2020/10/29 のログ
リシェ > 「…………はい。変わりました。わたし、とても、変わったんです。」

(きっぱり、そんな台詞が出て来る、というだけでも。
きっと、春先の頃の、未知なる全てを、怖がっていたような。あの時とは、違う…という事。
人は変わるものだから…少女の、場合は。ヒト、と呼べないものの。
そして、ヒトである筈、なのに。変わる事が無いような、人と人との群。作り上げられた、一集団。国、に対しては。そっ、と。息を吐いて。)

「けれど…小さな、変化、です。…人一人、なんて。…大勢。という、とても、とても怖い、力。
それには……まだ、とても、叶いません。変える事も。難しいと思います……そう、ですね?これは…
川の流れを、変えるのが、どれだけ難しいかと……似ています。きっと。
ですから。人々、という流れ、勢いと、一緒で。あの方達の、欲望、も。…止まりませんね?やっぱり。」

(だから、いつもどおり、の一言。もう、それで済ませても良いと。考えてしまう。
…それに、彼等の事を、言える程。少女自身も、強くない。流れに、勢いに、呑まれたのなら。そのまま、快楽に、沈んでしまう。
結果が、同じなら。せめて、仮定の方で、少しだけでも。変化を、求めるのは。悪い事ではない、筈。)

「けれど。殿方は、よく…有るでしょう?自分が、処女地を征服したい、自分だけの、色に染めたい…
支配とか、征服とか、そういった欲を、満たすには…わたしでは。物足りないのです、きっと。」

(確かに、卑下と言われれば、そうでもあると思う。何時も通り。今まで通り。
ただ、ほんの少しだけ。隠し切れず。征服者達を、評する声に。…嘲り、のような色が。滲んでいた…かもしれない。
ただ、それ等はあくまで、今まで少女を犯してきた、弄んできた、その者達へと。向けられた物でしかなく。
初めて、この先を迎える事となる、彼に対しては。色の薄い、透明な…どうとでも、穢され得るような。顔をして。)

「……でしたら、ホーレルヴァッハさま…わたしの事も。
あなたさまの、仰る、”そういう場所”へ。お連れ、下さいますか…?」

ギュンター・ホーレルヴァッハ >  
「…それは、きっと良い変化であったのだろうな。
その変化が、リシェにどの様な結末を与え得るのかは私には分からぬ。
けれど、不変である事よりもずっとずっと、変わるという事は大事なことだ。正直、羨ましいよ」

変わった、とはっきり明言した彼女に向けるのは――感嘆と、僅かな憧憬の様なもの。
彼女がどう変わったのかは、己にはわからない。それでも『変わった』と言葉に出来る強さを、彼女は得たのだから。
それは、得てして得難い尊いものだな、とぼんやり思考の片隅で思っていたり。

「…違いない。人の欲望等、そう大きく変わる事も無ければ止まる事も無い。
際限の無い欲望が、何れ我が身を滅ぼしたとしても、きっと彼等は気付かない。
それは、私もリシェも、同じ事かも知れぬがな」

食欲、情欲、嗜虐心に被虐心。
あらゆる欲が溢れ出るばかりの此の城で、快楽に呑まれてしまうのは己とて同じ事。
だから、其処に僅かな変化を求める事は――確かに、悪い事では無いのだろう。

「それは否定せぬさ。けれど、どの様な男に抱かれていようと。どの様な色に染まっていようと。
それを塗り潰し、染め上げるのもまた一興。
そんな熱も持たず、お前に物足りぬと宣う男達など、気にする事はあるまいて」

彼女の言葉に僅かに滲んだ嘲りの声に、小さく苦笑い。
そして答える言葉には、傲慢にも似た己への矜持が強く現れているだろう。
どんな色であろうと、どんな想いを抱こうと。
一夜の褥の中では、己が支配者である事への、矜持。

「……ああ、構わぬさ。構わぬよ、リシェ。
こんな品の無い場所では無く、お前を傅かせるに相応しい場所へ。お前を喰らい尽くすに相応しい場所へ。
連れて行ってやろう。連れ出してやろう。
此の、唾棄すべき空間からな」

無色で透明な表情の彼女を。無垢、とも呼べる様な彼女を。
今宵一夜、己の牙にかける事を告げて。
彼女が己の言葉を聞き入れれば、興味津々と言わんばかりに此方を伺っていた貴族達を睨み付けて道を造り、彼女を大広間から連れ出してしまおうと。

リシェ > 「だと、思います。…少なくとも。わたしは…知らなかった、わたしを。
見付ける事が…気付く事が。出来ました、から。
この先の事は。…少しも、解りませんけれど……」

(それでも、変わった、その事だけは。紛れもなく、事実だから。変化その物が、どう、転んでいくのか。解らないとしても。
少なくとも、変化それ自体については。何も、後悔していない。と、暗に。
ただ、大勢の耳が、こちらに向いているかもしれない…中で。明確に、良かった、そう言い切らない辺りには。
どこか…後ろ暗さ、のような物を。感じさせるのかもしれないけれど。)

「同じですよ?……誰だって。欲望、まみれです。…生きたい、それすら、欲望でしょう?
そういう、意味では、欲望…それ自体が。悪いとは、限らないのかも…しれません、けれど…ぁ、…少し。言い過ぎたかも、しれません。」

(その言葉を、途中で、止めてしまったのは。例え、肯定なのだとしても。彼自身が、苦笑せざるを得ない、そんな顔で語る内容だから。
…正直な所。そういった問題を。考えてもいない、唯々、欲望その物に、振り回されるだけだろう、人達。
ちらりとだけ、彼等の方に、また目を向けてから。振り返った、その時には…もう。
俯瞰して、大勢の貴族達を、嘲笑ったような。…小さいが、確かな、変化の一端は。なりを潜めて。)

「既成事実が、大事。目に見える物しか、大事ではない。…そういった方が。大勢、居られます…ので。
………ぅ…ん、ぁ…それは、確かに。…そういうお方も、居られるとは思いますが……」

(言われてみれば。他者の色を、再び、自らの物へと、塗り替える。そういう嗜好も、多そうだと。
例えば、他人の伴侶だとか。別人に忠誠を誓う、騎士や軍人、だとか。
ただ。彼の言葉を、聞いてだろうか。少女に、好色な視線を、向けていた者達は。実際、彼女の言う通り、少女の所有権を、主張してこなかった。
れっきとした王族である、彼との対立を、嫌ったからだというのなら。こんな場所で、随分と情けなくも、理性的だと思う。
そういった者達と、比べたのなら。例え、その宣言が、酷く物騒だったとしても。彼の方が、ずっと、遙かに。…力を持っている、そうとも思えて。)

「はい、どうか…わたしに、色を。ホーレルヴァッハさまの色で、染め抜いて下さいませ。
…暫く、とれない位。……彼等が、どうやっても。拭い去る事、塗り潰す事、出来ないくらいに……」

(周囲の、者達は。少しだけ、驚いた…かもしれない。とことん、卑下するしかなかった少女は、こんな時。
自分を抱く男に、同調しきる事なく、どこまでも、異性全体を持ち上げてきた。そういう、発言を心掛けてきた。
それなのに、今夜の少女は。はっきりと。抱いてくれるその人と、それ以外とを。切り分けた言葉と共に。宴の場から、連れ去られていく。
既に、彼の色という物が、及びつつあったのか。それとも、何か。
多くの者達は。知る由もないだろう。この先に、触れる事が出来るのは。あくまでも…彼一人だけ、なのだから。)

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リシェ > -継続させて頂きます-
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