2020/10/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にマレクさんが現れました。
マレク > 「ええそうなのです。王都の程近くに、未踏査の遺跡が眠っていたのですよ」

王城に出入りする貴族たちは、様々な意味で話題に飢えている。栄達の手がかり、政敵の脅迫材料、あるいは単に、暇を持て余したなどなど。
この男の目的は、そうした人々に接近して知遇を得ることだった。もしくは、美しい獲物との出会いを楽しむこと。今のところ、後者の目的はおくびにも出さず、さる子爵夫人の相談役を引き受け、彼女とある冒険者の仲介をした話を滔々と語っていた。

「機能が生きている先史文明というのは、人生でそう何度もお目にかかるものではないでしょうね。お見苦しいのは承知でご覧頂きたいのですが、この火傷は……」

サロンに集まった高貴な人々の前で左袖をめくった男は、膏薬が貼られた腕を見せ、先史文明のゴーレムが放つ熱線でやられた様を、おどけた様子で解説してみせる。貴族たちの笑い声や驚きが返ってきた。

「……失礼いたしました。ひょっとすると皆様のご領地にもあるかもしれませんよ?そうした宝の山が」

袖を戻し、笑みを浮かべる。血の旅団が占拠したアスピダの包囲戦は、当初の予定より遥かに長引いていた。新型の攻城兵器開発は急務であり、その助けとなり得る先史文明の調査あるいは遺物回収というのは、貴族たちの間でにわかに注目されつつある事業だったのである。

マレク > 『でも』と扇で口元を隠した夫人が眉をひそめた。『下賤な者共を、先祖代々受け継いだ土地に招き入れるなどとは』その言葉に、年老いた貴族が相槌を打った。

「御懸念ごもっともです。メルド子爵夫人も、冒険者の選定に苦慮されていらっしゃいましたよ」

訳知り顔で頷く。遺跡調査が貴族の新事業といえど、彼らが直接探索するわけではない。各々が見初めた冒険者に投資し、依頼するという形式なのだ。それによって雇用を生み出しながら国家に資する活動を行う、というのが大義名分である。

「結局は、子爵夫人は幸運を味方に付けられたのです。有望なる冒険者と巡り合えるかどうかは、縁の問題ですからね」

男が頷く。依頼する冒険者はまず契約を遵守する誠実さが必要であり、かつ力量も求められる。

更に、貴族のメンツという観点から「自分が後援している」とアピールする為にも、実績がない、もしくはほぼない者を見出さねばならない。熟練者を援助して成果が上がっても、それは彼あるいは彼女自身の実績であり、貴族の力とは主張し辛いからだ。
つまり、候補者は幾つもの条件に合致していなければならないのである。

「そうですねえ。冒険者ギルドを通して、辛抱強く探し続けるよりほかないでしょう……」

男がそう言うと、面々は曖昧な頷きを返した。

マレク > 「さて、先史文明といえば、この類の遺跡は不思議なほど調度品、芸術品に恵まれないものでしてね。当時の美的感覚と現代のそれが、余りにかけ離れているためか……」

好事家として、男の話題は尽きる所を知らない。いつも通り、サロンは彼一人の講演会に化けたのだった。

ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」からマレクさんが去りました。