2020/09/06 のログ
■小藍 > この場に留まっていても、騒ぎが大きくなるだけ。
なるべく早くに辞退したいのだけれど、このまま走り去るというわけにも行かない。
それができればどんなにいいものか。
勧められた椅子に座るなどとは言語道断となれば、取れる選択肢はそうは多くなく。
「―――どうかご容赦を。」
ただただ恐れ多いとばかりに、跪き、突然のことに身を震わせる少女。
柔らかな絨毯に手を突いて、額を擦り付けんばかりに頭を下げる。
何の権力も、力も持たない少女にできることと言えば、それ以外にはないだろう。
真実がどうか、ではない。
周囲にどう見えるかが重要なのだ。
ただ男に釣られて、女給服姿の少女に名前ばかりか家名を告げるボケた貴族たちに、それが通じるかと言えば怪しいところ。
どうにも形勢は悪い方へと転ぶばかり。
こういう時にこそ、先ほど名前の挙がった実直この上ない人物が助けに来てくれるというのが物語の相場なのだけれど。
収拾のつきそうにもない事態に、そんな妄想まで浮かんできてしまい。
■マレク > 「……もし姫君でないとすると、怪しげな振る舞いについて問い質さねばならぬやもしれませんね」
突然したり顔になった男が、跪き頭を深く垂れる少女の前で床に座り直す。微笑んだまま脚を組み、小首を傾げて。
「隠し事は通用しないとお考え下さい、可愛らしい御方。先程の貴女は、何かを探っているように見えました。今のようにひたすら許しを請うというのも、余計に疑わしい。もしや……密偵では?」
眉を片方持ち上げた男は少女から視線を外し、周囲の貴族を見渡した。男の意図を掴み始めた下種な者達が、少し遅れて笑みと共に同調する。
「こうなったからには身の証を立てて頂くよりほかにありませんが……いかがです? 御自身の潔白を証明する意思はおありでしょうか?」
こうなったも何もない筈だが、王宮での貴族の気紛れというのは時に恐ろしい事態を引き起こす。他の女給は助ける素振りを見せない。努めて少女から目を逸らし、自分の仕事にのみ意識を集中させている。
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■小藍 > (移動します)
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