2016/05/06 のログ
■セラ > 魔族の奴隷が娼婦をさせられていると小耳に挟んで、様子見に来てみたはいいものの。どうにも、情報の精度が怪しく見つからない。
元々が信頼性に乏しい情報だったから、こんなものかもしれないと元々の期待値の低さからちょっと残念だという程度の感覚で引き上げる事にしようかと思ったところで、視界の端で注意を引く者を見て足を止め。
「……エルフ耳」
あの耳は、人間ではないなと特徴的な耳にじっと視線を注ぎ。
少しばかり考える間をおいてから、とことこと足早に近づいていき。
「もしもし、そこのお嬢さん。この地元の人かな?」
地元の人外ならば、地元ならではの情報を持っているやも知れぬと警戒されぬよう笑顔を心掛けつつ、声をかけ。
■リリア > (近くで客引きをしていた娼婦と思わしき女性がそこそこ端正な顔立ちをした綺麗な身なりをした青年を捕まえ、自分の働く娼館へ入っていくのを見つめる。・・・自分も娼婦と間違われたのか、 ふっ と勝ち誇ったような笑みをされながら店に入っていったが・・・今の状態が長く引くようならば、自分も客引きとか考えなくてはいけないかもしれない。自分が あんな風に たかが人間の男風情に 可愛らしく媚を売って はしたなく腕を組んで抱きついて誘惑して。 ・・・正直考えたくはないが、最終手段として覚悟しておかないといけないかもしれない。)
・・・。
(でも、もし魅了ではなく、体を使った誘惑が必要になったならば、あんな感じの子が良い。綺麗で美しく、美味しそうな体をしてる。なんの力も持っていない、人間の男に抱かせるくらいであればせめて見目くらいは美しい相手でないと割に合わない。・・・というかあの子欲しいな。美味しそう。そんなことを考えていればふとその子から声をかけられれば)
・・・私?
(少し驚いたように目を見開き、指を差す。調度ちょっと声かけようかな・・・とか考えていただけに向こうから来たのは驚きだ。)
えぇ、旅の者ではありますが拠点はこちらに。・・・私に、何か?
■セラ > なぜか驚いた様子を見せる相手に、不思議そうに小さく首を傾げてから、その通りと頷き。
「そう、あなた。しかし、旅の者……か。拠点をここに構えているというのなら、この近辺で魔族が働いているとか、働かされているとかそういう噂などを耳にした事は?」
旅の者と聞いて、残念そうに眉尻が下がり。考えるように視線を泳がせながら間を置き。
まあ、それでも訊いて損は無いと、情報収集のために問いかけながら、改めて相手の姿に視線を走らせ。飾りとして付け耳しているという風でなし。何の種族だろうという好奇の色がちらりと覗くその視線。
■リリア > ――魔族?
(一瞬、どきりとするが・・・それは顔を出さないように。あまり好きではなかったが・・・この手の腹芸はそれなりに出来る方だ。一瞬で看破されることはあるまい。んー?と、不思議そうに考えるフリを見せ)
聞いたことがございませんねぇ。生憎私はそこまで情報痛ではございません故。・・・その手のものはギルドなり酒場なりで聞き込みをした方が宜しいのでは?・・・期待に添えず申し訳ないですが。
(と、眉尻を下げて申し訳なさそうに悲しそうな顔を浮かべるだろう。――心の内のどれ程そう思っているかはわからないが。)
しかし・・・まぁ、ここはこんな娯楽の多い地域です。噂に聞く人の精を喰らうという夢魔などが忍び込んでいてもおかしい話ではないと思いますが。
(辺りに立ち並ぶのは娼館。そして、連れ込み宿。人の精を喰らうのに効率が良い、として娼婦として忍び込んでいてもおかしい話ではないとは思う。・・・まぁ、彼女が聞きたいのはどうにもそういう話ではなく、無理矢理働かされている者がいないかどうか、という話な気もするが・・・。)
――エルフが、珍しいですか?
(ふと、好奇心旺盛にこちらを伺う視線にそう応えよう。実際の種族は別であるが・・・人の町ではそう名乗ることにしている。)
■セラ > 「ああ、やはり。いや、旅の者というから念の為程度にと。人外ならでは、その手の情報に近いかと思っただけで」
申し訳なさそうな表情に、気にしないでとばかりにひらりと小さく手を振り応え。やはり、相応の場所と相手で聞き込みをしないと、望む情報は手に入らぬかと、小さく息を吐き。
「人の精を喰らう魔族……か。なるほど、そういう目で見れば食事場所としては悪くないか」
そういう視点では見てなかったなと、改めてあたりを眺めて、ここを餌場にしている魔族の情報が伝言ゲームで変質した可能性もあるかと、色事の相手と場所には事欠かない風景に脳裏で検討をし。淫魔の類ならば、その手の相手として使い出があって高く売れると、どちらの可能性も十分にあるなと結論して、探索の打ち切りは早いと結論。
「珍しいといえば、珍しいと思うが。あまり、人の街で見かけるものではない……が……」
問われて、じろじろと相手の耳を眺め。
この耳だけを見れば、エルフに思えるが。本当にエルフだろうかと、ちらりと疑惑が浮かぶ。言われてみれば、確かにここは餌場には良さげな場所。魔族の情報と重ね合わせて考えると――と相手の正体に疑惑が浮かぶが、堂々と人外の証を見せびらかしてとなると違う気もするなと、疑問が堂々巡りを始めて、悩む様子で首を捻り。
■リリア > 旅の者ならではの情報網もありますが・・・その手の情報はやはり――蛇の道は蛇。この辺りを住処などにしてる者に聞くのが宜しいかと。
(まぁ・・・情報の探し場所くらい教えてあげるのはいいだろう。事実、自分は同族が働いてる場所なんて特にこれといって把握はしてないが・・・まぁ、あってもおかしくはないと思う。しかし、その手の情報はやはりこのような旅人よりも身内が強いと思う。)
まぁ・・・そういう事をしてる子がいるかもしれない、という例え話ですよ。実際にいるかどうかは私としてもわかりません。
(無論、魔力の残り香なんてものを追えば見つけられるかもしれないが・・・そこまでしてやる義理もなければ余裕もない。未だ諦めた様子のない彼女であるが・・・自分の助力はここまでだろう。)
――ところで。そういう魔族の情報を追う貴女は何者でしょう?どうにも狩人・・・という雰囲気ではございませんが。
(と、次はこちらから彼女に問を投げる。そろそろ魅了をかけてその首筋に牙を突き立てたいのは山々であるが・・・いくら治安が悪いと言ってもまだある程度は人の目がある。前回も調子に乗って失敗したばかりだ。今回ばかりは少し慎重にいこうか。)
■セラ > 「蛇の道は蛇か。まあ、続きはそちら方面にあたるとするか」
情報を耳にして、自分の手が空いていた。ならばと、ついでのように調査活動をしてみたが、こういうことはやはり不得手だと自覚する。旅の者よりも、地元の、その手の職の者にあたるが良いというのは道理だと頷き。
「いや、実際にそうしている子がいると旅の者にまで噂されているのはそれはそれで、マズイ気がするのだが……。そうか、例え話か」
旅の者にまで、そのような悪評というか情報が流れているのなら、地元の人間にはもっと話が流れていて討伐対象になる騒ぎになってそうだが、例え話というのならそのような噂は流れてはいないのだろうと、安堵し。
とはいえ、つまみ食いする子などはいそうだなと、今後の事を考えると定期的な調査などが必要かもと脳裏にメモし。
「ふむ……狩人ではないが。いや、そう通りすがりの姫としては、街で不穏な噂があったという事で少しばかり、調査を……な?」
さすがに、ここで真実をぶっちゃけるのはいかぬよなと、考えながら言葉を濁し。自分の表向きの立場に沿って理由を立ち上げて、これで納得するのかと反応を窺いながら相手の顔を見つめ。あんまり、不審に思われるようなら精神干渉でもするか、騒がれる前に結界でも敷いて周辺から隔離してどうにかするか、と実力行使を裏で検討開始し。
■リリア > まぁ・・・私も旅の者とは言ってもそんなに遠出はしませんし。
(拠点はここに据え、時々ふらっとその辺りに出かけるような自由気ままな身の上だ。一般的な冒険者よりものんびりしてるし、町の事についてはそこそこ耳に入ってくる環境にいるだろう。
――ちなみに、つまみ食いは吸血鬼自身結構やってたりするので、その事が少女の耳に入れば そーっ と目を泳がせたりする。・・・人目がつかないところだったら流血沙汰起こしたことも何度かあるし。・・・記憶と後始末はきちんとやったけど。)
姫、ですか。そのお姫様がお供もなしにこんなところまで出張ってくるのはよくないですよ。怖い人に――食べられてしまうかもしれませんからね。
(その人の血を、精気を喰らう吸血鬼が目の前にいる訳である。――日も落ち、夜も更けてきた。そうなればこんな夜のお店が立ち並ぶ場所だ。治安もよくない。攫われ、穢されてしまったとしてもおかしくはない。――姫、と名乗るからにはそうであるのだろう。ただしかし――それだけではない、と思う。ぎらり、と鮮血の視線を彼女に向けて。何か、秘密があるでしょう、貴女。見定め、観察するように彼女に視線を向けて。)
■セラ > 「ん? ということは、流れの者でなく。いちおうは、ここを拠点にしていると」
ここに定住している住人というわけではないが、あちらこちらへと流れているわけではなくここを拠点として生活を築いているのかと、そんな風に認識し。いわゆる住所不定の冒険者みたいなものかと、相手を認識し。
「ふ……わたしを食べられるような怖い人など、そうそうはおらぬと思うが。なに、こう見えてもわたしは強いのだ。魔王でも出てこぬ限り、そうそう問題にはなるまい」
何やら怪しんでいる風情ではあるが、騒ぎ立てる様子もなし。ならば、急ぎ実力を行使して騒ぐ必要も無しかと、考えながら大きな胸を突き出すように、胸を張り。自分は強いのだと自己アピール。ついでに、魔の気配もちらりと覗かせ。敵対の気配を見せるか否か、観察し窺うまなざしを向け。
「というか、だ。思い返してみれば、お主。自分がエルフだとは、明言しておらぬよな」
思考誘導されてたかと、目を細める。
■リリア > えぇまぁ。
(住んでるのは平民街の方であるが、主に生活してるのはこの王都である。時々ふらりと旅に出たりもするが・・・まぁ、旅行のようなものである。目的が終わればまたふらっと帰ってくる毎日である。・・・一応住所はあります。)
大層な自身でございますね。――その慢心に己を食われませんよう。
(お前が言うな状態であるが、別に相手は自分の事をよくわかってないので良しとする。――ところで、そのぽよんと揺れる大層な胸は私への挑発か何かなのでしょうか。・・・いえ、大きな胸は見て触って楽しいんで全然良いのですが。そして、魔の匂いを感じれば おや ときょとんとした目をしながら相手を見つめ)
はて、そうでしたでしょうか。
(そうすっとぼけるように、こてんと首を傾げ――。)
まぁ、良いでしょう。では改めて――。
(くるり、と軽くターンした後に、抵抗されなければそのまま相手の腕を取り、ダンスでも踊るように相手を今自分たちが話していた道の裏手・・・路地裏側へ相手を引き込もうとして。・・・失敗したらごまかすみたいにローブの裾を持ち上げて淑女の礼を取ろうか。)
我が名はリリア。――貴女と血を同じとする者ですよ、レディ。
(相手の種を確信すれば、囁くようにそれを告げよう。同族ならば、別に隠すことはないだろう。)
■セラ > 「ふむふむ、浪漫に生きる冒険者生活というやつなのだな」
生活の安定は怪しいが、そのぶん自由に生きている冒険生活。年若い女性の身でそれを成しているというのなら、実力は推して知るべしと。意外と凄いヤツなのだなと、感心した風情で何度となく頷き。
「いやいや、多少の慢心でどうにかなるのであれば、自分で強いなどと言わぬよ」
少々慢心したからどうだというのだと。そこらの小細工や策をもってしたところで、力尽くで押し潰すことができるからこそ強者なのだと、腰に手を当て「ふんすっ」と自慢げに胸を張る。とはいえ、過去に痛い目を見た事が無いといえば嘘になるのだが、そこはアレだ。相手も相応に強かったからなのだと、そういう事になっている。
「ほほう。やはり、というべきか。どこかで、情報が変質したか……」
特に抵抗することもなく、引かれるがままに路地裏へと引き込まれ。とぼける風情はともかく、やはりエルフではなかったかと。正体の告白に納得したように頷き。改めて、相手を眺めて聞いた情報の元はこの子か。あるいは、別件かと真面目な顔で束の間考えて。
「名乗られたからには、名乗り返そう。わたしの名はセラだ」
とりあえずは、名乗りには名乗り返すのが礼儀と自分も名乗り返す。
■リリア > まぁ、大体そんな感じです。
(人間の冒険者程ロマンに生きている訳でもなく。ただ、興味の赴くままにあっちへフラフラ こっちへふらふら と、自由気ままな旅人生活を送っている訳であるが。拠点をここと定め、満足したらまたふらりと戻ってきてしばらくまた行きたいところができるまでここに居座る訳であるが。)
いいですわね。強者の余裕、というものですか。素敵だと思いますわ。
(自分も、そういうものを抱えてきた。本来、この吸血鬼は相当な力を持つ位の高い魔族である。現在は魔力がかなり減少しているので弱体化の傾向にあるが・・・それでも、そんじょそこらの人間程度には遅れを取らない自信はある。尚、痛い目にはつい数日前にあったばかりなので今はちょっと慎重にしてる。これが特になにもなかったら彼女が話しかけてきた数分後にとっとと人払いして吸血してる。)
さて。しかし、私はどこかで人を買ったことはあってもこの体を売ったことはありませんので。・・・別人ではないですかね。
(・・・ちょっともう売るしかないだろうか、とはちょっと考えたけど、まだ自分の安売りはしてない。そして、相手を路地裏に引き込んだならば、とん、と相手の顔の横に手を置いて、いわゆる壁ドンの形に持っていこうか。ぶっちゃけ身長対して変わらないので威圧感はないだろうが。)
ではセラ。貴女に初めて声をかけられたときから私、思っていたのですよ。――いいな、って。綺麗で、美しくて――美味しそうで。ですから、大人しく――。
(この子は我が牙を突き立てるに値する。ぺろり、と舌舐めずりをしながら、甘い匂いのする彼女の肌に顔を近づけて)
――私の、糧となってくださいません?
■セラ > 「浪漫溢れる冒険者生活か、よいな」
どこぞの遺跡で転がる鉄球に追われたり、謎のアイテムを巡っての陰謀に巻き込まれたりの冒険活劇を脳裏に思い描いて、楽しい人生を送ってそうだと冒険浪漫に思いを馳せてうむうむと頷き。
「ふっ、そう褒めるな。ま、油断と慢心が過ぎれば足元をすくわれるのは承知しているが。そこを突くのも、弱者の知恵だな。人間は弱いだけに、そこを突くのもうまい。気をつける事だ」
称賛の言葉に、表情を綻ばせて機嫌良さげな雰囲気を垂れ流し、割と扱いやすそうな風情を垣間見せるもすぐに真面目な顔になって、経験からの忠告をひとつ。
「買ったことはあっても、か。いや、確かに……そういう雰囲気だが……」
背後は壁で、右を見ても左を見ても腕がある。いわゆる壁ドンの体勢に、しかもされる側。この手際、慣れているなと。思わず相手の顔を見つめて、確かに買う側だなと納得してしまい。微妙に、乙女的危機感を煽られるなぁ――と状況に対する感想がどこが他人事なのは、いざとなれば力尽くという選択肢があるからか。
「いやはや、そんなに褒められると悪い気はしない。どういう意味で美味しそうかは気になるが……。セラ様と呼ぶのなら、許してやろう」
吸血種か淫魔の類かと、相手の種別に見当をつけ。多少喰われたからといってどうという事もない。同類のよしみで、飢えているというのなら恵むのも良いだろう。だが、相応に礼儀を見せるのであればと上から目線の条件付きではあるが、許可を出す。
■リリア > まぁ、結構楽しいものですよ
(転がる鉄球は打ち砕くし、陰謀は興味ない上めんどくさいので基本捨て置くが。)
いらぬ知恵です。私、人間に遅れを取る程落ちぶれてはいませんもの。先程、貴女が言った通り・・・めんどくさい知謀策謀毎喰らい尽くすくらいの気概はありますもの。
(何か似たような事を言っているような気がしなくもないが――まぁ、気にしないでおく。互いに、実力者であるが故の慢心・油断。そういったものを抱えているある意味似たもの同士・・・であるのかもしれない。互いに、それは認めないのかもしれないが。)
・・・何か失礼な事考えてません?
(なんて、壁ドンの態勢であるが・・・まぁ、身長差的に妹が姉に甘えるような態勢とか、ちょっと足がもつれて壁に手をついた結果とか・・・第三者から見ればそのようなものにしか見えないだろう。
そして、そういう雰囲気、なんて言われれば むー? と訝しむように相手に視線を合わせつつ・・・ぎらり、と鮮血の瞳を輝かせ魅了の視線を発動させよう。さて、それが相手にどれ程影響が出るかわからないが・・・上手く決まれば発情効果と吸血鬼に対する強い好意。運命の相手であるとか、絶世の美女である・・・そのような認識を刷り込もう。もし、上手くいかなかったとしてもこの吸血鬼からのお願いは断りにくい・・・そんな認識が頭の片隅程度には割り込むことは出来るだろうか。)
私、美しいものは好きですから。綺麗なものはきちんと褒めましょう。 ――誇っても宜しくてよ?
(ふふ、と微笑みつつ何故かドヤ顔で彼女に誇る吸血鬼がいたそうな。)
どうにもくぅくぅお腹が空きましてね・・・貴女みたいに綺麗で、スタイルが良い美しい子から甘い匂いとか放たれると辛抱たまらなくなるものなのですよ。――ですので、その首筋。そのまま私に捧げてくだされば、それで良いのです。大丈夫・・・一日休めば回復する程度の量に留めますから、ね。
(そう囁きながら壁につけていた手をすす、と肩に移動させ、逃がさないように力をつけて相手の体を固定しようと。もし、そのまま牙を突き立てることに成功すれば、ちうー、と美味しそうに血をいただいた後、ご馳走様でした、と告げ、もし失敗したのなら――では、次に会ったとき・・・そのときこそ、血をいただくことと致しましょう。 なんて、告げながら血を吸ったにしろ、吸わないにしろその場からふらり、と立ち去ったことであろう。 ちなみに彼女が提示したセラ様呼びであるが・・・はい、セラサマーですねー、とすごい棒読みで呼んだそうな。)
■セラ > 「わたしは、どちらかというと陰謀巡らして翻弄する黒幕の側だからな。その気概は良しだが、人間の中にもたまに規格外な者がいるから、そこは注意だろうな」
自分の陰謀で右往左往するのを眺めるのは愉悦を覚えると、楽し気な雰囲気を漂わせ。冒険者サイドでなく黒幕サイドも、これはこれで良いものだと口にし。人間の枠に収めていいのか怪しい者が、たまに混じるから面白いが、注意が必要だと経験に基づいた忠告をひとつ。
「ん? いや、確かに買う側だなと実感させる手際だななどとは思ってないぞ。うむ、何人をこの手際で毒牙にかけたか訊ねたいところだなとか、全然」
ふるふると、首を小さく左右に振ってなにも悪い事は考えてないぞと自己主張。瞳に宿る魅了の力の発動に、訝し気に表情を揺らす。干渉された事にも気づかぬほどの微力という事もないが、耐性を抜くにも足らず。魅了を仕掛けてきたと気づいて、可愛い事をするじゃないかと。魅了してどうする気かと、面白半分にかかったふりをする事にして)
「ふ、わたしも可愛いのや美しいのは好きだぞ?」
そう言って、相手の顔へと手を伸ばし口説くように笑みを浮かべながら頬に触れて、魅了にかかってるがごとくの好意の表明とし。
「いいぞ、好きなだけ貪るが良い。その称賛の言葉に免じて、我が肌を許そうじゃないか」
仮にも魔王を魅了したら、逆に貪りつくされるとか考えないのだろうかなどと。そんな相手の心配をしながら、首筋を曝け出すようにしながら相手に身を任せる。そうしながら、血に媚薬のごとき催淫性を持たせたのは悪戯心。耐性などと兼ね合いはあるだろうが、吸えば吸うほどに、その量に応じた影響を受けるだろう。
せっかくの様づけが、物凄い棒読みだったのは不満だったが、苦笑で済む範囲。そうして、相手が吸い終わって、立ち去ってから、身だしなみを整え。自分もまた、この場を立ち去り。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からリリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からセラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にレイカさんが現れました。
■レイカ > 仕事が終わって、私はいつものようにこの場所に来ていた。
ほとんど人がいなくなった、スラムのもっと奥のスラム。
生活水準なんて底辺もいいところだけど、ここにもやっぱり人が住んでいる。
上流階級の人間にしてみたら、人間じゃないと罵られそうなほどに汚らしい人たち。
中には、ミレー族も混じっている。―――ここじゃあ、ミレーも人間も関係ない。
「……………あの、たくさんありますから…押さないで。」
私は、いつもここの広場で炊き出しをしている。
食べるものにも困る人たちが大勢いるこの場所で、マスターに頼み込んで食事を作ってもらって、それを皆に配る。
ろくな食べ物を口に出来ない人たちの、唯一といっていい、暖かい食事だった。
■レイカ > 今日のメニューは、マスターが残った食材で作ったスープとパスタだった。
まかないでも同じものを出してくれるけれども、結構おいしい。
トマトを使ったソースを使ったパスタもそうだけど、このオニオンスープがとても温まる。
雨が降っていたので、今日は少し冷えるからこれはとても、嬉しい。
「はい、大丈夫です。全員の分ありますから、ちゃんと並んで……」
一人一皿ずつ。
食べ盛りの子供には少しだけ多めに。
赤ちゃんには、味を薄めた離乳食を。
……皆、ありがとうといってくれる。私には、何よりのご馳走だった。
■レイカ > パスタもスープも、残り少なくなってきた。
けれども、最後の一人分でちょうどなくなりそうだ。
……マスターはすごい、いつも人数分ぴったり作る。
「……はい、おしまいです。」
最後の一人に、私は料理を渡した。
そこのほうだったので、大分味の濃い場所が残ってしまったかもしれない。
喉が渇くだろうから、と飲料水を少しだけ多めに渡しておいた。
周りを少し見る。
食べ損ねた人がいないか、確認するためだ。
■レイカ > どうやら大丈夫なようだ。
だったら。私の役目はここではもうない。
「…………。」
最後に、皆に一礼して、またフードを被り店へと戻っていく。
明日―――朝一番に九頭竜山脈のほうへ行かないといけない。
―――みんなの顔を、見に行かなければ。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からレイカさんが去りました。