2018/11/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/古道具屋」にシルヴァさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/古道具屋」からアイディールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/古道具屋」からシルヴァさんが去りました。
ご案内:「」にシルヴァさんが現れました。
ご案内:「」にシルヴァさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/繁華街」にカインさんが現れました。
カイン > 昼間だと言うのに活気に満ちた貧民地区の一角。
娼館や露店の立ち並ぶ一角の路地裏の壁に寄りかかり娼館の前を行き交う人々と、
その人々への呼び込みを行う娼婦たちの様子を眺めている男の姿があった。

「今日は引っかかる割合が多い事多い事。忙しさで色々溜まってた連中が多いのかねえ」

呆れたように漏らしてまた一人娼婦に連れられ娼館に入っていく人影を見て肩を竦める。
男の仕事はその路上に立つ娼婦たちの護衛、早い話が用心棒だった。
とはいえ今のところ特に仲介に入る様な事態が起きるでもなく、
退屈な時間が過ぎるまま残った女性たちも最早片手で数えるほど。
はっきり言って手持無沙汰気味でぼんやり人波を眺めている。

カイン > 「用心棒が必要になるような事態なんてないに越したことはないんだけどな。
 出張るとそれだけ恨みを買うのも難儀なもんだ」

トラブルの解決といえば聞こえはいいが、
凡そその対処は腕力によるものになる。
となると当然、恨みを買う事もままあるのがこの稼業。
道行く人々の中でも時折男に気が付く者が居る物の、
その中でも反応するのは大体が一悶着あった相手である。
丁度視線が合った大男が苦々し気に睨みつけてくるのを手を振って追い払うようにして応じ、
そのまま去っていく後姿を見送って肩をすくめ。

「ま、そういうやつらがいるから俺の商売は成り立ってるんだから仕方ないが」

ご案内:「王都マグメール 平民地区/繁華街」にナルさんが現れました。
ナル > 「それが貴方の存在意義(レゾンデートル)?」

不意に、儚く透き通った声が投げ掛けられた。
路地の暗がりからぺたぺたと裸足で歩く音が聞こえる。
次第に露になるその姿は一目で自然の摂理を脅かす禁忌の存在であると伺えるだろう。

「なにもしないから警戒しなくて良い。ただ少し見ていたい。街の営みとその中で生きる貴方を。」

それが、奇妙な少女とのファーストコンタクトであった。

カイン > 「……。うん?」

本当に不意打ちだった。
最初は、その言葉が自分に向けられたものとは思わずにスルーしかけたが、
なんとなしに周囲に気を配ってみれば自分以外に気配はない。
となればやはり自分に向けられたものかと視線を向けてみると、
奇妙な風体の多い場所の中でも一際珍妙な風体の相手が見て取れた。

「そりゃあ、俺は仕事でこうしてるわけだからな。
 お前さんの好きにすればいい、騒動を起こすなら俺はおまえさんを止めなきゃならんが」

そうでないなら邪魔をする道理はないと笑い飛ばし。

ナル > 「そう、なら此処に居る。」

マントから垂れ下がるフードを目深目に被って暗がりから出た少女は笑う男の隣にちょこんとしゃがみこんだ。

特に何をするでもなく。時折その紅き瞳で見上げては物憂げな表情で周囲を眺めている。
そんな中で、両の耳と触角だけはフード越しに忙しなく動いている様が見てとれた。

カイン > 「ああ、好きにすると良い。…しかし見るものなら他にいくらでもあるだろうに、
 何でこんな繁華街なんかを?興味がある男でもいるのかね」

春を売り買いする場所に好んできた様子の相手に、
興味を惹かれた様子で軽い調子で問いかける世間話。
横目ない手を見れば人間ではなさそうである。
さりとてミレー族というわけでもない風。
首をひねりつつも、流れ行く街の様子西線を向け直し。

ナル > 「人の営みは興味深い。造られた私には戦場以外の居場所がないの。けれども私が居るべき戦場はもう無くなってしまった。人とはかけ離れて、だからと言って魔にも染まりきらない中途半端な化物。だから人を見てる、私の価値を。存在する理由を探すために。」

とはいえわざわざ情事の場を彷徨くことも無いだろう、自身を【化物】と言った彼女はやはりどこか浮世離れしていることが分かるだろう。

時折道行く酔っ払いやチンピラの類いが彼女の蠱惑的な紅の瞳を物珍しそうな目で見ているが彼女が気にも止めていないことを理解すると足早に去っていった。

「そう言う貴方は何故人の世に紛れているの?【魔族】のおにーさん」

周りに聞かれぬよう小声で、しかしはっきりとそう言った彼女のは猫のように身体を伸ばした後音もなく立ち上がった。

カイン > 「居場所なあ。ははあ、ホムンクルスの類かい?
 自由に動いてるところを見ると事情有りかもしれんが」

相手の言葉を聞けばキョトンとした表情が浮かぶ。
しかしながら、直後の言葉にはクックと喉を鳴らし。

「それで見るのがこの辺りってのはあんまり情操教育によろしくないな。
 どうせなら、平民地区の方ででも散歩してくりゃ良いものを」

刺激は少ないだろうがそちらのほうが見やすかろうと笑いながらも、
自分の正体を看破するように声をかけてくる様子に顎に手を当て。

「あん?なぜってそりゃあ、ソッチのほうが楽しい辛さ。
 魔族の国ってのは色々と面倒な上にあまり面白みのないところでな、
 こっちで馬鹿騒ぎしてるほうが俺の性には合ってるんでね」

なぜかと問われれば臆面もなく言い返す。
あまり驚いた風がないのは、やはりこの地区ならではなのだろう。
そう珍しい話でもないのだから。

ナル > 「ホムンクルス?人造人間ではない、かな。私は合成獣キメラ、生きてる人間に獣とか魔物とかを無理矢理ぐちゃぐちゃに混ぜ合わせたもの。人間としての命とか魂はその時に死んでるみたいで私の記憶には無いけど。事情ってほど大層なものはないよ。戦が終わって、管理する者もその時使えてた主も居なくなって、捨てられた。只それだけ。」

それについては特になんとも思っていないと話す彼女は更に続けた。

「もともと私は【兵器】【便器】として造られたからこういう場所の方が落ち着く。娼婦なんて上品なものじゃなかったけど。」

そして魔族と言い当てたことにたいしさしたる反応も見せずに話す様子に少しの驚きと興味を見せて話を聞いていた。

「魔族はもっと短絡的で本能的な物だと思ってたけど色々と複雑なのね。私は人も魔族も魔物も沢山殺したから匂いでわかる。」

話を聞き、反応して、自分のことを話す。
少しずつ、空気に溶かすように。

カイン > 「おや、案外あっさりと自分の正体をバラすんだな?」

相手の言葉にキョトンとした表情を浮かべて笑いながら言い返す。
そう名乗られれば男の側としても何ということもなく、軽く肩を揺らして応じ。

「そりゃまた難儀な出自だな。
 ただ、今此処に後しているってことは別にそうする必要がなくなったんだろ?
 何がやりたいのかってのは思いつかんのかい」

だから此処でわざわざ人間見物なんてものをしてるのかもしれないが、
とは内心思いつつも興が乗ったといった体で相手の方に向き直る。
自分の判別方についてはゾッとしないものが合ったのだが。

「それははまた、今までにない方法で嗅ぎ分けられたもんだ。
 勿論個体差はあるさ。俺の場合は、そうだな。
 ちょっとやってみたいことが見つかったから、此処にいる。
 …やりたいことってのを自覚したら自然と道ってのは勝手に見えてくるもんさ」

ナル > 「やりたいことかー。まずは【感情】をちゃんと知りたい、のかな?私を産み出した奴等は『お前にそんなものは必要ない』とか言って私の感情を奪っていった。残ってるのは敵を殺すための【憎悪】とか、仕える為の【忠誠心】とか。」

ぽつぽつと言葉を紡ぐ彼女は突然はっと目を見開いた。

「そっか、私は【感情】が欲しかったのか。」

口に出して見るまで気付くことの無かった【望み】
初めから持っていながら見えていなかった【願い】

それは大切な宝物になって少女の内に染み渡っていく。
不意に吹いた風が彼女のフードを捲り上げていく。
その顔には笑みが浮かんでいた。
抱くその感情が【嬉しい】であることなど知らない彼女が無意識の内に浮かべた笑み、それはすぐに消えてしまうだろうが。

【停滞】していた彼女の時がゆっくりと動き出した合図だったのだろう。

「まだよく分からないけど。【やりたいこと】やってみる。」

カイン > 「感情、な。…ちゃんと知るってのはまた難易度が高いんじゃないか?
 感情なんて人間だろうが魔族だろうが、しっかり自分のものとして認識できるやつは多くないさ。
 世の中感情を色として見れるやつってのもいるらしいがな」

変な魔法も合ったもんだと喉を鳴らして言い返し、
顎に手を当てながら片目をつむって相手に視線を向け。

「なるほど。じゃあ、一つだけアドバイスだ。一番簡単なのはやっぱり町中で生きることだと思うぜ?。
 嫌なことのほうが余程多いが、感情を自覚する機会には事欠かん。
 その中でやりたいと思ったことがあったら、ためらわずに手を出してみると良い」

そう悪いことにはならんさと笑ってみせる。

ナル > 「街で?わかった。できるだけ頑張ってみる。」

本人は全く自覚してはいないだろう【頑張ってみる】等と言う曖昧な表現が既に【自我・感情】の芽生えだと言うことに。
ピコピコと揺れる耳や触角を見るに彼女が常人と遜色無い【感情】を取り戻すことはそう遠い話では無いだろう、と推測出来る程度には。

「ありがと、魔族のおにーさん。私の生きる意味、見付けられるかも。」

不安を知らぬままに抱く不安
期待を知らぬままに抱く期待

そのどれもが複雑で不可思議な世界を生きる為に欠かせないもの、齢22にして初めて彼女は自分自身の為に生きると言う【最初の目的】を手に入れたのだった。

カイン > 「ああ、頑張ってみな。礼を言われるようなことは何もしてないがな」

ハッハッハと笑い飛ばして言い返しながら、肩を揺らして言い返す。
男にしてみれば仕事中の暇つぶし程度の会話でしか無い。
だからこそ気軽に話せるという側面は間違いなくなるのだが。

「それで、まだ暫く此処で見物を続けるのかい?」

ナル > 「うん、特に今はいく宛もないし。でも、あーゆーのを見ると少しおなかがすく。」

少女の視線の先には一組の男女、関係性は分からないが二人の入っていく建物を見ると目的は一目瞭然だろう、つまり【そういうこと】なのだろう。

「そう言えば昨日から食べてない。」

特に何がとは言わないが彼女は物欲しそうに腹をさすった。
【食糧】にしても金銭も獲物も居ない
【精】にしても相手が居ない
そうこうしている内にきゅるきゅると可愛らしい腹の虫の鳴き声が聞こえるだろう。

カイン > 「……なるほど。
 ま、そろそろ俺の方も仕事が終わるみたいだからな、
 腹ごしらえに行くつもりだがお前さんも来るか?」

少し考える仕草をした後に聞こえてきた音に思わず吹き出して、
問いかけながら顎に手を当ててみせる。
何とも興味深い相手であると目を細め。

ナル > 「うん、行く。」

ふらふらと此処に行き着いた彼女にしてみれば地理もさっぱりなのでありがたく彼の提案に乗る事にした。

腹が減ったら野山で獣を狩るか自らの身体を餌に【ロクデナシ】共に襲われる様に仕向けていた彼女としては人間ベースの食事なんて随分と久しいだろう。

カイン > 「それじゃあ、とりあえず肉でも食うか。
 酒はいけるか?」

いけないのにのませる気はないといいつつも、
連れだってその場をゆっくりと後にしていく。
その後にどのような会話を交わしたのかは二人のみが知ることになるだろう。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/繁華街」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/繁華街」からナルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/古美術商」にオプタティオさんが現れました。
オプタティオ > 貧民地区の路地にある古美術商。
こんな場所にある店が真っ当な店であるはずがない。
盗品や盗掘品、あるいは贋作などが主な品揃え。
けれどそれ故、時折びっくりするような逸品が並んでいることもある。

そんな品々の中に紛れるようにその絵は飾ってあった。
古びてはいるが、決して埃をかぶってはいない額縁に収まった油絵。
描かれているのはここではないどこか。今ではないいつかの風景。
灰色の山並みに葉のない木々が突き出している。
そして、そのどれもがどこか歪んで見える。そんな景色だった。
これをどこから――なんて聞いても年老いた店主は答えないだろう。
あるいは、答えられないのかもしれないけれども。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/古美術商」にオルナさんが現れました。
オルナ > 何の気まぐれか、立ち寄った処の無い場所にこそ求める物はありはしないだろうか。

などと考えて、普段立ち寄りもしない店の一角に、果たしてそれはあった。

「……、…?」

感じ取るのは魔力に似た何かしら。形の見えない、あるいは歪んだ力の一片。

何処かで見たようで何処にも存在しないような風景画の前に佇むまま。

「あの、……」

店主に問いかけようとすれば視線を反らされ、その疑問は投げる場所を見据えられない。

手にするには少し値は張るものの。届かないわけでもない金額。研究さえすれば

何かに使えるかもしれないと思案気にしている魔術師が居て――

オプタティオ > 魔術師の目にはどう映っただろう。
少なくとも、これを描いた画家には魔力はなかった。
けれど、その絵からは滴り落ちるような粘着質な魔力を感じるだろう。
此方に来いと手招いているような錯覚さえ、感じてしまうかも知れない風景。
それが、とろりと色合いを変えていく。
彼女が店主に向けて値段を交渉している間に起こる変化。

画面に描かれているのは、白肌に映える黒髪を持つ黒衣の女。
女にしか見えない。認識できない彼女の肖像画。
きっとそれは発狂している程に細部まで精緻に丁寧に描かれて
――けれど、どこか歪んでしまっている。

それに彼女が気付くかどうか。
店主が提示した金額はそれほど高くはないだろう。安くもないが。
昔狂った画家が…なんて能書きを垂れるかも知れない。
その知識がどこから来たのかも知らない侭に。

オルナ > 幾度かのやり取りの末に、設定された額よりはやや落ちた値で買い取りが出来てしまい。

養生の為に包まれる半紙、何かの違和感を感じ取りながらも頭の中では

滲むような違和感を突き止めることが優先されてしまって、工房でどんな手段を取って

解明しようかなんて思考が巡り――

「ん、……?」

軽い足取りで人気も無く、来客などあろうはずもない自身だけの魔術工房。

何処か埃と薬草の匂いがついたその空気に、半紙から露わになった絵画の違和感が混じり、

歪んだ絵面に意識が通じてしまう様。引き込まれる見入って時間さえ止まったような一瞬――。

オプタティオ > 今はまだ何も起こらない。
新たな持ち主の手に渡るまで、何かを起こすことはない。
半紙に包まれて、そして魔術工房へと運ばれていく絵画。

そこで、対面する女と、女。
どこか歪んで見える絵の中の女が、微かに笑った気がしただろう。
見入る視線――翠玉のそれが混じれば刹那。

―――ぬるり。

と絵の中から無数に伸びてくる手。黒く透き通るような手。
滑らかな指が女の頬を撫でよう。白い肌をゆっくりと撫でていく。
そして女にしては高い身長の身体に伸びていく無数の手。
それが、彼女を引き摺り込んでいく――絵画の中へ。
彼女のために作られた、彼女のためだけの世界の中へと――…。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/古美術商」からオプタティオさんが去りました。
オルナ > 「――、!」
一瞬だけぼうとしていた意識が戻るように、身を退けようとしても既に遅く。
自身と似た容貌の絵画、それ自体から伸びるモノ。性質の悪いモノであると知りながら
突然のことに詠唱も口をつかず、ぬるりと実在するかのような肌触り、
無数の手に絡め取られて、体の軸が底の無い沼、あるいは穴の中へと落ちていく様。
最後までつかえていた足先、片足からこつりと床に落ちた靴のみが存在を世に残す様で――

後に残されたのは絵画か、あるいは何者も、ナニモ無かったかのような空間であるのか。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/古美術商」からオルナさんが去りました。