2019/03/30 のログ
アイル > 女ながら、乙女心に疎い朴念仁。
普段、男連中と顔を合わせることが多いからなのか。
揶揄われたことに気づくと、ふっ、と小さく吹き出す。

「成る程。それはそうね。……マスターには悪いけど、これはティエラだけに、ということで」

内緒話をするように顔を寄せて囁く。
そんなことをしなくても、マスターは男客の相手に忙殺されて聞こえている筈もないのだが。
お酒を煽ると、グラスの中は空になってしまった。

「……それにしても、踊り子を私が独占しちゃってて良いのかな、って気分になるわね。
さっきの踊りを見た後だとなおさら」

ティエラ > 「毎度、ありがと。」

 自分だけに、と身を寄せて言葉を放つ彼女に対して女は、にっこり笑って見せるのだった。
 ちょっと悪い顔かもしれないがそれはまあ、仕方のないことであろう。

「ふふ、私の方からそう望んできたのだけれど。
 そうね、自信がないなら……やめといたほうがいいわ。」

 知り合いだったからというのもあるが、別に独り占めされてもいいから来てるのである。
 彼女の言葉に、それは残念、と軽く笑って立ち上がろう。

「さて、お腹もいっぱいになったから、そろそろ行くわ?
 またね?」

 お酒とおつまみ、堪能したわ、と笑いながら、女は代金をおいて、入口の方へ。

アイル > 理由が理由ゆえに、悪い顔になってしまうのも仕方がない。
好意なのだし、マスターも許してくれるだろう。きっと。

「……そう言ってくれるのは嬉しいけどね。でも、今はやめとくわ。
私なんかが手を出したら、火傷しそうだもの」

こういうことに疎いから尚更。
思えば以前も、結局手を出すことはなく別れてそのまま、という風だったなと思い出す。
立ち上がり、代金を置いて踵を返す姿を見…

「気をつけてね」

それしか言葉をかけられず、座ったまま見送った。

ティエラ > 「―――――。」

 彼女の言葉に、葡萄の瞳は女騎士のことを見て、しかしその唇は開かれなかった。
 ひらり、と手を振って、そのまま店の外に出て。
 女は闇の中に溶け込むように消えていくのだ。

 その女が、次の店に行くのか、それともねぐらに戻るのか。
 それを知る者は―――居ない。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区の安酒場」からティエラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区の安酒場」からアイルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」にカインさんが現れました。
カイン > 騒々しい声の響く貧民地区の酒場のカウンターに一人陣取って、
エールのジョッキを煽る男の姿があった。

「ん、酒の美味い季節にようやくなってきたな。
 いつもこれくらいの過ごし安さだったらいいんだがなあ。
 寒い熱いの時期は用心棒稼業やら傭兵稼業やらには面倒だからなあ」

人目をはばかる事無く愚痴りながらも、ジョッキをカウンターに置き、
店主に次の酒を注文する迷惑な客であった。
団体客が多い酒場の中にあって個人客の利用が主なカウンター席は、
騒々しい店内の中でも人気の少ない空間になっている。
それもあってか、あるいはいつもの事なのか周りの客も店主も大した反応はしてこない。

カイン > 「衣装をどうにかするだけでは限界もあるしな。
 寒いぶんは酒でなんとかごまかせるんだが暑いのはそうもいかない」

世の中自由自在に温度を操って自分の過ごしやすい環境を作り出す輩などもいると聞く。
残念ながらそんな小器用な真似は自分自身には到底できそうにないのだが。
その代わりにと渡されたエールを手に取り軽く煽れば体の冷えていく感覚に人心地つき、
酒場の中を見回すと遅くまで飲んで潰れている者、一人で静かに飲むものなど客の様子は様々。
時折新しい客も訪れる様子に皆元気な物だと肩を揺らす。