2016/01/15 のログ
ご案内:「貧民地区 裏路地」にカースドさんが現れました。
■カースド > 暗く汚い路地の突き当りで、座り込んだ少女が震えている。それは寒さのためではなく、恐怖のため。
昨日まで着ていた上等な服はボロボロに破れ、薄汚れてしまっていた。
手足や顔には真新しい傷がいくつもあり、頬は赤く腫れている。
もらった大金も、もうない。使い切れないほどあったのに、全て奪われた。
どこから知られたのかはわからないが、カースドが大金を持ち歩いているのを貧民地区の人間は気付いていて、それを欲しがる人間も居たということだ。
突然囲まれて、気配を消す暇もなく殴られ、蹴られ、全てを奪われた。
■カースド > せっかくもらったお金も、服も、全て台無しにしてしまった。
「……ひっく…えぐっ……ぐすっ……。」後悔と罪悪感、無力感に、すすり泣きを漏らす。
静かな路地に、少女の押し殺した泣き声が響く。
ご案内:「貧民地区 裏路地」にラウラさんが現れました。
■ラウラ > (己にとって、この進路を取ったのは只の偶然であった。……何の事はない、用事を済ませたのが己からして後方に位置する場所であり、この進路を暫く進めば隣のエリアに出る事が出来る―――ただそれだけの事)
に、してもこの辺りは隙間風も多そう……うん?
(建物の造りを評するには己と、この界隈とでは立ち位置が違いすぎた。しかしてこの一帯に拠点を構える者達と付き合いが無い訳でもない少女は目を細めただけで、ふっと浮かんだ独り言が零れ落ちたのみ。そして……目に留まったのは一人の、少女)
あなた……何を泣いているの?その傷、まだ痛むのかしら?
(恐らくはこの界隈の住人なのだろう事は想像するに難くは無い。難しくもない、が……それにした所で少々、の度を越して酷い有様だと見てとるなり周囲の人気を軽く確認した後、すすり泣く少女の傍へと腰を折った)
■カースド > 普段なら人の気配に敏感だが、気付くには自分の中に気持ちが沈みすぎていた。
声をかけられれば、驚いて尻尾をピンと立て、顔をあげてそちらを向く。
顔の右側は、大きく火傷跡に覆われて、右目は白濁していた。残った左目は、泣き腫らして真っ赤だ。
頭の上の猫の耳は、警戒するようにせわしなく動く。
「も、も、もう、お、お金ない、ないよ……。ぜ、ぜ、全部…無い…。う、嘘じゃない、から……。」
自分を襲った連中と勘違いしたか、ゆっくりと立ち上がって、後ずさり。
「い、い、痛いの、もう、やだ…。」
■ラウラ > っ……
(思わず顔を顰めてしまったのは此方を向いた彼女の姿が遠目で見ていた時よりも“惨状”と言って良い有様だったからに他ならない。あの右目は、果たして見えて居るのだろうか、と、少し細めた視線で濁った瞳を覗き込んでしまうのは癖のようなものではあったのだが)
―――あ、のねぇ……わ・た・し・が……どこをどうみたら追剥に見えるのかしら……
(はぁ、と、後ずさる少女へつい零れた盛大な溜息一つ。そうした後、ケープの下に右手を滑り込ませると内側から柔らかに織られた布でつくられた小ぶりのハンカチを取り出して)
ほら、まずは涙を拭きなさいな。夜盗の類は今の所は見当たらないし、見当たってもこの近辺に居るのぐらいなら、ぺちっと追い払ってあげるわよ。
―――そんな事より、あなたみたいにちっちゃな子がぐしぐし泣いてる方が気になるったら……
(そこまで言うと、はい、とばかりにハンカチを無造作に差し出してみる。彼女の怯え具合からして直近に何らかの暴行沙汰があったのだろう、と類推した分、無理に間合いを詰める事まではしなかったのだが)
■カースド > 「……!」顔を顰めたのに気付けば、殴られるのに備えて、身を固くする。。
傷を見て感情を害した相手が大抵次に行うのは、気分の悪いものを見せられた腹いせに、趣味の悪い人形のような少女を殴り飛ばすことだったから。
怯えながら白濁した目を覗きこまれれば、無意識に左目で相手を捉えられるように、顔を僅かに右に向けた。明らかに右側は見えていないし、涙が出ているのも左目からだけだ。
「ご、ご…ごめん、なさい……。さ、さっき、まで…お、お追われてた…から。」体を緊張させ、縮こまりながら答える。
「…?は、は、ハンカチ……何…?」差し出されたハンカチの意味が理解できず、困惑している。
■ラウラ > ……なら、大丈夫よ、少なくとも私はそんな下賎な連中とは関わりが無いし、そんな事をして有象無象と肩を並べる趣味も無いから
(ひょい、と肩を竦めて誤魔化したのは『やはり右は潰れているか』の内心を隠す為。傷口からして昨日今日の話でもあるまい、と思えば尚の事である)
―――泣いて居る女の子にハンカチを差し出す意味なんて一つでしょう?ほら、こう使うのよ
(と、怯えさせぬ程度にゆっくりと彼女の方へと手を伸ばし、柔らかく載せる程度に頬を伝う涙をハンカチで拭う。そのまま、ぽん、ぽん、と、水滴を吸わせる程度の触れ方で様子を見た後)
気になるから、関わるの。泣く程怖い事なら少しぐらい、手を貸してあげても良いし、単に傷が痛むだけなら、それはそれで簡単な手当てぐらいでよければしてあげるわ。
こうして、通りかかったのも何かの縁だと思うもの
(雫を拭い去りつつそんな言葉を紡ぎ、ほら、と、ハンカチを自分で握るようにと促す魂胆。己は彼女が受け取ってくれるか逃げてしまうまではハンカチに水滴を吸わせ続けるだろうけれども)
―――あぁ、名前が判らないと余計に不安かしら。私はラウラ……正式な名乗りは省略ね、短い方が覚えやすいでしょうし。
■カースド > ゆっくりと当てられるハンカチに、少しだけ体の緊張を解く。
渡されれば、遠慮がちにハンカチを受け取って、頬や目元を拭う。
「ら、ラウラ……だね。カ、カ、カースド。な、名前、カースド…。」呪われている、という意味の言葉を、少女は自らの名前として出した。
涙を拭いながら、うつむきがちに事情を話し始める。
「お、お金、か、カースド…お金、い、いっぱい持ってて……ふ、服も、か、買ってもらった、あた、暖かい服……だから、おそ…お、襲われた、の……。
カ、カ、カレリア…め、めいどぼうけんしゃの、カレ、リアに…も、もらったのに……か、カースド、ダメにしちゃった……。き、き、きら、嫌われちゃう……。や、や、優しくしてもらったのに……。」
恩人に嫌われる、そう考えるだけで、涙が止めどなく溢れてくる。ハンカチはすっかりぐしょぐしょになってしまった。
■ラウラ > カースド……カ、カースド……?またこう、変わった名前なのね……ミレー族だからかしら……
(一度問い返した後に少し考え込む仕草をとり、彼女の……否、彼女“達”の特徴的な部分、猫めいた外見特徴を見やりながら小さく唸って)
カレリア……それがあなたの、恩人、って所かしら。で、冒険者……ギルドに登録してあるなら探せるかしら……ま、今は良いわ
(それでも頭の片隅にメモを採る。見知らぬ人物ではあるがその人物―――メイド、と言う事は女性だろうか―――も、恐らくは目前の少女に何かしら思う所があったのだろうか、そんな思考が流れるものの判断材料の乏しさだけは何ともし難かった)
……襲われた、ねぇ……見た感じだと暴力的な意味で襲われたような雰囲気だけど、性的な意味でもついでに襲われちゃったりしてたら、ちゃんと言いなさいよ?
(と、茶化すように混ぜ込んだのは凹む少女に向けての冗談交じり、兼、己の中に燻る悪戯の虫の所為、くっ、と、ついつい楽しげに唇の端を吊り上げた)
―――貧民街で暮らしてる上に、あなた、片方の眼、視えないんでしょう?そんな境遇の子に優しくしたいなー……って思ったのが私の気紛れと同じようなモノなら、寧ろあなたをボロボロにしたゲスの方を怒ると思うけれど……だから嫌われる可能性は低い……んじゃないかしら?
■カースド > 「あ、う…あ…えと、か、書いてある…から……。」ボロボロの服を描き分けて、下腹部を見せる。そこには、ナイフで切り裂いた傷にインクを入れたであろう、刺青というには乱暴すぎる手法で、This is Cursedと刻んであった。
「こ、これは、カースド…って、意味…だ、だから、カ、カースド……。」
「な、な、殴られて、け、蹴られた……あ、あと転んで……そ、それぐらい……。け、け、怪我だけ……。」性的には襲われていない、恐らく奪った金の分前でもめていたせいだろう、そのおかげで逃げられた。
「う、う、うん……カースド、見えるの左、だけ……。か、カレリア、カースドのこと、き、嫌わない…?だ、だ、大丈夫、かな……。き、き、嫌われるの、やだ……み、み、みんな、カースドのこと、嫌い、だけど…か、カレリアには、ヤダ……。」
ようやっと落ち着いてきたのか、涙は止まっていた。
「あ、あ、あり、がとう…。」顎に滴る涙を拭って、汚れたハンカチを返そうとする。
■ラウラ > ……なーるほど……それ以外に名前らしい名前もなかった、と……
(己の目線は確りと彼女の、いわば“刻印”なのであろう粗雑な刺青へと向かう訳ではあるが、問題点。ボロ布と化した服を捲った彼女が下腹部を晒せば下着の有無は勿論の事、穿いていなければスリットの様子までを薄暗がりの中で見てしまおうと目線が泳ぐのは宿業か)
つまり、痛いのは痛いけれど殴打だけ……だけって言うのも面白くないわねぇ……で、今はどう?傷は痛む?
(此処まで悲惨な有様だとどれがこの騒動で出来た傷でどれが古傷なのかの正確な診断が出来ないのは医療的に未熟な身の上を少々情けなく思うは“学ぶ”と言う恵まれた環境に居る贅沢病なのやもしれず)
―――大丈夫よ、なんなら私がその『カレリア』ってヒトの事を探せそうなら探して、聞いてみてあげる。あ、そうそう、私も何も嫌いって訳じゃないわよ?あなた、身奇麗にしたら結構可愛い気がするし……ふふ、あげるわ。そのハンカチの隅に『ラウラ』って刺繍してあるから、私の名前も覚えやすいかもしれないでしょう?……寒そうだからって上着とかを貸してあげるのも、さっきの今じゃ逆効果になりそうだけど、涙を拭う布ぐらいならバチ、当たらないわよきっと……袖で拭うよりは何倍もマシだろうし、ね
■カースド > 少女が晒した下腹部は、下着らしきボロボロの布が片足に引っかかっているだけで、幸いにも何の損傷も受けていない、無毛の秘所が露わになっていた。
「う、うん…お、おいとか、お前、とかよ、呼ばれてたけど、そ、それは名前、違う。」それを判別するぐらいはできるが、カースドがどのような意味を持っているかまでは知らないようだ。
「ま、まだい、痛いけど、じっと、してれば、い、痛くなくなるから、だ、大丈夫。か、カースド…が、我慢、得意。」
全身に夥しい傷跡と火傷跡を持つ少女は、安心させるように、ぎこちなく笑った。
「じゃ、じゃあ、お願い……ぼ、ぼうけんしゃめいぼに、か、書いてあるって、カレリア、言ってた。」ぼうけんしゃめいぼ、がどういう存在なのかは知らないが、手がかりになるかもしれないので、伝えておく。
「は、ハンカチ、くれるの…?ありが、とう。」刺繍がしてある、と言われれば、それらしき模様を見つけて。「こ、これ、ラ、ラ、ラウラって、読むの?が、頑張って、覚える…。」
かきわけた服を戻そうとして、相手の視線が向いている先に気付く。その意味も、曲がりなりにも娼婦である少女は理解した。
「ら、ラウラ…か、か、カースド、買う?にじ、にじゅうゴルドで、た、太陽が、昇るまで、好きにして、い、良いよ。」
カレリアはあまり良くないと言っていたけど、今自分にはお金が必要だし、稼ぐ手段はこれしかない。