る彼女にも驚くが、それ以上に店員を驚かせる事が。
彼女から受け取った一枚の符。それを手にする途端、彼女の言葉が直接、頭の中に広がる。
口を開いても動かしてもいない彼女から。
店員は目を丸くして驚き、大きなため息を一つ。
「…私の存在価値、ますます無くなるね…
ん、でも準備が要らない分、私の方が便利?なのかな。うん。そう思うことにしよう…。」
店員はそう告げると大きく背伸びをし、スラックスのポケットから一本のタバコを取り出した。
それに火を点け、口に咥えれば店員の店員たる時間は終了する。
「…んじゃ、これからも宜しく、ティエラさん。
ここで寝るなら回れ右して奥のソファーへどうぞ。お尻触りおじさんの香りつきが嫌なら塒に帰る。
私はこれから明日の仕込みをするから…まだ忙しいんだよね。はぁ…やだやだ。」
愚痴付きで彼女の飲んだカクテルグラスをさげる店員。
今日は彼女のおかげで繁盛した。明日もこの調子だと嬉しいな、と気合を入れて仕込みに入る店員。
嬉しいの?ホントに?明日もこの調子だよ?という自己突っ込みは、彼女が夢を見る頃に起きるだろう。
■ティエラ > 「貴女の価値は貴女のもの。
どんなものだって、便利さと欠点が有るわ。
それは、使い捨ての符だから、一度使えば一定期間しか持たないわ。
貴女の目はそれではない。
大事なのは、どこで何を使い事を成すか、よ。」
彼女の言葉を肯定してみせる、準備がいらないというのはとても便利である。
符はどうしても消耗してしまう、自分がいれば補充はできるが、時間というリソースが必要になるのだ。
だから、必要な時に必要なものということになる。
「せっかく店員になったのだもの。
その仕込みくらいは手伝ってから帰るわ店長さん。
どうせ、給仕だけでは足りなくて、料理を手伝うことも発生するんでしょう?」
軽く笑いながら、彼女を手伝ってから。
じゃあまたね、と軽く店を出て、出待ちをしていたファンのひとりを捕まえて。
宿に帰るのであろう――――
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 酒場」からティエラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 酒場」からリタさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」にカインさんが現れました。
■カイン > 騒々しい声の響く貧民地区の酒場の扉を押し開けて、
濡れた外套片手に男が足を踏み入れる。
稀に興味を惹かれるものもいた様子だが、大半の意識が喧騒に飲まれる中、
躊躇うこと無くカウンターの端に陣取ると先程まで外を賑わせていた雨の仕業だろう外套をカウンターの端に引っ掛け。
「ったく、雨季はこれだからなあ…マスター、エール…いや、ワイン。少し良いやつを」
普段は躊躇うこと無く安酒を注文するところだが、
今日は気が乗らぬと少しは上等な酒を注文してみせる。
待ち時間の間に頬杖をつきながら周囲を見回してみると、
どうやら短時間降った雨とは無縁の人間が多い様子に肩をすくめ。
「俺もさっさと酒場に引っ込んどけばよかったな」
仕事が少し長引いたせいでこうなっているだけに愚痴が口をつく。
肩をすくめてゆっくりと目を細め。