2017/11/12 のログ
■ジア > 髪はそれほど質がいいものではない枝毛交じりだったが、寒空にあって高い体温が伝わるかもしれない。
一時の警戒もほとんどなく、相手の指に髪を梳かれてくすぐったそうに首をすくめるが嫌がることもなかった。
「鍛冶の時に使う皮手袋とか、探してみます…!もうちょっと逃げ道を確保、ですね!
う、わかりました、丁寧な仕事はやっぱり大事ですよね。
あ、えっと、その…あ、ぅ…レーナお姉さんはボクを助けてくれた人だから…やっぱり怖い目に遭ってほしくないんです」
鍛冶師を目指すにあたり、同じようなことを鍛冶場の親方にも言われた経験があり、痛いところを突かれたように声を漏らした。
指輪を指に着けると、思っていた以上にしっくりと来る感触に、少年は新しい発見に興奮して、それに気づかせてくれた相手を羨望の眼差しで見ていたのだった。
最も、つい吐露してしまったことに、相手が困り顔で諭すように語ることで比例して元々熱い体温が一層高くなってしまい、それもすっぽ抜けてしまう。
何度か言葉を次ごうとして開く口もためらいがちに閉じられて、しゅんとした態度となっていく。
■レーナ > 手櫛で少年の髪を解けば枝毛があり時折に引っ掛かりはするがなで続け。
温かな少年の体温を感じながら嫌そうにしないのをいいことに撫でて。
「どういう物がいいかはキミが選らなないといけないか。そこまでアドバイスができなくて済まない。
逃げ道を確保して決めておけばいざというときにも慌てずに済む。
いい品とは丁重にして初めてできるものだ、慌ててはナマクラしかできないぞ。
こちらでは新人だが前の国ではベテランだったんだ、危険な目にはそうそう合いはしないから安心していい」
少年はきっと慌ててしまうのだろうと思えばまずは落ち着くようにと諭すように告げて。
何故か羨望の眼差しで見られることに何かした覚えもないがと不思議そうにするしかなく。
少年に新人だがベテランだと安心させるように告げてはしゅんとした姿にありがとう、心配しなくていいと笑みを見せて。
「さて……私はそろそろ戻るが送っていくか?」
■ジア > 暫くの間、枝毛を手櫛されるように撫でられていく少年は、なんとなく、犬か何かのような気分となっていた。
無論嫌ではないが、考えたこともない犬の気持ちと同期することは、なんとも不思議な心地だった。
「こう、身に着けていて自然だったりとか、そういうことですよね?逃げるルートは、こつこつ調べます。
あぅっ…ぶ、武器には心の揺らぎが出るっていいますもんね…。
はい、レーナお姉さんみたいに、ボクも自分の身を守れるよう、頑張ります!」
腕の自負はあるものの、それでも焦って作れば揺らぎが生まれることは当たり前だと思い至る。
笑みを浮かべた相手に、撫でられながら安心するように諭されてしまうと、ぴょこっと飛び上がるように告げる。
「あ、それじゃあ近くの大通りまでお願いします。そこから知ってるところを伝って寝られるところを見つけますから」
基本的に野宿の身であり、問われた言葉にはこくんと頷いて周囲を見渡す。
今はまだ指輪を隠す手段がなく、また狙われないためにも女性についていこうと考えていた。
■レーナ > こうして少年を撫でているとふと冒険者になる前にはよくこういう事をしたと本当に昔のことを思い出してほほを緩め。
そう思えば何となく少年が子犬のように見えてしまい失礼なことだと首を振る。
「指輪は指に付けるのが自然なことだと思うぞ、私はな。それがいい、自分がいいと思うルートを探すのがいいな。
見た目が立派でも芯が通っていない武器は直ぐにダメになるものだ。
いい心がけだ、その心を忘れないことだ」
焦りは油断を招き仕事に集中できないものだと、少年ならその程度は直ぐに克服するだろうという気持ちで告げ。
告げられた言葉に少年ならばできると。
「そこまででいいのか?では行くとしようか」
寝られるところを見つけるという言葉は気にはなるが少年の分の宿を用意できるほど手持ちがなくて何も言えず。
少年がまた狙われては大変だろうと大通りまで一緒に向かうことに…。
■ジア > 頭を撫でている女性もまた、子犬のように自分を見ているとは気づいていない少年は、相手が首を振る様子を不思議そうに見上げる。
結局、撫でられるだけ撫でられた髪はかえってさらさらになったかもしれない。
「あんまり考えたことなかったです…。でも、すごいしっくり来て驚いてます。
武器は、持つ人が命を預けるものですもんね。ダメな武器は作ってられないです…!」
鍛冶師を名乗るにあたり、優秀な武器を作れなければならないが、それを焦っては元も子もないのだと少年も反芻する。
勇気づける言葉に、少年の中で確かな意志の火が小さくもはっきりと灯されていた。
「はい、わかるところまで出られたら、安全なところも見つけられます」
知っている場所まで女性に連れられていけば、深々とお礼をして少年は別れる。
そして、自分の寝床に使う廃屋を探しに裏路地へと進んで、やがてその後ろ姿も見えなくなったことだろう。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からレーナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からジアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/冒険者ギルド」にレーナさんが現れました。
■レーナ > まだ日の高い時間帯のひと時。
普段は平民地区のギルドに顔を出すのだがほんの気まぐれに貧民地区にあるギルドへと足を運ぶ。
足を踏み入れれば内装はあまり変わりはないがやはり場所が場所だけにギルド内にいる冒険者は荒くれという様相のものが多い。
初めてやってきたよそ者を値踏み、見極めるようなものから下賤な視線を受けても気にせずにカウンターへと向かう。
こちらは掲示板で探すわけではなく直接に聞く方式のようなのでと。
「すまんが仕事があるか尋ねたい」
平民地区での登録証を見せては職員に声をかけ。
今のランクに合う仕事がないかと確認に向かったのを見送り戻るまでの時間つぶしとギルド内を眺めて。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/冒険者ギルド」にエズラさんが現れました。
■エズラ > 「よう姉ちゃん――仕事が欲しいなら、オレの仕事を手伝う気はねえか――?」
女がギルド内を眺めていた時、椅子から立ち上がる男がいた。
その手には、依頼書らしき薄汚れた紙――長らく依頼を受ける者がなかったらしい――が。
くしゃくしゃになっていた依頼書を広げて、文面を見せる。
森の奥に棲まう魔物の討伐依頼。
しかし、具体的な姿や特徴については書かれておらず、多数の人的被害が報告されているのみである。
周辺集落の住民達からの嘆願書という形式であった。
「あんた中々腕が立ちそうだ――報奨金は山分けで構わねえぜ、どうだ」
■レーナ > 「……何か仕事があるのか?」
滅多に来ないであろう場所ではあるが覚えておいて損はないだろうとギルド内を眺めていると一人の男が立ち上がり声をかけて来る。
手には薄汚れた紙、おそらくは依頼書の類なのだろうと視線を向け。
広げられた依頼書に目を向け内容を見れば魔獣の討伐の依頼内容。
問題はどのような魔物かはわからず被害だけが書かれているということ。
「私には願ったり叶ったりだが……構わないのか?」
この男なら何となくではあるが一人でも討伐ができそうな雰囲気がある。
それを報酬を減らしてまで自分を誘ってもいいのかと目を向ける。
■エズラ > 「ああ――討伐対象の情報が少ない分、ちぃっと厄介だ。だがその分、成功報酬にゃ色がつく筈だからよ――そっちの上前さえキッチリはねさせてもらえりゃ、ここに提示されてる金額についちゃ、山分けで構わねえ」
森の魔物、というだけで、その詳細は不明。
依頼を受けたはいいが、少しばかり時間が必要か――と思っていたのだが。
あまり見かけない、しかし一目で手練れと知れる者が現れたので、誘いをかけたのである。
そして男は、ムフフ、と笑みを浮かべて。
「それに、美人と一緒の道行きとくりゃ、やる気も倍増、ってなもんだぜ――」
■レーナ > 「対象が判らないのであればそれを探す必要が確かになるか。
なるほどな、それなら例え分けたとしても損はない訳か」
男の言葉に納得をすればそれならば結果的に男のほうに多く入る訳だからと理解を見せ。
同時に目標が判らないだけに時間がかかるかもしれないという懸念も持つ。
そうしてもう一度依頼書を見て男に視線を戻せば笑みを浮かべているのが見え。
「……言っておくが仕事で組むだけだ。何かを期待しているなら他をあたるべきだ」
どうにも男の言葉に何かを感じてついそんなことを告げるが仕事を組む事態には異論はないと。
■エズラ > 「ようし、商談成立だ――ふふっ、わーかってらぁ、ちょっとした冗談だっつーの」
からからと笑いながら依頼書をしまうと、早速ギルドの外へ向かって歩き出す。
「さっ、そうと決まりゃ早速向かうとしようぜ――今から出りゃ、夕刻にゃ着けるだろう――」
そして、二人の男女はギルドを後にする――
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/冒険者ギルド」からエズラさんが去りました。
■レーナ > 「そういう冗談はあまり好かんぞな。ともあれよろしく頼む」
この男はと…初めて会うにも関わらずに冗談を告げる姿に呆れ。
仕事を見つけ戻ってきた受付にあの男と組むことになったと外へ向かう男の背を指し済まないと頭を下げ。
「今から出て夕刻…結構な距離だな」
距離を確認しなかったことを悔やむが後の祭りと男と共にギルドを後にする。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/冒険者ギルド」からレーナさんが去りました。