2016/11/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に弥勒院クレアさんが現れました。
弥勒院クレア > 「まぁまぁ……この国は随分と乱れている様子ですね……」

いかにも余所者という奇妙な出で立ちの者が貧民地区の通りを歩けば、当然ながら注目を集める。それが豊満な身体を隠そうともしない女となれば尚更だ。世を憂えたような顔をしながら、突き刺さる男の視線を感じて満足そうに頬を赤らめる女は、しかしそれが少しずつ離れていくことに気付いた。

「……なるほど、私のようなものはここではそう珍しくない、と」

異国人が、という意味ではない。見るからに妖艶な格好をした、男を誘っているような女……要するに娼婦がだ。性を生業とする女が普通にいる。その事実はこのエセ尼にとっては喜ばしいこととは言えなかった。そういった女達が皆自らの仕事を楽しんでいるようには見えなかったからだ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──くあぁぁぁ……」

大欠伸を漏らしながら、いかにもヒマです、と言った風情の面を下げて通りを闊歩する金髪の男が一人。
軽く目元を擦りながら、その退屈げな表情を適当に彷徨わせていれば

「……お? なんか珍しいカッコしてるコがいるのぅ」

その視界に、この国のものではない意匠の黒い服に身を包んだ女の姿を見つけて、物珍しげに眉を持ち上げ。
ふむ、と少し思案した後、おもむろにその女の方へとのんびり歩み寄っていって。

「……やあやあコンバンハッ。お一人ですかな?」

と、へらりとした緩い笑みを浮かべながら、片手を上げつつ気軽な声を掛けてみた。

弥勒院クレア > 「……あら、こんばんは、見知らぬお方。ええ、道連れも一人もなしの寂しい旅の途中です」

突然声を掛けてきた男性に、笑顔で挨拶を返す。気安く軽薄そうな、普通の頭の固い聖職者なら眉をひそめそうな相手だが、幸いと言うべきか自分は普通とは程遠い存在だ。

「こちらにはまだ慣れていなくて、今宵の宿もまだ見つからない有り様でして……貴方は?」

右手に持った錫杖を地面に突きながら、左腕は胸の下に、そして真っ直ぐ相手の顔を見るのが恥ずかしいとでも言うように身体の側面を向けて、深いスリットと胸の豊かさをアピールする。

エレイ > 「ほう……なんか異国情緒っぽい雰囲気があるとは思っていたがやはり他所からの人だったか」

女性の笑顔での対応に気を良くしながら、アピールする姿勢にあっさり釣られてか、法衣の上からでも判るボディラインをジロジロと露骨に眺めていって。
貴方は、と聞かれたところで我に返ったように顔を上げ、だらしなく緩んだ表情を取り繕いもせずに向けて。

「……おっと。ああ実は俺も他所から来た旅人なのでどちかというとキミと同じような立場だろうな。まあ滞在してそこそこ経ってるからここいらのことはもう時既に把握済みだが……ちなみに名前はエレイというのだが謙虚なので呼ぶ時はさん付けでいいです」

連々と言葉を並べ立て、最後に自己紹介を繰り出すとビシ、と笑顔でサムズアップ。

「……で、宿が見つかってない系の事を言ってたかな。なら俺がいい宿を知っているのだが良ければ案内するけど?」

それから、笑みのままそんな提案を。
すっと片手を差し出しながら、彼女の返答を待ってみる。

弥勒院クレア > 彼がこちらの身体に視線を注ぐのを隠そうともしない様子に、満足感と僅かな羞恥を得て頬を赤らめるが、それについてわざわざ口に出したりはしない。ただ、彼がこちらの身体に興味があるということがわかった以上それ相応の態度を取るだけだ。

「貴方も旅の方でしたか。ふふっ、なんだか奇遇ですね……あっ、私は弥勒院クレア。気軽に『クレア』と読んでいただけると嬉しく思いますわ」

親指を立てて見せる彼に、クスクス笑って見せることで応える。

「まぁ、ご親切にどうも……しかし、私は今少々懐が寂しくて……そうですわ、二人で宿代を出しあって、同じ部屋に泊まるというのはどうでしょうか?」

赤みの残った顔で、今度は正面を向きながら提案する。こちらに欲望混じりの好意を持っていると思われる彼ならきっと断らないだろう、そして、そうなれば後はこちらのもの……という打算も込めて。

エレイ > 「クレアちゃんね、ヨロシクだぜ。ミロクインとは中々変わった名字だがそのカッコのことも併せて考えるとキミは東の方辺りから来たのかな?」

名乗りを返されると満足気に笑って頷き、それからクスクスと笑みを漏らす彼女の顔を見つめて、軽く首を傾げながら問うて。

「──ほう……フフ、どちかというと半分は賛成だが半分は反対かな。同じ部屋で泊まるのは大歓迎状態だが、宿代は俺がおごってやろう。俺はこの国で冒険者もやってて収入あるからなその辺は大丈夫だべ」

彼女からの提案に、少し考えるような仕草をしてから笑顔でそんな気前のいい返答を寄越した。
そして彼女の側まで歩み寄って隣に立てば、差し出していた手をその細い腰に回し、軽く抱き寄せて密着させてゆき。
それでいいかな? と問うように笑顔のままほんのり赤い顔を覗き込み。

弥勒院クレア > 「ええ、まぁ。話せば長いのですが……」

にっこり微笑みながら、彼の言葉に対する返答は微妙に濁した。それについて喋る気になれない、というわけではない。

「……まぁ、よろしいのですか?ありがたいことですが……」

単に彼の言葉が魅力的で、すぐにでも宿にいきたいという気持ちが逸っているからだった。宿代を彼が払ってくれるというのであればこちらとしてはこれより都合のいいことはない。あとは、

「……いえ、お礼の方は後でたっぷりと……うふふっ」

彼の手が腰に回れば、自分から恋人に甘えでもするように身体を寄り添わせる。もちろん、彼の視線を集めていた胸を僅かに押し当てるというサービスも忘れず。端から見れば彼が娼婦を買ったようにしか見えないだろうが、それを誤魔化そうとする意味もない。

エレイ > 「……フフ、まああ細かいことについては後ででもいいぜよ」

濁したような彼女の返答に対し、男もむやみに追求する気もなく笑顔でそう言って。
こちらの腕に、抵抗もなく収まり寄り添ってくる彼女の身体の感触が伝わるとまた少し鼻の下を伸ばしながら、抱いた腰のラインをさすさすと緩く撫で回して確かめ。

「ンフフ、お礼か……どんなお礼をしてくれるのか今から楽しみで仕方がない。宿の方も、多分クレアちゃんも気に入ってくれると思うのだよ。こっからだとちょっと距離を歩くけど……んじゃ行こーかァ」

たっぷりと、と言われてニンマリと笑みを深めつつ。
そのまま彼女を促し、歩調を合わせて一緒にゆっくりと歩きだすとその場を後に──。

弥勒院クレア > 「ええ、貴方とならどこへだって参りますわ……なんて、ふふっ」

冗談めかしたようにそう言うと、自分は彼のことを特別気に入ったのだろうか、とふと思った。口調は奇妙であるが顔も身体も申し分なし。その上気前もいい。自分は御仏の教えを広めんとする身である以上一人の男に尽くすことは出来ないが、それはそれとして今夜はたっぷりと楽しみ、また楽しませようと改めて決める。
そんな風に思って身を寄せ合い歩く間にも、奇異や羨望の混じった男達の視線が注がれ、下腹部には密かな熱が帯び始めていた。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」から弥勒院クレアさんが去りました。