2016/08/14 のログ
■ヴィール > 合った視線。少しの間があって、逸れる。
視線が逸らされたことについては何も言わない。絞り出すような声音に耳傾ける。
「――ひどいことか。悪ィけど、興味あるかも」
「別に気持ち良いことがいけないこと、ってわけじゃねぇよ。俺はそう思う」
立ち止まり、顔を伏せる彼に歩み寄る。
ほとんど身長の変わらないその顔を覗き込んだ。
「……組み伏せたりとかはしねぇ。でも優しくなら、そういうことしてやれっけど…」
彼の手を掴み、指を絡ませて握る。
顔を寄せ、後少しで唇が触れ合う程の距離で囁きかける。
「……まぁ、素敵かどうかといえば自信ねぇけどな?」
■ツァリエル > 「あ――」
覗きこまれた顔、視線の力強さにぎくりと金縛りにあったかのように身を硬くした。
涙で濡れた指を引き寄せられ、絡ませられると相手の体温が直に伝わる。
その吐息も間近に感じられる。
微かに開いた唇が戦慄いて、あ、とかう、とか言葉にならない呻きを発する。
顔を逸らしたいのに逸らせない。このままでは互いの唇が重なってしまう。
のろのろと無意識に後退り、民家の壁に背中をぶつけた。
鼓動が激しくなるにつれて、徐々に顔が紅潮する。
きゅっと唇を引き結ぶと、
「……あなたが、したいのなら……僕で、よければ」
言い訳めいた言葉を熱を帯びた吐息とともに漏らす。
後ろめたそうに潤んだ目を伏せ、握られた手を握り返した。
抵抗する力はもうなかった。
■ヴィール > 紅潮する頰、高鳴る鼓動を間近に感じる。
吐息を感じ合う程の距離で眼差しを絡ませ、問うように絡ませた指を握った。
「……んな怖がる必要ねぇって。お世辞にも優しい顔じゃねぇけどさ」
そして耳に届く、了承の言葉。
後ろめたそうな彼の仕草に対し、此方は緩く微笑む。
人気のない路地。夜にこのような場、誰が来る心配もない。
抵抗する気を失くした彼の顔に、ゆっくりと唇を寄せていく――。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からツァリエルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からヴィールさんが去りました。