2023/03/25 のログ
ご案内:「王城内/書庫」にマーシュさんが現れました。
マーシュ > 王城、礼拝堂管轄内にある地下の書庫内にて。
仄かな魔導灯の光を頼りに書籍の整理に勤しむ影が一人分。

通常は許可を得て入室が許可されるその場所、当然その人物も許可を得てその場を訪っている。訪っている、というよりは、埃を払う為と、修繕が必要な書の抜き出しのための通常の勤めではあるのだが。

魔術的に保全の式が組まれているとはいえ、経年による劣化は緩やかに書籍等を蝕む。
それらを一つ一つ手に取って、修繕が必要なものは然るべき職人の手に委ねるために抜き出す地道な作業を、女は一人黙々と行っていた。

マーシュ > 書架に並ぶ書籍は、書籍の体を成すものも、箱入りのものもある。
指先が背表紙を撫で、一冊一冊を抜き出して、目視で確認するように視線を落とす。

埃を拭い、損傷具合を確かめる。
刻まれた文言に目を向けることもあるが───それは紙片に綴られたインクの薄れ具合を確認するものでもあるし。時折はそのまま目に留めることもあった。

古い言葉、古い詩篇。とはいえそれらは、己が眼を通しても問題がないからこそ入室を許可されているのだろう。

「────………」

無言のまま、ただページをめくるかすかな音と、衣擦れの柔らかな音だけが、薄暗い地下書庫に響く。

本来余人が訪うはずもない場所ゆえにその背中は無防備で、目の前の書籍に集中していた。

マーシュ > そしてそれは、まだまだ続いていくのだろう。
飽くこともなく、途切れることもなく。

己の職責の一つとして、丁寧に古書の体裁を保つための勤めは行われ───。

ご案内:「王城内/書庫」からマーシュさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城/練兵場」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > 昼の練兵場、その外れに造られた短距離用射撃練習場に男は来ていた。
兵士たちは弓や銃の類を持たずに訪れた男を不思議そうな目で見る。
男は騎士然としており、弓矢を扱うようには見えない。視察か何かだろうか、と訝しがる者もいる。

男は端に位置どると、打刀をすらりと抜いた。陽光の元で刀身の黒が映える。
ほとんどの兵士は首を捻り、男の意図を掴めないようだった。笑う者さえいる。
ごく一部の者達が納得したように頷いている。一部の剣士や武術家が使う、魔術とは異なる“技”の練習だと予想したのだ。

距離は約30m。
刀を両手で構えるとゆっくりと振りかぶり、素早く斬り下ろす。
刀身から黒い斬撃、次いで魔力による風の刃が放たれ、遥か先の木製の的を2回揺らした。
周囲からは感嘆の声があがるが、男は満足いかなかったようで軽く首を振った。

「刃破刃衝……濫用はできないが、もう少し練習しておきたい」

ヴァン > 男は魔術師ではないため、保有する魔力量はそう多くはない。
聖騎士のため回復魔法に秀でてはいるが、逆に言えばその程度だ。
魔力量を増やすアクセサリや魔力回復のポーションも、持ち運べる限度がある。

魔剣の刃破刃衝、男の風刃。
同時に発動させ、同じ軌跡を描くことで効果は倍以上になる。
そのタイミングをあわせるための練習。
四捨五入すると四十になる男だが、練習なしに実戦に使う程自信家ではなかった。
再び刀を構え――振り下ろす。的が大きくのけぞった。