2017/05/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にルーフェンさんが現れました。
■ルーフェン > 『いたぞっ、追え』
賞金稼ぎ、冒険者に傭兵…食い詰めた武芸者、などなど
思い思いの装備に身を包んだ連中に追い詰められて、ひょい、と陸橋の欄干に飛び乗った
見たところ王都内を見回る兵士は自分を追ってきていないようなので一安心である
と言っても、貧民地区…どれだけ騒ぎが起きても見て見ぬ振り、を決め込んでいるのかもしれないが……
―――追われる理由は件の宝飾品の数々である
ひょんなことから襲ってきた山賊を返り討ちにし、その懐からちょろまかした品々が欲深い商人の手に渡るハズで
あったらしく、故買商に買い取りを拒否され、更には持ち主…自分に懸賞金が掛かったらしい
最初のうちはチョロチョロと追ってくる相手を千切っては投げし、撃退していたが…まあ、多勢に無勢、
如何なドラゴンでも面倒なものは面倒であったし、しつこく追い回されるので千切り疲れてしまった
かと言って、宝飾品や品々を彼らに手渡すのをよしとしないのは、宝石、宝飾品を蒐集する癖のあるドラゴンの
定めなのかもしれない…幾多の冒険をくぐり抜け、力を示したものに奪われるならまだしも、
ポッと出の、一山幾らの連中に手渡す、というのは如何にも風聞が悪い…ドラゴン的には
「あー…いや、絶景かな、絶景かな…
―――なんていうのか、こういう場合…」
十重、二十重と欄干に立つ自分を取り囲んだ冒険者などなど、を見回す
いい加減、うんざりしているから空元気でも出さねばやっていられない
じりじり、とにじり寄ってくる前列の冒険者の脚元に、バチバチ、と迸る雷撃を見舞えばニヤリと犬歯を覗かせ笑い、
「では、諸君、さらばだ
さらに追ってくると言うなら心するが良い!」
ひょい、と欄干からそのまま下へ落ちる
高さはそれほどないが、まあ飛び込んで追うには少し勇気のいる高さである
それに複雑に入り組んだ場所…飛び込まずに追うには遠回りしなければならない
陸橋の下に落ちたと見るや、追手の連中は落ちたぞーっと声高らかに遠回りし、落ちたあろう場所へ駆けていく
……―――のだが、辺りがシン、と静まり返るのを見計らい、陸橋の小さな出っ張りに掴まっていた身体を
ぐい、と引き上げれば再び陸橋の上に戻る姿があった
冷静に下を覗き込む者が入ればバレていたが余程、急いでいたのだろう、そうする者は皆無であった…運が良い
「…本気で捉えたいならこれくらい飛び降りろって…
そんなんだから、小金にこまる程度の器量の冒険者なんじゃねえかなあ…」
静かになった欄干の上、掌に乗ったまんまるに膨れ上がった革袋をぽんぽん、とさせながらため息を吐いた
どうせ、売れないし、追われるしで、意味が無いからその辺に放ってしまおうか、なんて思わぬでもない