2016/10/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にソル・グラディウスさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にハーティリアさんが現れました。
ソル・グラディウス > 上空を見上げる。
街灯がほとんどなく、暗闇が立ち込める貧民区だからだろうか。
より一層、月明りと星の煌めきが確認することができ、ついそれに見惚れてしまう。

「…やっぱり、ここか」

視界を横に移せば、新聞紙を敷いて寝る人々。虚ろな目をして座っている少年、少女。
それぞれが事情を持っており、貧しいながらも生活している。
毎日毎日、よくもまぁ、必死に生きていると皮肉交じりに感心しつつ、通りを歩いていく。

路地でなくても危険な場所であるそこを、何も気しない様子で歩いていく。
それは彼が背中に背負ってる剣と戦いに絶対の自信があるからだろう。

ハーティリア > ふわっ、と男が見上げた夜空を過ぎった影一つ。
人が気付いたか気付かないかはさておき……お伽噺の魔女のように箒に腰掛けて空を滑っていたのは、小柄な男。
退屈しのぎにやってきた治安の悪いそこで……真下から感じた強い魔力に脚を……もとい、箒を止めて下を見下ろした。

「……こりゃまた、すごい魔力だぁねぇ。」

陽光を煮詰めて捏ね上げたような光の魔力に興味をそそられ、そのままふわりと、地面に向かって降りていく。
ちょうど、貧民を見ながら歩いて行く黒ずくめの彼の前に。

「ごきげんよう、良ーい夜だぁね。そこの兄さん。」

長身の男の目の前、箒に横乗りに腰掛けた小柄な男が、ふわりと浮きながら挨拶を投げていた。

ソル・グラディウス > 生活に苦しむ貧民を眺めつつ、そろそろ本題へと移ろうかと前を向き直る。
すると、突如風向きが変わる。
その様子に違和感を覚え、前を見据えれば小さな男性が杖に乗って現れた。

「……何だ?」

目を細め、その男を観察する。
杖に乗った小さな男性。見たところ此方に敵意や殺気を持って声を掛けてきた様子ではない。
彼の風貌や箒での芸当を見て、正体を探りながら警戒心を深める。

(魔法使い…?何ともまぁ、ありがちな…箒かぁ)

眉をひそめてその男性を見据える。
彼の乗っている箒、それが浮いているのを確認すれば正体について大まかな予想を立て始める。

ハーティリア > とん、と箒から腰を下ろし、浮いたままの箒を手にとって背中のベルトについた金具に引っ掛けるようにして背負う。それだけの仕草だが、妙に艶っぽく周りの人間には見えるのか……特に男の目を引いていた。魔術というよりは、そういう体質のように、故意の魔力の動きはなく。

「いやっはは、面白い魔力を感じたんで飛んできちまったわ……随分、物騒なモン背負ってるねぇ?」

彼の持つ剣をそう評する。どういう剣か、を見抜いたわけではないのだが、その溜め込んだ魔力は破裂でもしたらこの町がクレーターに変わるだろうという程度にはわかるらしい。

「まあ、それは良いや……えっと、どうしようかね。こういう時は名乗るのが先かい?」

なんて、人懐っこい笑みを浮かべて、愛嬌を滲ませ問いを一つ。

ソル・グラディウス > 目の前の男が箒から下りてそれを片付ける。
その一連の動作に周囲の空気が変わったのを感じ、横を見る。
周囲の貧民、特に男性の視線が彼に集まり熱っぽい視線が集中しているのに困惑する。

「…はは、この剣の良さに気付くなんて中々やるな」

背中の剣について言及されれば、一層と深まる眉間の皺。
深呼吸をし、下を少しだけ俯けば笑顔でそう返す。
しかし、その瞳には楽しいという感情が無いという事を彼には見破れるだろう。

「あぁ、そうしてくれると助かる…名前は?」

人懐っこい笑みを浮かべる彼とは正反対に警戒しかないこの男。
ラフに話しかけ接するもいつでも剣を抜く準備は怠らず

ハーティリア > 「お褒めに預かりどうも。」

一瞬眉間に寄った皺を、隠すように笑みを浮かべた彼にこちらは苦笑いを浮かべる。でもまあ、男に気付いた理由はそれなのだから、嘘を吐いても仕方あるまい。魔法使い……いや、淫魔の一挙手一投足は、見る男の「雄」をくすぐるようで。

「おじさんはハーティリアって言う、まあ一応しがない『花売り』のつもりさな。……そう警戒しなくても、物を盗りに来たわけでも、喧嘩を売りに来たわけでもねぇやな。手に負えないもんはもう抱えてるから、これ以上は要らねぇわ。」

そう言って、クツクツと……喉を鳴らすように笑いを零すと、ちらりと彼を見上げ。

「……ま、退屈しのぎに来ただけよ。そう邪険にしねぇでおくれ?」

ソル・グラディウス > 苦笑いで返される。当然だ。
いくら笑顔を取り繕うと目が笑ってないし、そもそも放つ殺気や敵意を消しきれてない。
もう少し表情の練習をせねばと頭を抱えため息を一つ。

「…その成りで『花売り』なんざ笑わせるな…って言いたいところだが、お前、何か持ってるだろ?
 まぁ、俺には効いてねぇみたいだからいいけどよ…俺はソル。ソル・グラディウス。ここでは冒険者をやってる。」

周囲の男の様子が変わった事、大層な箒で登場したことを踏まえそう聞く。
魅了の類だろうか?自分には効いておらず、とりあえず自身も自己紹介する。
彼の雰囲気や言動から見ても敵意や悪意は感じられず、徐々に警戒を解いていく。

「ちょっと前までの俺なら『退屈しのぎで近寄るな~』つって斬ってたけど運がよかったな。
 つっても、俺で特に楽しめるか、怪しいところではあるけどよ」

見上げる男性に苦笑いしつつ歩き出す。
少し前、イライラ期の男性ならば否応なしに彼に斬りかかってただろう。

ハーティリア > 「む、失敬な……ちょっと冒険者を兼業してるだけさな。これでも一晩3000ゴルトは稼げるっての。」

と、文句を返すが、彼とは逆に本当に気を害した風は無く、少しすればまたクツリと小さく笑って。

「持ってるって、怪しい物使ってるみたいに言わないでおくれな。単に俺っていうか、俺の魔力自体が男の目を惹きやすいだけよ。まあ、そういう術を使えるか使えないって言ったら使えるがね。」

警戒を解く彼が告げる言葉におや、と小さく声なぞ漏らす。どうやら運が良かったらしい。

「へぇ……まあ、たしかに運が良かったやもな。おじさんはまあ、それはそれで面白そうではあるけども……こんなとこでそんな剣とヤりあおうと魔法使ったら、周りを巻き込まない自信ねぇもの。」

ま、そもそも勝てるか怪しいけど、なんて笑うのは、極端に相性が悪いせいか。夜魔の呪術師に陽光の魔力をひしひしと感じるそれは、些か以上に荷が重い。

「そうさな……まあ、おじさんは遊んでくれたら嬉しいけども……そういえば、ソルはどうしてこんなとこに?」

こんなとこ、というと住んでいる人に失礼ではあるが、それ以外に形容できなかったらしく、近づいてくる彼にそのまま口にして首を傾げ。

ソル・グラディウス > 「…意外だ。なるほど。ただの浮かべるじじいだと思ったら『そっち』寄りだったか?
 その見た目でって思ったが、魅了ってのは案外バカにできないな」

彼の言葉に驚きつつ、そう返す。
まさかこの小さな中年男性がそんな額を稼げるなんてと思っていたら魔力が男を引き寄せやすいと聞き納得する。
所謂、淫魔の類であったかと腕を組んで心底納得する。

「あぁ、俺はつぇーぞ。素直に戦うのはやめときな。
 俺は勘弁だ。…あぁ、ただ月見をな。この地区ではよく見えるんだ」

軽く自分の強さを主張して、戦いを避けることを勧める。
彼との戯れはとりあえず良いと遠慮しつつ、当初の目的を彼に告げる。
頭上を見上げ、そちらへ指を差せば三日月が綺麗に輝いており、月灯りが周辺を照らしていた。

ハーティリア > 「意外って……まあいいやね。気を引きやすい仕草や動きを知ってるってのもあるがね。」

そこは魔術でなくて、技術の類だ。相手の視線や心理を引き寄せる手際も、花売りにはそれなりに重要なわけで……もちろん、一番は床の技術だが。

「ふふ、そうさな。しがない花売りじゃ敵わねぇから止めとくさな。」

どうせ勝負するなら、床の上のが良い、なんてケラケラと笑いつつも、彼の視線を追うように見上げれば、輝く三日月に目を細め……ゆるく、彼の隣に脚を進める。

「確かに、良い月だぁねぇ……遮る雲が無いから、火照りそう。」

月には魔力が宿る……太陽の加護がある彼とは対照的に、月と闇の魔力を操る呪術師は、月光と共に浴びた魔力に、ほぅ、と息を漏らして。

ソル・グラディウス > 「花売りとしての技術って奴か。大層なことでまぁ…」

帽子を被り直し、そう呟く。
自分は専ら護衛や討伐やら採取やら、純粋な肉体労働なためその様な技術は必要ない。
とはいえ、何人もの女性、時に男性と一夜を共にしているために技術が拙いという訳ではない。

「そうだ。やめときなおっさん。
 ……おい、やめろ。そういうのは勘弁してくれ。いや、マジで。」

帽子を深々と被り、通りを歩いていく。
ケラケラと笑う彼に苦笑いしつつも『火照りそう』という言葉に困惑し、そう告げる。
ここで発情されても困ると若干焦り気味に、そして彼から離れるように早歩きになる。

ハーティリア > 「患者を宥めるのにも使えるしね。」

彼の呟きに、答えたわけではないだろうがそんな呟きを男も零す彼が困惑したように言葉を重ね、逃げるように早歩きになるとクツクツと楽しそうに笑い。

「なはは、冗談冗談……って、言いたいけど、おじさんが『そっち』だって分かってんだろう?なら、何が飯かもわかるだろうに。」

魔法使い、の割には彼の早歩きにスタンッとついていける程身軽な男は、冗談だと一度口にしながらも、彼の脚を止めるように腰回りに抱きつこうとして。

ソル・グラディウス > 「はは、物好きな連中をあやすのは得意だって訳だ」

そうやって笑えばそそくさとその場から逃げようとする。
妙な笑い声で楽しそうにしている彼を横目で見て、少しばかり不気味に思えば、早歩きのスピードが速まる。

「…何だ。冗談かよ。…っ!?」

冗談という言葉を聞き、歩くスピードを緩めて男性の方を振り向こうとしたとき、彼が接近し抱き着こうとしてくる。
ひらりと横へステップし、それを回避すれば途端に息が荒くなり心臓の鼓動が速くなる。

「お前、何やってんだよ!?」

驚きで頭が混乱しつつ、背中の剣を抜く。
剣に触れたことで瞳が煌めくがその瞳は混乱と緊張が入り混じり、彼に対して強い警戒心を抱く。