2018/08/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にルビィさんが現れました。
■ルビィ > 神餐節の炊き出しを行っていた廃屋前から、少し離れた裏通り。
修道衣姿の女が一人、漂うような足取りで漫ろ歩いていた。
治安の悪さ、そして時節柄を考えれば、こんな時間の女の一人歩きなど、
無防備と言うよりも不気味とすら感じられるかも知れない。
―――――そう、勿論、女にはこんな時間に、こんな界隈をぶらつく理由があった。
「ふぅ、……ん、もぅ……も、少し、ケモノっぽい男が来るかと思ったのに、ねぇ」
白い右手を僅かに上気した頬へ宛がい、そっと溜め息。
普通の女ならば全力で忌避したい、けれど己には大歓迎の「楽しい」事態を期待して、
炊き出しの手伝いなどしていたのだが―――はっきり言って、今日は不発だった。
大人しい男ばかりだった為に、完全に当てが外れた格好の己としては、
最後の望みをかけての無謀な散策、なのであった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にグスタフさんが現れました。
■グスタフ > 不審な……この界隈にとってはその姿こそ不審だろう。女を見咎めて男は顎髭を撫でた。
こんな界隈を修道衣の女が歩いているともなれば見過ごすわけにもいくまい。
使命感なぞかけらもなく私欲のために舌なめずりをしながら、女の影に尾行をかけて。
行き止まり、袋小路に追い詰める形になって、その前へと進み出た。
「迷子かな、シスター。独りでは不用心だな保護しよう……」
招き入れるように腕を開きながら、聖騎士の証を見せつける。
その証は正真正銘の本物だが、彼女が信じるかはわからぬ。
■ルビィ > 迷い込んだのか、誘導されたのか、それとも、こちらが誘導したのか。
何れにしても、ここは袋小路、退路は既に断たれている。
振り仰いだ先に現れた男が身分のある者であることはこの薄闇でも知れたけれど、
だからと言って、男が女にとって―――この場合はごく一般的な女にとって、という意味で、
救世主であるとは限らない。
だが、なればこそ。
「私ごときのことで聖騎士様のお手を煩わせるなんて、
畏れ多いこと、出来ませんわ……?」
頬に片手を宛がったまま、かくりと小首を傾げてみせる。
言葉づかいも声の調子も、普段の己とは異なるものだが―――――
男が己に、義務感やら保護欲やらとは対極にある欲を抱いているのなら。
彼の鼻腔には甘く艶やかな芳香が、誘うように届いている筈だ。
―――――さて、この男はどう、出るか。
■グスタフ > 鼻を膨らませて息を吸い込むように、甘美な香りを鼻の奥に感じる。
いつも感じる焦げにくい感覚とは大違いだ。股間が疼いた。
「なるほど、そうか。ならば」
彼女に差し出した手を引っ込めないまま近付いて、
抱き寄せるように自らの腕の中に女を抱いた。
「浚っていこう」
臆面もなくそう言って、その身体を抱き上げ歩き出す。
■ルビィ > 「―――――きゃ……!」
男が飽くまでも聖騎士として振る舞うのなら、
こちらから手を伸ばすことも考えぬでもなかった。
けれど、男の出した答えが「そちら」ならば―――――
それはそれで、己には願っても無いこと。
怯えた振りで身を硬く縮こまらせてはみたが、男の存在を間近に感じて、
もう、身体の奥は火照り始めている。
悲鳴も最初のひと声のみ、―――――女は男に連れ去られ、後には闇だけが残った。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からグスタフさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からルビィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」にカインさんが現れました。
■カイン > 騒々しい声の響く貧民地区の酒場の一つ。
それなりに料理がうまい事で評判のその酒場のカウンターに陣取って、
派手に酒を飲んでる男が一人。
つまみを齧りながらエールの入ったジョッキを一つ空にしてカウンターに叩きつけ。
「…飯が美味いのは文句ないが、もうちょっと酒の質がな。
親父、仕入れどうにかならん?後もうちょっと安く」
次の酒を注文がてら、周囲を見回しつつ無茶な要求を投げかける。
そんな男の言動をあっさりと受け流されている辺りはいつものやり取りらしい。
■カイン > 「ま、仕事の上りに美味い飯が食えるってのは文句ないんだけどな。
……この辺の酒場はそっちに特化してる事が多いしな」
酒も飯も両方ちゃんと取れる所は希少である。
だからと言ってこの宿がそうじゃない訳ではないのだが。
少し離れた場所にある遠くの階段を横目に見てから、
目の前に置かれた追加の酒を手に取ってグイっと煽る。
喉を焼く強めのアルコールに大きく息を吐き出し。
「あー。今回は特別面倒ごとだらけだったからな。
全く、何が悲しくて日に3回も捕り物せにゃならんのだ」
日がな一日男を追いかけまわす羽目になった一日を思い出してげんなりした表情を浮かべ。
■カイン > 「よし、それじゃお勘定頼む。
とりあえず腹が膨れて満足だ、っと」
そこまで質が良くないと男のおいう酒でも数を飲めば酔いも来る。
上機嫌に酒を煽り終わった後に立ち上がり、
会計を済ませてその場を後にしていくのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区教会前」にリリシアさんが現れました。
■リリシア > (――神餐節による炊き出しの手伝いを行ってくれる人を募集・・・。ギルドにそんな募集が貼られたのはほんの数日前のことだ。なんでも、あちこちで炊き出しを行っている為か、修道女の数が足りないらしい。
冒険者ギルドは荒くれが多い集団ではあるものの、全てが全てそうという訳ではなく、ある程度家事が出来るものであったり、採集などをメインに行っているものも在籍している。そういう者達に向けての仕事であったのだろう。まぁ、場所が場所だけにあまり期待して張り出した訳ではなさそう、だけれど。けれど、お祭りのお手伝い、というのは正直興味が惹かれる。そういうお祭りは好きだし、それのスタッフとして参加した経験はない。それに、仕事内容を見る限り、それほど激務、という訳でもなさそうであるし、誰かの笑顔の為に働く、っていうのは・・・きらいじゃない。報酬もそこまで悪くないし・・・うん、やってみてもいいでしょう。 そう決断し、ギルドの受付に仕事を受ける旨を伝えた。
――それが数日ほど前。今、エルフの少女は教会前にて他の修道女に混じり、同じようなシスター服を身にまとって炊き出しを行っていた。小さな子どもから、大人まで。多くの人々が訪れては感謝の言葉を述べて食料を受け取っていく。その顔には純粋な笑顔、感謝・・・そのようなものが浮かんでいてそれを渡す方としても、悪くない気分。こういうのは、好き。エルフの少女も、自然と笑顔を浮かばせてご機嫌な様子で炊き出しを行っていくだろう。)
・・・あら?
(そして、それを始めて数時間程経過した頃だろうか。何故かシスターの数が妙に減っている気がする。それに合わせて、こちらの負担も上がってしまっているので、原因を調べにいく余裕もないが・・・明らかに、数が減っている。なにか、あったのだろうか・・・不思議そうに首を傾げながらも、数が減った今、他のことに気を使っている余裕はなくて、目の前の少年少女達の可愛らしいお願いに答えるべくせっせと炊き出しを続けていた。
――少女は知らない。善意で行われている、と信じているこの祭りの裏の顔を。少女が背にしている、その教会の地下で何が行われているのかを。 行方を眩ませた、シスター達はどこで、何を、されているのかを・・・。)
■リリシア > ・・・あら。
(そして、数が減ったことに端を発する妙な忙しさもひとまず落ち着きを見せれば、きょろり、と周囲を見渡してみせる。そうすれば、路地裏の方から眩しいものを見るかのようにこちらを見つめる少年の姿が見えた。少々小汚い服装に、怪我の多い身体。頭を隠すようにかぶったフードから察するに・・・もしかすれば、孤児のミレーか何か、だろうか。お腹でも空かせているのか、こちらをじーっと見つめていて、けれども決して列に並ぼうとはしない。炊き出しを受け取ろうとしない。それは列がなくなっても同様で、ただじーっと眩しいものを見るようにこちらを見つめているばかりだ。)
・・・仕方のない子。
(くすり、と小さな微笑みを浮かべた後、その炊き出しの中から一皿貰って隣にいたシスターに少しだけこの場を依頼していく。ひらり、と手を振ってこちらを見つける少年の元へとたたたっ、と駆けていけば少年はびくっ、と驚き、怯えたように足を竦ませるか)
大丈夫。平気よ、何もしないから。 ほら、はい。 欲しかったんでしょう?
(そっとその少年の手に食料・・・パンを一つ、手渡そう。なんか祭りの概要にミレー族への配給は禁止とか書いてあった気もするけれど、バレなきゃいいのである。バレなきゃ。そもそも、神様の祭典であるというのに、一人だけ仲間はずれ、というのはおかしな話。森や自然は生きとし生けるものありとあらゆるものに平等に恵みと罰を与えるものである。そこにヒトも、エルフも、ミレーも関係ない。それが私の信条なのだから。だから・・・)
他の人には、内緒。ね?
(くすり、と微笑んでそのミレーの子にパンを手渡して、とん、と肩を叩いて さ、行って、と声をかける。フードで耳を隠していたことだし、そも人の視線がない路地裏だ。そうそう彼の正体を看破した上で、今の光景見られることはないだろう。 よし、と満足そうに頷いた後くるりと振り返り再び炊き出しの行っている場所へ戻ろうと足を踏み出そうか――。)