2018/01/26 のログ
■カーレル > 煙草の煙を吸い込めばその僅かな苦味とあちこち痛む体とが意識をはっきりとさせてくれる
陵辱を受けた割にはあっけらかんとした現実離れした目の前の異国の娘もまた現実にそこにいる
そうであれば、目を覚ます前に聞いた愛猫の小さく愛しい鳴き声もまた現実であったろうか?
「…そうか、少なくとも身体は愉悦を得たようで何より
邪魔ではなかったならば、後腐れなく眠れるわ」
娘が誰に襲われたのだろうと知ったことではない
泣いて助けを求めるのならまだしも、平然としているように見えるから、慰めることも心配することもしない
心配しようが、慰めようがそれが救いになるとは思わないけれど
「さて…悪漢に襲われた娘なら誰ぞ手を差し伸べるかもしれないが、
殴られて道端で倒れている男に手を貸す人間が、この辺りにいるものかね…
俺なら放っておく…何の得にもなりやしない」
短くなった煙草を地面に押し付け火を消す
はっ、と煙草の煙とは違う白い息を吐き出せば、不意に聞こえる猫の声
おっ…と、小さく声を漏らせば、姿を見せた白靴下の黒猫が近くによってきて甘えるように体を擦り寄せる
「…アメリ、迎えに来てくれたのか?良い子だ」
表情を柔らかくすれば体を擦り付ける愛猫を腕に抱き
よしよし、と撫でてやる。当然、迎えに来た、なんて事はなく偶々通りがかっただけの事だろうが
■ミコト > 「悦びを得られぬ身体であったならと常日頃想うが、それは贅沢な望みなのであろうな。
そして、汝が邪魔をせなんだは真幸運であった。
我が事で汝の首が飛んでおれば、こちらも夢見が悪い故。」
男の言葉に可憐な口元に薄く微笑みが浮かぶ。
何せ少女を陵辱して行ったのは街の警備兵達だ。
下手に邪魔をしてしまっていてはどんな目に遭わされていたかわかったものではない。
「ならば、儂が手を差し伸べよう。
汝は悪しき人ではないようなのでな。」
猫が懐いている様子を見て、長い睫毛が掛かる白銀の瞳を細める。
猫に好かれている者に悪い者はいないだろう。
少し眺めの袖から指先だけが覗く右手をそっと男の目の前へと差し出した。
■カーレル > 「そうだな、鈍感な女は抱いても抱いた気がしないしな
…そりゃあ重ね重ね良かったわ。首を刎ねられていたら今こうして、煙草も吸えない」
仮に意識があっても自分が彼女を助けたかどうかは怪しい所である
しかし、気を失っていたからこそ、トラブルに巻き込まれずに済んだ、というのも事実
何にせよ彼女が陵辱された事をあまり気にしてはいない様子だからこちらも笑って適当に流す
「…いや、1人で立てる
と言うか、さっきまで襲われてたガキが他人の心配なんかするもんじゃねえ
普通逆だろ、立場」
気持ちだけ受け取っておく、と彼女の手を取ること無くゆっくりと立ち上がれば、
腕に抱いた愛猫を傍にあった木樽の上に下ろしてやり、頭を撫でるようにして、
野良と友達と遊んでおいで、と口にすれば手を引っ込める。すると猫の方もひょい、と木樽から下り、
こちらを気にすること無く、暗がりへと消えていく
「…俺が良い人間かはともかく、手を差し伸べてくれた礼はしたい
うちにくれば、湯くらいは沸かしてやるがどうするね?」
彼女の脚を伝う白濁を見ていたから
手を伸ばしてくれた事への礼くらいはしたい…と言うよりは、変に貸しを作りたくはなかった
気持ち悪いだろ、それ、と彼女の脚の辺りを指差して首を傾げる
どうするかは、彼女次第というところだが
■ミコト > 「ん?」
男の言葉に不思議そうに小首を傾げる。
立場が逆?
ああ、なるほど。
なんだかんだと言いながらも心配してくれているのか。
「やはり汝は優しい子のようだ。
だが、望まぬまま連れて来られた地とは云え、今やこの街の子は我が子も同然よ、心配くらいはしよう。」
立ち上がった男の頭一つ分上の顔を真っ白な前髪越しに見上げる。
差し出していた手を引っ込め、袖の中へと仕舞う。
そして、男が猫を可愛がる姿を瞳を細め長め、去っていく猫を視線で追う。
「何もしておらぬ故、礼をされる謂れはない。
が、湯は助かる。
もう一月近う汚れを落とせておらぬ故。」
薄汚れた頬を袖で拭う。
男が指差し指摘した白濁には、うむと小さく頷く。
なるほど、やはり善き子であった。
あまり表情の変わらない少女の顔に薄く嬉しそうな笑みが浮かんだ。
■カーレル > 小首を傾げる娘の様を見れば自分の言葉に引っかかりを憶えた事くらいは判る
損得が関わらなければ人並みの倫理観くらいは持ち合わせているつもりでいるが、
この娘が自分の持ち合わせている人並みの倫理観に疑問を持ったとするならば、これまでの人生、
この娘の周りにはロクな大人がいなかったのであろう
…だからといって、自分が立派な大人だとは露ほども思いはしないけれど
「我が子も同然、というのはよく判らんが…
人生なんて望んでいない事ばかり、起こるものだろう?」
闇の中に愛らしい尻尾が消えて見えなくなるまで完全に見送れば彼女の方へと視線を向ける
よく見れば彼女の着た衣服も煤けたように見えるし、1月ほども体を清めていない、というのは真実に思える
「いや、俺に手を差し伸べようとしただろ…
その厚意に対する礼だよ、その手を突っ撥ねたのは俺だが、その心の有り様に対する敬意とでも思え」
1月、という彼女の単語に匂いそうだな、と苦笑を浮かべる
だからといって、自分の言葉を引っ込めるような事はせず、付いてこい、と彼女を促せば、
貧民地区と平民地区の境界にある自分の自宅へ向かい―――
自宅に付けば、たっぷりの湯と一晩の寝床くらいは彼女に提供したのかもしれない
……当然、自分が自分のベッドで眠ったけれども
■ミコト > 「ああ、汝の云う通りだ。」
守護すべき国から連れ出され、望まぬ男たちに身体を貪られ、愛する夫と話をすることも出来ない。
確かに望まないことばかりが起こる、それが生きるということなのだろう。
だが……。
「だが、望外の喜びもある。
例えば、今宵汝のような子に出会え、湯を頂けることなどな。」
男の後ろ、涼やかな鈴の音と独特の足音を響かせ着いていく。
男の大きな背中に夫神とともに過ごした懐かしき日々を想う。
「汝の心持ちはきっと汝を救うであろう。
人の子は互いを尊重し敬い、そして、助け合い生きてゆくものなのだから。
儂には返せるものはない、が、汝の幸せは祈らせて貰おう。」
男の部屋へと着けば用意して貰った湯を浴び、身を清め、一張羅を洗う。
それは唯一残った故郷との繋がり。
湯を浴びた少女は汚れ一つない純白を取り戻し、狩衣を干しているせいで一糸まとわぬ姿で男の前へと現れ、そして、与えられた寝床で横になる。
その夜、手鏡に何か語りかけている声を男は聞いただろうか。
それは声届かぬ夫神へと今日出会った善き子の事を嬉しそうに報告する少女の声だった。
そして、翌朝には何かあれば力になると一言残し、純白の少女は薄汚れた街へと戻るのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からカーレルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からミコトさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にカインさんが現れました。
■カイン > 深夜近くで活気に満ち始めた貧民地区の一角。
娼館や露店の立ち並ぶ一角の路地裏の壁に寄りかかり娼館の前を行き交う人々と、
その人々への呼び込みを行う娼婦たちの様子を眺めている男の姿があった。
「今日は引っかかる割合が多い事多い事。忙しさで色々溜まってた連中が多いのかねえ」
呆れたように漏らしてまた一人娼婦に連れられ娼館に入っていく人影を見て肩を竦める。
男の仕事はその路上に立つ娼婦たちの護衛、早い話が用心棒だった。
とはいえ朝方から特に仲介に入る様な事態が起きるでもなく、
退屈な時間が過ぎるまま残った女性たちも最早片手で数えるほど。
はっきり言って手持無沙汰気味でぼんやり人波を眺めている。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にアントーニアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からアントーニアさんが去りました。
■カイン > 「それに打って変わってこっちは…辛気臭いというかなんというか」
賑やかで華やかな表通りからは一転、路地裏に視線を向ければそこには複数の店が並んでいる。
露店から小さいながらもしっかりとした店構えまで種類は多様だが共通してるのは拭い切れない陰気さだ。
手近な空いているのか空いていないのか判然としない、怪しげな道具を商う店主に声をかけてみても、
邪険に追い払うように手を振って見せるだけ。この界隈で薬瓶や箱入りの道具を売っているとなれば、
麻薬か媚薬かあるいは夜の道具あたりだろうに、謙虚な物だと肩を竦めがてら視線を表通りに移す。
と、護衛対象の最後の女性が一通り客を引っ掻けているのを見て肩に手を置いて揉む。
これで晴れてお仕事は終了である。
「こりゃ早々にお役御免になっちまったか。…どうしたもんかな、クスリの類は効きが悪いからな」
お陰で暇つぶしに良いといつぞ勧められたことのある煙草も全く楽しめなかった記憶がある。
頑丈というのも善し悪しだとげんなりした表情を浮かべ。