2015/12/29 のログ
ヴァイル > さて、すっかり奇妙な絵を描き終わり、
心臓のもたらす血がなくなったところで、
可憐で哀れな娘の命は表情を凍らせたままに吹き消えていた。
冷たい笑顔で、ヴァイルは自分の手を濡らす熱い血を舐め取った。

ヴァイルは魔族であるが故、罪なき人間を自らの目的のために消費することに
罪の意識など持ちようもないが、かといってさほどの喜びもなかった。
無論ひとの絶望や悲歎は彼にとっても好物であったが、
これしきで酔いしれてしまうようでは問題がある。

人がパンなくしては生きていけないように、
ヴァイルは人の血を徒に流すことなしに生きていけないのだった。

ヴァイル > 以前遠目に確認した、オリアーブ島を包む加護について思いを馳せる。
あのような結界がもしこのマグメールを包むことあれば、
このような気ままな狼藉は行えなくなるだろう。
それどころか、魔なる者は息をすることすらも、許されなくなるだろう。

しかしそのときこそ、何より激しく楽しい時が訪れるのだろう、
そうもヴァイルは信じていた。

「太陽はいらぬ。
 月だけが平等であればよい」

漆黒の夜空を見上げる。

ヴァイル > 今宵は何れの正義の味方も悪の権化も現れなかったようだ。
釣りが果をなさないこともあろう。
あるいはかれらも冬至の祭りに耽っているのかもしれない。

死体と亡者は消え、あとには血のみが残される。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からヴァイルさんが去りました。