2016/10/09 のログ
フォーク > 「ありゃ、たどり着けそうにないな」

貧民地区で道に迷い悪戦苦闘している少女を、定宿の窓から見下ろしている男。
ずっと少女が地図とにらめっこしたり行っては戻ってきているのを見ていたのだが、さすがに不憫に思えてきた。
この街のことなら多少詳しいと自負している。それに困っている少女がかわいらしいことも、男の善意を猛らせた。

「そーれいっと!」

男は天窓から屋根に上ると、少女の前に飛び降りた。
いきなりでっかい男が降ってきて、少女は驚くかもしれないが、これが一番ここにくる近道だった。

「どうしたい、お嬢ちゃん。道にでも迷ったかい?」

と、訊ねてみる。

シルヴィア > (今までは手を引いてくれる人がいた。導いてくれる人がいた。けれども・・・今は、違う。自分の足で歩き、判断しなくてはならない。それは理解している。理解しているけれど・・・最初の一歩で躓いて、泣きそうである。・・・泣かないけど、泣かないけど。・・・落ち着け、もう一度入り口から座標を再計算しよう・・・。)

入り口から、ここ・・・ここを、こう曲がったから・・・。

(ぶつぶつつぶやきながら地図とにらめっこする少女。目的地は宿屋である。とりあえず、身体を休める今日の寝床を確保したいのだけれど・・・地図を指でなぞり、辿ってきた道を再計算し、だいたいの位置を把握したのなら、もう一度目的地へ歩きだす――。)

――ッ!

(そして、誰かが飛び降りてきたのなら、少女の中の戦士が目覚める。元より、冒険者として修羅場をくぐってきた身である。例え、見た目が幼い少女のようにしか見えなかったとしても、その身は間違いようのない戦士である。思わぬ敵襲に回路を起動させ、条件反射で彼の身に掌底を打ち込もうとして。少女の細腕だ。大した威力などないだろう、と侮るなかれ。その細腕は魔力によって研ぎ澄まされた細腕だ。そのまま受ければ魔力の衝撃破が彼の肉体を撃ち抜くだろう。・・・条件反射にしては、ちょっと過激かもしれないが、いきなり飛び降りてきた貴方のアクションを恨んで欲しい。)

フォーク > 「おろ?」

驚いたり泣き出したりするかもとは考えていたが、まさか攻撃をしてくるとは考えていなかった。
小さな掌底が胸元にあたる。何をするのかと思考を巡らせた瞬間、自分が天高く跳んでいることに気がついた。

「なんのっ!」

空中でくるくるくるっと身を翻す。
そのまま、華麗に着地!!!
……と思いきや貧民地区には実に珍しい馬車に真横から追突され、カエルのように地べたに突っ伏したのである。
馬車は男をはねたことなど気にせぬ様子で、街の彼方へと去っていった。

「お、驚いた。フォークちゃん、さすがに馬車はびっくらこいた……」

呆れたことにボロボロになってはいるが、大きな怪我はしていないようである。
こんなことになった原因である少女を思い出し、顔を上げて周囲を見回す。

シルヴィア > (シュウゥゥ、と掌から煙を吐きつつも自分が条件反射でやったことに気がつけば)

・・・あ。

(つい、やってしまったことにやばい、みたいな顔をした汗を1滴たらりと垂らす。いやまぁ、しかし・・・突然落ちてきたしきっとあれは刺客かなにかだったのだろう。必要な犠牲だった・・・うん。と、自分を納得させるように頷く。・・・なんかコンボもされてたし、ちょっと無事ではすまないかもしれないが、あれは刺客だったから仕方なかった。向こうもきっと覚悟していた、うん・・・。と、現実逃避をしていればむくりと何事もなかったかのように起き上がる彼。)

・・・。

(生きてたの?と、言いたげな無表情の視線が彼に向けられる・・・。)

フォーク > 少女がこちらを冷めた面持ちで見ていた。
男は立ち上がると、馬車にひかれて乱れた御髪を整える。
そして少女の側に歩み寄ろう。

「ちょいと、驚かせちまったかな?」

にひひ、と愛想笑いをしよう。ここまでして少女を気にかける必要などないのだが、
得体の知れない力を持っているようなので、野放しにしておくのも少し怖い。
どうやら道に迷っている様子なので、手を貸すことで敵意がないことを示しておこうと思った。

「どうやら道に迷っているみたいだな。ここらへんは道が複雑なんだ。どれ、どこに行きたい?」

地図貸してみな、と手を差し出して。

シルヴィア > (こちらに歩みをすすめるならば、少女からは警戒心と敵意が向けられる。今の少女にとって、彼は刺客だ。ついさっき、そういうことになった。そういうことになったので・・・彼は敵なのだ。たぶん。構えを取り、魔力を滾らせ、油断なく彼を見つめよう。)

・・・え?

(そして、彼が好意的にこちらに声をかけ、地図を貸してみな、なんて言われれば多少は警戒心を解くか。そして、彼の言うとおりその古ぼけた地図を差し出す。そして、それを見たならばその地図は相当昔のものであることがわかるだろうか。それも10年20年とかいうレベルではなく、100年単位で。もし、彼が歴史に詳しければだいたいどの辺りの年代の地図かわかるかもしれないが・・・それはそれとして。少女は指でここに行きたいのだけれど、と宿を示すけれどそれは果たして残っているのか怪しいものである。)

フォーク > 「んー、どれどれ?」

少女から地図を借りる。
まずは現在位置を把握しようとするが、どうにも不可思議な地図だった。街の地理に関しては一通り記憶しているつもりだが
地図に載っている建造物の名前はおろか、街の形すら男が記憶しているものではない。

「え~。ちょっと待てよ、うん」

穴が開くほど地図を目視して、ようやく名前に覚えのある修道院を発見した。寺院は何百年前からあるものも珍しくない。
そこから方位を確認して、少女の行きたい『宿』とやらを推測する。

「なあ、これってどれくらい前の地図だい。こんな地図は古道具屋に持って行くといいぜ、高く売れるよ」

とはいえ、なんとなく場所は理解した。少女に付いてくるように促せば、歩き出すのである。

シルヴィア > ・・・?

(どうにも相手の様子はおかしい。不思議なものを見るような目で地図を凝視し、先程までの自分と同じように格闘しているように見える。)

・・・あなた、地図読めないの?

(この少女には言われたくないだろうが、真顔でそんなことを尋ねる。もしかして彼はちょっとかっこつけてみたけど実は地図読めなかったりするんじゃなかろうか。方向音痴なのではなかろうか、と。男はかっこつけたがる生き物だっ、て言ってる人もいたし・・・ちょっとかっこつけにきたのかな、なんて失礼な事すら考えて)

・・・そんなに、昔なの?

(地図を受け取れば少し悲しそうな目をしながら彼を見つめよう。この地図は魔力が枯渇し、眠りにつく前の少女が持っていた地図である。あれからどれくらいの年月が経過したのかわからないが・・・もし、結構な年数が経っているのならば、それは少し悲しいものだ。寂しい、ものだ・・・。時間において行かれた少女は、寂しそうに目を伏せながらも、彼のあとをとぼとぼとついていくだろう。・・・とりあえず、これからどうするにしても宿は確保しなければならない。)

フォーク > かっこつけに来たのかと問われれば、それはもう間違いなくかっこつけに来ているのだ。
男は女の前で、かっこつけないと生きていけない生物なのである。

「そうだなあ。俺のおじいさんのおじいさんのそのまたおじいさんのおじいさん……ってくらい昔かな」

少女の探していた場所にたどり着く。
政権が入れ替わったり、持ち主が手放したり、災害が起きたりなどで、その宿のあった場所は空き地になっていた。
たまに貧民地区の貧しい子供たちが遊んでいるくらいである。手入れをする者もいないので草が乱雑に伸びていた。

「ここに何か用があったのかい。あんたが期待しているようなものは、きっとないと思うぜ?」

少女がとても寂しそうな顔をしていた。ここで見捨てられる程、男は酷薄ではない。

「事情があるんだろう。とりあえず、うちに来いよ。話きくぜ」

と、自分の定宿に案内するのである。

シルヴィア > そん、なに・・・。

(感情表現が割りと希薄な少女であるが、流石にショックを隠せないようである。せいぜい、数年程度・・・長くても5年かそこらだと思っていたのだが・・・よほど魔力のたまりが悪い地域で力尽きてしまったようである。それか、もしくは最期に相手をした魔族の呪いかなにかか。そして、少女の目的地にたどり着けば)

うそ・・・。

(そこには、もう何も残っていなかった。草が伸び放題で、もう何年も手入れされていないことが伺える力なくよた、よた・・・と前に出てみれば嫌でもその 置いて行かれた 事実が胸を打つ。まるでここで過ごした日々が嘘だったかのように――。
ここは、自分の相棒や、その仲間達のたまり場としてよく使用していた宿があった場所だ。いつも仕事をこなしては、仲間達と分前を分けて、仲良くご飯を食べて、時には喧嘩して・・・そんな楽しい時間を過ごした場所。その記憶に嘘はない・・・嘘はないのだが、こうして跡形もなくなくなっているのを見ると。)

私は・・・置いて行かれてしまったのね・・・。

(声が、肩が震える。嫌でも目から涙が流れる。変わり果てた王都、変わり果てた空気、変わり果てたかつての居場所・・・嫌でも実感する。自分は・・・時間において行かれてしまったのだと。)

・・・うん。

(とりあえず、心を落ち着ける時間が必要だ。身体を休める場所も。これから、何をするにしても。その為には彼の提案はありがたい提案だと。すっかり意気消沈した様子ではあるが・・・トボトボ、と彼の後を無言でついていって。)

フォーク > (なんだか知らないけど、複雑な事情があるんだろうなあ)

女の涙には弱いのである。泣いている少女の前を歩きながら、小さく溜息をつく。
ハンカチなんて上等なものは持っていないので、貸すこともできやしない。
結局、少女と出会った場所まで戻ってきてしまった。

「ここが俺の住んでいる宿さ。少しずつ金を貯めて、近々丸ごと買い取ることになってるんだ」

貧民地区なのでそう地価も建造物も高いものではない。なので家を買おうと物件を探していたら
宿の主が高齢を理由に故郷に戻ろうとしているらしく、土地・家つきで丸ごと譲り受けることにしたのである。

少女を室内へ案内する。
男一人暮らしの簡素な一室だった。ベッドと棚と大量の本がぶちこまれた箱、テーブルくらいしかない。

男はワインをグラスに注いで少女に渡す。基本的にこの部屋にはワインと水しかない。水はさすがに侘しかろう。

「まずは呑め。落ち着くよ……と、そうだ。自己紹介するぜ。俺はフォーク・ルース。傭兵さ」

シルヴィア > ・・・お金持ち?

(自分と彼らもそこそこ稼いでいたと思うのだが・・・土地ごと買い取り、なんて事はできなかった。それを可能としているのなら・・・彼は結構な金持ちなのではないか、と推測するのだが・・・。
実は王国の騎士団の隊長やってます、とかあるのだろうか・・・。
そして、ワインを注がれたのなら ありがとう とお礼を告げる。・・・お酒は割りと嫌いじゃない。何故か お前、俺のいる時以外は飲むな、なんて彼は言ってたけど・・・彼はもう、いなくなってしまった・・・だろう。だから、いいよね。)

私を置いていった貴方が悪いんだから・・・。

(八つ当たりなのは知ってる。彼はただの人間だった。100年を生きるのは流石に無理があるだろう。けれど・・・今日くらいは八つ当たりさせて欲しい。むぅ、と頬を膨らませながらつぅ・・・、と頬を涙が滑る。)

シルヴィア。シルヴィア・フリクセル。冒険者、やってた。・・・今日はありがとう。

(今はその登録も消えてしまっているだろうけど。おそらく、死亡 という扱いで。力のない表情を見せながら、彼に名乗りを返そう)

フォーク > 「金持ちがこんな汚い鎧を着けているもんかよ。必死に……ってほどでもないけど命がけで働いて貯めたのさ」

性格上、地道に稼ぐことができない男。戦場でしか生きる道を知らない男。戦場で命を種銭にして、ようやく家一つ持つことができた。
宿を買い取るので、将来傭兵団を興した時の宿舎にすることも視野に入れていた。

「気にするなって、相身互いさ。じゃ、シルヴィア。とりあえずこの出会いに乾杯だ」

と、グラスの縁同士を軽くぶつける。
少女の涙はそう簡単には止まらないだろうが、よっぽどのことがあったのだろう。無理に慰めることはしない。

「好きなだけ呑んでいいぜ。生きていりゃいろんな憂さが湧いてくるからな。
落ち着いたら事情を話してくれや。ひょっとしたら何かの助けができるかもしれねえし……」

冒険者だそうだ。自分も冒険者のまねごとをしているので、冒険者ギルドを紹介してもいいなと考える。

シルヴィア > 意外。あなた、一攫千金を狙って無一文になるタイプに見えた。

(第一印象であるが、相手が宿に招いてくれた恩人であろうと、すっぱりと気遣いなどまるで無く言葉を紡ぐ。彼は宵越しの銭は持たないように見えたが・・・こんな大きい家をもつ辺りを見るとそうでもないのだろうか。)

ん、かん ぱい・・・。

(出会いがあった。けれど、失ったものは大きい。あまりに、大きすぎる。彼には悪いのだが、まだ涙は止まらなくて・・・ワインに、ぽたり と、時折涙が垂れるだろう。)

うん、そうする・・・。

(そう答えたのなら、数分程度でワイングラスを空にして おかわりくれる? と、僅かに赤い顔でおかわりをねだろう。嫌なこと、辛いことがあったのだ。酒のちからに頼ってでも、乗り越える為に今は飲みたい・・・。)

フォーク > 「その通りさ。だか、当たればでかい。今回はたまたま当たりがでかかったんだな。だから無くす前に使い切っちまった」

一攫千金を狙って戦場に立った。普段はなかなか手柄を立て辛い陣に配置されるのだが、珍しく敵軍の総司令官を捕縛できた。
その身代金の一部を報酬として受け取ることができたのである。貴族にとってははした金でも貧乏傭兵には大金だった。

「おかわりはいいけど、あんまりいい酒じゃないからな。飲み過ぎると悪酔いするぞ」

少女のグラスにワインを注ぐ。やや黒みがかった赤いワインはブドウの皮の処理があまく雑味が多い証拠。

「旦那と別れでもしたのかい?」

薬指にはめている指輪が気になったようだ。これほど泣いているのだ、おそらく亭主に捨てられたか死なれたかとでも
思ったのである。

シルヴィア > ・・・やっぱり博打屋じゃない。

(じろり、と咎めるようなジト目を向ける。未だ2杯目であるが、顔は明らかに真っ赤になりつつあり、警戒心も明らかに薄れ、声も少し明るさが混じりだした頃であろうか。・・・この子はお酒は好きであるが、結構に弱そうである。 2杯めにつがれた時点で彼の忠告に対し 気にしない、きにしなぁい、とか言ってた始末である。)

・・・。そう、ね。きっともう、死んでしまった、と思う。

(赤い顔ながらも、寂しそうにその指輪を撫でる。古ぼけてはいるが、少女の命よりも大事なもの と、はっきりいえる程に大事なもの・・・である。)

その死に際を看取った訳じゃないけど・・・ちょっと、待たせすぎてしまったから。だから・・・きっと。

(もう、この世にはいないだろう。流石に人の身で100年は耐えられまい。彼の話を聞く限りでは、あの地図は相当古いものらしいから・・・きっと、それくらいは経っているのだろう。)

フォーク > 「俺はどうも地道に生きることができねえ性分でな。なら性分に合わねえ生き方はしない方がマシってもんさ」

合わない生き方をしても苦しいだけである。男には山師の才覚があるらしく、博打ごとは向いているようだ。

「そうかい。それなら旦那のことは忘れちまった方がいい。死人に縛られても得はないよ」

随分と冷たい言い方をすると思うかもしれない。しかし傭兵である男は戦友の死を胸一杯見続けてきた。
死人に対する想いは、時に本人を死へ引きずり込むことがある。少女にはそうなって欲しくはなかった。
それに自分が彼女の旦那だったら、自分のことは忘れて人生を謳歌してもらいたい。
生きていることは、それだけで素晴らしいことなのだ。

「どうしても無理なら、旦那を丸ごと自分の心に納めてしまうことだな。
旦那を自分の心の一つにしちまうんだ。そうすれば、旦那は死んでないってことになる」

本当の死は、この世にいる誰の心からも消え去ることだと男は考えている。
ならば旦那の存在を丸ごと飲み込んでしまえばいい。そうすればいつだって死人と心を通わすことができる。
そんなことを語りながら、また少女のグラスにワインを注いだ。

「ま、こんなことを初対面の俺がいうのも、失礼な話か」

シルヴィア > (――ドンッ!という、ワインが机に強く置かれる音が響く。そして、少女の顔にははっきりと感情が浮かぶ 悲しみと・・・怒りだ。そして、そのまま感情を叩きつけるように・・・口を開く。)

――嫌ッ!忘れたく、ないっ・・・!あの人は私に全てをくれた・・・命も、自由も、心も・・・!あの人の隣に寄り添った日々・・・忘れたくなんて、ないっ・・・!忘れられないッ・・・!

(少女の想いは生半可なものではない。相棒として、彼の隣に寄り添い、妻として彼を支え続けた。心を抱いて、命を持ったその瞬間からずっと・・・ずっと、一緒にいたのだ。忘れたくても、忘れられない。あの人は・・・私の、全て だったんだ・・・。)

シャルを・・・、私の心の中で・・・。

(シャルは生きている。私の心の中で。この、胸の中で生きている・・・。そう想像してみれば聞こえる気がする。シャルが、彼が私を呼ぶ声が。好きだった、快活に笑い飛ばす顔が、見える・・・気がする。 ――何やら闇落ちしかねない方向に進んでいるような気もするが・・・少女にとって、今はそれが最適解に見えたのだろう。彼の言うことを実践することにした。 シャルは、彼は生きている――私の、心の中で。)

いいえ。・・・少し、楽になった気がする。ありがとう。

(なんて、お礼を告げしばらく彼と話していれば疲れとお酒が入った影響か、その場ですーっ、すーっ・・・、と小さな寝息を立て始め、寝落ちしてしまうだろう。その表情は、満足したような幸せそうな顔で。少女は、とりあえずの答えを得たのだろう・・・。)

フォーク > 少女の怒りを、男はずっと優しい笑顔で聞いてきた。
一番大切なことは、心の中に澱のように貯まっている想いをぶちまけてしまうことだ。
少女はおそらく自分の本音は漏らさずに生きてきたタイプだろう。そういう人物は往々にして気鬱になりやすいものだ。
男にはただ黙って話を聞いてやることしかできないのである。

「眠っちまったか」

少しは気分が落ち着き、緊張が緩んだのだろう。少女が寝息を立て始めた。
このままテーブルに突っ伏させておくのも可哀想なので、男は少女をお姫様だっこで抱える。
軽い。この軽い体で、どれだけの想いを抱えてきたのだろうか。

「男くさいベッドだけど、我慢してくれや」

少女を自分のベッドに寝かせる。
さて、今夜自分はどこで眠ろう。少女を前に腕を組んで悩むのであった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からシルヴィアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からフォークさんが去りました。