2017/11/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエレノアさんが現れました。
エレノア > 貧民地区の、とある酒場。満員御礼、今宵も当店は客で溢れ返っている。とばかりに上機嫌な表情を浮かべる店主。
そして慌ただしく動き回る給仕達に、料理や酒をせっせと準備する料理人。
貧民地区等という響きとは裏腹に盛況さを極めた店内に集まっているのは、どいつもこいつもその道の人間。といった風貌ばかりだ。
つまりは、冒険者や傭兵等という荒くれ共である。そんな中にあって、壁際のテーブル席を一人で占拠しているのは女であった。

「これは、参ったな……」

(スープに浸したパンを齧り、それを葡萄酒で流し込む。そうしながら眺めているのは、数枚の羊皮紙だ。
その全てが、さる貴族様から渡された依頼書の数々である。
補給の為に戦線から離れ、空いた時間に一仕事しなさい。という事らしい。
実入りの無い時期にも仕事があるというのは、この稼業では嬉しい事だ。
だのに、女の表情は晴れない。

エレノア > その理由は、言わずもがな。依頼書に記された内容である事は間違いない。
手元の依頼書を捲る度に目に飛び込んでくるのは、「~さんの飼い猫を探して欲しい」だの、「孤児院で催し物があるので、その手伝いをして欲しい」だの、凡そ傭兵稼業とはかけ離れた物ばかりだ。
余暇があろうが何だろうが、こちとら業の深い稼業である。
つまるところ。

「ロクな依頼が無い……!」

この一言に集約されるのである。
大きな仕事が出来ない時期に贅沢を言うんじゃない、と言われてしまえばそれまでであるが、それでもある種の矜持、の様なものがあるのだ。
葡萄酒を飲み下すペースが上がったとしても、許して欲しいものである。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > いきつけの酒場に顔を出せば、なかなかの賑わい。
少女は客の間をすり抜けながら座れる席を探すが。
なかなかどうして。空いてる席がない。

「……立って飲み食いはイヤ~……」

どうしたものかなぁ、と思いながら店の中を見れば。
ぽつん、と。一人しか席についていないテーブルを発見し。

「……ダメ元ダメ元」

少女は意を決し、そのテーブル席へと向かっていく。

「どうも、綺麗なお姉さん。一杯奢るから、相席してもよろしいかしら?」

出来る限りにこやかに、精一杯の人懐っこさアピールの笑顔ふりまきつつ、先客にお願いする少女。
見た目は10代中盤、という姿だが。中身はいい年のオッサンである。
奢る、というだけではなく、自分も当然酒を飲むつもりだ。

エレノア > 依頼書を睨みつけながらの食事だ。作法が良いとは言えないが、この店にそんな事を気にする輩はいまい。
一枚、また一枚と何度も捲りながらパンを齧る。
塩っ気が強いだけの野菜くずのスープだからか、パンに染みたそれにすらも目を細めて。
ふと、声をかけられて顔を上げた。

「ああ、お嬢さん。断るには忍びない様子だな。」

店内の様子に気付いていなかったのである。気まずそうに頬を掻き、対面の席を勧めた。
しかしながら、僅かに首を傾げて。

「とは言え、君の様な子は此処には似付かわしくないと思うが?いや、酒は頂くがね。」

少女の飲酒に苦言を呈する大人の鑑であるのだ、自分は。きっと。
それでも、奢り、の一言には快く甘えるのであった。
一応注意はしておいたのだ。何も問題ない、という理論である。

セイン=ディバン > ちら、と見た様子では。依頼書らしきものを確認しながら食事をしている女性。
同業か、あるいは、そうでなくとも近しい業種か? と思いつつ。
表面上はニコニコと笑顔を絶やさない。

「えぇ、まぁその。ちょっと、来た時間が遅かったかしらね」

相手の言葉に、困ったように頬を掻く少女。
だが、席を勧められれば、喜んで座り。
近くを通ったウェイターに、自分用と相手用に酒を注文する。

「ふふ。そう見える? まぁ、普通そうよね……。
 でもまぁ、気にしないで? この身体は仮の身体みたいなものだから」

苦言には笑顔を強め。とはいっても、ニコニコ、というよりはニヤニヤ、という様子だが。
そのまま何か煙に巻くような物言いをしていれば、注文した酒が届き。

「セイン=ディバン。冒険者よ。じゃあ。
 素敵な出会いに乾杯♪」

よく冷えた黒麦酒を手に、自己紹介。
素敵な出会い、とは。当然、この目の前の女性との出会いのことであり。

エレノア > 「仮の……?ふむ、ヒトの世も、また広しと言うわけか。」

彼女、もとい彼の言葉には更に首を傾げるも、暫くして納得したかの様に呟いた。
自分には当てはまらないが、魔族の中には仮初の姿が当たり前の連中も居るのだ。
それが人やそれに連なる亜人種にあっても、あり得る事かもしれないからだ。
手段は魔法か、何なのか。それはこの際、まあ良い。
運ばれてきた二人分の黒麦酒を見れば、自分用の杯を手に取り。

「なるほど、随分と良い趣味をしているものだな。それに、見た目によらず軟派な様だ。」

其処に不快感はない。何やら面白いものを見たかの様に、くつくつと小さく笑い声を漏らすだけだ。

「エレノア。しがない傭兵稼業さ。
素敵な出会いに。……あー、セイン?」

言って、軽く杯を合わせれば早速とばかりに口を付けた。冷気と共に来る苦みと甘みに、うん、と頷いた。

セイン=ディバン > 「? 何か言った?」

ぽそり、と呟かれた言葉が気になり、尋ねてみる。
と同時に、相手の姿を少し観察。
尖った耳。ただ、身体の筋肉のつき方が、エルフらしくはない様に見える。
ただの人間ではないだろうから。さてさて、種族はなんなのであろうか。などと考えつつ。

「あ~。えっと。そうね、うん。だいぶいい趣味してるわよ。
 あら、軟派な人間はお嫌いかしら?」

ここで言葉に詰まったのは単純明快。この姿は、呪われてなったものだから。
自分の趣味ではなく、呪った人間の趣味なのだ。ということで、どこか他人事な言い方になってしまう。
続いての指摘には、口元を押さえつつコロコロと笑い。

「へぇ、傭兵さんなんて珍しい。
 冒険者とか、冒険者もどきのチンピラならともかく。
 真っ当な傭兵さんは久しぶりに見たわ。
 えぇ、お好きなように呼んで?」

相手の職業に、少し目を丸くする。何せ知り合いはやはり冒険者が多いので。
なるほどねー、などと思いながら一気に酒を呷れば。

「……っっっっ、はああああああっ!!
 この一杯の為に仕事してるわー!!」

一瞬で演技崩壊。完全に地が出てしまっている。

エレノア > 呟いたのは、無意識のうちだったのだ。酒も入っており、思わずと言ったところ。
それを拾われていたのであれば、背筋に妙な汗も流れようものだが、幸いにも内容までは届いていなかった様だ。
何でもない、とばかりに頭を振った。
自身の種族については、大っぴらに言う事ではないだろう。
少なくとも、人類が大手を振って歩く王国内に於いては。

「安い葡萄酒も良いが、うん、たまにはこういうのも悪くはない。
それと、職業柄、軟派な相手には慣れてるさ。嫌いじゃないよ。」

かといって、抜群に好きというわけでもないのだが。
さりとて、同業者にはそういった連中が多いのも確かなのだ。
女の見れば軽く声をかけるむさ苦しい男達。
それを思えば、目の前の存在の何と可愛らしい事か。

「今の時代、戦線を維持する為の傭兵はどれだけ居ても無駄にはならないからね。
こうやって街に寄り付くのも補給時ぐらいだろうし、珍しいんだろうな。」

常在戦場、とまでは言わないが、冒険者に比べて街中に傭兵が少ないのはやはり、前線に向かう為だろう。
彼らの職場は其処にしかないのだから。
ともあれ、相手の豹変ぶりには目を丸くした。

「……これはまた、随分と。」

親父臭い、とボソリ

セイン=ディバン > 尋ねこそしたものの、なんでもない、と言われてしまえば追求はしにくい。
相手の様子に、肩を竦めながらも。少女は観察を続ける。
の、だが。どうにも。特徴らしい特徴を見つけることが出来ず。
何の種族なのかが一向に判らない。

「もったいないわね、それは。この時期だと……。
 シェンヤンからの酒とか。あと、火酒も美味しいわね。
 そう言って貰えると安心だわ」

安い葡萄酒には、また違う魅力もあるが。時にいい酒を飲むのも大事である、と思っている少女。
続く言葉には苦笑い。なにせ……この少女も、イイ女に目がないのは事実。
ちょっと耳が痛いし、気まずいのは……心当たりとかあるからに違いなく。

「……それは。そうなんだけどね。
 私としては、あまり軍人・貴族・傭兵、って職業は好きになれないのよね……」

相手が傭兵、と知った上で。本音を漏らす。理由は単純。
冒険者と軍人・傭兵が組んで仕事をすることもあるが。
まぁ。よほどでなければ、仲良くお仕事、なんてならない。
貴族の依頼人なんてのは、もってのほかだ。ほぼほぼ高慢なのだから!

「あっ……え、えっと。その、なんていうか。
 ……アハハハハ。そう、そうなの。
 実は私、呪われてこんな身体なの。本当は30過ぎのオッサン。……引いた?」

そのものズバリ。オヤジ臭い、といわれてしまえば。なんとか言い訳しようとも思うが。
多分また酒を口にしたら地が出るだろうから、逆に自分から説明することにした。

エレノア > 今度はバレないように、小さく安堵の息を漏らした。
うっかりバレて、荒くれ者共からの熱いリンチ等、考えたくもない。
彼らは容赦などしてくれないだろう。
ぞっとしない話である。

「強い酒はたまに飲むのは良いんだが……何分、それ程酒精に強いわけでもないんでな。
火酒なんぞ飲んだ日には、暫く前後不覚になる事間違いなしだ。」

そう言って苦笑いだ。それに何処から恨みを買っているかも分からない稼業だ。
深酔いしないに越したことはない。

「なるほど。私も貴族やら傭兵やらが好きだ、などという冒険者には会った事がないな。
その逆も然り。いや、上流の方々にとっては軍人も傭兵も冒険者も、等しく破落戸なんだろうがね。」

傭兵としては一番関わるのは貴族や軍人であるが、なるほど、確かに彼らは此方を下に見てくるものだ。
彼が嫌うのも納得出来る。更に言えば、傭兵と冒険者というのも、あまり馬が合うとは思えない。
さて、彼の素性を聞けば杯に口を付けたまま固まり。

「何と、珍妙な……。いや、男をその様な姿に変える事に、何かメリットが?肉体の弱化?いや、しかし……。」

引く引かないには一切答えず、ぶつぶつと思考の海に沈んだ。
つまるところ、脳筋なのだ。相手の姿形の評価よりも、その呪いそのものについて考えてしまう。
戦闘力的な意味で。

セイン=ディバン > ふむ、ふむ、ふむ~。と。見た目に似合う可愛らしい声の出し方をするものの。
やはり判らないものは判らない。というか、そもそも少女とてこの世界の生物すべてを把握しているわけでもない。
となれば。少女は一度考えるのを止める。

「あらそうなの? 強そうに見えるけど。
 ふふ、それは大変だわ。この店でそんなことになったら……。
 エレノアくらい美人なら、すぐにもみくちゃにされちゃうもの」

相手の言葉に、意外、と言った風に驚く仕草。印象的には酒豪に見えるが。
続いて口にしたのは、冗談のようで冗談ではない言葉。
その少女の言葉に、ぎくり、と身を硬くした男の客が店内に何人かいた。

「でしょうね。まぁ、互いに領分とプライドもあるしね。
 ……ふふ、確かに。あぁでも。世の傭兵がみんなエレノアみたいな。
 敵意がなくて、話の通じる人なら。私も傭兵を嫌わなくて済むけど」

思わず本音を漏らしたというのに。激昂するどころか理解を示す相手。
少女はその言葉に、くすくすと小さく笑いを零す。
なお、少女自身、貴族、軍人、傭兵に仲のいい知り合いもいるので。
結局のところはその人物次第、である。

「さ、あね~。単純に嫌がらせでしょ。きっと。
 なんでも、『たまには女の立場になって痛い目見ろ』ってことらしいし?」

相手の疑問に、少女はそっけなく言う。実際この身体になってからはそれはまぁ。
犯されること数知れず、であるのだから。痛い目は見ている。
とはいえ、少女としては反省などしない。女遊びは冒険者の本懐の一つ、という持論があるからだ。

エレノア > セインの言葉に反応した男達の様子など露知らず、女と言えば思わず吹き出すのであった。
そしてすぐさま俯いた。が、肩が震えているのまでは誤魔化せない。
結局、ブハッと再度吹き出して。
とはいえ、女心のなせる技か。周囲に聞こえない程度の笑い声を上げ。

「フフフ、面白い事を言う。確かに、女である以上、醜い顔立ちをしているとは思っていないが……。
これだぞ?」

まだ、くつくつと笑いながら、自分の頬を指さした。右の頬に走る傷跡。
それに、その指差す手の甲にも小さな傷跡が無数にあるだろう。

「体の方も言わずもがな、だ。なまじ私を抱こう等という気になった男共が居たとしても、大抵は脱いだ所で萎えるだけだ。」

己は娼婦では無いのだ。それだけ身綺麗にしたところで、体中の傷跡が消えるわけではない。
どうせ抱くなら綺麗な体の女を、という男の本心には納得するばかりだ。

「敵意も何も、此方に剣を向けてくるのでなければどうという事もないではないか。
尤も、敵対すれば徹底的にヤるんだがね。」

所詮は人と人だ。好き嫌い云々で敵対する等、馬鹿らしい事この上ないか。
言ったものの、敵対者に容赦しないのは種族故か、単なる職業病か。
続く相手の呪いについては、やれやれと頭を振って。

「なるほど、読めたぞ。その軟派さが災いして自業自得といったところか。フフ、それで女心は分かったかい?」

ズケズケと、得意げに言ってのけたのだ。
初対面だろうが何だろうが容赦しないのは、結局何も考えていないからだ。

セイン=ディバン > なぜか少女の言葉に吹き出す相手。なんだろう、どうしたんだろう。
そう思っている内に、いよいよ盛大に吹き出した相手。
その姿に首を傾げるが。

「面白いこと? それってどういう……。
 あぁ、そういうこと?」

相手の言葉の真意が読み取れず尋ねるが。すぐさま示された頬の傷。
無論気付いていなかったわけではないが。意識の外にあったそれ。

「……えっと。それ、冗談だったら面白くないわね。
 本気で言ってるなら、エレノアは案外にアホの子なのかしら。
 ……傷がありながら生きてる傭兵は、古強者。
 そして、そんな古強者であり、美人であるエレノアは、ひどく魅力的よ? 私だったら即勃起しちゃうくらいに」

恐らく本気で言っているのであろう、自虐の言葉。
少女はしかし、その言葉を真っ向から否定する。
たしかに。そういう心持ちの男は多いのかもしれない。
だが、目の前の少女はその男共に対しての例外。自身が気に入った相手なら、傷・経歴・種族・果ては性別まで無視の男である。

「それだけでもないわよ。足の引っ張り合いとかもあったし。
 ……クフッ。それは冒険者もそうよね」

自身の経験を語りつつも、相手の率直な言葉に笑う少女。
気性が荒いのは、少女だけでもなかったようで。

「そういうこと。流石に、傭兵さんは勘が鋭いわね。
 ……ま、ね。犯されるのはすげぇ腹が立つってのと。
 ……マンコ抉られるのは案外に気持ちいい、ってのは。わかったわよ?」

スパッ、と言われれば。逆に心地いい推理の的中。
少女は苦笑いしつつ一気に黒麦酒を空け、ウェイターに酒の追加を頼む。

エレノア > 「即とは、これまた豪気な。いや、素直に品が無いとでも言うべきか?」

此方の言葉に不快感を示し、言葉を返してきた相手。
それに笑みを崩さないまま答えた。
初心な町娘ならともかく、こちとら破落戸共を纏め上げる女傭兵隊長だ。

「ま、君が元の姿に戻って、それが私好みなら一度脱いでみせようか。
さて、どんな反応をするか楽しみにしておくよ。」

今夜は酒が美味いとばかりに、杯の中身を流し込んだ。
元の姿に戻ったと言う辺り、今の姿の相手に抱かれるにせよ、抱くにせよ、些か犯罪めいたものを感じたのだ。
魔族とはいえ、人間の世界に暮らす者。それなりに弁えているのだ。
イエスロリータ何とやら。

「足の引っ張り合いとは、愚かしい。特に傭兵など、信用が命だと言うのに。」

金で雇われた傭兵が容易く裏切るというのは、真っ赤な嘘だ。
傭兵こそ、信用を勝ち取る為にはした金に全力で命を懸けねばならない職なのだ。
それを無視した傭兵の末路など、考えたくもない。

「うーん、君は男でいても女になっても、ましてや子供になってもロクでも無いようだな!」

満面の笑顔で、そんな言葉を口にした。
其処に悪意はない。しかし。「だが……」と言葉を続け。

「方法はともあれ、其処までするという事は、お互いを随分と信用しているのだな。
でなけりゃ今頃は殺し合いだ。」

そう締め括った。

セイン=ディバン > 「あはは、そこは蔑む所じゃない? エレノアちゃんの見た目的に、
 『キサマのような軟弱そうなヤツに言われても嬉しくないわ戯け!』とか?」

酒も回ってきたか、少女は相手の物言いに、逆に冗談を重ねる。
少女としては、こういう率直な物言いの相手は嫌いではない。
いや、むしろ好ましいと思う。

「あら、それは嬉しい一言ね。
 ただ、私はちょっと紳士的とは言いがたいし……。
 アレ、がね。大きいのよねー」

予想外の言葉に、少女が少し鼻の下を伸ばす。が、あくまでも口約束。
だがしかし、次に会えたときは、と思いつつ、少女は下半身を指差し、下ネタを飛ばした。

「確かに。それは冒険者も軍人も一緒。
 結局その仕事のときは、まぁ。酷いもんだったわよ。
 部隊は半壊。仕事はロクに終わらない、ってね」

きっかけは、些細な口論からだったような気がする。
だが、少女の記憶の中の地獄は、未だに風化しない。
混乱する戦場。崩壊する戦線。二度と経験したくないことだった。

「あら、やっぱり勘が鋭いわね、エレノア。
 そうよ。私はクソでクズでゲスで小物な、タダの冒険者。
 だからこうして呪われても生きている。生き汚いからね」

二杯目の酒到着。少女が好む、モルトウイスキーだ。
それを一気にグイッと飲めば、相手の言葉に一度動きが止まる。

「……さぁ。どうかしらね。
 いや、どうだったかしら、ね。
 なんにせよ。呪いを解く方法の目星は付いたから。焦ってないだけ。
 だから、心に余裕があるのよ」

その表情は真顔であり。真意は読み取りづらいものであろう。
少女は更にウイスキーを一気に呷る。