2018/10/15 のログ
ノワール > 「……ああ、とてもよくかけているよ、偉いな。」

女は、フルフェイスの奥で確信を抱いた。
この子は人間じゃない、おそらくは魔族だろうと。
化け物呼ばわりされていたのも、リビングアーマーと友達だといったことも、すべて合点がいった。
だが、女は少年の頭を撫でた。褒めて、ケーキを食べなさいと差し出して。

「ポチ、私は明日にでも君を奴隷にした貴族を捕まえに行く。
その時に、君はその貴族の顔を見てその人物かどうかを教えてほしい。」

不味い状況になったのはポチではなく、その貴族だ。
この子がいると先に知られたら、魔族を匿った罪でこちらが不利になってしまう。
だが、貴族を先に追い詰めることが出来れば、魔族を買収し裏で魔族と取引をした証拠には十分だ。
奴隷商人は報告通りなら、すでに瓦解して今は行方知れずだろう。
腐った貴族をまた一つ、壊滅に追い込める。
本当にピンチはチャンスだなと、自嘲気味に笑った。

ポチ > 「上手にできた?ノワールだんちょの役に立てた?」
褒められれば少年は心の底から嬉しそうに微笑みを向け、
頭を撫でられれば変わらずニコニコと微笑みながらもその手に甘えるようにすり寄せ。
「褒められた♪ ケーキありがと〜」
ケーキとお茶を受け取るとそれを以前食べたところまで運びソファーにぽすっと小さな体を下ろし。
続く言葉に少年は小さく体を震わせ、相手を見つめる
「…うん。」

ほんの一瞬の間…不安そうな瞳は揺らぐも、それから一度深呼吸してから一度頷き。

「怖いけど…、ノワールだんちょの役に立てるなら頑張る!」

恐怖と相手への信頼がせめぎ合い相手を信じる気持ちが勝ったようで笑みを向ける。
少年はこの数日の扱いで相手へ全幅の信頼を置いているようで、気持ちを切り替えれば無邪気な笑みを向ける。

ノワール > いい返事だ、ノワールはそう答えた。
この子の目が一番の証拠だ、そして何よりもこの子が魔族であるということ。
第七のに言わせれば、きっと何かお小言でも言われてしまうかもしれまいが、これが私のやり方だと突っぱねさせてもらおう。
ケーキを食べ進めているこの子は、子供と何ら変わりはない。
あいにくと、魔族であるからという理由で切り伏せる人物は、十二師団にはいない。
続いて、女は机に備え付けている呼び鈴をチリリン、と鳴らした。
入ってくる侍女、副団長の妹だが―――に、すぐに託をとる。

「シャノーゼに伝えてくれ、明日動けるものは昼前に飯をとってここに集まるようにと。
腐った貴族の阿呆が墓穴を掘った、そいつを食いに行く。」

その声はどこか、勝ち誇っているようにも聞こえる。
侍女が一礼して部屋を出るのを見てから、女はぎしりと椅子に体重を預けた。
そして、フルフェイスの口元の部分だけを外して。

「ポチ、私もケーキが食べたい。お前が食べさせてくれ。」

ポチ > いい返事だと褒められれば少年はニコニコ嬉しそうに微笑む。
そして前手づかみで食べていたケーキも今日はフォークでぱくぱくと食べ進め。
そして、呼び鈴によって現れた服をくれたおねーさんを見ればパタパタと手を振り愛想を向ける。
会話の内容はもちろん理解してコクリともう一度頷く。
程なくしてその姿が消えた時に書けられる声。
こくりと頷くとソファーからケーキのお皿を持って近づくと外されたフルフェイスの口元。
ケーキを少し大きく一口分フォークで切り分け乗せてから運んでいく。
いざ落としても大丈夫なように、自分の手で下にお皿を作って。

「のわーるだんちょ アーン♪」

相手からお願いされることが嬉しいのか少年はニコニコと幸せそうな笑みを向ける。

ノワール > 「あーん♪」

子供好きの女は、誰も見ていないところでは子供に対して大甘なところがあった。
ケーキを食べさせてもらい、体を起こすとポチの頭をくしゃくしゃと撫でてやろう。
徹底された一枚岩、貴族でも食い破れない強靭な壁。
その十二師団団長が、子供にはでれでれだった。

「まったく、ポチはかわいいな。」

最初は驚いて警戒したけれども、こうしてみたらほかの子供と何も変わらないように見える。
以前、第七のに聞いてみたことがあった、魔族と人間の違い。
確かにいろんなものが違うだろう、だけど決定的に同じところがある。
感性が同じだと…ここまで打ち解けられるものなのだと。
こんな魔族ばっかりなら交渉も楽なんだろうけどなぁ、そんなため息が漏れた。

「…よし、ポチは先に帰ってお風呂に入っておくように。
私も、さっきのやつらが戻ってきたら家に帰るから、それまでいい子にして待っていなさい。
そうしたら、私が今晩はカレーを作ってやるぞ。」

おいしいものだ、と一応付け足すように説明した。
自炊生活をしているから、料理はそこそこ自信があった。

ポチ > 相手が食べてくれれば満足げに微笑み。
くしゃくしゃに撫でられればはしゃぐようにその手にグリグリと頭を寄せる。

「ポチかわいい? エヘヘ、うれしー♪」
ニコニコと笑いながら撫でてくれた手に甘えるように頬をすり寄せる。

そして先に帰るように言われれば一瞬しょんぼりもするも聞いたことのない食べ物を作ってくれると聞けば嬉しそうに笑い鎧の上から相手に抱きつき。

「早く帰ってきてね?」
冷たい鎧でも自分のぬ子守が伝わらなくてもと相手を見上げ甘いおねだり。
庇護欲を掻き立てるような甘さと寂しさをはらみ。
つぶらな瞳は相手をまっすぐに見つめる。
「ポチ ノワールだんちょのこと、ポチいい子にして待ってるから。」
正面から抱きつきながら相手を見上げ、少し恥ずかしそうに甘く相手の帰りを待つと囁く少年には言葉と同じでどこか甘く妖艶な色香が漂い相手の心をくすぐるかもしれない。

ノワール > 「ああ、いい子にして待ってなさい…。
必ずすぐに帰るから、家にいなかったら怒るぞ?」

……この漢字を察して、ノワールは必死に抵抗を試みた。
この子が魔族だということを鑑みれば、この印象はすぐにでも察知すべきだっただろう。
股間が、というよりも母性をくすぐられるような感覚。
甘え上手なその様子からしれ、この子は何の魔族なのかを察知した。
淫魔とは、また面倒なと。

「………………いかんな、気を付けるように言っておこう。」

ポチを還らせた後、女はまた椅子の背もたれに身体を預けた。
あれはかわいい、というよりも少年特有の色気がフェロモンのようなものになっている。
淫魔の魔族だと、うっかりしたらこっちが飲み込まれるかもしれない。
これは、あの子に自分がどういうものなのかを早急に教えて、その力を制御するように教えるべきか。
まだまだ、この同居は前途多難だなと、苦笑を漏らすのであった。

ご案内:「王都マグメール 王城2」からノワールさんが去りました。
ポチ > 「もう、約束したからポチおうちでちゃんと待ってるよ」
相手の言葉にくすくすと笑いながらそんな言葉を返し、相手の危機感など気付かずにパタパタと部屋を後にして家まで急いで帰ったっていった。

ご案内:「王都マグメール 王城2」からポチさんが去りました。