2017/03/18 のログ
■コーデル > 「ええ、気が変わりましたらいつでも。僕たちは常に迷える者を待っていますから」
男はかけられるとも思っていなかったであろうその言葉に揺れつつも、しばらく逡巡の末に首を縦に振らなかった。
そして、今日はもう帰るといって席を立とうとする男に、コーデルは頷きながらその伝票を受け取って金を払った。
何も焦ることはなく、早々うまくいくことでもないと、コーデルは去っていく男を笑顔で見送る。
その背中が夜の街に消えていけば、他の者たちにもまた酒を渡していく。
「下にいるなどと、貴方がこの国の基礎を支えているのです、誇りこそすれ謙遜することではありません」
先ほどの男の他にも、まだまだ鬱屈としたものを抱える者たちは多くいる。
その悦びを得難い者たちに、最上ではなくとも一時の快楽を与えるための酒を惜しむことない。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からコーデルさんが去りました。