2017/06/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にカインさんが現れました。
■カイン > 今日も今日とて騒々しい王都の片隅。人気の多い通りと路地の交差点。
つまり通りを望む路地裏の入り口に、男は身を寄せていた。
路地を形作る古い建物の壁に背中預けながら通りの様子を伺えば、
見えるのは数名の女性達が男に声をかける姿――早い話が客引きの風景である。
「ま、仕事に文句がある訳じゃないが何というかいつもは引っかかる側が、
引っ掛ける側の視点で見てるとなるとどうも妙な気分にゃなるな」
苦笑い混じりに漏らすのは己が彼女たちの護衛の仕事の真っ最中だからこそ。
つまり宜しくない因縁を付けてくる輩の排除が今日のお仕事であった。
立場が変われば見える物が違うのは当然の事で、彼女達のセールストークに連れられ攫われる男達の様子にはお見事と言う他ない。
「立場が違ったとしてもあそこまで言葉巧みにゃ俺は無理だな。アレもアレで技術だよなあ」
大したもんだと妙な関心を口にしながら、タバコを取り出す。
そして少しだけの逡巡の仕草。一応依頼主からは彼女達が捌けるまではやめておけ、
と言われているのだが――当初10名近くいた人影も残りは2、3人。
となれば少々悩み所と言わんばかり、指に挟んでゆらゆらと揺らし。
■カイン > 「――ま、いいか。誰も困る訳じゃあるまい」
視線の先でまた一人、誰かを連れて行く様子を横目に眺め、
殆ど仕事がお開きのような状況を見て取ればそのまま火をつける。
目の前で紫煙が流れて行く様を流し見ながらタバコを味わって息を吐き。
「ぷはっ。こいつどうにも、やめようにも止められんな、
こっちのお嬢さん方には色々評判悪いけど」
そうして改めて視線を向けてみればパッと見姿の見えない護衛対象達。
ここ数時間の間だけでも幾度も絡まれ、自分の出番と相成ったことを考えれば実に円満な終わり方ではある。が、
「馴染みの娼館の頼みだから引き受けたはいいが、この後どうかする当てがそう言えばねえなあ」
我ながらあまりに今更すぎることを小さくぼやきながら白煙を吹くのだった。
■カイン > 「――さて、こいつはいよいよお役御免だな。
ぼちぼち俺も次を探しに行くとするかい、どっか空いてる娼館でもありゃいいがね」
完全に護衛対象の姿が視界から消えて失せたのを確認して、
紫煙を吹き払う様息を吐きながら壁から体を話して煙草を地面に放り捨て、踏みにじる。
ジュっと熱の消える音を聞きながら路地裏を奥へと歩き去っていくのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からカインさんが去りました。