2017/04/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にフォークさんが現れました。
フォーク > 貧民地区にある、ごく普通の安酒場でのこと。

「……旨い。おかわりだ!」

フォーク・ルースが今夜で二十杯目のエールをおかわりした。
無理もない。彼が酒を口にするのは、数カ月ぶりなのだ。
何故か。それは彼が収監されていたからである。

「あそこ(牢獄)は酒も旨い飯も色っぽい女もいないからな。随分と応えたぜ」

しかし……と男は心の中で続ける。

(頂くものは、頂いたぜ)

数年前、とあるケチなこそ泥が宝石を盗んで逃げた。
すぐに捕獲され収監されたのだが、ついにこそ泥が盗んだ宝石は見つからなかった。
それもそのはず。こそ泥は宝石を飲み込み、腹の中に隠していたのだ。
さらにこそ泥は獄中で病死し、そこから宝石の行方はわからなくなったのだが。

「わざと収監された甲斐はあったってことだな」

満足げに頷きながら、新しいエールのジョッキを干すのである。