2019/01/21 のログ
■リシェ > 「真面目な方なのですね、多分、セイン様は。
…そうですか。ありがとう、ございます。」
(だからかもしれないと。幾つかの事を、勝手に納得した。
彼女が、うんうん。頷く仕草も。ますます、彼に疑問を抱かせる…かもしれない。
ついでに。危害を加えない、などという。当たり前かもしれない事に対して。
謝意を示して見せる事が、当然のような。少女の素振りに関しても。
確かに、それこそ、貴族や王族だったなら。逆に冗談でも、危害など、許さない物…多分。)
「はい。…結構、掛けていただいて、いますね。お金。
…盗まれるのは、勘弁頂きたいと。思います、けれど。
そんな事、有りませんよ?言っているじゃないですか…品、です。王族、貴族の方の道具です。私自身が。」
(更に言うなら。色に狂い、狂わされる、性の為の道具、なのだけど。
殆ど、周知の事実であるかのような、その事を。彼が知らないようだからこそ。
色と無縁、欲にも負けない、真面目な執事様なのだろう…そう、考えたというのが。
彼女が勝手に勘違いした、納得の内訳で。
兎に角。手を、金を、掛けられた品物だから。見せかけだけの礼儀…メッキは施されている、とでも、いうべきだろうか。
姿勢だけはきちんと。小首を傾げる仕草も、決して、品を失う程にはならないように。…少なくとも。
本来の用向きで使われる、ドレスもメッキも剥がされる、その時ではないから。)
「ほら、やっぱり。きっと、お仕事に忠実でいらっしゃる、のでしょう。セイン様は。
それだと、ご存じなくても、仕方ないと思いますよ?
……身の回りに、手の届く所に。置かれていると。そう言った方が。分かり易かった、ですか?」
(きっと。仕事一辺倒、色ボケなど知らないのだろうな、と。だから、野暮扱いされたりするのだろうな、と。そういう風に受け取って。
口元に手を当てて、少しだけ、笑ってみせる。何処かのお嬢様、であるかのような、メッキの仕草で。
いずれにせよ、関係者ではない、というよりは。王城の、表の顔しか知らないような、人なのだろう、そう考えたらしく。
…悪く言うと、仕えているという貴族の言う通り、野暮な男性なのだろうなぁ、と。
だから、少しだけ。本当に少しだけ。逆に、自分の素性を告白する事を。躊躇わずに。)
■セイン=ディバン > 「……いや、いえ……いえ?
その、自分は。真面目では……」
相手の言葉は、男の中にずしり、と圧し掛かってくる。
身分を隠す演技、振る舞い、仕草に対して。そんな事を言ってくる。
当然、そう思うように仕向けているのだが。この相手は。
この相手には、それをしないほうがよかったのでは無いか、と思えてくる。
男にとってそんなことは初めてのことであった。
「……? その、何を言って……。
……え、っと。その。
それも、何かの。冗談でしょうか?」
この人は、何を言っているのだ? 男はそう考えるが。
どうしても、思考が、いや、頭の中が落ち着かない。
冒険者として、様々な経験を積んできた男の脳は。
これまでの情報から、様々なことを推理し、情報を整理していく。
そもそもがおかしかった。こんなに美しく若い女性が。
付き人も無しに、部屋で一人、自分で紅茶を入れる。
そんなこと、城に住む人間の生活において、ありえるのだろうか? と。
「……あ~……。ん~……。
つまりさ。リシュちゃん、キミって……。
この城に囚われてるお姫様、ってこと?」
明確に、完全に。説明されたわけではない。
だが、流石の男も、これまでの情報を統合すれば、何かしらには気付けた。
思わず、地を出しての問いかけ。この少女は、この場に、この城に。
望んで住んではいないのではないか? そう判断し。
男は、思い切った問いかけを行ったのだ。
故あれば。……この少女を助ける為に。
相手にも流石にわかるだろう。表情が変わり、気配が変わった。
侵入者たる男の素性が、全うな執事などではない、ということが。
■リシェ > 「いえ、職務に邁進しておられる、のでしょう?
それを、真面目と言うのでは、ないでしょうか。
…切羽詰まらないと、酒池肉林、溺れっぱなしな方々。とても多いんですから。
そういった方々とは、比べるべくもない、そう思いますよ?」
(くりん。また、小首を。今度は反対側に傾げて。ぱちぱち。瞬き。
勿論、少女の問い掛けやら思い込みやらは。確信犯でも演技でもなく、素。
素だからこそ、偶に皮肉めいた、黒い発言が出て来ているのだけど。その辺りは別の話。
と。そんな皮肉の対象は。此処暫く、第三師団だったかの関係で、上を下への大騒ぎで。
年が明けてから、ようやく、あくせくと働き始めた貴族達。もしかすると、本来、彼が知りたかった話。)
「あー……本当に。真面目すぎると、疲れ、ませんか?
お仕事、そんなに、溜まって。滞って、いらっしゃるのでしょうか。
流石に。笑えない冗談は、言いませんよ。私だって。」
(ドン引き必須のブラックジョークを重ねていた癖、いけしゃぁしゃぁ、と。
とはいえ、少しだけ、膨れっ面を作ってみせるから。どうやら、少女としては、本気で言っている言葉。
…つまり、彼が耳を疑ったような内容も。決して、冗談ではない、と。
残りの紅茶を口に運んで。少し、喋り過ぎたのだろうか、喉を潤してから…
途端。明らかに、質を変えた、彼の言葉に。その声に。自然と手が止まってしまう。)
「………いいえ、まさか。
そんな、素敵な。絵物語みたいな、お嬢様お姫様では、ありませんよ。
別に、囚われの身、という訳でもありません。……此処で生まれて、此処で生きている、それだけです。
ちょっと、その辺のお方に聞いてみれば。分かると思いますよ?リシェという玩具について。」
(どうして。こんなにも、急に。彼の態度が変わったのか。
それは大きな疑問として、沸き上がってくるものの。先に此方が問われたのだから、答えが先、という単純思考で。
一応、口にしてみせるのは。少なくとも、捕われの身だから、連れ出して、だとか。
陵辱の憂き目に遭う、被害者だから、助けてくれ、だとか。そういう思考は、欠片も有していない、という事。
それこそ。適材適所。例えば…手にしているティーカップが。紅茶を飲むのに使われるのは。当たり前だというような。)
「………私、答えましたね?ですから、セイン様、次はお答え下さい。
真面目というか。真っ当な方、ではあるのでしょう…けれど。その真っ当さは、貴族の執事の物では。ない、ですよね?
此処で生きている。私、そう言いました。…私の在るべき場所を。私の世界を。害するおつもりの方…なの、ですか?」
■セイン=ディバン > 「……そう、ですね。そういう受け取り方もあるかもしれません。
ただ、そういった方々も、自分自身という存在に対して……。
真面目に向き合っている、とも考えられませんか?」
なるほど、そういう意味か、と。相手の言葉を理解し、微笑む男。
そこで、相手の言葉に出てきた、溺れっぱなしな方々、についてフォローしておく。
相手の内面を読み取るにも、まずは会話。であるが。
少なくとも、この相手はそういう方々を多く見てきているのだろうな、ということは分かった。
「……さぁ、どうでしょうねぇ。
仕事というのは、常々溜まるのが常ですから。
……ふふっ。そうなんですか?」
相手の心配するような言葉に、どう答えるか、悩むような様子を見せる男。
相手の頬を膨らませる様子は可愛らしいとは思うが。笑いつつ思う。
え、じゃあさっきの言葉って、冗談じゃないんですか? と。
そこを追求すべきか、と考える最中、地を曝け出してしまえば。
相手の様子も変化した。
「……。あ、っそ。そりゃあ失礼。
リシュちゃんは可愛くてキレイだから。
お姫様なのかと思っちゃったんだ」
地を出してしまった以上、演技はもう無意味だな、と判断し。
男は、しれっ、と言いつつ、相手の言葉について考える。
やはり、この少女は。そういう存在なのか、と。
そのまま尋ねられれば、男は息を吐き。
「……はい、ご明察。こう見えても侵入者です。
あ、大声とか出さないでね? そんなことされたらキミに酷いことしなくちゃいけなくなる。
……質問の答えだけど。そういうつもりは無いよ。
ただ、キミが望むなら助けられるし、望まないなら助けない。
そんなことを考えてるだけの、ただの冒険者さ」
肩を竦め、懐から細巻を取り出し、喫煙し始める男。
先ほどまでの執事らしさは完全に消え、不良中年モード全開であった。
■リシェ > 「実際。こんなに、美味しい紅茶、淹れて下さるんですから。
それだけ、練習とか…研鑽とか、修行とか。なさっているのかな、と。
…欲望に忠実、というのを。真面目、と言っても。良いんでしょうか。」
(今度は流石に、ぶっちゃけた。
大変な事態が起きてしまってから、大慌ての後手後手で、その対処に追われている、などという貴族達。
出遅れた、その理由が。この少女のような者達相手に…多分、少女以外も、似たような者達は数多、飼われている筈で。
そういった者達を犯して、貪って。怠惰な時間を過ごしていたから、でしかないのだから。
彼等のような者達を、少なくとも、褒められたものじゃない、と思う部分くらいは。常識的な思考。)
「そう、です。…面白く、なかったですか。やっぱり。
…私は、その。溜まった仕事、終わったというか、後まわしになったというか…
はい、今し方、言いましたように。今更ですけれど、皆様、遊んでいられなくなったようなので。」
(少なくとも、この少女に、面白い冗談は、期待しない方が良い。多分。
相手の正体が、執事ではない、と。やっと理解したものの。真面目かどうか、の部分は、また別で。
とりあえず、真面目度合いの判断基準が、紅茶に対する研鑽の積み重ねだったから。
基本の積み重ねや、習得した技術は、当人を裏切らない物だろう、とも思うので。
真面目さを、真摯さとも言い換えられるなら。大声さえ、出さなければ、と。彼の言葉を信じたらしく。
一度、口元を覆った格好で、頷いてみせてから。)
「それは、まぁ。気を使っては、います、から。
セイン様も。部下が小汚いとか、服が臭うとか、折角買った料理が…不味いとか。そうなったら、嫌でしょう?」
(そういう存在として、ではあれ。向けられたその言葉を、肯定的にとった、ようで。
だから、一応、褒められた、そういう認識らしく。ありがとうございます、と。また口にする。
例え、彼が何者なのか、それを聞かされた後だったとしても。)
「けれど、ようこそ、おいで下さいました、…などとは。言えません。
どうした物でしょう……どうすれば。穏便に、お帰りいただける、のでしょうね…?
その、おつもりでない、と。仰るのなら。…でしたら、速やかに、ご用を済ませられるよう。ご助力は、いたしますけれど。
………セイン様。助ける、助けない、だなんて。その言葉自体が。私には、不要です。
城の外には。私の生きられる場所も、生きていく術も。…そもそも、外に出ていく理由も。無いんですから。」
(窮屈だけど安全な鳥籠と。広大だけど危険な空と。どちらで、生きるのが、幸せなのかと。小鳥に問い掛けてみたのなら。
必ずしも青空の方が良い、そう答えるとは限らない。まして、この少女は、そもそも。空の広さも、青さも、知らないから。
彼女にとっての、想像の外にある、異界からの侵入者に。少しだけ、首を振ってみせてから。
さぁ、大声を出す代わりに、何を差し出そうかと。…言い方を変えると、それは。
事態を荒立てる事なく、とっとと出て行って貰う為に、どうすればいいだろうかという。相変わらずの、黒寄りの思考。)
■セイン=ディバン > 「ははは。ちょっとした縁で。料理などに関しては修行したので。
そう、ですねぇ……人間としてはどうか、ですが。
動物として考えたら真面目なのではないでしょうかね」
くすくすと笑いながら言う男。どうにも、執事モードでも。
そういった悪趣味な貴族への嫌悪は隠しきれないようで。
毒が言葉の端々から漏れている。
「えぇっと、申し訳ないです。私には、どうにも冗談を受け入れるセンスもないようです。
……そうなのですね。それは……まぁ。
ちょっとした休暇、だと思えばいいのでは?」
逆に申し訳無さそうに言う男。冗談を言う、ということは、相手を笑わせようとするということ。
その心遣いを無駄にしてごめんなさい、ということ。
しかしてこのタイミングで、正体がバレれば、いや、バラしてしまえば。
男は気取ることをせず。ありのままを相手に見せる。
「ははは、それは確かに。いや、でも待てよ……?
最近、ウチのメイド達から臭いって言われるんだよな……」
いわゆる加齢臭、なのであるが。男は自分の体の臭いを嗅いで確認。
まさか、こうして話している美しい少女相手に、不快な臭いなど嗅がせていたら大変、と思ったのだ。
まぁ、自分では自分の臭いなど分からないので。そこは相手任せであるが。
「……そうさね。いやぁ、ちょっと、城の中がバタバタしてる理由を聞きたかったんだけどさ。
でも、うん。今日の所はもう帰るよ?
ここで長々話してたら、キミが『侵入者を匿った』とか濡れ衣着せられるかもしれないから。
……そっか。まぁ、キミがそう言うなら。無理に連れ出したりなんてしないよ。
ただ。もしも外の世界を見たくなったら、冒険者ギルドに依頼をちょうだい。
いくらでも骨を折ってキミを外に連れ出してあげるからさ」
その時は、報酬として。ちょっと良い目を見せてくれればいいよ、なんて笑いつつ。
男は、再度。相手のティーカップに紅茶を注ぐ。
男としては、目の前の少女は実に魅力的なのだが……。
もしも貪るとすれば、ちゃんとした時、ちゃんとした状況をセッティングしなくては、危なくて仕方ない、という考え。
そして、男はこの後、目の前の少女と二、三会話をしてから城を抜け出すことになるだろう。
当然、侵入したことは目の前の少女以外にはバレぬまま。
男が気まぐれに教えた、美味しい紅茶の入れ方。
実践するかどうかは、相手次第、という所だろう……。
ご案内:「王都マグメール 王城2」からセイン=ディバンさんが去りました。
■リシェ > 「誰の為とか、何の為とか、有ったのでしょうか。…その為に、努力しよう、そう思うだけ。
人にやらせれば良い、で済ませてしまう人達よりは。上等だと、思いますよ?…あ、動物、でしたっけ。」
(取り敢えず、彼が執事ではない、余所の貴族様と関係無い、と分かった途端。
先程までは、冗談の中にだけとどめていた、黒い性根が出てしまう…ような。
ただ、彼とは違って、少女が、貴族達への嫌味を零すのは。どんな言葉であれ、城に関わる者達以外、相手が居ないから…でしかないものの。)
「休暇……そう、ですね。そう、仰って、いただけるなら。
自分の為に、使っても、良いかなと。…考える事、出来そうです。
そうなると、差し当たって…これ。紅茶の、淹れ方。どうにか、勉強してみたい、ですね。」
(冗談の良し悪しも、気になるものの。それ以上に、紅茶の腕前に、悩んでしまった。
何せ、彼の淹れてくれた紅茶という、自分のそれと比較すると、天と地程にも差の有る、好対照が有ったから。
どうせなら、彼に御教授願えるのなら、少しは、改善出来るかもしれない。そう思うものの。
果たして、侵入者に、教えを請うても良いのだろうか。)
「………それは。…殿方は、得てして。そういう物…ですから。」
(ある程度、お年を召した男性なら、誰でもと。
男の臭いやら匂いやら、散々体験済みの自分が言うのだから、別におかしな事ではない…などと。
悪意なく、それでも、彼が傷付くかもしれない事象を。しれっと、口にしてしまった。
一応。慣れているから、気にしない、とも付け足すものの。
それはそれで、矢張り。慣れていない者なら、気にするのだろうか、というように。
取られてしまうかもしれず。)
「そういう事、ですか。
余所の、お国に頼まれて、探りに来られた…などでないのなら。お聞かせするのも、やぶさかでは、ありませんが。
身の安全、保証していただく、その代わりと思えば。安い物ですし。
…でも、そう、ですね。私では、人質の価値とか、有りませんから。速やかに、退散なさる方が。安全だと、思います。
……外、ですか。…もし。優しく、して下さる世界だ、というのなら。……考えてみる、かも、しれませんけれど…」
(けれど。きっと、違う、と。思っている。
何せ、城がばたついている、理由には。魔族の国について。国境の砦について。が、含まれている。
この城と、其処に関わる者達にとっては…だからきっと、外に広がる、この国にとっても。魔族というのは、歓迎出来ない物の筈。
半分魔族である少女にとって。外は自由だ、安全だ、とは。信じる事が、出来なかった。
…その後。彼が消えて、少女も立ち去るまでに。少しだけ続いた、世間話のような会話の中に。
有れば良いな、と望んだ、紅茶の技術が含まれていたのは。予期せぬ、それでも、素敵な報酬。
払うどころか、此方が、そんな物を貰ってしまったから。
何処へともなく、立ち去った彼について、覚えておこう。…貰った何かの分、此方からも、次は何か、返せるように。)
ご案内:「王都マグメール 王城2」からリシェさんが去りました。