2022/06/19 のログ
メイラ・ダンタリオ > 雨の多い今の時期 外で砦や戦場での任期は余り皆好きではない。
戻ってきてみれば、今度は走り込みや王城内での訓練や馬上での武器の扱い方
愛馬とのコミュニケーションなど、紙とペン ゴルドと取引以外にもやることは溢れている。

訓練というそれも、屋内でやることが多くなるのは必然。


そんな中、若い者から中年のベテランに至るまで、戦場で飯を食っているに等しい全て
それらが此処に集まり、訓練を行う。  怠けている者から死に、その死んだ者が下手に上ならとばっちりを食らう。
それをさせないために、誰も彼もが放り込まれる中で、中心を眺める者らが全て貌を青くするか、冷や汗を垂らす。

屈強な体を持つ、達人やトップの一角。
無駄な動きのない洗練な者も居れば、経験値と怪力無双と呼べるかのような力で圧倒する者も居る。
その一人の大柄な男に、これでもかと叩きのめされているのが、今のメイラの姿。


「―――ガッッ!!!?」


壁に叩きつけられる 足が床に付かず、踵が片足擦れただけ。
吹き飛ばされた一撃と、右手に握りしめる厚みと長さのある丸太削りの木剣
練りの一時間かけて遅く振りを行うときに使われるような、そんな厚みの模造武器を片手に、メイラには鼻血 青痣が多かった。

しかしそれでも、赤い瞳はぎらついている。
ギザ歯は顎の力を失わず、バリッと歯をこすり合わせる歯軋りを見せて立ち上がる。


「―――まだまだですわァッ!!」


血と唾液の混ざり合った混合物を咆哮と共に飛ばす。
足りない、ハテグもタナールも 果てはアスピダですら何度も往った。
不毛なやりとり、決定打の与えられず削り続けど中心の核には届かない。

徹底的にやりつづけていたメイラの中で、乾き続けている。
怪物 化け物と呼ばれようと それは素材が活きているだけであり、最強ではない。
格上の一人に挑む 挑戦者側となって何度も重い剣檄を重ね合わせていながら、飛ばされる
胴を叩かれる 剣の幅で防ごうと、突かれた先で腹部を押し、圧が内臓を痺れさせる。

鍛え直してほしかった
格上と競り合いたかった
王に対する首級が足らんと飢える気持ちが足りなかった

そして言葉にできない何かがあって、今に至る。

メイラが望んだ訓練の一端
木の剣であろうとも、互いの厚み 重さ 丈は、剣の形をした槌そのもの。

足腰がまだ震えず、バネのようになって獣のように向かっていき、再び始まる剣檄のぶつかり合い。

メイラ・ダンタリオ > ボロボロの負け
歯も折れていなければ骨も折れていない。
肉を痛めつけられて胃が痺れる。
メイラの自己診断は、手加減無用ではなく狙ってやられた

それがはっきりわかるほどだった。

狂気的な王への意地と忠心
戦うことでしか存在意義の無い塊

メイラばかりには構っていられないとばかりに、構ってやった相手側
年齢不詳な半魔のメイラであろうとも、メイラよりも格上な存在
切り上げることを告げ、従うメイラ。

両足で立ち上がる程度の膂力を残しているのは、急な出陣であっても使わせるため。


「か、感謝いたしますわ……。」


息は白い吐息の熱ではなく、疲労とダメージからくる少し荒々しいもの。
最も、呼吸を整えて少し休めばまた暴れ狂うだろう。
首と手と足がある限り そう動けと教えられている狂った家に住まう者なれば。



そして壁際に足元はややよたつきながらも、握力は衰えていないかのように木剣を担いで戻るメイラ。
廻りからは、狂人や化け物呼ばわりされるメイラですら、その有様の中で あの中心で
揉みに揉まれるしかないのだと悟り一人一人、必死で剣をさばいていく。

敵対者との差を思うとき、これ以上に出会うことが無い機会を増やすために。


「ああ、痛めつけられましたわねぇ……っ。」


どこか満足そうな声色
それに対し、また周りは『お前やっぱおかしいよ』と、長年轡を並べる機会があった髭面中年
生き延びている一人に砕けた口で言われても、フンッと鼻を鳴らし。


「良いから貴方も往きなさいな。」


そう言ってぐいと、力で負けるはずもなく、前に放ると背中を次いでに蹴りつける。
そんな恨み言の一つでも聞こえそうな一幕があったとか。

ご案内:「王都マグメール 王城2 訓練場」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。