2019/06/18 のログ
カイン > 「衣装をどうにかするだけでは限界もあるしな。
 寒いぶんは酒でなんとかごまかせるんだが暑いのはそうもいかない」

世の中自由自在に温度を操って自分の過ごしやすい環境を作り出す輩などもいると聞く。
残念ながらそんな小器用な真似は自分自身には到底できそうにないのだが。
その代わりにと渡されたエールを手に取り軽く煽れば体の冷えていく感覚に人心地つき、
酒場の中を見回すと遅くまで飲んで潰れている者、一人で静かに飲むものなど客の様子は様々。
時折新しい客も訪れる様子に皆元気な物だと肩を揺らす。

カイン > 「…ん。酒もそろそろ潮時かね」

ふと気が付けば随分と夜が更けた気配がする。
人波よりも随分と頑丈な体を持っている自負はあるが、
かといってほかの全ての部分が人間以上かといえばそんなこともない。
悪酔いしない程度に終わらせようかと緩く息を吐いて考えながら、
立ち上がってその場を後にしていくのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 酒場」にティエラさんが現れました。
ティエラ > マグメールの貧民区にある酒場のうち一つ、女が踊り娘として登録している酒場。
 今日も、小銭を稼ぐために女はやって来た。
 いつものようにマスターに店が開店しているかという確認とここで踊って良いのか許可と。
 今回も大丈夫、ということで、女はするりとローブを落とすことにする。
 ローブの下にあるのは扇情的な服装と、踊り子として鍛えたしなやかな筋肉を持つ肢体。
 筋肉だけではなく、その体は女性らしい丸みも帯びていて、出るところはしっかりと出ていた。
 フェイスヴェールに包まれた唇は蒼く彩られ、甘やかな笑みを浮かべているのだった。
 女はゆるゆると、周囲に見えるように腕を上げる。
 楽師などはいないし、周囲に居るのは酔客のみ。

 しかし、それがどうだ、というのだろう。


  シャン、と音が響く。

 女の腕に付けられた腕輪が揺れて鳴り響いた音。

  シャン、さらに音が響く。

 女の足に付けられた足輪が擦れて鳴り響いた音。

 身につけた装身具を楽器に変えて、女は腰をくねらせ、腕を振って。
 酔客に己の肢体を見せつけるように、踊り始める

ティエラ > あまり広くない店内は、正直に言えば踊るには、不足気味の場所になろう……大きな動きができないのだから。
 しかし、踊り娘はそれがどうした、とばかりに店の中で踊るのだ。
 シャン、しゃんと響く音は身につけている装飾品、腕を上にあげて、腰をくねらせ、ヒップを揺らしてみせる。
 足を垂直に上げて、くるくるとその場で踊ってみせる。
 異国情緒たっぷりの踊りは旅をしてきたから覚えたもので、培った踊りと、鍛えた体の体感は、狭い場所でも見事に踊ってみせる。
 するりと、足を踏み出してターンを決めて見せれば、酔客の近くによって、その頬を軽く撫でていく。
 この酒場全体が舞台だと言わんばかりに女は踊る。
 踊るうちに熱くなり、珠の汗が滲んでそれがきらりきらりと宝石のように明かりを反射する。

 甘い笑みを浮かべて酔客に流し目を送り、女はくるり、くるりと踊ってみせるのだ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 酒場」にリタさんが現れました。
リタ > ここは貧民区に存在するバー、名前はマスカレード。カウンター席は6、テーブル席は1という、大層こぢんまりとした店だ。
料理の味はそこそこ、酒の質もそこそこ、お勧めは、キドニーパイ、オニオンスープと一般大衆向け。

かなり前の話ではあるが、以前この女性が他店で踊っていた事があった。
その日の売り上げは壊滅的で、恨めしくその店を眺めていた事を思い出す。

偶然にその踊り子と契約できる事が出来、
そこまで他者を引き寄せるなにかがあるのか、と店内を踊ってもらえば…

「成程ね。うん。これは人、集まるわ…。」

女から見ても艶やかで色っぽく、滴る汗さえも美しいその踊り。
狭い店内にも関わらず、優雅に隙間を縫い、客を避けて踊る、踊る、踊る。
客の視線は彼女に釘付けで、店の外からガラスに張り付いて彼女を見ている人までいる始末。

そこで問題がひとつ。酒はそこそこ売れるが料理が全然売れない。
彼女のおかげで客の回転がすっごく悪いのだ。

店員はカウンターで暇そうに肘を突き、なにやら書いていた。
『長居は勘弁して下さい、今日の儲け、100ゴルドにもなってないんです。潰れちゃいます』
悲痛の訴えをストレートに張り紙にした店員は、それを店内の壁に貼る。…も、当然誰も見てはいない。

「――だよねぇ…そりゃ見入るわ…はぁ。…でもま、いっか。偶にはこういうのも。うん。」

カウンターに戻り暇そうに肘を突く店員。その表情は仕方ない、といった微笑みを浮かべている。

ティエラ > シャン、シャン、シャン、小さな金属音を響かせながら、女はくるりくるりと踊りを繰り返す。
 女は滑るように踊り、時折激しく周り、腰を胸を揺らして彼らに己の肢体を見せつける。
 笑って、楽しくなっていく、見られるのは好きだ。
 自分を見て、楽しくなるお客様を見るのは大好きだ。
 手が伸びて、自分の肌を触れようとするのだけれども、その肌に触れるかどうかの所をするりと避けて動いて――――。
 ぎゃくに触れようとしたお客様の頬をなでて次へ行くのだ。

「ふふ、皆様、ほら、ご飯が、止まってますわ?
 私も踊ってると、お腹が空きますの。」

 ぽかんとしているお客様、店長さんの不貞腐れた表情。
 お酒だけではダメなのだろう、食事が売れてない模様。
 だから、女は言葉にするのだ。

 ご飯、食べて、ね。
 酔客たちは我先とつまみの注文を、おかわりをするのだ。
 窓の外にいるお客様たちにも、軽く投げキッスしてみせる。
 外でも食べられるならくれ、と、お客様になるのだ、立ち見の席が。

 これで如何?
 店長にウインク一つ。

リタ > 彼女の言葉が終われば一斉にキドニーパイをがっつき始める客、客、客。
老若男女問わず全ての客の目が恋した乙女のようなそれになっており、ちょっと怖い。
窓の外に居る冒険者らしい女性なんて、投げキッスに卒倒しそうな雰囲気である。
そして店の外からも注文が来る始末になり、店員は大童。

「…私が言っても聞く耳持たなかったのに、彼女の一言でこうも変わるのね。ちくしょ。
――はいはい、邪魔邪魔。そこ、置くよ?」

キドニーパイを切り分けつつ、配膳しつつ愚痴る店員。
彼女のウインクには営業ありがとう、と感謝と嫌味が混じった視線を返し、肩を竦めてみせた。

ティエラ > 「ふふ、酔っぱらいですから、ね?仕方がありませんわ。
 私にも……ぶどうのジュースをいただけません?」

 右往左往している店員の脇、するりするりと抜けながらも、女は注文する。
 ひとつ踊って、少しの疲労と、喉の渇きもあるのだ。
 手近なお客さんにおねだりして、おごってもらうのも忘れない。
 それにだ。

「お捻りの20%は、場所代としてお支払いしますから。」

 最初から、そういう契約なのだ。
 どのみち、お客さんが食事を買おうとも、女にお金を払おうとも。
 両方儲けるようにできているというやつである。

 とはいえ、だ。
 お客さんも入れ替えが必要だろう、もうひとつ踊ったら、奥を借りますわ。と
 一旦終わらせて、お客さんの入れ替えをしないと、と。

リタ > 障害もなにもなかったかのようにカウンターまで足を運んでくる彼女。
流石踊り子ともなれば、その身体能力は高いらしく、伸ばされる手もさらりと逃げる。
常連であるお尻触りおじさんは全戦全敗で、ライバルを見つけた!絶対に触ってやる!な感じに燃え上がっている。

「…ん、ご苦労様。はい、ぶどうジュースね。5万ゴルドになります。
――そのお捻り、店の売り上げの何倍だろうね…うっわ、怖くて想像できない。うん。」

どこぞの老店主か、と言わんばかりの台詞を吐きつつ、ジュースを置き。
踊り終えた彼女を見た客は、窓の外に張り付いている客としぶしぶながら交代をしていく。
既に結構な時間になっている為か、入ってくる客は指折り数える程。
ようやくこの店らしい状態になり、店員は肩をなでおろした。

ティエラ > お尻さわりおじさんに関しては、触れたら触っていいわ、と挑発。
 笑いながら彼の目の前でおしりを振って、手が伸びる前にはするりと既に。

「あらあら、お客さん一人破産するんじゃないかしら。
 とは言っても、そんなことにはならないわ?だって、ここの生活の水準でのおひねり、だもの。」

 ここにいる人間が裕福などというのはあまりない、基本は金のないモノたちなのだ。
 彼ら相手の値段設定、なら、踊りを見るのも、彼ら相手の値段なのだ。
 けっして、この店の売り上げの何倍、はないだろう。

 そもそも、値段自体を決めてないのだから、彼らの気分一つでしかないし。
 ぶどうジュースを受け取って飲んで、そして、奥へとはいる。
 そして、少ししてから、女は掻いた汗を拭って、店内へともどる。
 もう一回踊りますか?店主に視線で問いかける。

 先ほどの喧騒とは、全く違う、この店本来の空気感じながら

リタ > お尻触りおじさんは連敗記録を更新。
『くっ…やるな…次こそは!』みたいな視線を彼女に向け、サムズアップしつつ、店を出て行った。
新たな友情の始まりである。一方的だが。

「あはは、破産するだけティエラさんに貢ぐ客、居そうだけど?
――ん、そだね…もう客足も落ち着いてきたし、今日はもう大丈夫。奥で休んでていいよ。
店締めたらなんか作って持っていこうか?」

そう言いながら店内に残る数名の客にパイと酒を配膳していく。
この客はすぐに帰る事だろう。だって彼女が居なくなったのだから。…それもなんか悔しい。

ティエラ > 「ふふ、そういうのは受け取らないようにしてるの。
 だってそうでしょう?破産したら見られなくなるもの、だから。
 ちゃんと破産しないように、ずっと通い続けてって。」

 ある意味究極の搾取であろう、終わりなくずっと少しずつもらっていく。
 一気にもらって終わりではない分、飽きられるまでずっと貰い続けていくことになる。
 ちなみに、魔女なので人の寿命では測れないぐらいに、生きることは確定している。
 つまり、死ぬまで貢いでね、になるのだ。

「はぁい、では、店長。
 また後で。軽めのものをお願いしますわ。
 シャワー借りますね?」

 おひねりを回収しながら女は奥へと引っ込んでいく。
 そして、踊る必要がないなら、とシャワーを浴びることにする。

リタ > 「…怖っ…」

言葉の意味を察した店員は、薄情にも感じるその言葉を聞いて戦慄を覚えた。
しかし彼女の魅力ならば、永遠に貢ぎ続ける人もいるかもしれない。
ある意味彼女は彼女自身を知っており、それを売りにしているのだ。なんともはや、逞しい。

「ん、了解。どうぞ。
――はい、お待たせしましたー。」

彼女の言葉を受けつつ、通常の仕事を続ける店員。
そしてシャワーの音が聞こえなくなる頃、店には静寂が訪れる。
店員は店を閉めると、彼女と自分の夕食を作りはじめた。
野菜を余ったキドニーパイの中身と一緒に炒め…これまた余ったオニオンスープを添え…
彼女が店内へ戻ってくるのを待つ。

ティエラ > 「ふふ。」

 腐っても、魔女なのである。
 一応色々と人の国に入って落ち着いているけれど、魔女なのは間違いない。
 それが、隔世遺伝で生まれたとしても、である。
 自分にあるものを有効活用する、それは魔女でなくたってすることであるでしょう?
 女は甘く笑って去っていき。

「戻りましたー」

 シャワーを浴びてさっぱりして。
 そして、誰もいなくなった店に戻ってきたのだ。
 誰もいないことを確認してから、彼女の近くに腰を下ろす。

「で……店長さん。
 ここで、正式に契約、していいのかしら?」

 一応、ここのオーナーに縁が有り、その縁から、踊らせてもらうことになった。
 ここなら、専属になってもいいかな、と思ったところでもあるので。
 にっこり笑って、問いかけてみる。
 美味しそうなキドニーパイと、オニオンスープを前に。