2021/04/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 王城の中庭は、四季折々の花咲く場所だ。
王族の中には政治的理由で王城の外に出づらい人間もいるので、その配慮があるのだろう。
まだ日の高い庭園では供を引き連れた王族達が、それぞれに茶会や散策を楽しんでいる。
そして、その中でも見劣りしない豪奢な衣服――闘牛士服を身に纏い、庭園を歩く男がいる。
「……うん。暇」
と、ぽつりと呟く男。
もちろん、誰にも聞こえない様に小さく呟いたつもりだが――しかし、男は暇をしていた。
男は、闘技場の出資者であるとある王族に謁見し、近況報告や"映像媒体"の献上を行っていた。
その仕事は終わったのだが、しかしその王族から明日宴を開くから、今日は此処に留まるといい、というご招待を受けたのだ。
「(まあ、料理は美味しいだろうし、王族との顔つなぎができるのはありがたいけど……)」
しかし、暇は暇なのである。
カジノもない、酒場もない、どころか飲食店自体がない。
そうなると、ぶらぶらと城の中を見て回るしかやることがない。
噴水の縁に腰掛けて、あー、と天を仰いで。
「なにか面白いことないかなー」
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にネリネさんが現れました。
■ネリネ > ソレが運び入れられた時、室内にはざわめきが広がった。
その場の貴族達にとって。自分達がやったのだから、理解はしていても。
改めてソレの現状を見たのなら。考える事、思う事があったのだろう。
もちろんそれは。堕ちたメスに対する思いや、使えそうなモノへの評価だが。
誰が言い出したのかは知らない。だがバフートの人間に依頼があった。
ソレが確実に堕ちている事を。壊れている事を。改めて確認させろと。
かつてソレの属していた一族や一派が。決して復興する事は無いという事実を。城内の者達にも見せ付けろと。
目を伏せしずしずと歩くその足取りだけは。かつての令嬢めいていたかもしれない。
だがその歩みは。首輪を填められ、犬の様に引かれながらであって。確実に奴隷としてのそれだった。
一見すれば真っ当なドレスも。近付いてみれば大半の生地が薄く透け。
ともすれば下着同様の卑猥さで。ソレの肌身をさらけ出しており。
そういった姿を隠す事なく。感情らしい感情も見せる事の無いまま。ソレは広間の中心へと連れられていく。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
何とも趣味の悪い"催し物"だった。
王位後継者争いに名を連ね、王国屈指の財力を誇るホーレルヴァッハ家の嫡男。
その様な立場だからこそ、如何に自分が子供と呼べる年齢であってもこの様な夜会では貴賓として遇されていた。
とはいえ、そんな夜会など何度参加したのかも覚えてはいない。
今宵も、卑屈な態度で挨拶に訪れる貴族達を作り物の笑顔でいなし、適当に酒と煙草に耽るだけ。
――そう思っていたのだが。
「……見世物にしては品が無い。供物にしては手垢に塗れている。
私に"コレ"をどうしろと言うのかね?」
室内に運び込まれた少女。
かつては己と同じ様に王国の支配者層として君臨していた筈の家の令嬢。
今は、奴隷に堕ちた唯の雌。
夜会の主催者に、下卑た顔で広間の中心へ案内されれば。
商品を観察する様な視線で、低俗なまでに薄いドレスを纏った少女の前に立つ。
少女の視界に映るのは、背丈も大差無く、顔立ちも少女の様な華奢な少年。
しかし、その衣服は勢の限りを尽くした豪奢な礼服であり、周囲の大人達は畏れと嫉妬と平伏の視線を向けている。
此の場の支配者として君臨する少年は、唯観察する様な瞳でじっと少女を眺めていた。
■ネリネ > 問い掛けに対して。命じられ、ソレを運び込んできた奴隷商は言う。
それはもう好きにしてくれて構わないと。何をしても、どう扱っても、ソレが不平を言う事は無いと。
…ちらりと何処か脇へ目を向けて。何なら壊してしまっても構わないと。そういった台詞さえ最後には飛び出して。
――最後の一言が放たれた瞬間。貴族達の誰かが、ほ、と。安堵のような息を吐いた事に。少年は気がつけるだろうか?
徹底的に政敵を排除して。その一族縁者まで確実に放逐して。それでも尚安堵しきれない小心者こそが、彼の言う下品な見世物を目論んだのだと。
そうした者達からすれば。もし本当に、主賓めいた立場の少年によって、ソレが使い潰されてしまったら。
一つの血統が確実にこの王国から消滅するという事になり。それはもう大歓迎なのだろう。
したり顔で申し出てくる者が居る。クスリも使ってあるので、直ぐに使っても問題無いと。
また別の者も言う。何ならその侭家畜として飼ってみてはどうかなどと。
自らを取り巻く、過去の遺物のような思惑達を。知ってか知らずか。
軽く小突くようにして、奴隷商によって前へと歩かされたソレは。かくん。頭を傾がせ少年に向き直る。
「……このひと……が、 きょうの …ごしゅじん、さまー…?」
出て来る言葉は間違い無く。既に、同じ支配者層のモノではなかった。
とろとろと濡れた、クスリと快楽浸けの眼差しで。どれだけ美しかろうと、間違い無く異性である少年を。じ、と見上げて。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
安堵の吐息と、喜色の色を隠さない者達。
宮中で長く過ごしたが故に、そんな態度や気配には敏感になってしまった。
とはいえ、それを咎めたり気を悪くする事は無い。
"その程度のこと"で安堵する様な者は、己の敵になり得ないのだから。
さて、一人が申し出ればまた一人、一人、と。
少女がかつて名乗っていたであろう家名の痕跡を。
少女という存在そのものを。
徹底的に壊し、舐り、貶めようとする者達のざわめきが己を包む。
「――黙れ。これを私がどう使うのか。どうしてやるのか。
それは私が決める事であって、貴様達の意見など求めてはいない」
ぴしゃり、と彼等の言葉を跳ね除けた。
別に、彼等の言葉に義憤を覚えたとか。少女が過ごしてきた過去に憐れみを感じたから――ではない。
『自分に捧げられた玩具なのだから、使い方は自分で決める』と。
傲慢で尊大な態度で、周囲に示すのだろう。
「………辛うじて人語は解する様だな。そうだ。私が、今宵貴様の使う者だ。
ギュンター。ギュンター・メルヒオール・フォン・ホーレルヴァッハ。
その薬漬けの茹った頭で覚えられるのなら、私の事は好きに呼ぶと良い」
まあ、何はともあれ。
供物として差し出された少女は、その容姿も服装も十二分に劣情を誘うものではある。
控え目に言っても、美しい少女だ。もう少しきちんと"使って"いれば、高値を維持出来たろうに。
「それで、貴様の名は?それとも、名を告げる知性すら淫欲に明け渡してしまったかね?」
此方をじっと見上げる少女。その蕩けた瞳を、無感情に見つめ返しながら首を傾げるのだろう。
■ネリネ > まるで取り巻きのように。
その少年という、金と力の象徴であるかのような存在に対して。へばり付いてくるかのように。
欲望をうたい、権力に媚びた不純な言葉達は次々と。其処等中から上がってくる。
それこそ。少年自身がいい加減、彼の口からシャットダウンを言い渡さない限り。
実際に。それ程間を置かずに、彼の言葉が。上と下とをしか認識出来無い者達の言葉を遮った。
まだまだ良い足りないとはいえ、主賓の不興を買っては意味が無いので。渋々引き下がるのだろう…ただし。
上を見なくなっただけ。下、ソレが確実に自分達の前で堕ちる、壊れる、事に対する期待の眼差しは変わらずに。
貴族達のゴタゴタには、過剰に首を突っ込む事をしないのか。
適切な報酬さえ支払われるのなら、それでいいという事なのかもしれない。
何処吹く風の奴隷商人は。まがりなりにでも話は纏まったとみたのだろう。
少年の手に、少女の首輪へと繋がる手綱を手渡して。速やかに広間の外、安全圏へと脱していく。
「ぎゅんたー………ぅーん、ながぁい… ごしゅじんさま、は……やっぱり、ごしゅじんさま、でー…?」
傾いだソレの首が、真っ直ぐに戻る事は無く。眉を顰めて考え込むような…直ぐに。それを諦めるのだが。
勿論本当なら。ホーレルヴァッハという名も、それが如何に強大な力を持つ一族であるかという事も。知っていた筈。
しかし今現在のソレの頭の中からは。かつて持っていた筈の知識は、押し出され零れ落ちてしまったのだろう。
正しく彼の言う通り。クスリや淫欲に、許容量を溢れさせられてしまって。
仕えるのは事実だ。だからごしゅじんさまは、ごしゅじんさまだ。
その一点だけを肯定すると。すとん。と。見下ろしてくる少年の前へ、膝を着いて座り込み。
「ねりね…は、ねりねー……なまえは、ねぇ…?
ん…ふ、ごしゅじんさま――ねりね じゃ、だめ…ですかー……?」
ふと、困惑めいた影が。ソレの表面を過ぎっていった。
ごしゅじんさまに使って貰えなかったら。ソレにとっての存在意義は無いような物になるし…
ちゃんとお客を愉しませる、喜ばせる事が出来なかったら。後が怖い。
骨の随まで奴隷としての性質で物を考えて。自分を犯そうという気配が、未だ無い少年に対し不安を見せる。