2020/11/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にヨアヒムさんが現れました。
ヨアヒム > 「戦費がかさむので救貧に手が回らぬ、というのは少々違う気がいたすなあ」

 背の低いぽっちゃりとした中年男は、のんびりした口調で対面する青年に告げた。ここは城内にある王国貴族専用のサロン。太股と胸の谷間を曝け出すメイド服を着た侍女達が給仕する中、男が続ける。

「いやいや勿論、シェンヤンとの戦であれば卿の仰る通りだがね。今の頭痛の種である血の旅団、これは叛徒であろう。つまり民草への不満が、蜂起という形になって我々に跳ね返ってきたわけだよ……ああ、ありがとう」

 微笑んだ男が、際どい服のメイドに礼を言ってグラスを受け取る。

「救貧院と孤児院への出資を増やすというのは、見方によっては軍を以て叛徒を抑えるよりずっと有効とは言えまいかなあ」

 グラスを傾けた男の前で、眉目秀麗なる青年貴族は顔をしかめ、頭を振った。中年男は気を悪くした風もなく、ぽっちゃりした身体をゆすって面白げに笑う。

ヨアヒム > 「それに、押さえつけるより寄り添う素振りを見せる方が色々とやりやすいとは思わぬかね」

 笑みと共に言った中年男は、足早にやってきた従者に耳打ちされてゆっくりと頷いた。

「失敬。待ち人が来たようだ。今夜は有難う。また話そう」

 中年の王族がそう言うと、近くにいた貴族達が席を立って愛想笑いを浮かべる。男もそれに応え、サロンを後に。

「どちらが来た?」

 王城の廊下を歩きながら従者に問うた。王族たる男には沢山の待ち人がいる。資金繰りに困った孤児院の女院長、没落した貴族の奥方、あるいは自分が目をつけた貧しい町娘などなど。顎に手をやり、舌なめずりをした。