2022/09/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2 休憩室」にアーデルヘルムさんが現れました。
アーデルヘルム > タナール砦が魔族に落とされた件についての会議が王城であった。
当然ながら師団長の一角でもある己もまた、その会議に出席したのだが、
ロクな結論も出ずに散会した。

そのまま師団本部に戻ろうとも思ったのだが、あまりにもあまりな会議だったため、一息ついてから帰ろうと、己の位でも使える休憩室にいた。

「それにしても、あそこまでとはねぇ……これなら、作戦どうこうは考えずに、個人的なコネで部隊組みして出した方がましかもしれないな」

会議の内容を思い出せば、腹が立つどころか、苦笑しか浮かばなかった。
戦略的にも戦術的にもあり得ないアイデアばかりを出してきては、自分の息のかかったものに戦功を立てさせようと言う意図がありありと見えて。
故に、途中からはろくに発言をするのもやめた。

そんな無意味な感情の高ぶりを抑えるために、備え付けのワインを一本、口を開けて、その辺りに並べられていたグラスに注いで一気に呷った。

アーデルヘルム > 酒精が体に回る感覚を感じるものの、自分は酒に強い方。
このボトルを一本明けても仕事には大して支障はないほど。

とはいえ、この後は一旦師団本部に戻ることを考えると、飲み過ぎるのも良くない。

「……そう考えると、口を切ってしまったのは少し早計だったかね」

勢いで開けたことを少し後悔し、どうしたものかを考える。
とはいえ、そんな良策が見つかるはずもなく、誰かやってくるなり部屋の前を通ったりしないものかと一思案。

ご案内:「王都マグメール 王城2 休憩室」にザイヴァーさんが現れました。
ザイヴァー > ―――タナール砦陥落の知らせを受けての会議。そこに、ザイヴァーの姿はなかった。
職務をさぼっていたわけではない。ただ、「会議に参加できないほどに重要な用事」とやらを貴族連中に押し付けられていたのだ。

「まったく。俺が煙たいのはわかるが……」
『ま、いいじゃねーか。現場を知らない奴らの会議なんざ出なくても』

そう、一人なのに会話している。
そう、鞘に入った「おしゃべり聖剣」バスカードと会話しているのだ

「だが、砦の防衛戦で、無視できない人数の将や兵が犠牲になった……もっと、上手く俺が動けていれば」

悔しさをにじませつつ、吐き捨てるようにつぶやく。自分の部下がうまく連携すれば、あんな事態にはならなかった。
だが、あの場には自分も、自分の部下もいなかった……

『それこそ、たらればの話だぜ?お前さんは強い。だが、腕っぷしが強くても、政治ってのが絡んでくるとお前さん弱いよなぁ』
「黙れ愚剣。そんなことは分かっている……」

そう溜息を吐きつつ、休憩室に入れば、先客が。

「おや、君は……」

どこかで出会ったかもしれない。シュレーディンガー家出身の、新進気鋭の将軍がいると聞いたことがある。
現場や戦場で活動しているので、戦略家の彼とはあまり面識がないが……名前くらいは知っていて。

「確か、アーデルヘルム、だったか。その様子では、ろくな会議ではなかったようだな」

酒の香りを微かに感じ、そう苦笑しようか・

アーデルヘルム > 多少途方に暮れていた所に休憩室に入ってきた人影。
そちらに視線を向ければ、そこには少壮と言うにもまだ若い一人の男性。
だが、その姿がそのままではない事は、師団長クラスであれば知っている事でもあって。

「あぁ……ザイヴァーの旦那。
ええ、アンタがいてくれればまだマシになったかもしれませんがね。
最近の第一師団長ときたら、こういう時には火種につかう松ぼっくりよりも使い物にならないんで」

元第一師団長たる男であり、その人となりもある程度は理解しているからこそ、そんな砕けた調子で話しかけた。
近くのグラスをもう一つ取れば、ザイヴァーに差し出して、やりますか?と尋ねつつ、

「ウチの師団だけで砦攻略しろとかね。
いや、やれっていうならやりますけどね。
作戦を聞いてみたら、城門にランスチャージしろとか、
馬も四本足だから鹿みたいに壁登れるだろうとか。
挙句の果てには、ウチと反りの合わない某御仁が、やっぱり第四師団じゃダメと来た」

ザイヴァー > 今の第一師団についての話を聞けば、苦々しい表情になり。

「それほどか……まあ、俺が後任を決められなかった時点で、
「貴族的に」優秀な者があてがわれたとは思っていたがな」

そう言いつつ、グラスを差し出されれば、受け取って。

「だが、平時ならそれでもいいかもしれんが……砦の陥落ほどの事態になると、頭が停止するようだな」

そして、第四師団に砦攻略についての話が行きそうになっていたのを知れば。

「ふ、現場を知らん連中が、頭の中で作った戦略などそんなものだ。
俺の率いている部隊……竜騎士と地竜騎士の混成部隊に声をかけてくれればいいのだが。
何分、俺が出張ると貴族連中からはいい顔をされん。
地竜騎士も飛竜騎士も、維持費が馬鹿にならんし、補充も大変だ……
だから、動かしたくないらしい。
だが、こういう時に動かしてこそだと思うのだがな」

俺を動かしたくない派閥の貴族連中は、無駄に地位があると、苦笑して……

アーデルヘルム > 「今は数は多いですが、王都まで攻められたときの肉壁くらいにしか使えないでしょうね」

皮肉屋ではないのだが、口が悪いのはどうしようもない。
そして、それは客観的な分析であり、だいたい間違っていないのだから世話もない。

「そりゃ、旦那が出れば話は早いでしょう。
でも、コスト面を考えれば、出せませんわね。
これは、俺が主計長でもそう言います」

ザイヴァーが出たそうにしていれば、流石に肩をすくめてそう告げる。
実際の本音は別にせよ、表向きの理由は当たっている。
アレだけの軍を一週間動かせば、他の師団を半月は余裕で動かせるのだ。
流石に戦費は馬鹿にならないし、他の策がないならともかく、現状はまだ打つ手がある。

告げつつ受け取られたグラスにワインを満たしていってから

「まぁ、策はあったんですけどね。
政治的にもある程度は納得いってもらえるだけの。

それでも、砦の奪還ともなれば、大分大きい戦功になる。
そうなると、自分の地位を高めたい連中の足の引っ張り合いになるわけで。」

言いつつ手酌で自分のグラスに今一度ワインを満たせば、軽く掲げて乾杯というかのように。

ザイヴァー > 「っくく。肉壁ときたか。どうやら一度、古巣の兵士を揉んでやらねばならんかな」

そう、ワインが満ちるグラスを眺めていれば。

『そーいうとこだぞ、ザイヴァー。今の第一師団に口出ししたら、まーた口うるさい連中が増えるぜ?』

腰にかかっているバスカードが呆れたように言う。

「黙れ愚剣……越権行為じみてるとはわかっている。だが……兵士の質の劣化は、何とかしたい。質の低い兵士は、無駄に失うだけだからな」

そう言いながらも、相手の話を聞きながら、乾杯に返して。

「確かに、大きな戦功だな。得られれば、だが。
足の引っ張り合いか……まあ、敵を蹴落とすための手腕はわかるのだが。
それを、魔族などにむけてほしいものよなぁ……」

そう言いながら、ワイングラスを傾けて。

「しかし、流石はアーデルヘルムというべきかな。政治的に配慮しつつ、砦を落とすための策を練るとは。
俺は、どうしてもその配慮が足らぬ策しか描けない……と言うと言い過ぎだが。
貴族連中がいい顔をしない戦略を練ってしまう」

『まー、お前さんの場合。貴族の子息だろうが何だろうが、キビシー訓練させたり、精鋭部隊を軽く使おうとしたり……そういうのを軽んじてるからじゃねーの?』
「黙れ愚剣。あの程度の訓練で根を上げるなら……戦場に出ないほうが幸せだ」

アーデルヘルム > 剣とザイヴァーのやり取りを楽しげに聞きながらグラスを傾けていれば、第一師団の話に

「出来がいい奴は本当に一握りだけどいますがね。
でも、上がまず王都から出るつもりがないんで。
あの辺削れば費用は捻出できるんですが、
お貴族様の名誉称号として、第一師団騎士ってのはちょうど聞こえがいいんで。
死ぬ戦場に出ない兵を鍛えるくらいなら、戦場に出る可能性のある兵を鍛えてやってくださいな。
……古巣だから気になるのは分かりますがね、今の第一師団は訓練するだけ時間の無駄です。」

情がないのかと言われるのはこういう所でもある。
正論を述べれば嫌われるの典型例でもあるだろうか。

「王都の連中は、魔族が王都まで攻めてこなけりゃ一つに並んでしょうさ。

いえいえ……『政治的に正しい』なんて、単純な話ですよ。全てのメンツが立つように、いろんなところからつまみ食いして編成すりゃいいんです。
ただ、そうなると誰を首に据えるかが問題でしてね。
言い出しっぺだから、俺がやろうとした所、見事に足を引っ張られまして」

苦笑含めてそうしていれば、続くザイヴァーの剣のやり取りを楽しげに耳にしていた。

ザイヴァー > 「ふ、訓練するだけ無駄……か。
死ぬ戦場に出ない兵士などいない。なぜならそれは兵士だから。
もし本当に死ぬ戦場に行かない兵士がいるとすれば……
それは兵士ではなく、かかし人形という」

相手の言葉は正論だが、特にイラつきなどしない。
鍛えるための労力を割くこと自体が無駄だとは、薄々わかってはいるのだ。
だが、兵士になった以上、戦場に出て死ぬ可能性はある。
だから、厳しく鍛えて死ぬ可能性を減らしたい……という、願いはあって。

「ふ、王都に攻め込まれて初めて一つにまとまるか……
なら、その日が来ないことを祈る……と、王都の上層部は一つにまとまらん。
矛盾よなぁ」

そう言いながら、グラスをもう一度傾ける。

「まあ、誰しも、勝てる、あるいは勝てそうな戦はやりたいものだ。
おそらく、位の高い貴族か、王族の子息かが箔をつけるためにその首に据えられるだろうな。
あるいは、海千山千のタヌキどもは、今、戦っているのかもしれないな。
自分や自分の子息に箔をつけるための、腹の探り合いの戦いを……な」

そして、酒を飲み干せば。

「まあ、今はタナール砦の奪還作戦の成功を祈ろう。
俺はこれから、部隊の訓練のプランを練らねばならない……そろそろ去ろう」

そう言って、引き止められなければ、そのまま退出するだろうか……?

アーデルヘルム > 「まぁ、第一師団で使えるヤツを自分の師団に引き抜きたいと思っている師団長は結構いますけどね。かくいう俺もその一人ですし」

さらっとそんなことを言ってのける。
兵士であるなら兵士として戦える場所へ行くべきだし、その意志があるのならば生き残れるための訓練を施すのは情感としての責務だと思っているのだ。
最終的に、王都には案山子人形ばかりになるだろうが、そこまで至らせないのが己たちの役割なのだ、と。

そのほかの話を色々と交わしていたものの、そろそろ辞する様子のザイヴァーの背中に投げる言葉。

「あぁ、今のままだとタナール砦奪還作戦なんて練れそうにないんで、いっそ、師団の横のコネで奪還戦やろうか何てかんがえてるんですがね。
もしやることになったら、旦那も一枚噛みますか?
噛むときは、客将として、少騎遊軍っぽいことをお願いしたい所ですが。」

しれっとそんな問いを向けて見せた。
乗るのであれば、やることになったら声をかけるだろうし、乗らないとしても、こんなことを考えているのをどこかに漏らす御仁ではない。
どちらに対しても信頼のある相手だからこそ漏らした気安いお誘い、と言うものだ。

その返答が得られれば、ひらり手を振って見送る事だろう。

ザイヴァー > 横の繋がりで奪還作戦を行おうかという問いには、おもしろそうにクスリと笑って。

「っくく、それは面白そうだな。ああ、その作戦をやる時が来たら、俺も参加させてもらおう」

そう少し愉快そうに返答し、ザイヴァーは去っていくだろうか。

ご案内:「王都マグメール 王城2 休憩室」からザイヴァーさんが去りました。
アーデルヘルム > 立ち去るザイヴァーの背を見送った後で、ある程度軽くなったボトル。
少しだけ考えて、テーブルの上にコルク栓を緩くつけておいて置いた。

誰かが入ってきて飲むかもしれないし、小間使いが危ないからと処分するかもしれない。
それはどっちでも良かろうと考えて、使い終わったものをすべてテーブルに並べれば、己も休憩室を後にする。

もう少し、面倒くさい仕事は残っているが、目の前のものから片付けていくべきだと考えたからだった。

ご案内:「王都マグメール 王城2 休憩室」からアーデルヘルムさんが去りました。