2021/02/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にイヴリールさんが現れました。
イヴリール >  
──外の世界への憧憬は日増しに強くなる
こうやって、また許可を得ずに、鳥籠を…部屋を抜け出しているのも、その現れだった

王城の大階段の上、その手摺にその華奢な指を添え、見下ろせば…
大門より、王城に出入りする冒険者であったり、街人の姿がよく見える

階段を一息に降りきって、あそこから踊りだせば、お城の外の世界が見えるんだろう
そう思いながら、ただただ、人の出入りを眺めていた

憧憬は憧憬…自分の思うような、夢のような自由がその先に在るとは、思っていない

ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にイスラさんが現れました。
イスラ > 涼を取る為、広間を抜け出した。
例え真っ当な夜会だったとしても…大勢の集まった屋内には、どうしても特有の熱気が籠もる。
その上権謀詐術に疑心暗鬼が蔓延し、目に見えない重苦しさが立ち籠めて…あの場所に居続けるのは。正直辛い。

挨拶回りと回られとを続ける父兄から、さり気なく距離を取り、廊下へと滑り出して…一息。
歩き始めて、程無く。視界の先に人影を見出した。

「 ――お姫様。どうしたんだい?こんな所で、一人きりだなんて。」

仮にも、登城が許されるようになって暫く経つ。
…その、少女の事を。話程度には聞かされていた。
眼下を見下ろすその後ろ姿へと掛ける声には…興味深さが半分。
もう半分は…勝手な、共感意識のような物が。含まれていたかもしれない。
我が身の事すらままならない、そんな立場同士としての。

イヴリール >  
埃一つついていない大階段の手摺り
清潔に保たれ、美しく磨かれた城内は…、街人からすれば素晴らしく贅沢で、恵まれた環境なのだろう
──鎖にさえ繋がれていなければ

明るく、快活な声で言葉を交わしながら冒険者の一党が、城から出ていった
きっとギルドで何か大きな仕事をこなし、恩賞を与えられたのだろう
余りにも眩しくて、余りにも…"生きている"といった印象に溢れた姿だった

「………」

胸がチクリと痛んだ気がして…
思わず手摺りから手を離し、そのささやかな胸元を抑え、もう部屋に戻ろうと振り向いて…

「あ…っ」

声をかけられ、小さく声を漏らす
視線が交わり…すぐに、その視線を下へと逸らしてしまうのは…目を合わせるのが苦手なのかもしれない

「…いえ、その……少し、お散歩に…」

もじもじと、消え入りそうな声
初めてみる…初対面の相手ということもあるのだろう
与える印象は余りにも気弱な…おどおどとした少女

散歩、と言うには此処は城内
その言葉だけで、もしこの姫のことを聞いたことがあるのなら
城の部屋に軟禁状態にある、妾の姫…その当人であることが理解るだろうか

イスラ > 「 ――散歩。 …そう。」

聞いた事が有った。だから察してしまう。
外を見る事の出来る、この場所へとやって来るだけですら。目の前の少女にとっては…一大決心、なのかもしれない。
眺める事は出来るのに。手を伸ばすには、目に見えない柵が邪魔をする。何とも侭成らない生き方…生かされ方、だ。
僅かに首を傾げ。彼女の言葉を反芻した後。ほんの僅かに思案すれば。

「 もし良ければ、その散歩に。付き合わせてくれないかな。
――と、失礼。ボク――私はイスラ。トルリダ子爵家の……まぁ、末っ子、でしかありませんが。
登城した貴族の付き添いという名目が有れば。少しくらいは出歩く事も許されるでしょう?」

手を、差し出した。
叶うなら直ぐにでも。彼女に対して責任を持つ者にでも、話をしてみようと思う。
――勿論少女を飼う者は、子爵程度よりはずっと偉い筈。
その者が駄目だというなら、連れ出す事は叶わないだろう。出来たとしても、決して遠くはない筈だ。

更にはきっと。様々な条件が付与される事だろう。
良い意味なら。決して危険な事柄には近付かない事。
悪い意味では…籠の鳥、愛妾たる少女の貸出である以上。「然るべき事」はしてみせろ、だとか。

文字通りの散歩程度。だが、それでも良いというのなら……こうみえて。
この娘は、脱走に手慣れているのである。

イヴリール >  
「え…で、でも……」

意外な言葉に、丸くなった蒼い瞳を向ける
どこか中性的な雰囲気、異国風のドレスがそれに拍車をかけるように
少女にとっては、いささか見慣れない…そんなイスラの姿

差し出された手を、少しの間、眺め……

「(…少し、だけなら──)」

怒られない…かも、しれない
そう思って、そっと白い手を、重ねる

「…い、イヴリール…、です……」

「……その、散歩と、いっても……
 お城の中を…歩くだけ、なのですけど……」

イスラ > 「 そう、だよね。……残念だけど。それでも良いなら、是非…付き合って。
いや、付き合わせて欲しいな。」

さぞ、難題に直面したのだろう。目に見えて困惑する少女だが…それでも。最終的には頷いてくれた。
それとも単に、断り切れなかっただけなのかもしれないが。
結果としては同じ事だ、そう言って良い。
重ねられた手を。…きっと、容易に壊れてしまうだろうから。そっと包み込むようにして。

「 有難う。それなら、少しだけ…寄り道して。ちゃんと約束してから行こう。
…君の事を拐かす、悪者の仕業ではないよ、って。説明しておかなくちゃ。」

それに、夜は未だ冷えるものだと。苦笑混じりに付け足しては。少女の薄い衣に目を向けた。
さり気なく、手を握り直し。指をしっかりと絡めてから歩き出す。

…そう、一度彼女の暮らす場所へ向かい。受け取っておこう。
羽織物でも何でも、夜を歩くその準備と。
……伝え聞く噂通りに。彼女を抱く、その準備を…だ。

イヴリール >  
自室に訪れるとイヴリールは侍女を呼ぶベルを鳴らした
…黙って部屋を抜け出していたことは秘密にし、イスラを友人である、と説明した
侍女は少々不審な顔はしつつも、トルリダ子爵家の者であるとわかれば、理解りました、と
藍色に金の装飾がされた肩掛けを用意し、イヴリールへと手渡した
そして『遅い帰りにはならないこと』を少し強い口調で、言い聞かせるように口にした

「…お待たせしました」

肩掛けをドレスの上に羽織り、自室から出てきた少女
まだどこか、不安そうな顔をしていた
名前にしか価値のない自分に声をかけてくる貴族など、そうは居なかったからである