2018/05/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2」にオフェリアさんが現れました。
オフェリア >  良く晴れた、或る日の昼下がり。石造りの回廊に響く足音が一つ。
 角を曲がり中庭に面した場所までやって来ると、其れまで規則正しく一定の歩調で動いて居た女の足が速度を緩め、やがて半ばで立ち止まる。
 浅く俯けた無機質な貌。薄く開いた口唇に乗せたのは、ごく小さな嘆息だった。

 申請書を規定の場所へと提出した帰り道。曰く、一部の特殊な素材を用いて商いを行う際には諸々届けが必要らしい。
 ―――安全対策。書類を受理した役人が、神経質そうに眉を顰めてそう云って居たのを思い出す。
 通された執務室はひり付いた緊迫感の微かな残滓が肌へと纏わりついて来る様で、余り居心地の良いものでは無かった。

 努めて、深く。一つ長い呼吸を取ると、女は白い貌を上げて、回廊横へ広がる中庭へと歩みを進め行く。
 立ち並ぶ石柱の間から差し込む日差しの下へ、長い金糸を纏めた銀の髪留めを輝かせながら。

オフェリア >  爽やかな風が吹き抜ける。花と緑の香を乗せ、ドレスの裾を穏やかに揺らして。
 小路に沿い暫し奥へ進んで、其の先に見付けたベンチへと近付いて行く。
 辺りに人気は無い。―――気配を探る様な芸当を、持ち合わせて居る訳ではないけれど。周囲の木々、梢に止まる鳥達は、各々自由に囀り続けている。休息を取るのに不都合は無いだろう。

 手入れの行き届いた石造りのベンチへ腰を下ろすと、女は静かに息を吸い込みながら、緩慢に伏せた視界を閉じてゆく。
 赤い眸を瞼の奥へ全て隠し、息を吐く間に膝上へ下ろした両手を頭の後ろへ持ち上げて。
 指先で辿る纏め髪。編んだ髪束の先に銀の硬質な感触を拾うと、其の髪留めを取り外す。結った髪が頭の後ろから解けて流れ、肩や腕を撫ぜていった。

ご案内:「王都マグメール 王城2」にステラさんが現れました。
ステラ >  
(王城内を歩く。
 今日は仕事ではない。
 仕事が無くても入れるのだろうか、と思ったのだが、見学と伝えると割とあっさり入れてしまった。
 もちろん目的は見学などではなく、ある人に会おうと思って。
 昨日酷い目に遭って、何となく顔を見たかったのだけれど、見付からなくて。
 とりあえず見学と言って入った以上、一応ちゃんと見学をしていこうとうろうろして、中庭にたどり着いた。)

――ぁ。

(その中庭に誰かいた。
 ドレス姿がとても綺麗で、長い髪も綺麗な金色。
 ちょっと遠いけれど、ここからでも丁寧に手入れがされているのがわかる。
 無意識に自分のがさがさの鈍い色をした銀髪を触りながら、ぼんやりと目を奪われたように彼女を眺めて。)

オフェリア >  長い髪の流れに沿い、編まれた名残を残し波打つ形を指先で整える。
 城内には、もう後の予定は無い。目立たぬ様簡素な装いに留めていたが、提出物を収め用が済んで仕舞えば其れも必要がなくなった。

 「―――… 」

 抜ける風に舞う髪を片手で押さえ、深緑色に映える木の葉がざわめく。
 薄く開けた眸に美しく誂えられた庭園を据えて、貌を上げたのは只、偶然の間だった。
 丸く刈られた背の低いトピアリー、並んで路を作る向こうに、ひとの姿を捉える。
 視線が合った。―そう、思う。

 背から覗く大振りの斧が視線の先の少女の様相と印象の相異を孕むが、先ずは一度の緩慢な瞬きに疑問を流し、眸を細めて少女へと微笑い掛ける。会釈の様に、浅く貌を傾けながら。

ステラ >  
(目が、合った。
 途端に狼狽える。
 視線を逸らせたいが、こちらが見ていた以上それも失礼だ。)

ひ、ぁ、え、っと。

(どうしよう。
 つい見とれてしまったとも言えず、彼女には聞こえないぐらいの小声を発してあわあわ。
 ひとしきりあわあわしたところで会釈をされ、慌ててこちらも会釈。)

――あ、だ。

(あまりに慌てたので、会釈で揺れた斧の柄が後頭部にヒット。
 地味に痛い。)

オフェリア >  口許が、何かを紡いだ様な。そんな風に動いて居た。けれど聞こえてくる声音は無く、耳に拾うのは樹上で囀る鳥の鳴き声だけだった。
 少女うが纏う黒い服が、トピアリーの陰から伺える。黄緑色の植木との対比で、数秒見詰めるだけでも矢張り、背負った武器の大きさが一層際立って居たが、

 「―――… まあ 、」

 次に上がる音は、確りと聞き取る事が出来た。少女が頭を下げた瞬間、背の斧が合わせて傾いたのを見届けて、女は小さく声を上げ、両手の指先を口許へと運ぶ。
 そっとベンチから腰を上げると、一歩、前へ出た。伺うように傾けた頭の角度を幾らか深くさせ、口許を隠した手を下ろし、笑みの形をもう少し、はっきりと浮かべさせて。

 「…大丈夫?
 ―…ぶつかる音が、聞こえたけれど」

ステラ >  
あ、た……。

(後頭部を擦る。
 勢いよくぶつかった訳ではないが、固くて尖ったところがしっかりヒットした。
 これだけ痛いなら、ここで殴るのもいいだろうと何となく。)

え……だ、だいじょうぶ。

(なんて言ってたら声を掛けられた。
 そちらの方へ視線を向けると、さっきの女性が一歩こちらへ。
 慌てて手を振って大丈夫だ、と告げる。
 声が裏返ってなんかいない。
 いないったらいない。)

オフェリア >  様子を伺うと、患部らしき後頭部へ手を遣る姿が見て取れる。
 短く切られた銀髪が彼女の所作で短く揺れるのを眺めていると、不思議な調子の声が返ってきた。
 波打つ様な。―不安定、とも。云えなくは無いだろう。

 「御免なさい、 驚かせてしまったかしら。
 ねえ、 もし 宜しければ 、」

 元々少女が持つ地声か否かの判別は付けられない。決め付ける事も出来ないが、何かを理由に動揺させている、と、自覚した。
 眸を細めて謝辞を紡ぐと、ほんの幾許かの間を挟み、背越しにベンチへ一瞥を向ける。
 視線で示すと、たおやかな表情を浮かべた侭、改めて少女へと貌を向け直し。

 「…腫れているといけないわ。見てみるから、其処へ 掛けて」

ステラ >  
え。

(突然の申し出。
 冒険者をやっていれば、このぐらい怪我の内にも入らない。
 けれどそれとは無縁そうな見た目の彼女だ。
 そう言うのも不思議ではない。)

――ぁ、え……と。

(しかしだからといってこんな綺麗な人と同じベンチに座ってもいいのだろうかあれだけ綺麗なのだからファンクラブとかあるに違いないそんな人たちにそんな場面を見られたら俺たちのマドンナに何をする的な感じで屈強なマッチョメンたちに囲まれて泣きながら謝るも許してもらえなくて前から後ろから夜も朝もなくずっこんばっこん大騒ぎ――。
 なんてことを考えて顔が赤くなった。
 ぶんぶんと首を振ってそんな考えを頭の中から追い出す。
 昨日のアレで頭の中が沸いてしまったのだろうか。)

ぉ、じゃま、します……。

(おずおずと一礼し、ベンチの方へ。
 彼女の横を足早に通り過ぎ、ベンチへ座――ろうとしたけれど斧が邪魔で座れなかった。
 一度斧を外してベンチに立てかけ、改めて座る。)

オフェリア >  機敏な身のこなしで、小柄な体躯が過ぎて行く。
 移動の前、唐突に大きく左右へ振られた頭に連なって、伝わる振動が斧の柄も同じ様な揺れ方をしていたが、其の様が少し可笑しくて口唇を緩め掛けたのは伏せておいた。
 片手の下に確り口許を覆い、つい連想してしまった子供向けの玩具をそっと意識の隅へ押し遣って、少女がベンチへ腰掛けるのを見届ける。

 物々しい音を立てて背から外される獲物。其の重量感は、芝生に食い込む様子で易く想像に足りた。

 「力持ち 、なのね。 可愛らしい女の子に、見えるのに。
 ――…何方かの、守衛の御仕事を? 」

 少女が腰掛けた後、女も続いて隣へそっと腰を下ろした。僅かに少女の方へ躯を向けた姿勢で、静かに片手を彼女の頭部へ伸ばしてゆく。
 覗き込むと、自ら擦っていた場所は直ぐに判った。其の辺りだけ、銀髪が乱れている。

ステラ >  
(なんだか笑われた気がして、一度彼女の方を見る。
 口元に手をやる仕草がなんだかセクシーで、ちょっとドキリとする。
 昨日あんなことされたからだチクショウ。)

――冒険者、を、少々。

(少々ってなんだ。
 どちらかと言えばガッツリやってるじゃないか。
 変な受け答えになってしまったのが恥ずかしい。
 隣に腰を下ろす彼女が、自身の後頭部に触れる。
 近くで改めて見るとやっぱり美人だごめんなさいこんな美人の横に座ってしまって髪を触られてちょっと気持ちいいし緊張するドキドキする心臓の音がうるさい聞こえてないかな。
 しかし顔には出さず、スンとすました表情。
 長いぼっち歴舐めんな。)

オフェリア >  「冒険者 。
 まあ 、素敵ね」

 ―見た目で判る腫れは無い。彼女の口から素性を聞き、少女にしてみれば、柄に頭をぶつけた程度の衝撃は要らぬ心配だったと遅れて察知した。
 けれど、少なからず痛がって居た―様に見えた―ので、折角だ。無事であると確認出来れば自らの気も治まると、努めて優しく頭部へ触れて、指先で地肌を辿って外傷の有無を調べてゆく。

 先に聞こえた波打つ様な調子の声とは異なる凛とした受答え。其れに句を反芻させて穏やかな声音を返しながら、静かに辿らせていた指先を引いた。

 「…良かったわ。大丈夫、 みたい。
 御免なさい。 御仕事で立ち寄ったのなら、引き止めてしまったわね 」

 触れる腫れも見当たらない。口唇を微笑に形作ると、手を引く最後に爪先で乱れた銀髪を整える。
 多少毛先が跳ねている程度、絡んでいる訳では無い。そっと撫でる様に髪を梳き、手を膝上へ戻していった。

ステラ >  
そん、な、大した――。

(ものじゃない。
 そう続けようとしたけれど、照れて言葉は続かなかった。
 そういえばさっきカワイイとか言われていたような気もする。
 あなたの方がよっぽど美人でかわいいです。
 撫でるような指の動きが気持ちよくて、目を細めた。)

あ、いや。
――人に、会いに、けど、いなくて。

(ちょっと俯く。
 そもそも約束も何もしていないのだし、きっと仕事だろう。
 暴走気味な行動を取ってしまったことを少し後悔。)

オフェリア >  後ろを覗く為に少しだけ傾けて居た姿勢を戻し、眸は少女の顔へ。
 最初に会釈の挨拶を交わした距離と、頭部に気を向けて居た所為だろう。
 漸く少女の顔貌を近くで見止める事が出来たが、涼やかで整った、ぽつりぽつりと紡がれる端的な言葉に良く似合う、凛とした造作だと判る。
 眸の色も、良く見て見れば自分と同じ、赤い眼だった。

 そんな少女の横顔が僅かに下を向いて、また、ぽつり、ぽつり。最小限で告げられる言葉と様子に、赤い眸を緩やかに瞬かせ、首を静かに浅く傾けた。

 「あら、 残念。
 ――…けれど 、そうね。 …私なら、手紙を書くわ」

 仕事では無い。面会の目的が果たせず終わると、視線を伏せてしまう。
 ―尋ね人の詳細は知らぬ侭、口許を華やがせてそう告げる。

ステラ >  
(再び目が合う。
 目の色は赤。
 自分と同じ――などとは言えない。
 爬虫類のような自身の目と同じに語れるはずがない。)

手、紙……。
――何、をっ、書いたら。

(手紙なんて書いたことが無い。
 書く相手なんていなかったから。
 精神に10ポイントのダメージ。
 一瞬目が死ぬが、すぐに気を取り直して彼女の方を向いて、問う。
 むり。
 すぐに目を逸らす。)

オフェリア >  視線が重なる。―逸れる。また、目が合って、逸れる。
 間の一度は、逸れたと云うよりも光が失せたと形容するに近いだろうか。理由までは判らない。
 其れでも、少しずつ。曖昧ではあるが、彼女を知る手懸りは拾えて居る、そんな気がした。
 大きく崩れない涼しげな表情の奥へと仕舞われた、少女らしい無垢さを感じ取る。視線を結び切らずに居るのは、内向的な証なのかも知れない。

 「如何云った相手かにも 因る、けれど。 男性、でしょう?」

 所作や視線の行方から、不思議な少女を紐解いてゆく、そんな心算になって。内気な少女と思えば抱いた愛らしさを増長させて微笑みながら、思案する様片手を己の頬へ当て、視線を宙へと移ろわせた。

 「そうね …意中の方なら 、控えめなほうが、 印象的かしら」

ステラ >  
う、うん。

(ちょっと赤くなって。
 視線は彼女の方を向いていないが、代わりに言葉はしっかり聞いている。
 真剣な顔で。)

――あの、そ、どんなこと、を、書いたら。

(控えめ。
 控えめに何を書くのだろう。
 手紙にどんなことを書けばいいのかすらわからない。
 まずそこから教えてくれと、おどおどしながら。)

オフェリア >  微笑ましい。一言で表せば、心境は其れに尽きた。
 そう。調度、年端も行かぬ無垢な少女を描いた恋の詩や、物語を読んだ時の気分に似ている。
 考える仕草で宙を見た女も、相手に負けず表情は薄い。けれど、其の中でも添えた手の下で、頬が微かに持ち上がる感触を憶えた。
 無垢な可愛らしさが、愉しい。そう感じてしまうのは、きっと不謹慎で、不誠実な事だろう。緩む頬を掌の下で御し、本格的に思惟を巡らせ、記憶を辿る。

 「――…フフ 、
 …御免なさい。貴女を笑ったのでは、ないの。…私のことよ 」

 ――辿らせて、数瞬。頭へ巡らせた記憶にふと瞬きを付くと、思い出し笑いの様に呼気が弾んだ。
 直ぐに誤解を孕ませぬ様謝罪を一つ。視線を彼女へ改めて、赤い眸を細める。

 「…私の入れ知恵では、 駄目ね。
 貴女の様な可愛らしい恋は、 先導出来るほどの経験が未だ無いの」

ステラ >  
えっ。

(笑われた。
 そんなにおかしかっただろうか。
 ちょっとショックを受ける。)

あ、ゃ、だいじょうぶ、です。
――あの、なにか、昔に……?

(笑われたわけではないようだ。
 ならば何故笑ったのか。
 彼女自身のこと、と言うことから、昔の自分の過ちか何かを思い出したのだろうか、と首を傾げてみる。)

そ。
――う、じゃ、なくて。
手紙、書いたこと、ないから。
――ともだち、いな、くて。

(恋など。
 あの人に失礼だ。
 手紙に着いて聞きたかったのに、なんだか甘酸っぱい感じに思われてしまっている。
 いや確かに手紙をあの人に書こうとは思っていたけれど。
 あわあわ。)

オフェリア >  装い、謀る。人との関りを繋ぐ上、誰しも少なからずは取る手段。
 過去、女が異性へ宛て筆を取り綴った文と云えば、恐らくそんな打算的なものばかりだ。総て思い出せる気さえしない。
 ―其れを彼女へ助言として告げる事は、気が咎めた。純粋な感情と云うのは、きっと、大事にしなければならないものだろう。

 無闇な間合いで笑ってしまった誤解が解ければ、遠慮がちに返る疑問符へは笑みだけを送り、其れを応えとした。
 続く言葉は途切れ途切れに紡がれて、懸命に話そうとしてくれている少女の気持ちが伝わって来る様だ。

 「…あら 、私もよ。
 同性のお友達は、 今迄一度も出来たことがないの」

 今度弾んだ呼気に対して、注釈は要らない。軽やかな笑い声に乗せて事も無げに同調すると、両手を自らの膝の上へ置き直し、静かにベンチから腰を上げる。
 微笑は其の侭貌へと残し、立ち上がりながら彼女を見た。

 「――…きっと、 今の気持ちを素直に伝えるのが、一番よ。 直接云える事が出来れば、 手紙である必要は無いけれど。
 …若し良かったら、今度お店に来て。 文字にするのなら、 宜しければ お手伝いするわ」

ステラ >  
(同姓どころか異性の友達もいません。
 いや今はそこじゃなく。
 友達がいない?
 こんな素敵な人に?
 にわかには信じられず、思わず目を見開いて彼女の顔を見る。)

あ!
――の、とも、私、友達――!

(が、「あ」の声を発してすぐに視線を逸らす。
 駄目だ顔は見れない。
 代わりに精一杯の勇気で「自分が友達になりたい」と告げようとするのだが、うまく言葉が出てこない。
 結果として訳の分からない言葉になってしまった。
 クソが。
 心の中で自分に悪態をついていたら、隣の彼女が立ち上がった。)

お店……。
――あ、わた、名前、お姉さんの、私、ステラ――。

(ああ、ちゃんと喋れない。
 一度深呼吸をして、改めて彼女の顔――の横の空間を焦点をずらした視線を向けて。)

――わ、たし、ステラ、です。
お姉さん、とおまな、お名前、おしえ、て、ください。

(全身めっちゃ震えてる。
 止まれとばかりに膝を両手で力いっぱい抑えながら、先ほどよりは聞き取りやすいだろう問い掛けを。)

オフェリア >  舌が縺れた様な、音だけが重なった声が僅かに響く。
 急かす事も聞き返す事もせず、穏やかに彼女が落ち着くのを待った。
 二言目―と、思しき辺りで、全容が掴めてくる。少女の口から零れた単語を繋いで推測した要点は、改めて呼吸を置いた後、発せられた言葉と同じものだった。

 「…ステラ。 まあ、可愛い名前。
 私は 、オフェリア」

 告げられた少女の名前を繰り返すと、其れにより響く音が与える印象を華やぐ笑みに乗せ言い表した。
 此方からも名を告げて、一拍。若し其の時が来たとして。主の名前だけで店を探させるなど、多分彼女からすれば酷な話だ。
 
 「平民地区の、表通り。 Vie eternelleと云う雑貨店よ」

 最後に店名を添えて、緩慢に踵を返す。回廊へと抜ける、小路へ向けて。

 ――少女がいつか、訪れてくれたなら。其の時はきっと紅茶を淹れて、焼き菓子を添え、迎え入れる心算だ。
 今日の様に話をしてもいい。調度、友人同士がそうして過ごす様に。

ステラ >  
オ、フェリア。

(彼女の名前を口にする。
 初めての友達が出来た。
 嬉しさで顔がにやけるのを止められず、俯いて隠す。)

きっと、行き、ます。
近いうち、に、必ず。

(まだ顔は上げられない。
 みっともない顔をしてるだろうから。
 立ち去る背中に声は届いただろうか。
 届いてるといいな。)

――や、った……。

(彼女の姿が見えなくなってから、呟いて小さくガッツポーズ。
 会いたい人には会えなかったけれど、大事な初めての友人を得た。
 ふるふると背中を震わせながら、もう一度拳を握りしめて。)

ご案内:「王都マグメール 王城2」からオフェリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2」からステラさんが去りました。