2019/04/10 のログ
> 「あっ痛った」

 ぷに。こぶというより皮というか普通の肉で筋肉が女性のそれだった。こぶが無いのにこぶアピールするものだから痛い目を見るのだ。
 実戦では見た目にそぐわぬ剛の拳を使うとは思えぬ柔らかさであろうか。

「あ、もうちょっと、いる? ん、わかった。
 薬はね、すごいんだよ! 九頭龍山脈で取れる光る薬草があるんだけど! それを……あー、ごめんね時間取らせちゃって。
 ほかのものは出せないけど、お茶くらいなら……私が作ったんだ、これ」

 危うく薬に関する話題でまた怒涛の早口を披露しかけたが、かろうじて踏みとどまった。
 相手が玄関にいくだろうと踏み、先に玄関に歩いていく。

「なんかありがとう。あとごめんね。だーれもこないから扉勢いよくあけちゃって」

 今度はゆっくりあけるからと続けた。

ブレイド > 「肉あんまねぇじゃねぇか…やわらけーし…
全部胸に行っちまってんのかよ」

ケラケラと笑いながらも手を離し、冗談めかして。
彼女の実力の程はしらない。自分も叶わぬほどの剛拳の持ち主であったとしても
いままでの会話やふれあいでそれに気づくことなどできるはずもない。

「んお、はは…まぁ、帰っても暇だしな。
話し相手になってくれるならありがてーけど…むしろ邪魔になんねーかなってよ。
ま、オレも不注意だったし気にすんなって。あと、九頭龍の方なら依頼でオレもよく行くし
薬草がたりねーとか、そういう事になったらこちらこそご贔屓にしてくれりゃありがてぇな」

玄関へ行ったり来たりを続けていた彼女だが、歩む方向を決めたのか
玄関へと向かっていった。

「にしても、手作りか。シェンヤンのお茶ってのはこんな感じなのかね…
せっかくだから、もういっぱいもらってもいいか?」

玄関に向かった彼女だが、せっかく出会えた善人…好人物だ。
この街において、こういう人物と話せる機会は得難いもので、つい名残惜しくなってしまう。

>  かなり失礼なことを言われたが、特に嫌な顔はしなかった。
 ころっと騙される性質の彼女だが流石に冗談や軽言の類くらいはわかるのだ。

「じゃ、邪魔なんて! 邪魔じゃないよ。そ、そうなんだ、いいよね九頭龍山脈……いい草とか、お花があって……。
 そうだね、あのへん、ちょっと魔物とか多いから……お世話になるかも……」

 玄関で送ったほうがいいのか。そもそも、まだ送るべきではないのか。
 うろうろとしていたのはそこが見極められなかったからだ。何せ来訪客なんて久々だったからだ。

「そうなの。えっと、えっとね、飲める草を摘んできて干して発酵させて……シェンヤンのとはちょっと葉が違うけど、製法は同じで……。
 ……うん、いいよ! あ、そ、そうだ。シェンヤンのじゃないけど、製法が違うお茶がね……」

 もう一杯と言われてうれしくなったか、女は口元をにへらと緩めながら玄関から戻ってきた。
 そうして、一杯のはずが二杯も三杯も飲まされるか――あるいは、そうではなく終わったか。
 貧民地区らしからぬ和やかな邂逅だったとか。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区『薬屋“洛水”』」からさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区『薬屋“洛水”』」からブレイドさんが去りました。