2015/12/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にフランネルさんが現れました。
■フランネル > 「あら、女の指なら何か用途があるんです?」
投げ捨てられた毛深く太い指をかがみ込んで拾いながら、黒いローブを着込んだ女が笑った。
どこからか取り出した歪な形の半透明の入れ物にそれを投げ入れるとぽちゃりと音がするのは、その中に何かの液体が満たされているせいか。
女は、その瓶にきゅっとコルクの蓋をすると、細い指先でその蓋の縁をそっとひとめぐりなぞってから、それをローブの上からでもわかるほど見事に盛り上がった胸元から懐にしまい込む。
そしてかがんだまま上げたフードの中の顔、その目元にはひとつだけ目の模様が描かれた目隠しが施されていた。
口元だけでにこりと笑いながら立ち上がると、ふ、と、息をひとつ着いてから女は口を開く。
「こんばんはですよ。ずいぶん丈夫でらっしゃるですね。赤くも青くもなってないです」
言いながら、そっと彼が殴られた頬の辺りに触れようと手を伸ばす。
■ルーフェン > 「………ふむ、そう問われると思い浮かばぬな」
不意に向けられた質問に声の主へと視線を向けた
かつては、そういう物を集める同胞もいたが、その趣味を理解できるとは到底思えないのは今も、昔もである
宝物蒐集癖の強い種族であるから、時折、そういう妙な癖を持つものが現れるのは人も竜も同じであるかもしれない
「主こそ、そんなもの拾ってどうするつもりじゃ?」
自分の噛みちぎった指を拾い上げ、歪な形の入れ物にしまい込む様を見ながら、彼女の格好を見れば、
まじない師か何かか?とか、内心思いつつ、逞しい男の指の用途を尋ね首を傾げた
「…まあ、あの程度であれば…傷を付けられたら寧ろあの男を賞賛してやろうと思ったがの?」
不意に伸びた手に驚き、す、と身を反らしてかわそうとする
触れられるのが嫌、というよりは反射的にそう動いた
■フランネル > 「ふふ。ひみつ、です。……と、言うか。未定、です」
笑い混じりに言いながら、女は薄桜色の唇の前に右手の人差し指を立ててみせた。
そして、伸ばした手が空を切ると、あん、と、小さく声を漏らしてから、ゆるゆると指を蠢かせながら女は言う。
「男の人の拳は平気ですのに、女の手はかわしちゃうんです? 別に痛いことしないですのに」
声に混じるのは、少々の残念そうな響きと、若干のからかい。
言ってから手を引っ込めると、女は半ば袖を被った両の手を自分の胸の前に重ね、改めて彼の顔を目隠し越しに眺めるように浅く首を傾げる。
「もしかして、男好きとかですか?」
■ルーフェン > 「…そう言われると余計に気になる所だが…」
彼女の答えに苦笑を浮かべる
未定、と言われれば用途がそれほどにおおいのだろうか、とより何に使われるのか気になったかもしれない
「いや、そういうわけではないが…手が伸びてきたら咄嗟にかわそうとしてしまうじゃろ?」
自分が傷を負っていないか、その辺りを彼女は思って手を伸ばしたのであろうが、不意に手が伸びてくれば、
男女関わらず身体は自然と避けようとするのではないか?と彼女の男好きではないか?という声に返しつつ
「…言っても無駄じゃろうし、実地で確かめてみるが良い」
ほれ、と唐突に腕を伸ばし、盛り上がった彼女の胸元へ手を伸ばす。
冗談半分であり、男好きを払拭するには良いだろう、と自分の中では良い考えであったか、何とも言えぬ賢しげな表情であった
■フランネル > 苦笑いを浮かべた彼に、女は微笑みだけを返した。
雑然とした貧民外の雑踏は、もはやさきほどのひと時の騒乱など忘れてしまったかのように、二人の存在など無視してざわざわと、だがどこか陰鬱な雰囲気を含んで流れている。
そんな中で男の言葉に女が考えるように小さく唸って首を捻ると、フードの端からゆるくウェーブの架かった亜麻色の髪がこぼれた。
「相手とか、手が伸びてきた場所にもよるです……。
だってあなた、さっきは首のあたりつかまれてたじゃないです?
……もしかしてわたし、あなたにとって魅力が全然ないとかでしょうか。
だったら悲しい……あん」
考え事をしていたせいか、わざとそうしなかったのか。
胸元へ男の手が伸びてきても、女は身をかわすそぶりすら見せないままそれを受け入れ、驚いたような、だが若干の甘みを含んだ声を零した。
そして、その手を包むように自分の手をその上に重ねると、顔を上げて唇でいたずらっぽい弧を描き、とぼけた台詞を吐く。
「わたし、こちらのお店の人じゃないですから、お金では買えないですよ?」
■ルーフェン > 「…そこから見ておったのか…って、えぇー…」
どうやら胸ぐらを大男に掴み上げられた所から見られていたらしい
色々と言い訳をしたくもあったが、それよりも
腕に伸ばした手をかわすどころか、触れた自分の手に彼女自身の手を重ねられて困惑してしまった
普通であれば頬の1つも打たれもしようが、彼女の反応は予想の斜め上である
「いや、それはわかっとる!別に雌…女を買いに来たわけじゃない…」
彼女の胸に当てた手から思いの外、柔らかな感触が返る
ぐぬぬ、と物言いたげな表情を浮かべつつ、彼女の胸に当てた手を引っ込めようとして
「…魅力が全然無いとかそんな事はない…と思う故、許してくれ」
フードに隠れた彼女の表情を覗きこむようにしてから告げる
降参宣言をしつつじり、と一歩、後退するような気配を見せる
■フランネル > 逃げようとしたその手を一瞬抱きしめるように力を込めるが、見上げた表情に小さく噴出した拍子に、するりとその手は柔らかな膨らみの上から逃げた。
あん、と、また少し残念そうな声を上げたあと、女はくすくすとおかしげに笑いながら手を引っ込める。
「ふふ、可愛いです。そんなに怖がらなくても、別に怒ったりしてないですよ。
むしろ、そんな風に怖がられちゃうほうがちょっと残念です。
わたし、そんなに怖いです?」
じわじわと間合いを取ろうとする彼を眺めながら、自分のあごに手を添え、ゆるく首をかしげながら微笑んでみせる。
■ルーフェン > 「怖くはないが、調子が狂う…主のような雌には今迄、出会ったことがない」
捉え所がないというか、何というか
うまい説明は出来かね、何か言葉を出そうとするもうまく声になって出てこない
向けられた視線に一歩、半歩だけ後ろに下がればふぅ、と深呼吸し、ぺちり、と頬を軽く叩き、うむ、と漏らし
「別に怖いのではなくて…何というかの…」
順を追って考えてみる
突然、現れ自分の噛みちぎった男の指を回収する
次に、こちらはかわすものだと思って胸に伸ばした手を、逆に捉えて触れさせる
…何とも言えぬ雌である、という結論が出た
というか、此方の予期せぬことばかりする妙な女性であるように思えた
うーん、とずい、とフードの奥の双眸へ顔を寄せるようにすれば、考えた末に聞いてみたいことを問うてみる事にする
「お主は結局、俺をどうしたいのだ?」
困らせたいのかからかいたいのか、怒らせたいのか
或いは先程の大男の知己で復讐したいのか
考えてもわからぬ、と結論を出せばズバリ彼女に聞いてみることにし眼を瞬かせてながら
彼女へと質問を向ければ首を傾げて
■フランネル > 「あら、そうなんです?
こんなところにいるから、遊んでる人かと思ったですのに」
こんなところ、でなくても、自らを商品にしている女性がこれぐらいのことを客引き代わりにするのは珍しくない。少なくとも、女が知る範囲ではそうだった。
落ち着かなげな、戸惑った様子の彼に顔を向け、口元だけは楽しげに笑っているが、黒い目隠しに覆われているため、瞳の表情はうかがい知れない。
その目の前に彼の顔が寄せられると、女の眉と口元は若干の驚きの表情を見せた。
ううん、と、また短く唸ってから、考えること少し。
「別にあなたをどうこうしようとは思ってないですよ。それほどの力もないですし。
ただ、あんな勢いで殴られてもまるで平然としてる人にちょっと興味がわいて、お話したくなっただけです。
わたし、錬金術師ですからね。あ、名前はフランネルと言うですよ。よろしくです」
言ってから、握手を求めたのか、相手の名乗りを促したのか、フランネルはすいと右の手を彼のほうに差し出した。
■ルーフェン > 「…雨のしのげる場所、屋根があって先客がおらんとこを探しとった」
なんというか、彼女の勘違いも致し方ないと思う
この辺りには娼館や酒場が軒を連ねている…普通に考えたら彼女の言うことは最もである
彼女が驚くような気配を見せれば、それに遠慮したのか覗き込もうとした顔を少し離して、小さくすまぬ、と謝り
「なるほど…そういう事か。残念だが、人ではないからなあ
あの程度の人間どうということもない、病んでおったようだしな?
錬金術、師…?ふむ、俺はルーフェン、嵐の竜の一族
よろしくの、フラン…」
差し出された右手
ちらり、とフードの中へと視線を向ければ、うむ、と握手を返す…
と見せかけ、再び彼女の胸元へと手を伸ばした
慌てる彼女を見ようとでもしたか酷く悪戯な表情を浮かべて
■フランネル > 「……あら。
ふふ。屋根はともかく、先客のいないところっていうのは、ここだと難しいですね」
世の中はどうしても、三角形をしている。
富める者は少なく、貧しい者は多い。
このあたりには住居を持たない者も多く、めぼしい軒先や雨露のしのげる場所は、すでにほとんどがそういう者たちの住処になっていた。
そして、彼のことを聞くと、まあ、と、目隠しの下で目を丸くするフランネル。
驚いたように口元を覆っていると、また彼の手が胸元に触れた。
やん、と、小さく声を上げてつつも、するりと彼の腕に両手を巻きつけると、ぐいとそれをさらに自分の胸元に抱き寄せようとしながら、フランネルは声を潜めて言った。
「知能の高い竜族さんなんて、貴重な出会いですよ。古竜です? 韻竜です?
竜なのに、どうしてそんなに人間の女のおっぱい好きなんですか?
……ね、よかったら。雨のしのげる場所ひとつおごってあげるですから、
もう少しお話聞かせてくれないです?」
ぐいぐいと彼に豊かで柔らかな胸元を押し付けつつ、潜めたままの声に熱を込め、矢継ぎ早に。
■ルーフェン > 「わかっておるから、あまり、贅沢も言えぬの…」
彼女の言うとおり、自分がこれまで偶に利用していた廃屋は見つかってしまったようで人の気配があった
宿とは言わないが、雨風を防げる場所がないかと探していれば先程の大男に絡まれた、という辺りであった
「やっと出し抜いてやったわ…と思ったが、えぇー…」
胸元に触れられて彼女に驚いたような気配がしたと一瞬喜びかけたが、どうやらそうではないらしく…
己が竜であることに驚いたようであり、落胆している隙にするり、と腕を絡めとられてしまった
この雌はちょっとやそっとでは驚いたり慌てたりはしないらしい、と判ればこれ以上悪戯をすることを諦めた
「…別におっぱいが好きなわけではないわ!
いや、嫌いではないがな…主を驚かせようとしただけじゃ!」
悔しいのかなんなのか1人で勝手に怒りつつ、彼女の提案を受ければ僅かに考えるような時間があった
適わぬ、と逃げることも出来ぬではないが、まさか彼女を突き飛ばして逃げてしまえば、それはより強い敗北な気がする
「…判った、暖かい飲み物でも御馳走してくれ
酒でなくて良い…喉が潤ったほうが饒舌になるというもの」
観念した、と言うつもりはないが
なんとなく彼女、錬金術師と言うのにも興味があったし、大男の指の使い道にも興味があった
彼女の提案に頷けば、案内するがよい、と彼女を促し歩き出そうとするのだが
「―――フランよ、そのように胸を押し付けずとも逃げたりはせん」
それだけ確りと伝えれば彼女に従ってついていくのであった
■フランネル > 「ふふ。嫌いじゃないならいいじゃないです?
どうせ同じお店に行くんですし、わたし、男の人の腕、大好きですもの
腕っていうか、男の人が大好きですけれど。
……男の子とか女の人も好きですけどね」
彼の腕を胸に抱いたまま、節操も節度もないことを囁きながらくすくすと零す笑いはいくらかのからかいを含みながらもとても楽しそうで。
そして連れ立って向かった店で、彼の望みどおりに温かな飲み物を振舞いながら、竜のこと、錬金術のこと、さきほど拾った指のことなど、若干引かれつつも、談話に花は咲いたのか……。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からフランネルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からルーフェンさんが去りました。