2019/04/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 貧民地区でもさらに外れの廃屋街。
もとは長屋だったと聞くが…何だこれは。
依頼主からは地図は意味がないから地形は歩いて覚えろと言われたが、ここまでひどいものだとは。
魔改造された建物は、まるでダンジョン。方向感覚すら狂わされている気がする。
ここに来た目的は、先の通り、依頼を受けたからである。
ここに住む、とあるミレーが作る薬品を受け取ってきてくれとのこと。
薬物の作成を依頼したはいいが、取りに行くにしても、あまりにも危険な物件であるために仕方なくとのこと。
まぁ、この様子では無理もあるまい。
平民地区住まいの人間がはいっていい場所じゃない。

「…うへ、なんかふんだ…」

無論、清潔であるはずもなく、屋内はまだ火が出ている時間にもかかわらず薄暗い。
ホコリのような、薬品のような、獣のような…
なんだか変な匂いもしている。あまり長いしたい場所ではない

ブレイド > 通路は狭く、ところにより広い。
建物の中で、こうまで間取りが変化してるとなんだか変な気分だ。
たまに看板やらなんやらがあって、こういったカタギの人間が寄り付かない場所でも
何かしらの商いをやっているのが伺える。
むろん、合法違法は問うだけ無駄だろうが。
しかし、依頼主が薬物を注文した相手…つまり、ミレーのような…国や国民たちに目をつけられている者にとっては
このような場所は比較的安心できるのかもしれない。

狭く不潔なこの建物に、衛兵は好んで近寄りはしまい。
街に住まうごろつきもしかり。
それこそ、貧民地区ですら居場所を持たない者たちのための場所といった感じの…そんな後ろ暗さを感じた。

「…それにしたって…」

複雑怪奇に折れ曲がり、登って下ってを繰り返した気すらする。
ここはどこなんだ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にサンザシさんが現れました。
サンザシ > 扉を開ければ壁があり、階段を下れば行き止まる。
増改築の繰り返された建造物は宛ら一つの生き物のようにも視えました。
何故か、館内に巡る植物の蔦の類などまるで血管のようでもありましょう。

「はて、そう考えればこの匂いも生物の体臭と言えるのかもしれませんがー……
それならそれで、まるで喰われたかのようでぞっとしませんね」

薄暗いオンボロ路をぎいぎいと鳴らしながらあたしが行くのはそんな所。
勿論、物見遊山の酔狂三昧じゃあなくって、この中に住むミレー族の薬師に用があっての事。
なんでも、質の良い痺れ薬を作ると聞いたものですから、ああでもないこうでもないと、
彼方此方彷徨って探しているのです。

「──おっと。おや、このような所でごきげんよう。此処の住民の方でいらっしゃる?」

そんな折、曲がり角をぐんにゃりと曲がった所でフードを目深に被った御仁と見えまして、
これは丁度いいとあたしは面前の誰かに訊ねるんです。

ブレイド > 生き物の腹の中。
そう喩えれば合点がいくような…そんな意図せず出来上がってしまったこの迷宮住宅。
住人の顔は、そういえばついぞ見ない。
とうぜんだ。ここにいるのは、その殆どが叩けば埃が出るような連中。
廊下を歩く人の…少しでも見えれば、ここの住人でないものが歩き回っているのだから
息を潜め身を隠す。
自分でもそうする。

「にしたって…これじゃ情報収集も…」

あてが外れたというかなんというか…歩いて覚えろと言われてもこれでは
どこに何があるのやら。たしか、看板のようなものを出していると聞いたが…
今のところそれは見当たらない。
それらを探して視線を巡らせていると、小柄な影と出くわす。

「ん?お?なんだ?えーと…違うけど、あんたもそういうわけじゃなさそうだな」

鉢合わせ…なのだが、妙に気さくに話しかけてくる少女のような声。
少し面食らった様子で返事をするが…このようすでは、この中に詳しいというわけでもなさそうな。

サンザシ > 「あら、違うんですか……いえね、この屋敷──屋敷でいいのかちょっと悩む所ですけど、まあ便宜上屋敷と云うことで。
この屋敷に薬の調合に長じたミレー族の方がいらっしゃるそうで、あたしはその人に用がありましてね。
所がまあ、街中だからとタカを括っていたものだからお恥ずかしいもので、思いっきり路に迷ってしまいまして、
いやはやどうしたものか、出直そうにも出口は何処か──なんて所で貴方にお会いしまして……」

如何な不思議な人の気配こそすれ人の形無し謎屋敷。
よもや住民の悉くは屋敷の建材と成り果てなさったか。
と、思った所での邂逅についついあたしの口も良く回ろうと云うものですが、
生憎と面前の御仁が住民では無い事にそれはそれは判り易く言葉の抑揚も落ち、壁に手を付き項垂れるのです。

「……あ、いやいや落ち込んでいる場合では無いんですよ。折角此処まで来て手ぶらと云うのも癪でして。
どうやら其方も来訪者の様子。どうですかね、薬屋らしき看板等見かけませんでした?」

しかし項垂れるばかりでは意味も無い。
ついでに手を付いた壁が何だかぬめって気持ち悪かったので、そそくさと離れてからあたしは目の前の御仁に問うのです。

ブレイド > 黒装束でいかにもなにかありますと言った感じの少女…
少女?でいいのかはわからないが、目の前の人物は
思った以上におしゃべりの様子。
このような場所に似つかわしくなくくるくると口も舌も好調なようで
丁寧な口調ではあるものの、小気味のいい調子の語り口…劇場でたまにみる感じに似てるというか…。

「はー、なるほどな…オレも似たようなもんだ。
っつーか、目的はあんたと一緒かもな。ミレーの薬師から薬もらってこいって依頼でよ。
詳しい話しねーってこた、ミレーの薬師なんてのがここにぞろぞろといるわけでもねーってこった」

彼女の言う人物と自分の目指す人物…おそらく同じだろう。
うなだれこちらから少しでも情報を得ようとする。
おそらくは…迷っているのも同じだということだろう。

「オレも探してるとこだ…つか、何時間ここ歩いてるかもわかんねーし…」

流石に疲れたというか、人と出会えたということが逆に気を抜かせてしまったというか…
集中が切れたせいか、どっと疲れた。
一旦休憩したいとすら思えるくらいに。

サンザシ > 「いやまったく。最初からこのような場所と知れているなら相応の準備をしたんですがね。
あたしとした事がここ最近はどうもうっかりが多く…………?」

諸々の事情を話していると何やら目の前の御仁が訝しんでいるような、そんな気配を感じもし
はて何故に?と黒子頭巾が傾いだ所で、ああそうかと手槌がぽんと鳴りましょう。

「あら、それは重畳。善哉善哉。こういったものをきっと合縁奇縁とでも云うのでしょう。
そして遅れまして、このような状況で顔を隠すのも非礼になりましょうや。
ついでに名乗るなら、あたしはサンザシと申します。いやなに、どうせ薬師に会えば晒す顔です。
同族ならばマケちゃくれまいか。なんて考えておりまして」

鳴ったら後は黒子頭巾をするりと脱いで、獣の耳に瞳に歯列。隠すことなく晒して挨拶等を一つ。
それが済んだら、顎に手指をやりまして、さも悩んでいますと云う所作で。

「それは随分と迷われているようで……しかし、迷い人二人となると困りましたね。
呼びかけに答えてくれる気配も無いですし、扉があったと思えば先が壁だったりもしますし」

苦笑し、何となく近くの扉に手をかけると扉はすんなり空きまして、けれども先に路は無く、
眼下に暗がりと梯子があるばかり。

「……梯子があったりもしましたね。えー、降りてみます?」

耳を澄ましても聞こえるのは不可思議な音ばかり。風の音と人の声が混ざったかのような、そういった類。

ブレイド > 「まったくだ…つーか、備えがあったとしてもどうなってたか。
下手な洞窟なんかよりも質がわりぃ…。つか、ミレーか。
まぁ、こんなとこで隠しても意味はねぇわな。」

こちらの訝しむ様子を感じ取ったのか、頭巾を外せば見える耳と顔。
見える耳は自身と同じ黒い獣の耳。
銀色の瞳はこちらとは対照的。
妙に調子の良い語りで名前まだ一息で語ってしまうあたり
話し好きなのか、ただのおしゃべりなのか…。

「そういう意図はねーが、そこんところも同じだな。
ご覧の通り同族ってやつだ。名前はブレイド。冒険者…あんたもそうだってなら
迷子のミレーの冒険者二人ってことになるな」

こちらも習ってフードを外せば、彼女と似たような髪色と耳。
瞳は金色、琥珀色ではあるが、妙に似た雰囲気を感じてしまう。
さて、かと言って迷子であることには変わらない。

罠がある危険はあまりないのだが、やはり迷ったままというのも困り物で…
などと考えていれば、よく喋る方のミレー。サンザシがなにか見つけたようで。

「…はしご、ねぇ…。まぁ、目指すも同じってなら、一緒に行くのがいいだろ
降りてみようぜ?まさか地下とかあるってわけじゃねぇよな…?」

変な音が風に乗って聞こえてくるが、立ち止まってなんとかなるわけでもない。
先行してはしごを降りることにした。

サンザシ > 「なぁんだ、其方もお仲間でしたか。これはこれは瞳の綺麗な旦那でいらっしゃる。
そしてあたしも御推察の通り一応は冒険者のハシクレでして、仲良く迷子って奴ですね」

お揃いの髪色に同じ系統の獣耳。目線が其方に一時向いて、次にはあたしと違う色合いの眼を見て此方が数度瞬く。

「そうですね。折角ですから同道と相成りまして、なに迷宮のようと言っても遺跡の中でもあるまいに、
壁に手を付いて鉄杭が出てくる筈もありますまい──」

同族同士仲良く迷子。何だか親近感を覚えもし、先程までとは打って変った心持で、梯子を先行して降りるブレイドさんに続きました。

「────おや」

続きましたら、梯子の様子が何やらおかしくばきばきめきりと、今にもボロ屋が崩れ落ちそうな、そういった音がしてくる訳でして。

「あ、これは良くない。ブレイドさん、これは急がないと崩れる奴ですね!この梯子、二人分の体重は支えられないみたいです!」

当然そうなるならあたしは彼を急かしもするのですが、果たして彼が梯子を下り終えるか、
梯子が限界を迎えてあたしが彼を下敷きにしてしまうかは、目の前の木目の模様のように判らないし、解らない。

ブレイド > 「そいつァあんたのほうだろうよ。銀ってのは高貴な色らしいぜ?」

世辞でもなんでも、褒められると妙に照れくさい。
サンザシに言葉を返しつつ、ひらりと手を振る。
冒険者とは言うものの、彼女の服や先の頭巾を見れば、スカウトやレンジャー技能に長けていそうな…
少なくとも、自分と同じ軽戦士タイプ…といったところか。

「遺跡だってなら宝もあっただろうに、こんなとこじゃガラクタがいいとこ…
って、どうした?なんか、へんな…」

軽口を交わしつつ降りる梯子。
結構な長さのそれであったが、彼女の声に続くように異音が響く。
なるほど、やばそうだ。

「チッ…!安普請も大概にしろっての!」

床は…まだ少し遠いか。
飛び降りて無傷で居られるかどうか微妙なライン。

「くそがっ!冗談じゃ・・・」

言い終わるか言い終わらないか、梯子は落ち、響く金属音と体に落ちる衝撃。

サンザシ > 考えてみれば、素人が増改築を繰り返した不可思議建築なんて代物が、負荷体重なんてものを考えて造られている訳も無いんです。
いやあ、これは一つタメになった。次があったら気を付けよう。
そうそう、そういえば昔々、ご主人様の所に居た時にも似たような出来事が──あ、これ走馬燈って奴だ。

「ある意味これが罠みたいなものでうゎおー!」

そう思った時にはあたしの身体は無重力、けれども手にしたままの崩れた梯子は程良く壁に引っかかりて落ち切らず、
がらりがりがり異音を奏でて落下の勢いを殺してくれる。
そんなもんですから、悪態を吐くブレイドさんとは裏腹に、あたしは早合点した記憶の駿馬を追い払うんです。

「──おう"っふ!」

追い払っていたら、思いっきりブレイドさんの上に着地をしてしまって、蛙が潰れたような声が肺腑からでろりと転がり出でて、
そのままごろごろと暗がりに消えて行きました。

「あいたたた……いやこれは失礼を……梯子、大半が通路に引っかかってくれたようでして、
いやはや良かった。腐っても金属、刺さったり等したら大事で──」

そんな声を見届けてから、漸く自分の居る場所に気付いて表を上げるとブレイドさんの御顔が鼻先が触れそうな程に近い。
彼が謙遜する綺麗な色の瞳が暗がりの中でもそれはそれは良く視得る程でした。

「………いやいや。やっぱり金色のほうが良いと思うんですけどねえ。金運が上がりそうですし……って」

そんなところで
そう、
まったくもって、そんな所で漸く漸く、顔が近い事に気付いてあたしは慌てて飛びのいて、壁を蹴って三角跳びの要領で通路に飛び出し、
徐に黒子頭巾を再装備しました。

「いやははは、これはこれは重ねて失礼を!……お怪我、ございませんか?」

声が左右に揺れに揺れ揺れ大迷子。首も右に左にがったんがったん傾いて、宛ら壊れた絡繰細工のようにも映りましょうか。

ブレイド > 「ぐはっ!?」

衝撃。
当然背中に。
これはいい、想定の範囲内。とっさの受け身もそれなりにできた気はするのだが…
少し遅れてきた衝撃。
今度は正面。腹の上。
流石にこれはいけない。少女一人とはいえ、高所から全体重を乗っけられたら
平気の平左とは行かない。体格は一回り小さい程度なのだから…羽が落ちてきたわけではないのだから…

「うご…おおぉぉ……お…怪我、ない…か?」

思わず悶絶。
だが、体は動かない。
むしろどうなってんだ今。
確かに、梯子が上から落ちてこなかっただけでもありがたいのだが……
目を開ければ、銀色の輝き。
ふわりと少女の匂い。
とてもちかい。

「うぉっ!?あー、えー…金運って…あーいつつ…」

ここどこだ?
少し頬を赤らめつつも、彼女が飛び退けばゆっくりと身を起こす。
骨は無事のようだが…どこだろう、ここは。もうどうなってるのか訳がわからない。

サンザシ > 「急に退いて失礼を。あ、いや退かないのも失礼なのですが、まるで嫌がるような退き方をしてしまいまして。
いや何もあたしも何も殿方に免疫が無いだとか、そういうおぼこい訳じゃあないんですがそれはそれ、これはこれと云いましてー……
えー、あー……不調法な事で申し訳ない。あたしが見つけた路なのだからあたしが先導するべきでございましたね……」

殿方がダメな訳でも勿論ブレイドさんがダメな訳でも無い。
ダメなのは我が身。彼方此方歩き回った状態で、ぴたりと身体が寄せ合おうものなら、それは色々気にもなると申しまして
──けものくさいだとか、おもわれると、とてもつらいのです。

「だ、大丈夫ですか?骨は、怪我は……」

でも、それこそそれはそれ、これはこれと云うもの。
顔を歪めて立ち上がる彼に、幸い背丈が近い事もありあたしは肩を貸す形になりましょう。
二人三脚もかくや、と云う状況になり、木と石で歪に組み上げられた薄暗い路。如何な道理か天井に明滅する明りを見上げた所で

「……あ」

その先に、如何にも薬屋でござい、と言わんばかりの奇怪な絵看板を見つけるのです。

「ブレイドさん。あれ、あれじゃないですかね薬屋さん!いやあよかった、きっと打ち身に効く薬とかも商っておりますよ!
お代は勿論あたしが持ちますとも。……あ、そういう意味では金運、やっぱり良いって言えるかも?」

人の唸り声と風の音。それらに混じる異臭の中に僅かに香る薬の匂い。あたしは看板を指さし、意気軒昂と歩みださんとするのでした。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からサンザシさんが去りました。
ブレイド > 「あー…げふ…いって…、ちくしょ…。そりゃいいよ、気にしてねぇ。
むしろ、あって間もねぇ男とあんな距離なんてな嫌なもんだろ。
わりぃな。体は大丈夫だし…いこうぜ?」

言い繕う彼女に気にするなと声をかけ、立ち上がる。
確かに痛みはあるが、内臓が潰れたわけでもない。
立って歩ける。
彼女の香りは獣のものではなく、しっかり少女らしいものであったためか
少しばかり意識してしまったが、それはそれとして。

「……辺鄙なとこにあったもんだな。
まさに怪我の功名ってやつか?文句の一つでも言ってやらねぇとおさまらねぇな…」

周囲を見回しつつも、何かを見つけた彼女。
サンザシの示す先には看板…おそらく、あれか。
まさか、地下?にあるとはおもわなかった。
ここが地下かも怪しいが。

「金運ね…悪運の間違いじゃねぇか?」

彼女の後を追う。その歩みはフラフラと頼りないものだったという。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にリタさんが現れました。
リタ > ここは貧民区に存在するバー、名前はマスカレード。カウンター席は6、テーブル席は1という、大層こぢんまりとした店だ。
料理の味はそこそこ、酒の質もそこそこ、お勧めはチリコンカン、ポテトサラダと一般大衆向け。

夜も深まれば自ずと人も減り、店も静かに灯りを消し、明日を待つ。そんな時間。

「――ありがとうございました。変なトコで寝ちゃ駄目だよ?死ぬよ?」

店員もまた、最後の客を送り出す。軽い口調なのは恐らくその客が常連だったのだろう。
冗談を紡ぐ店員の口は楽しそうに笑っていた。

扉が閉まり、店に静寂が訪れれば売れ残った料理に目がいく。
この頃妙に、シェンヤンの客が増えていた。
だから辛い料理を、と思って用意したのが、あまり売れ行きは芳しくない。

「辛いだけじゃダメなんだろうねー。はぁ、これ、どうするかな…」

結構余ったチリコンカンが鍋の中から刺激的な香りを発していた。
普段ならその香りは、食欲を誘う甘美な香りなのだろうが…
きちんと食えよ?と脅している様にも感じてしまう店員。

「…食べてくれる人、募集。一皿3ゴルド…2でいいや。うん。」

そんな独り言を落としながら、鍋の中のそれを掻き混ぜ、香りを表通りへと流していった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にラファルさんが現れました。
ラファル > そんな、バー、マスカレードの入口で、小さな女の子がお店の中を覗き込んでいる。
 その腕には、少女の体には大きな包みを抱えているようであった。
 ただ、その包みよりも、少女は、金色の視線が雄弁に物語るように、あるものを見ていた。

 ――――チリコンカンがたっぷりと入っている鍋。

 きらきらきらきら、と金色の目がそれこそ光を放つぐらいの輝きでその鍋を見ているのだ。
 口の箸からはじゅるり、と唾液がたれている。
 美味しそうな匂いにつられたのか、くんくん、くんくん、と鼻がひくついて匂いを嗅いでいる。

 そんな幼女は、このへんでは見かけない少女であった。
 その服装からすれば、娼館の娼婦か、と言われても仕方のない格好である。
 胸を隠すだけのベルトだけの上半身。
 そして、小さなお尻を隠すだけのホットパンツ。
 あと靴。
 腰に申し訳程度に、ナイフと、短刀を護身用具であろうか、刺しているだけ、なのであった。

 じー。
 幼女は、美味しそうな鍋を見つめている。