2017/01/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にジアさんが現れました。
ジア > 小さな宿屋の店先で、ところどころ風化して崩れているレンガの壁に背中を預けながら、少年はちょこんと座っていた。
本格的に鍛冶の修業に就くために、工房を借りようとしたところ、それで手持ちのお金は殆どなくなってしまった。
そのため貧民地区にある安宿に泊まるだけの代金もなく、冷え込んでくる夜空を見上げながら座り込む羽目になっていて。

「冒険者みたいな仕事とか、した方が儲かるのかなぁ」

そう独り言ちるものの、荒事の経験は多少しかない少年。
一応魔法めいた炎を操る術を持ってはいても、それは魔法を使える者と何ら変わるものではないとため息を吐きだし。
結局、身一つで遺跡を探しに行くだけの覚悟もなく、未練がましく宿の店先に座りこむことになっているのであった。
幸いにして、店の人間には見咎められていないのか、忙しさで見逃されているのか退去するように求められることもなかった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアルスさんが現れました。
アルス > 「今日はこれで終わりか。面倒な場所にあったものだ…」

手違いで受けてしまった配達の依頼。
その行先が貧民地区の奥と途中で知るが違約金の事もあり仕方なくキャンセルもせずに。
どうにか配達を無事に終え、何回か住民に絡まれた事以外は問題もなく。
このまま歩けば平民地区に付くだろうという道を歩いていれば小さな宿と思われる建物の店先に座る人影を見つける。

「あれは……?」

この地区の住民ならば例え子供でも不要な親切を見せれば大変な目に合うために素通りも考えるが知った人影ならばその限りではなく。
進む足先を変えて真っ直ぐにその少年の下へと足を向けて。

「ジア君、こんな場所で会うとは奇遇だな。人待ちか?」

傍まで行けば見下ろすように壁に背中を預ける少年を見下ろして声をかけていく。

ジア > 「ん、なんだろ……あっ、アルスお姉さん?アルスお姉さんもこういうところ来たりするんだね、ボクは結構来るけど。
あ、その…宿泊まろうとしたら、お金足りなくて…」

真っすぐこちらに向かってくる人影には少しだけ身構えるものの、宿の明かりに照らされた顔が見知った相手であるとわかると、少年はほっとして表情を明るくしながら立ち上がる。
そして、ここにいる理由を問われれば、微妙に視線を泳がせて素直にないと言えない小さな見栄を張ってしまう少年。

「……あ、アルスお姉さんはどうしてこの辺に?」

やがて、バツの悪くなった少年は露骨に話を逸らそうと相手へと問いかけていくのだ。

アルス > 「こんな場所にか?私は仕事で時々に足を踏み入れる程度だよ。結構来るのか…。それを聞くと無事で居るか心配になってしまうな。
宿ならば私の部屋ならば好きに使っていいと言ったはずだが……?」

立ち上がった少年に問われ、この場所にいる理由を告げて困った笑みを浮かべ。
宿がと聞くと以前にも言ったように自分の宿ならば好きにと口にして。
視線を微妙に泳がせる姿に何かあったのかと心配をして。

「私は仕事の帰りだ。その途中でジア君を見つけたという訳だ」

話を逸らせているのは判るのだが問いかけには答え、少年に並ぶように隣へと移動をして

ジア > 「いろいろあって、お金貯めないといけなくて、ケチるとこういうところになっちゃうんだよね
今回ちょっと遠かったのと、あと、ちょっと尻込みしちゃったっていうか…」

立ち上がりながら、心配してくれている相手には少し申し訳なさそうに笑う少年。
宿については、少年は少し歯切れ悪く答えるだけであった。
隠し事をしていることを動揺でまるで隠せておらず。

「そ、そっか、偶然だったね。
あ、そうだっ!え、えっとね!アルスお姉さんにこれあげるっ!」

そう隣に並んでくる相手に、少しぎこちなく笑う少年は、金欠に瀕している様を見られることが気恥ずかしく。
そして、意を決してまるで今思い出したかのように普段から持ち歩いているポーチを漁りだして、布に包まった手のひらサイズの何かを取り出す。
包みを開けば、板金を加工したらしい炎の意匠が施されたペンダントが入っている。
それは今金欠に陥った工房を借りて作ったもののうちの一つであった。

「ホントはブレスレットにしたかったんだけど、材料足りないから、ペンダントにしたんだっ」

そう早口にまくし立てる少年は、褐色の肌ごしにもわかるくらい顔を赤らめていて。

アルス > 「色々か……私が言える事ではないが無理だけは駄目だぞ。
貯めるには節約は大事だが宿代を節約して追いはぎに奪われては元も子もない。
遠かったのならば仕方はないが…あ、あれだけの事をして尻込むのか」

申し訳なさそうに笑う少年を見つめ、その理由を聞けば納得はしたが別の心配をして。
動揺をしている事に何か隠しているのは判りはするが追及はせず、尻込みをする姿に僅かに目を泳がせる。

「本当に偶然だ、おかげでこんな場所で野宿をさせずに済む。
これを……いいのか?」

隣に並び、ぎこちなく笑う少年に手を伸ばしてそっと頭を撫でていき。
そして少年がポーチから取り出した布に包まれたものを受け取り何だろうとそっと包みを開き。
そこにある炎の意匠が施されたペンダントを見れば目を丸くし、直ぐに嬉しそうに笑みを浮かべれば首へと通し胸元へと。

「いや、これで十分だ。あの時に言っていたのを作ってくれたのだろう。
ありがとう、ジア君。大事にさせてもらうよ」

顔を赤らめ、早口に捲し立てる少年に微笑みを向け、嬉しさのあまりに思わず抱き寄せようと手を伸ばして。

ジア > 「うん、そうだね、そういうのに遭わないように気を付けるよ。
いや、あっ、それはっ…!これを渡そうって思ったら、改めて恥ずかしくなっちゃって」

相手に心配させてしまうのはよくないと、少年は胸を張って答える。
実際に遭った時に対処できるかは怪しいところであったが、気持ちだけは負けないという心意気で。
目を泳がせながら、相手の言葉に以前会った時のことを思い出した少年は少し慌てて周囲に聴かれていないかと目を配った。

「えっ、でもここだとアルスお姉ちゃんの宿からはちょっと遠くないかな?
う、うん…。」

頭を撫でられれば、掌が乗せられた枝毛がくしゃっと押されていき、少年は目を細めながら相手の言葉にきょとんとしながら問い返す。
そして、相手が取り出したペンダントを首にかけてくれるのを、少年は固唾をのんで見守っていて。

「そうかな、よかった、アルスお姉さんのために…わっ!」

相手が喜んでくれる様子には、少年はほっとしながらいつもの爛漫とした笑みを戻す。
直後、相手に抱き寄せられると同じくらいの背丈で相手の顔が間近に来て、年中薄着の胸板に柔らかな感触が押し付けられると驚いたようにその場でたたら踏み、相手にしがみ付くように両手を背中に回していく。

アルス > 「私も今日数人に会ったばかりだ。だからこそ心配でな。
そうだったのか…だが私としては来てくれた方が嬉しいのだがな…」

気を付けるという少年の胸を張る姿に少し心配するも大丈夫だろうと安堵し。
少年なら危ない橋は渡らずにどうにかするだろうという信頼があって。
周囲をうかがう姿に大丈夫というように笑って見せて。

「少しな…だが来れない距離ではないぞ。
大事にさせてもらうぞ、剣だけでなくこんなに素敵なものを貰えたのだ。
今まで以上に頑張れそうだ」

枝毛の髪を梳くように撫でていき、お姉ちゃんと呼ばれて一瞬身震いし。
少し遠くはあるが自分の宿までは来ようと思えば来れる距離だと告げて。
首にかけたペンダントを大事そうに見下ろして。

「弟からのプレゼントだ、大事にするのは当然だぞ。
私は幸せ者だな」

少年を抱き寄せ顔が間近くに来れば満面の笑みを浮かべているのが少年には見えるはずで。
大きな胸を少年に押し付けるように抱き着き、しがみつくように背中に背を回す少年を嬉しさのままに抱きしめ続ける。

ジア > 「もし危なくなったら秘密兵器もあるし、無理して戦わないから大丈夫だよ。
ごめんね、こうやってプレゼントとかするの、あんましたことなくて…」

どうやら安心してくれる相手には少年もほっとしながら言葉を重ねてポーチに吊り下げてある不揃いな陶器を軽く叩いた。
周囲に聴かれていないとわかれば、少年は少しもじもじとしながら相手の胸元にかけられるネックレスへと視線を送る。

「あはは、喜んでもらえてよかったよ…結構試作を重ねたし。
そうだね、野宿するよりも、少し歩くぐらいなんてことないかもね」

不意に言葉に混ざった呼び方に反応する様子には、少年は微笑みながら相手を見上げていく。
試行錯誤の犠牲になった板金一同も浮かばれると少年は思って笑みをこぼして、距離についてはこくこくと頷いていく。

「えへへっ、大事にしてもらえて嬉しいなっ!
それじゃあ、アルスお姉ちゃん?宿までボクのこと守ってよね」

柔らかい胸へと顎を落として顔を埋めながら、少年は呼び方に変化をつけて問いかける。
そう言いながら、背中に回した手で、スカート越しの相手のお尻にすすっと手を這わせていき。

アルス > 「秘密兵器?それなら大丈夫か……だが無理は駄目だぞ。
そうすると私はその数少ない一人という訳か」

ポーチに下げている陶器を叩く姿にそれが秘密兵器なのだと見て。
周囲に人がいない様子だからこそこうして警戒もせずに居られ、少年のもじもじとした視線に見せるように胸元、そのネックレスを見やすくする。

「試作を?ならなおさら大事にしないといけないな。
そういう事だ。私の宿までくれば暖かく柔らかなベッドもあるぞ」

一瞬だけ震えてしまい、少年を見れば微笑みを浮かべる姿。それを直視できずに。
もし自分がいなくても少年を部屋に通すようにはお願いしており、いるときにはいつでも迎えれると笑って。

「こっちに来て初めてのプレゼントだ。大事にしないはずがないだろう。
あ、あぁもちろんだ。それでは行くか…ひゃ…!」

大事なものがまた一つで来たと嬉し気に微笑みを浮かべ。
呼び名が変れば僅かに動揺するも頷き、早速一緒に帰ろうと腕を解くが…その前にお尻に手が這い小さく声を上げ、慌てて口を抑える。

ジア > 「これがあれば、とりあえず驚かして逃げられるかな?そういうものだよ。
うん、でもプレゼントを自分で一から作ったのって初めてかも」

胸を張る少年は、釘を刺されれば調子づいた分歯切れ悪い答えになってしまう。
相手と話す間、周りの危険も感じられず、安心して話せることで少年はだんだんと気恥ずかしさを忘れて笑みを浮かべるようになって。
ネックレスを見やすくしようとしてくれたのか、胸元が近づくとその膨らみの方に目が向きがちになってしまうが。

「もし壊れちゃったら直してあげるから持ってきてね。
ホント?やったー!」

一瞬少年は爛漫な笑みとは趣の異なる微笑を浮かべて、目を合わせてくれない相手へニコニコと見つめ続ける。
そして、相手の言葉に答えるころには、いつもの笑みに戻って子どもっぽく喜んでいる少年。

「そっか、初めて同士だったんだね。
うん!行こっか、アルスお姉ちゃん」

嬉しそうな相手が、プレゼントを受け取ったことがそうないことだとわかれば少年も嬉しそうに笑う。
腕を離して身を離そうとする前に、お尻に小さい手指を這わせた少年は、にっこりと笑って引っ付いたまま、帯剣していない横から抱きつくような恰好になる。

アルス > 「逃げるための道具という事か。便利そうではあるな。
そうなのか?なら猶更大事にしないわけにはいかないな」

倒すためでなく逃げるもの。そう聞けば無理はすることはないだろうと、歯切れの悪い少年の答えに安心して。
周囲に人がいなければ知った間柄という事もあって楽し気に笑みを浮かべて。
視線のむきには気が付かづにネックレスが似合ていると見てくれていると思い。

「出来れば壊したくはないが…もしその時はお願いするよ。
今の時期は外は寒いだろう?本当に遠慮はしなくて大丈夫だ」

何時までも目を逸らしていてはと一度息を整えれば少年と目を合わせ。
何時もの笑みの子供っぽく喜ぶ姿に一安心とするが。

「ジア君の初めてを貰ったという訳か。これは記念にもなるな。
ちゃんと離れずについてくるんだぞ。そうではないと守れないからな…?」

少年の初めての作品を貰ったとなれば本当にいい記念だと微笑み。
呼び方、そしてお尻に触れられ頬をわずかに赤く染め、帯剣していない方に抱き着く少年を伴って宿へと足を向けて…

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からジアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からアルスさんが去りました。
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