2018/12/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にカイサーさんが現れました。
カイサー > 貧民街の外れにある朽ち果てた教会。ステンドグラスもひび割れ、椅子も壊れて荒れ果てた聖堂内の中央を月明かりが冷たく射しこみ壊れた十字架を照らしている。十字架の前に静かに跪き、静かに祈りを捧げている聖騎士がいた。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にジェイコブさんが現れました。
ジェイコブ > パトロールでもなければ、立ち寄ることの少ない貧民街を歩くと、普段の衛兵の装いでないために妙な話を持ってくる手合いも多く。
それらを丁重に断りながら、人の少ない方へと歩いていくと、目に入ったのは朽ちた聖堂だった。
そして微かだが、人の気配を感じて、扉を開けて入っていく。

「誰かいるのか?」

いくら朽ちているとはいえ、聖堂によからぬ輩がたむろしていては王国の名折れと、非番にもかかわらず騎士の義務感が仕事をしようとする。
恐る恐る入っていきながら、ふと見えた人影に声をかけていった。

カイサー > 月光に包まれながら静かに祈りを捧げていると、不意に背後から人の気配を感じそれまで閉じていた瞼がぱちりと開く。扉が開くと同時に音も無く立ち上がり、月光の中入ってくる者の姿を見極めようと。
暗闇の中に射しこむ月光の明かりは扉の場所までは届かず、入ってきた者の容姿までは判別がつかない。
しかし聞き覚えのある声に、じっと視線をこらして。


「…祈りに来たのであればこの場は譲ろう」


相手の気配から敵意の様なものは感じず、一瞬張り詰めた気配を緩ませて。

ジェイコブ > 聖堂には月明かりが差し込んでおり、目を凝らせば中の人影は一人だとわかる。
最も隠れている可能性は捨てきれないものの、護身の剣を抜いたりはせずにゆっくりと建物の中を進む。

「祈り?いや、俺は見回りみたいなもんだ。この辺りは治安もよくないし、祈りたいならもっと別のところに…」

不意に人影が声を発すると面食らいながらも、敵意がないことを伝えてさらに近づいていく。
まさかならず者が祈るようなことをするはずがないと、親切心のつもりでやや説教めいた台詞を投げかける途中で、月明かりが互いの顔を照らした。

「やぁ、その、奇遇だな。こういうところに出入りはしないと思っていた」

その相手が誰かわかると、また別の意味で面食らう。
とはいえ、警戒するべき相手出ないことは確かなため、緊張をほぐして話しかけていく。

カイサー > 見回りなる言葉に騎士団やそれに倣う者なのだろう。わざわざ注意をしに声をかけにくる男に人の好さを感じていたが、月明かりが男の顔を照らせば至極納得してしまう。
思いがけない場所での再会にわずかに瞠目しながらも、男の言葉に軽く首をかしげて。

「私は聖騎士だ。教会で祈りを捧げるのは当然だろう。この教会は定期的に見回りをしているのだが…君はこの時間まで仕事だったのか?」

ジェイコブ > 月明かりに照らされる相手は、身分としては聖騎士であり、自分よりも上位の相手である。
しかし今更改まった態度で話すのも他人行儀なように思えて、砕けた口調になっていく。

「それはそうだが、定期的にだったのか。ああ、俺はもう仕事上がりだが、君はまだ見回りか?済んだら少し付き合ってもらえないだろうか?」

他に聖堂や教会はいくらでもあるが、何か思い入れあってのことかと自分なりに納得していき。
既に衛兵の装いではない恰好で、首を傾げる相手の言葉に頷いて、さりげなく相手を連れだす誘いをかけてみて。

カイサー > 「私もこの場所で今日は最後だ。構わないが…どうした、何か相談事か?」

全く相手の男には疑いなど微塵も思わず、無防備に男に歩み寄って。

ジェイコブ > 「それはよかった。いや、この辺りに君を置いていくのが不安でね」

信頼を寄せられている故か、全くの無防備な様子で歩み寄る相手には、少し心配になって苦笑いをする。
そして周囲の荒れた様子を眺めて、率直に言いながら手を差し出していき。

「時間も遅いし、泊まれるところまで送ろうか。それ程上等じゃないが酒や料理も出る」

そう言いながら、相手の腕ではなく肩に手を回して抱き寄せてみようとする。
そうして親切心のような口ぶりながら、言外に含んだ言い方で相手に首を傾げて問うていった。

カイサー > 男の言葉は親切心からだというのは理解しているものの、普段からの可愛げのなさと、部下の位置にあるこの男と比べて己の騎士としての力量が下であるという事のつまらないプライドが相まってしまい、思わず子供みたいにツンとした表情を浮かべてしまい。


「確かに君と比べて力は劣るやもしれんが、そうむざむざと簡単に負けたりなどはしない…つもりだ」


男に悪気があっての言葉ではないと分かっているがゆえに、語尾が小さくポツリと付け足されて。
しかしながら自分がまだ騎士としての力が足りないということはこの男に助けられた事実からも身にしみて理解はしており、大人なしく男に肩を抱かれたままこくりとうなずく。
言外に含まれた色に、目元がふんわりと紅く染まるのを軽く咳払いをして誤魔化そうと足掻いてみせるが、目敏いこの男がだまされてくれるかどうか。

ジェイコブ > 「聖騎士様の腕前を侮っているわけじゃないさ。ただ君が危険に晒されることが心配なんだ」

意地っ張りな態度で言い返す相手には、肩をすくめて嘆息する。
そして、言葉を和らげて騎士としてではなく個人としての言葉を返すのだった。
抱き寄せる相手が咳払いをする様子には、敢えて追及することなく、聖堂の扉を開けていき。
そうして相手を連れ立って、夜の街へ進んでいこうとするだろう。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からジェイコブさんが去りました。
カイサー > 「……私は可愛い小娘ではないのだぞ、君が心配するようなことは…」

と相変わらずもごもごと可愛くないことを返しながら男に促され教会を後にして。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からカイサーさんが去りました。