2019/01/06 のログ
ご案内:「王城 舞踏会場」にアデラさんが現れました。
アデラ > 無軌道な増築の末、何の目的で造られたか分からぬような部屋が王城には多いが、此処もその一つだ。
ホールと扱うには狭いが、個室とするには広すぎる、中途半端な広さの部屋。
そこが今は、一部貴族の社交場として用いられていた。

……尤も、ろくな集まりでない事は確かだ。
室内は雌の嬌声と淫臭に満ち、衝立で隔てられただけの空間で、女同士の交わりが繰り広げられている。
何処かの女貴族が主催の、乱倫と退廃の宴であった。

「本当にもう、賑やかなこと――はーい、今参りますわよー」

そんな中、普段とは打って変わって、侍女風の衣服を纏って会場を歩く娘。
片手に乗せている銀のトレイには、極彩色の薬瓶が幾つか乗せられている。
何処かからお呼びが掛かれば、そちらへ出向いて薬を差出し、また別なお呼びが掛かれば、悠々と歩いて用件伺いに出向く。
スカートの丈がやたらと短い以外、メイドと変わらぬ服を着ながら、我が儘の本性は隠せていないようだ。

「こういう服、着てみたかったのよね」

スカートの裾をつまんで少し持ち上げ、ご満悦の顔。
裾から覗いた下半身は下着を身につけていなかったが、それを咎めるような上品な宴でもない。

アデラ > やがて宴の熱気も高まった時、少女は衝立の影から呼び止められた。
侍女の姿をした少女を性のはけ口に使わんとする、傲慢な物言いの女であったが――

「……ええ、いいわよ。貴女のその感じ、ゾクゾクするもの」

今宵は特に踏みにじられたい気分だったのか、少女は唯々諾々と跪く。
外気の冷たさを感じさせぬ夜は、長く続くことだろう。

ご案内:「王城 舞踏会場」からアデラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2」にイヴリールさんが現れました。
イヴリール >  
「───はふ、っ、ふ…………」

頬を紅潮させ、熱っぽい吐息を漏らす少女
連日行われていた新年の宴も闌となり、静まり返った夜の王城、その廊下で…

廊下の壁に寄りかかるようにして、よたよたとした足取りで歩くイヴリールの姿があった

「(わたし、もう、あの日以来…ずっと、こんな……)」

ぱた、ぱた、と白いドレスの内側から滴る雫が、廊下の絨毯に染みを作ってゆく

「(ほしくて…もう……指なんかじゃ、全然…だめ……)」

イヴリール >  
夜風に当たりたい…そんな風に嘯いて夜中に部屋から抜け出して
足元までも隠す純白のドレスの下には、下着もつけずに───

「(何度も、何度も言われた通り、わたしは、変態で…もう、王女としてなんか、誰も…)」

荒く息づく口元に、自嘲気味な笑みが浮かぶ
熱に蕩けた瞳と共に作り出すその表情は年端もいかぬ少女には似つかわしくない、どこか淫蕩な雰囲気を漂わせていた

イヴリール >  
自分で慰めるのにも限界がある
こんな、細い指なんかじゃ全然収めることなんてできやしない

こうやって、部屋の外へ出てどうするというのか
誰かに、それをねだるのか───

「はぁ……っ………うっ……」

熱く火照った顔を少しだけ冷たい掌で覆って、壁に背を預け身を丸める
体の奥に灯った火が消えない
じわじわと、お腹の奥底から全身へ延焼していくように──

ご案内:「王都マグメール 王城2」にマヌエラさんが現れました。
マヌエラ > 王城、深夜の廊下。
徘徊者などいようはずもなく、皇女の痴態に気付く者とてない。
そのはずの場所。

だが、背を丸めるイヴリールに、窓より差し込む月光を遮り、影が被さった。

「まぁ……どうされたのですか?」

心配げな声は、女のもの。

「随分、お辛そうです……」

おっとりとした響きだが、心配そうに。
絨毯のせいか、足音もしなかったはずが――
一人の女がそこにいて、王女の顔を覗き込んでいた。

イヴリール >  
「…あ……」

影が被さり、声をかけられる
そちらへと涙ぐんだ視線を向ければ…──

「(…誰、だろう……こんな、時間…なのに)」

巡回の衛兵ぐらいしか歩いていないと思っていた
自らの顔を覗き込むその顔は王城の中では見たことがない顔だった

「…その……わたし…」

こんな、良い人であろう女性に心配までかけて、自分は何をしているのか……

「身体が…熱くて…火照って……眠れ、なくて…」

何かを哀願するように、か細い声でそう紡ぎ出す

マヌエラ > 「まあ……」

女は、おっとりとした垂れ目を大きく開いた。
王女の、意識的にしろ無意識的にしろ、扇情的なか細い声を聞く。

「それで……気を紛らわせようとされていたのですね?」

体調がよくないとか、熱があるのかとか、そうした誤解は一切抱かずに、堂々と口にする。

「私でよければ、お相手いたします」

身を焼く淫靡な情熱をもてあますところに、突然現れた女が理解を示す。
あまりにも都合のいい存在といえばその通りだが、女の声に冗談の響きも、恐れや畏れの雰囲気もない。

イヴリール >  
「(……初めて会って、名前も知らない人に、わたし、何を言って……)」

今日の自分の行動全てに自己嫌悪がつきまとう
元々名ばかりの王女の癖に、こんなことでは───

「ご、ごめんなさい…困り、ますよね…そんなことを言われても…」

大人しく、部屋に戻って…一人で耐えようと、そう思った矢先に

「………え?」

きょとん、とした、表情を思わず向けてしまう
聞き違えていなければ、お相手をする…と言葉を投げかけられたように…

マヌエラ > にこ、と女は笑う。慈母のような、優しく、やはりおっとりとした笑みを。

「お辛いのでしょう? そのまま戻られても、それを一人抱えたままです。
 私でよろしければ、発散のお手伝いができると思います」

にこにこと、褥について述べる様。あっけらかんとしており、まるで大したことではないというような顔。

「どうでしょうか?」

手を、差し出す。

イヴリール >  
「………」

どこか、落ち着く笑みを向けてくれる女性
それでいて、たったあれだけの言葉でこちらの全てを理解してくれたような、安心感を感じて…

「~~~……」

伏し目がちに、顔を更に紅く蒸気させながら
差し出された手に、白く細い華奢なその手を重ねる
言葉には出せずとも、それが少女の返答だった

マヌエラ > 「可愛らしいです、お嬢様」

微笑んで、手を優しく取ると、す、と引いた。
その力は決して強引ではなかったが、華奢な王女を前に一歩、進ませる。

そう、廊下を一歩進んだだけ。
それだけなのに。

イヴリールの視界には、違う景色が広がっていた。
暗いのは換わらないが、足元は絨毯ではなく、生物的に脈打つ石畳。
壁などなく果ても見えない。
そして空には……屋根もなく、赤い月がしろしめていた。

「よろしくお願いいたしますね。
 私は、マヌエラと申します」

女は微笑み。……王女を、ここではない場所へと、誘った。

ご案内:「王都マグメール 王城2」からイヴリールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2」からマヌエラさんが去りました。