2018/04/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会」にシスター・マルレーンさんが現れました。
■シスター・マルレーン > ………………ふー。
何度目かというため息をついて、瓦礫を拾い集める修道女が一人。
破壊された施設の修復や片づけは手慣れたものだ。
下手したら、一人で解体して一人で木を打ち付けて軽く立て直したこともある。
生存能力、キャンピング能力は下手したらその辺りのレンジャーにも負けぬものがある修道女。
でもまあ、対象が教会であれば、胸の一つも痛むというもの。
住処にしていた荒くれ者を棍の一閃で薙ぎ払い、追い立て散らしてからの一人作業。
瓦礫を庭に集め、割れたガラスを竹箒で掃き集める。
この場所にあったかすかな記録や、思い出の品であろうそれを手に取れば、埃を払い。
日記を僅かに捲っては、眼を伏せる。
祈りをささげては片付けをし、片付けをしては祈りを捧ぐ。
■シスター・マルレーン > この僅かな瓦礫の隙間に咲いたような、小さな空間は情け容赦もなく踏みつぶされて。
一つ一つに心を痛める暇は無いと分かっているはずなのに。
「………せめて、ちゃんと綺麗にしましょう。
しっかり作り直して、もう一度始めればいいんですし。」
よいしょ、よいしょと荷物を運ぶ。
重い荷物を運ぶわけではないから、怪我をした身であってもさほど苦労は無い。
どっちかといえば、壁についた血などを見るたびにずしりと来る心の痛みの方が辛いもの。
それを、濡れた雑巾で一生懸命に擦って落とし。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会」にスナさんが現れました。
■スナ > 「♪~~~~ ♪~~~~♪~~」
マグメールでは馴染みのない異国の旋律で鼻歌を奏でながら、銀髪の少年が通りを歩いている。
治安の悪い地域でありながら、武器も帯びず、腰に下げた雑嚢はごつごつといびつに膨れ、足取りは呑気にマイペース。
しかし、その歩みが突然、通りの中央から脇へと逸れる。
やや小走りに靴を鳴らし、半ば朽ちた廃屋の壁へと身を寄せる。
そして、カチャカチャとベルトの金具を鳴らしながら、何かを外す仕草をする。
「……よっこらせっと」
壁に真向かいに立ったまま、銀髪の少年はズボンをわずか下ろし、己の性器を惜しげもなく取り出して外気に晒した。
……この男、こともあろうに廃教会の壁に向かって立ちションをしようとしている!
未だガラスの残った窓を通し、内部で壁を拭いているマルレーンからは(大事なところは見えないだろうが)その仕草が見て取れるだろう。
光の加減から、外から中の様子は伺えないようだが。
■シスター・マルレーン > この依頼、報酬はほぼ無い。
いやまあ、そうだろう。持ち主はもういない。
おそらく面倒な輩が住んでいて荒事になるだろうし、修復したからといって、まともに機能するかどうかの保証は無い。
力があり、戦うことができ、それでいて縁のある彼女に押し付けられた形ではあるが。
「………さて、血の跡は落ちました、かね。」
ふぅ、と汗を拭う。金色の髪は目立つからフードは外すな、と言われていたが、すっかりフードも落としてしまって、一生懸命な仕事振り。
そんな彼女が、不道徳を見逃すはずもなく。
「………こらー! 今掃除してるんですよ!!」
がらりと窓を開いて。金色の髪の修道女がぷんすかと怒る。
ここらでは見ない……むしろ、無人のはずの教会に現れたシスター。
■スナ > 「……っと、さすがにまだ出ないかの……」
その向こうに女性がいるとも知らず、壁にむけてペニスを垂らし、しばし息む仕草を見せる少年。
当然、かけられる怒声には仰天しきり。
「……わ、わわわわっ!? な、なんじゃ、掃除ぃ!?」
窓が開いて、凛々しくも怒りを顕にした女性の顔が覗けば、少年は思わず身をのけぞらせて脚をもつれさせ、お尻から倒れ込んでしまう。
M字開脚した細い脚の付け根で、体格の割に大きめの肉棒がぶるんとダイナミックに振れる。
根は変態のスナですら、さすがにこの状況には面食らってしまい、あわてた手付きで己のズボンを上げて隠そうとしてしまう。
幸い、立ちション行為は未遂で終わっている。
「な、なんじゃ? 女がいるなんて聞いておらんぞ? たしかここにはクソ野郎のゴロツキが数人住んでただけのハズ……。
掃除とは……も、もしやお前さんが追っ払ったんかぇ? お前さんは一体……」
へたりこんだ状態で手間取りつつもズボンを上げ終えた少年は、そのままの姿勢でシスターを見上げ、焦りを帯びた口調でまくしたてる。
その声色は、体格の割に低く、男らしい。
■シスター・マルレーン > 「……全く。仕返しに戻ってきたのかと思いました。」
壊れた戸から姿を見せるのは、見るからにシスターらしい姿の女性。
フードは外れてしまい、長い金色の髪を揺らし。
厚手の服装だからか、身体のラインは………しっかりとした膨らみがあることしか分からず。
身長ほどの木の棍を片手に、ふんす、と戸の前で立って見下ろし。
「………教会から派遣されてきた、シスター・マルレーンと言います。
冒険者もしていますから、………お話をして、退去して頂きました。
……駄目ですよ、こんなところでしたら。」
ゴロツキが復讐に来たわけでないことが分かれば、怒った顔から、少し困った顔に変わって、膝を折り曲げて言い聞かせるような優しい声に変わる。
……ね? と、首を少し傾げて微笑みかけ。
■スナ > 「ほ、ほう。その長く太い棒で追っ払ったというわけじゃな。帰ってきたらまた返り討ちにしてやろう、と。
これはこれは……物騒な女子じゃ」
改めて戸から女性が姿を見せれば、落ち着きを取り戻したスナも機敏に立ち上がり、ズボンを正してホコリを払う。
「シスター・マルレーンな。俺はスナという。シスター……そしてその衣服……そうか、神職という奴かぇ」
言いつつ、スナと名乗った少年は細めた目を真っ直ぐに向け、マルレーンの体躯を上から下まで舐めるように眺める。
とはいえそのゆったりとした服装ゆえに、シルエットの詳細を窺い知るには至らず。
悧発な印象といい、手にした大得物といい、貧民街というロケーションにあってある意味不自然さの薄い『力強さ』を感じる。
……正直なところ、スナが苦手とするタイプ。
「……あー、すまんな。ここが元教会だってことも今初めて気付いたんじゃよ。
実は俺もここにいた悪漢どもに因縁があっての。ちょい前に、ちょいと嫌な目に合わされたっつーか。
それ以来、ここを通る度にわざわざション……あー、さっきやろうとしてたことをしてやったり。こっそり忍び込んで落書きしたり。
そういった意趣返しをやっておったんじゃが。もうその必要はないってことじゃな。すまんの、手をかけさせちまって」
マルレーンは掃除中だと言っていた。きっとその中にはスナの『意趣返し』による罵詈雑言の落書きも含まれていただろう。
自分の悪戯が自分の意図する以外の者を煩わせるというのは、なかなかに決まりが悪い。
自らの目線に合わせてしゃがみ込むシスターの前で、スナは珍しく目を伏せ、頭を軽く下げながら謝罪の文句を吐いた。