2017/03/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にフォルテさんが現れました。
フォルテ > 真昼なのに、どこか影が差したような陰鬱とした雰囲気の貧民街。
そこでは、衣食住もままならない人々が集団で誰かを取り囲ってしんみりとした空気を醸し出していた。

『せ…殺生な…。おぉぉ…神様、わしらの何がいけなかったんですじゃ…おぉぉ…』

薄汚れた地面に両手をついて泣きじゃくるのは、背筋の曲がり切った老婆だった。

『仕方ねえよ。ばあさん…命だけでも取られなかっただけ…』

『あの娘は!わしの命よりも愛しい子じゃった!!!まだ15にも満たないというのに…おぉぉ…婆さんを許しとくれぇ…』

納税……。国に住み、安全を守られる者は、その対価として国へ税を納める。それらは、貧富や人種の差なく、平等に課せられた義務なのだ。 ……平等 とは聞こえの良い言葉だが、それを盾にしてろくに取り立てるモノすらない貧民相手にも、貴族たちは横暴とも言うべき手段で何もかも奪っていく。

「……この世界は……おかしいね……」

しゃきしゃき と音を立てて咀嚼するのは、本日手伝った店から戻る際に雇い主がサービスにくれた果実だ。

乾燥してて、ちょっと風味は劣るけど、貧しい者でこんなものが食べられるのは大きな喜びだった。

……が、それをかじる青年はどこか虚ろな表情で地面をじっと見つめたまま、力なく淡々と道をたどっていく。

「…僕の家にもああして徴税にやって来たなら、何を奪われるんだろうな……。…力のある人が、ちょっとうらやましい」

僕達は、生まれながらにして弱者なのだろうか  憎悪と無気力の間で揺れ動きながら、スリ等も多発するやや危ない終末感漂う古い通り道を進んでいく。

フォルテ > ……しばらく歩き続けても、泣きじゃくる老婆の泣き声が頭から離れない。
明日は我が身…そんな恐怖に震えながら、こんな生活をいつまでも続けるのか と自問自答しながら、見覚えのある建物が並ぶ地区までたどり着く。

「……明日も、仕事だ」

青年は、憂鬱そうに空を眺めながら、我が家へと戻っていく。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からフォルテさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にノアさんが現れました。