2023/06/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城/練兵場」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > 銀髪の男は練兵場の壁に背を預け、腕組みをしたまま考え事をしていた。
長い影が近づいてきたと気付くと顔をあげた。正面に立つのは中堅クラスの騎士。

用件を聞くと賭け試合について条件を追加できないかとの申し出だった。
いわく。掛け金が高いから半額しか用意できなかった。同じような者をもう一人連れてきたから、2対1でできないか。
勝負はいつも通り開始の合図の後に武器を相手に当てた方の勝ち。ヴァンは半額をそれぞれと獲りあう形になる。
もう1人とやらは騎士の後方7mほどにいる。様子からすると不承不承参加しているようだ。男は何度か頷くと、それでいいと返した。

「最後に確認するが……俺が『始め』と言ったら開始の合図だな?わかった、始めるか」

言うや否や騎士に前蹴りを見舞う。男の靴先は騎士の股間にめり込んでいた。
騎士は訓練用の防具を着用しており、腹回りを守る鎧もしっかりと纏っている。だがそれは下から掬い上げる打撃には対応していない。
騎士の頭が下がると、男は後頭部の髪を右手で掴み先程まで背を預けていた壁に叩きつける。
頽れる騎士の頭部を左の鉄槌打ちで追撃し地面に沈めた後、もう一人の挑戦者を暗く青い瞳でねめつける。

「2対1を受けたんだ、卑怯とは言うまいな」

壁に立てかけていた木刀を掴んだ。

ヴァン > 地面を蹴って挑戦者へと肉薄する。相手は近寄るなとばかりに木刀を前方に突き出した。
攻撃とも呼べない行動。男は難なく左腕で木刀を払うと、右手に持った木刀で顔を殴りつけ――なかった。寸前で止まる。

「……おっと。『武器を相手に当てた方が勝ち』だったな。こいつから、もらってくれ」

うっかりしていたとばかりに肩を竦めると、這いつくばっている騎士の背を木刀で雑に叩く。嫌な音が聞こえたが気にしない。
再び背を壁に預け、倒れた騎士が同僚達に運ばれていくのを眺めていた。
こんな事があった後に男に声をかける者は稀だろう。