2023/05/21 のログ
■ヴァン > しばらく待ったが、声をあげる者はいない。軽く肩を竦める。
「しばらくはそこのベンチに座っている。挑戦したいなら声をかけてくれ」
注目が集まり過ぎて、声を上げづらい者もいるかもしれない。
先程の男の言葉から、女が挑戦する場合は「負けたら身体で払うつもりだ」と周囲から決めつけられるだろう。
男は黒い木刀を手にベンチへと向かい、どっかりと腰を下ろした。
悪い稼ぎではないが、悪名は一層広まるだろう。――それも悪くない。
時折離れた所から向けられる視線に対して目を向ければ、慌てて逸らされる。
もうしばらくいるとして、挑戦者は現れるだろうか?
■ヴァン > (……いないか)
疲れも大分癒えてきた。
3、4人で連戦すれば男に勝つことはできたと思うが、そこまで連携がとれる、信頼がある間柄ではないらしい。
新兵が多いので当然といえば当然か。
「喉が渇いたな……」
スキットルを開けて、軽く中の蒸留酒を呷る。身体に染みわたり、喉が熱くなる。
大きく息をついて、再度周囲を眺めた。
相変わらずではあるが視線はある。3人ほどか。
男が酒を飲んだことを確認して対戦を申し込んでくる者はいるだろうか。
あるいは、できれば関わりたくないと目を背けている者が多いのだろうか。
■ヴァン > 完全に視線がなくなった。今のうちに退散するとしよう。
借金の額にテンパって実力行使に出てこないとも限らない。
深くなる闇に紛れ、男はいつの間にかいなくなっていた。
ご案内:「王都マグメール 王城/練兵場」からヴァンさんが去りました。