2017/08/09 のログ
ご案内:「王都マグメール貧民地区/裏通り」にリュシーさんが現れました。
リュシー > (小さな紙片を片手にして、以前からあまり足を向けることのなかった、
迷路のように入り組んだ、細く薄暗い通りを辿って行く。
紙片には手書きの地図と数行の書きこみがあったが、既にその地図は、
おもに己の読解力不足により、役に立たないことが証明されてしまっていた。

哀れな逃亡奴隷だと信じさせる役には立った首輪だが、そもそも、
いつまでもつけていたいものでもなく、親切な女中の手を借りて、
外してしまおうと思ったのだが―――留め金の鍵が特殊なのか、
それともなにかの術が施されているのか、彼女の手には負えなかった。
ならば、と彼女が教えてくれたのは、貧民地区に居るという、
こういうものに詳しいらしい、モグリの職人の存在で。)

うー…ん……、この辺、土地勘ないからなぁ……。

(ついでにいえば、この姿で、あまりふらふらしていたい界隈でもない。
先刻も、なにかの店先に座っていた男から、たいそう「上品」な口笛を吹かれたばかり。
首輪を外す前に、また売り払われてはたまったものではない、と、
挙動は自然、おどおどと人目を憚るものになり)

リュシー > (これか、とアタリをつけたのは、だらりと垂れた天幕とは名ばかりのボロ布が、
扉もない入り口を申し訳程度に覆っている、店、のようなもの。

そっと天幕の端っこを摘まみ、持ちあげて顔を覗かせてみると、
がらんとした土間に煤けたカウンターがひとつ、
壁には大小さまざまな錠前やら、なにに使うのか聞くのが怖い、
たぶん拘束具のたぐいであったり、拷問具にしか見えないものであったり。

カウンターの向こう側には奥へ続く扉があり、少なくとも見える範囲に人の姿はない。
無邪気に声をかけようと、かぱりと口を開いて)

こんにちは、ごめんくださ―――、

(遅ればせながら、ハタ、と気づいて口をつぐんだ。
そういえばこういう店の相場はどのぐらいなのか、鍵ひとつならそれほど高くはないか。
いや、高かろうと安かろうと関係はない、なぜなら己には先立つものが何もない。
店の奥に、今の声が聞こえてしまっただろうか、誰か来たなら、
どう交渉すれば、と、その場で慣れぬ思考を巡らせて)

リュシー > (がたん、と奥の方から聞こえた物音が、あまりにも大きくて身が竦む。

咄嗟に天幕のこちら側へ首を引っ込め、そのまま踵を返して走り出した。
首輪の煩わしさよりも、本能的な恐怖を重視した結果。
もう一度来るかもしれないが、とにかくも今は出直そう、と―――――。)

ご案内:「王都マグメール貧民地区/裏通り」からリュシーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシュカさんが現れました。
シュカ > 黄昏時の貧民地区は、いよいよ夜闇が近づき、ここに住まう者にとっては、稼ぎ時が近い。
狭く、決して衛生的とは言えない通りには、客を引く女たちの姿も見受けられたし、それを買う男たちも居た。
勿論、それだけでなく、子どもたちの姿もあったが、その眼差しも行動も、決して「ただの」子どもでないことは解ったし、
非合法のモノを売買する露店もあるし、それを見ているのは、どうみても正規軍の恰好をした男や衛兵たちだった。

赤毛の男にとっては、それを咎める気もないし、何の感慨もなく、
人の波を避けて歩いていたが、無用ないざこざに巻き込まれる前に、
足早にこの通りを抜けて、平民地区の冒険者ギルドへ向かうことを選択した。

とはいえ、昼の熱い空気は、鉛色の雲を呼び、ぽつり、と雫が頬に触れ、
思わず空を仰ぎ見た時。

「…おい、マジか」

ぽつり、と降り出した雨は、あっという間に辺りを霞ませるほどの雷雨となってきたから、
そのまま近くの軒先へと避難してしまえば、当然足止めとなるわけで。
しかし、雷雨のせいで、客引きの女たちや客は勿論、子どもたちも露天商も一旦雨を凌ぐために姿を消したのは幸いだった。
賑わっていた通りも、まるでクモの子を散らしたみたいに、今は雨を凌ぐために軒先に佇む己一人となっていた。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にダストさんが現れました。
ダスト > 「畜生ついてねぇな、来てすぐに降ってくるなんて」

水をはじくフードを深くかぶりながら人気の無くなった通りを見渡し。
小さくため息をつきながらあきらめて通り抜けて街に借りてる部屋の一つに向かおうと歩いて。
体つきを隠すローブの関係もあり、はた目には性別がわかりにくくなっているだろう。

通りの中ほどまで歩いてきたところで途方に暮れたような姿で軒下に立ちすくむ男の姿を見つけ。

「兄ちゃん、こんなとこで何やってんだ?この時間にこれだけ降れば今日は普通の売人はこねぇぜ?」

初めは通り過ぎようと思ったが、どこか面白いことが起きそうなことを直感で感じ。
治安のよくない路地において、可能な限り相手を警戒させすぎないように明るめの口調で話しかけながら近づき。

シュカ > 軒先に避難したのが早かったから、さほど濡れてはいないが、片手で髪の雫を払うようにし、
地面を打ち付ける雨が弾けて足元を濡らすから、もう一歩、壁側へと寄る。
濡れないように気をつけながら、視線を上げて空を見上げれば、時折稲光が走って後、轟音が響く。

「ギルドまで走るとなると…ずぶ濡れ確定だよな、コレは」

雨足は強く、確実に濡れる。となると、こうして雨宿りしている意味がない。
空を見上げたところで、小降りになるまでどのくらいかかるのか、わかるわけではなし。
やれ、とやや呆れたようにため息をつき、走るか待つか、暫し逡巡する間の沈黙が落ちる。

と、思考を途切れさせるように聞こえた声に、あ?と気の抜けた声を零し、視線をそちらへと向ければ、
ローブを着た…性別は判断つかねど、人物が立っていたから、やや大仰に首を竦め、

「見りゃ解るだろ、ここで可愛いコを待って………るんじゃなくて、この雨、止むように今から神に祈ろうという準備中だ」

明るい口調に釣られたのか、冗談めいた口調で返し…かけたあと、
それをやんわり訂正したあとの、続く適当極まる返答をして。

「そーいうお前さんはどーしたんだ?あー…濡れたい気分てなら構わねぇけど、ここ、空いてる」

ここ、とは己の隣。幸い軒先はスペースがあるから、もう一人ぐらい来たところで濡れはしない。
この場所で、見知らぬ人物に声を気安く声をかけ、招き入れようというのだから、
腕に覚えがあるか、阿呆か、どちらかになるが、果たして相手にはどちらに映るか。