2017/05/27 のログ
カイン > 「何、関わり合いにならないに越したことはない相手だ。
 それはそれで幸せな事だし、その幸運が続くに越したことはない」

声を上げて笑いながらも諭すようにそう告げて、ゆっくりと目を細める。
それこそ正体が露見するという事は大体ロクでもない事になる訳であるのだから。
男は別に自分の正体を隠しているわけではないが、それでも面倒事に巻き込まれたのは一度にドの話ではない。

「安くなければいいのかい?…何だ、割と打算で動くタイプかと思ったがそうでもなさそうだ」

まるで気紛れな猫のよう、とはおよそ文句しか出てこないだろうから口にはしない。
相手の発言が勢い任せと解れば微笑ましくも感じてニッと口の端を上げて笑い。

「おおとも、男というのは大よそエロい物だというのは良く知っているだろう?
 ふむ。エロジジイと言われて確かに否定する要素はない、なっと」

口では飄々と言い返しながらも悪戯心を働かせれば両手を伸ばして隣の相手の肩を抱き寄せ、
あわよくばすっぽりと己の手の内に相手の体を抱え込んでしまおうと力を籠める。
もっとも、抵抗されれば全く抗う事無く男は手を離す事だろうが。

ノア > 「 じゃ.. あたしみたいな女が呑気に暮らせるように、 カイン達には頑張ってもらわなきゃね。」

傭兵だと聞いていたから、 時に魔族と対峙する事もあるのだろうと。他人任せな言葉を、 呑気に口にした女だったが

「 違っ.. そーゆー意味でもなくてっ 」

と、 否定の言葉を言い掛け.. 次の言葉を探していた其の時 ── 肩を掴まれ、 ぐら と視界が揺れた。細いヒールは 足元をふらつかせ、 結果..

「 ちょっ、 と..... コケるかと思った、 危ないじゃないっ 」

すっぽりと其の腕の中に収まって。冗談ばかりな貴方の事、 どうせほんの戯れだろうと抵抗は見せず。其の代わり真上を見上げるのは、 生意気な琥珀色の瞳。そして

「 もう.. エッチ、 変態、 きゃー痴漢。」

なお繰り返す、 棒読みの暴言。

カイン > 「もちろん仕事だからな、努力はするが傭兵ってのは案外逃げたりするぞ?」

困ったものだといけしゃあしゃあと意地悪く言い返した後、
慌て始める様子をとても楽し気に見下ろして喉を鳴らしてすっぽり収まった体を眺め。

「こけそうになった所で支えられるんだ、問題ないだろう?暴れられたら危なかったがな」

たくらみ事がうまく行ってしまえば上機嫌に声を上げ、視線が合えば自然と吸い寄せられるよう視界に収まる琥珀の瞳。
戯れの様に頬に手をやり額と額を合わせて笑い。

「この程度で痴漢や変態とは失礼な。ああ、エッチなのは否定しないがな?
 ――綺麗な瞳の色だ。早々見たことが無い」

前半は冗談めかしながらも後半は少し真面目に、
言い返したと思えばそっと唇を動かして不意打ちで唇を奪ってしまおうとし。

ノア > 「 それじゃ困る、 もし王都まで魔族だらけになったら.. こんな風に、 夜な夜な呑み歩くのだって出来なくなるじゃない。」

現実はこの王都マグメールにも、 多くの魔族が潜んでいるのだけれど.. そんな事は、 この女が知る筈もなく。それどころか今、 魔族の腕の中に収まってしまっているなどとは.. 微塵も気付いていない。

「 早く離さなきゃ、 ほんとに大声出して衛兵呼ぶわよ。きゃー助けて衛兵さーん、 って。綺麗な瞳だなんて 古臭い口説き文句はいいから、 ほら行くよ。もう少しで大通 ── 」

頬に伸びた手、 戯れならばもう充分だろうと。あくまで生意気な態度は崩さずに、 棒読みの悪態を貫くも.. 大通りの "り" を言い切る前に、 息が止まった。

「 ?! .....っ、 ん.. 」

其れは不意に唇が塞がれたからか、 突然の事に驚いたからか。ぱちりと目を見開いたまま、 思考も停止し一瞬フリーズ。そして

「 ── な.. バカっ 」

驚きと恥ずかしさに ぶゎ、 と頬を染め。明らかな動揺を見せながら、 腕を突っ張り身体を離し。キスくらいどうということはないと自らに言い聞かせつつ、 くるんと貴方に背を向けた。

カイン > 「さてな、魔族なんて人間と大差がないと言えば大差がない連中も多いものさ。
 問題を敷いてあげるとするなら色々と加減のないのと社会適性がないのが多いってことか」

それこそ大問題でしか無いことを言い放ちながらも、助成に対する所業で
まさしく自分自身でその問題点をしっかり実践して見せながら、
軽く身を押されて少し後ろに下がって改めて視線を前に向ければ見えるのは後ろ姿。
あくまで勝ち気な様子を崩さぬその態度を好ましく思いしのび笑いを漏らし。

「いや、悪かった。けどいい思いが出来てしかも可愛らしい恥じらう顔がが見れたんだ、やった甲斐はあったというものだな」

目に見えて上機嫌で言い返しながら、あえて並ぶことも追い越すこともせず斜め後ろに付けて後ろから横顔を眺める。
なんというか中々に意地が悪い立ち位置を維持したまま、近いという大通りへの案内に素直に従ってゆく。

ノア > 「 しいても何も.. 大差でしょ、 それ。魔族って、 皆そうなのかな..... 」

素直な疑問が口をついた。其れは興味か願望か、 はたまた単なる思いつきか。人間に危害を加えぬ魔族など、 居るのだろうかと.. ぼんやり考えながら歩を進める、 が

「 って......... 悪かったと思ってないでしょ、 てゆーか笑い声聞こえてるし。あと.. 恥じらってなんかないし、 別にキスくらい。ほんの挨拶よっ.. 」

斜め後ろから感じる視線と微かに聞こえるしのび笑いに、 可愛いげのない言い訳をきゃんきゃん返す。かつかつとヒールを鳴らしながら、 心なしか早足にもなって。一見同年代の男女.. 見た目より何処か年寄りじみた貴方が揶揄い、 見た目より何処か子供じみた女が噛みつく。そんな戯れを繰り返しているうちに、 大通りへと辿り着き

「 はい、 到着。一応ココが大通りだけど.. どう、 大丈夫そう ? 」

女も本気で怒っている風でもなく、 其れなりに楽しんではいたようで.. 何だかんだと悪態ついておきながら、 ゆるりと首傾げ 大丈夫かと訊ねた。

カイン > 「人間にだって色々居るだろう、そりゃ個体差はあるさ。
趣味の悪い権力ごっこに耽溺するやつもいれば酒と食い物と女がいればいい、
なんてそこらの酒場にいるオッサンと大差のないことをのたまう輩もいる。そんな物だ。
欲望を満たすために他人を使うのに遠慮がない傾向がある以上、危険には違いないがな」

なまじ力があるから社会性やら何やらが欠如するのかも知れないと、
己も含めてなるほど確かに頭のネジが飛んでると言われても致し方ない連中の多い魔族を思い返して埒もない事を考える。
しかしそれも相手の言葉に遮られればしれっと肩を竦め。

「バレたか、正直あまり思ってないね。…ほうほう、ああ…ここなら見覚えがあるな。
 ありがとよ、お嬢さん。お駄賃は何がいいかね?」

戯れるようなやり取りを返しながらも腰の財布を軽く鳴らして問いかける。
元々遠慮などする質出ないのも相まって、もはや気軽さも極まったものだ。

ノア > 「 .........んん、 なんか難し。」

言葉の意味を理解出来ても、 魔族の本質を理解するのはまだまだ先のようで。貴方の言葉に むぅ.. と唇尖らせながら、 考える事をやめてしまった。

やがて大通りに出れば、 露骨に財布を揺らす貴方に小さく吹き出して.. 少し、 考えた仕草を見せた後

「 ...............っ、 ん。 」

背伸びして、 軽く触れ合うだけの口付けを。そして女は、 悪戯に笑って

「 言ったでしょ、 キスなんてほんの挨拶なんだから。今日はサービス、 今度からは便利屋として.. しっかり代金貰うからね♡ 」

恥じらう姿を揶揄われ悔しかったのか、 はなから道案内程度で何かを貰うつもりはなかったのか.. 其れだけ言い残し、 くるりと踵を返す。長い髪とドレスの裾を靡かせ、 指先をひらひら揺らし。短く別れの言葉を告げると、 夜の街へ消えていった。

「 じゃあねカイン、 おやすみ。」

カイン > 「なあに。さっきも言ったが、関わらないなら関わらないに越したことは無い」

そう難しく考える必要はないのだと笑い飛ばしながらも、
吹き出す相手を横目に見て首をひねり相手の方を向いた直後。
先程自分がしたのとは逆に己の方へと意趣返しとばかりに行われた接吻に、
思わずキョトンとした表情の後に声を上げて笑い。

「ハッハッハ、悪かった。確かに一本取られたな――ああ、おやすみ。
 ここまでサービスされたら仕方ない、何か合ったらぜひ頼むことにするさ。おやすみ」

上機嫌に答えてその姿をしばし見送り、その姿が見えなくなった後自分も溶けるように人波へと消えてゆくのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/広場」からノアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/広場」からカインさんが去りました。