2018/10/27 のログ
ご案内:「王都マグメール王城 廊下」にラキアさんが現れました。
ラキア > それは幸運と言えるのか、それとも罠であったのか。
ひとの心の機微に疎く、世間というものをロクに知らない己には、
残念ながら判別のつかないところではある。
けれど―――

もはや、尋問などという建前すらどうでも良くなっているのか。
未だ日の高いうちから名も知らぬ貴人の褥へ引き摺り込まれ、
気を失うまで甚振られた、その夜のこと。
目を覚ますとそこは同じベッドの上で、傍らには寝穢く鼾をかく貴人が居た。
そしてベッドサイドの小卓の上へ、小さな銀色の鍵。
ベッドのヘッドポールへ己を繋ぐ、長い鎖のついた足枷の鍵。
手を伸ばし、己の足首に填まる枷の施錠を解いて――――

扉を開けて出た先は、蒼い月明かりの差し込む長い廊下。
静まり返ったそこに、己の乱れた息遣いばかりが響く。
足許は情けなくふらついていたし、身に着けているものと言えば薄物一枚だったけれど、
とにかく、逃げ出すのなら今だと思った。
―――とは、いえ。

「どっちへ、行けば良いんでしょう……」

地下の恐ろしい部屋と、今出てきたばかりの寝所しか知らない身。
どちらへ行けば出られるのか、そもそもここがどこなのかすら、
未だ、知る由も無いままだった。
ゆえに、逃走というよりは―――――彷徨、というのが正しいような有り様で。