2017/07/01 のログ
カイン > 「…おっと、ようやく諦めてくれたか」

じっとこちらを眺めていた猫がふいと視線をそらして去っていくのを確認してから、
明かりを消して立ち上がる。そのまま繁華街の音が遠くに聞こえる方向へと足を向け、
路地の一つの間に消えていくのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/空き地」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にスヴェンさんが現れました。
スヴェン > 貧民地区では珍しくそこそこ立派な娼館の前
引き留めようとしたか、黒髪の女の伸ばした手をとれば、緩やかに自分の胸元へ引き寄せ軽く唇を合わせる
二言、三言ほど、互いに言葉を交わせば細い女の指先を手放し、くるり、とあっけなく去っていく
背後で嫋やかな所作で手を振る女の気配を感じながら、零れそうになった欠伸を噛み殺した

「腹減ったな…」

欠伸に滲む涙を拭いながら人通りも疎らな通りを行きつけの酒場へ向かうか、ささっと屋台で腹拵えするか、
そんなことを考えながら宛もなく歩き始めた
―――あの酒場は喧嘩で店ごと潰れてしまった、こちらの屋台は震える手で調理をしていた爺さんが病に倒れ
味が落ちた…どれもこれも、ピンと来るものはなく、見境なく歩きまわっても仕方ない、と思い
廃墟になった教会の入り口の段差に腰を落ち着ける…その昔、まだこの教会に修道女がいた頃、
味もへったくれもないスープを恵んで貰ったことがあったような気がする…ふとそんな事を思い出せば、
口元に苦笑が浮かぶ

「教義で腹が満たされるわけではないから、な…」

くしゃりくしゃり、と己の白い癖っ毛を撫でれば、朽ちかけた教会の尖塔をぼんやりと見上げる
昔は立派な鐘が吊るされていたがそんなものはとっくに盗まれか、軍に徴収されたかで無くなってしまっている

スヴェン > そういえば、と味もへったくれもない不味いスープで一件、酒は大したことはないが、料理の美味い酒場を思い出した
確か、貧民地区の近くにあったはずだ、と最後にその酒場に行った時のことを思い出そうとしながら、立ち上がれば
記憶を頼りにその酒場へと歩いていくのだった

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からスヴェンさんが去りました。