2018/01/11 のログ
ケラノス > 入った瞬間から、感覚的に相手のテリトリー内に入った、という漠然としたものはあった。
まぁ、それはそれだ。そのくらいの備えはしている立場だろうし不思議でもない。

さて、ノックと断りを入れてから中へと入れば…無駄に豪華な椅子に座っている銀髪ローブ姿の少女。

「おぅ、流石に方向音痴の類じゃねぇからな。そうじゃないと旅とかやってられんし」

軽く肩を竦めつつ。今日の用件は、有体に言えばこの研究所の見学だ。
もちろん、機密に関わる場所は除いて、という条件だがそれは当然承知済みで。

「あ、ミリーディア。ついでだから見学終わったらコレ預けるわ。アンタなら信用は出来そうだし」

と、右目の赤い瞳…義眼をちょいちょいと己の手指で示して。元から見学の機会に鑑定・検査を頼むつもりではあったのだ。

ミリーディア > 椅子から立ち上がれば、相手の側へと歩み寄る。
今日の用事は、珍しく座りながら寛ぎ出来るような事ではないからだ。

「それでも偶に居るんだよ、どこに辿り着けるのかが分からないのが楽しい、なんて言ってくる輩がね」

そんなもの儂には理解が出来ん、そう言わんばかりの表情。
さて、とりあえず面倒だが約束をした事だ、案内をしなければならないか。
そう考えていたところで、相手の言葉に軽く頷いた。

「その魔導具を調べるか、別に時間は掛からない、ここに戻った時にしてやろう。
それは後にして、まずは案内をしなければね、ついてき給え」

自らの義眼を示しての依頼、それは自分にとっても興味をそそるものでもあった。
知識欲は健在だ、相手の持つ義眼はそれを満たしてくれるものだろう。
だが、それは後回しだ。
男が入って来た扉を開けば、更にその先に続く廊下を歩き出す。

ケラノス > 「あぁ、…偶に居るらしいなヤバいくらいに方向音痴、というかもう病気か特殊能力レベルの奴が」

覚えがあるのか、苦笑気味に頷いて。そういう輩は意外とあちこちに居るものだ。
幸い、この男はその類ではないので彼女の面倒が余計に増える、という事は無いだろう。

「マジか。まぁ直ぐに済むならそれに越した事はねぇが…。あいよ、じゃあよろしく頼むわ」

軽く頷いてから彼女の後に続いて一度部屋を出る。勿論、ここは初めてなので彼女の後に続く形で歩き出し。

「しかし、俺から頼んでおいて今更だが悪いな。アンタにとっちゃ”面倒”でしかないだろうに」

彼女が面倒、というか無駄な時間を嫌うのはなんとなく感じていただけに、そう言葉を掛けるが…。
まぁ、駄賃はこの義眼の鑑定という事で。それに彼女からの依頼があれば最優先で受けるとも約束した。それでチャラになればいいが。

ご案内:「王都マグメール 王城内研究所」にケラノスさんが現れました。
ミリーディア > 「しかし、そういうのは嫌いではない。
物事を何でも良い方向に考えられる事が出来るのは良い事だ」

その逆で下手に何でも悪く考える輩に比べれば、十分マシだろう?と付け足して。

「勿論だとも、寧ろ、こちらが知りたい事でもあるからね」

そうして会話を進めながら歩んだ先に、新たな一枚の扉。
馬車数台が横並びに進める程の幅を持つ、大きなものだった。
その前に立ち、男へと振り返る。

「ここが入り口だが…君はどんなところを見てみたいかね?
研究と一口に言っても、その内容は多種多様にあるものだ。
術そのものの研究、自身の思い付きで魔導具を作る者達も居れば、依頼された物を作り上げる者も居る。
他には…そうだね、すでに仕上げた物を保管している場所もあるだろう。
見せれる場所はそんなものか…?」

思い出すようにしながら、男へとそう問うてみる。

ケラノス > 「まぁ、楽観的思考も悪くはねぇな。悲観的過ぎるよりは全然マシだ。前向きっつぅのはそれだけで十分に資質だからな」

無論、前向きなだけでは色々と問題があるだろうが、その思考そのものは嫌いではない。
むしろ、その真逆のような思考の方がタチが悪いと男は思っている。

「ああ、俺も世話になってる義眼の事はちゃんと知っておきたいからお互い有意義で何よりだ」

古代の産物、擬似的な意識を持つ。出自に関してはかろうじてそこまで掴んだ程度だ。
そもそも、”生きている魔導具”となると殆ど現存もしていない可能性がある。
と、新たな扉の前にたどり着けば少女に続いて男も足を止める。

「…そうだな。個人的には術そのものの研究。後は魔導具製作の現場かね。
俺は魔導具の補助がねぇと単体で魔術が使えない欠陥体質みてぇだからなぁ…特に魔導具は結構関心はある」

少し考える間を置いてからそう少女に答える。術式の探求、そして魔導具製作の現場、この2点だ。

ミリーディア > 男の言葉を聞き、視線を扉へと移す少女。

「なるほど、では術の研究施設へ向かうとしよう。
…と安易に言うが、その術自体も色々とあるが、希望はあるかね?
術の種類、系統の種類、属性の種類、細かく分ければもっとあるんだが。
ただ、当然だが研究をしているのは人間であり、人間が使うに適した術式と言える。
もしかしたら、君に見合うものは無いかもしれないが、良いかね?」

男の持つ魔導具に関しては後に考えれば良い、どうせ調べた時に分かるのだから、と。
男へと言葉を返しながら、ふと思い出したかのような改めての問い。
考えてみれば、今目の前に居る男は人間では無いのだ。

ケラノス > 「ん~…攻撃より防御・補助系の術式だな。俺の場合攻撃魔術は”剣”で代用できるし。属性とかはこだわりはねぇかな。
…まぁ、俺には”適さない”術でも別に構わんさ。少なくとも知識は増える…そりゃ実践出来ないのは痛手だが。」

知識が増えるだけでも無駄にはならない。使えないとしても元からが欠陥体質だ。
むしろ、自分には使えないという心構えがあるだけに、その口調は気楽なもので。
別に自分が魔族だからといって、人間の魔術に無関心でもなければ下に見る事も無い。

魔術を自在に使える者は、種族性別問わず男から見れば全て一目置ける対象なのだ。
それに、仮にも王国の研究室なのだ。術式研究もある意味で最先端と言えなくもない。
なので、「そんな訳で案内頼むわ」と改めて彼女に軽く頭を下げる。こういう所は魔族にしては少し律儀だ。

ミリーディア > 「そうか、使えずとも知る事で何らかの参考とする訳か…思っていたよりも物事を考えているようだ。
資質か…行き先は決まったし、行く前に、そんな君を少し見てやろう」

了解したと頷きながらも、その言葉に腕を組み感慨深そうに呟く。
自身の事を考え、先を考え、こうして行動に移している者がどれほど今は居るだろうか?
この男自身にも少しは興味が持てる、そう考えれば、続く言葉と共に少女の瞳から鈍い輝きが浮かび上がる。
その瞳をよく見れば、その眼の中にうっすらと輝く魔法陣が見えるかもしれない。
相手の術に関しての特徴を見分ける事の出来る、独自の能力。
それは本人が自覚しているものから、無自覚なものまでも。
その中でも、男が無自覚な、最も適した術の系統を見定めようと。

ケラノス > 「おぅ、何事も知識は無駄にはならねぇだろ?魔術だけでなく武術、剣術、商売、雑学。
まぁ、知っといて損はねぇ。何処かで役に立つ可能性がある以上はな……ん?」

何故か腕を組んで感慨深そうな少女の様子に首を僅かに傾げる。男としてはこの辺りは当然の考えだ。
が、それよりも彼女の瞳から鈍い輝きが漏れる。驚くよりも反射的にまず観察するのは癖みたいなもの。
薄っすらと輝く魔法陣らしきそれは、男は勿論知らない能力で。彼女固有のものだとは察するが…。
同時に、右目の義眼が薄っすらと虹色に光るがそれは防衛、というより共鳴に近い。

彼女の瞳で読み取られたのは、男自身が自覚できていない。つまり気付かぬ魔術の才能だ。

潜在術式適性――魔術の減衰、無効化…特に魔術の”切断”。及び魔術の増幅、適性化。
――総合判定:魔術干渉:増幅と減衰に最大適性。特級素質あり。

つまり、単純な攻撃でも補助でも防御でもなく。既に発動した魔術へ干渉する魔術、というもの。
増幅と減衰を操作する『術理干渉』という、少し独自の方向性に秀でている結果となるかもしれない。

ミリーディア > 読み取れば、その瞳の輝きは消えてゆく。
僅かに共鳴したような輝きを見せた、男の魔導具へと意識が向いたが。

「面白いな、君の力、見せて貰った。
……では案内しよう、ここには君の最も適した術の研究者は居ないがね。
今のものに関しては案内が終わった後、その魔導具を見ながら説明してあげよう」

いずれは、この男も解析したいものだ。そんな考えが浮かぶ。
だが、今は本来の目的を優先するとしようか。
少女が扉へと手を触れさせれば、ヴンッ、と鈍い響きを感じる。
それが収まれば、ゆっくりと扉を押し開く。

開かれた扉の先には、何人もの術者が各々で何かを行っているのが見える。
ある者は魔導書を調べ、ある者は魔法陣を描き、ある者は協力者と共に己の術を試し…他にも、様々に自分の術の研究を進めている様子が見えた。
防御や補助と言っても、そこからも種類は多いもので。
その中でも見て分かりそうなものや、見ても分からないものもあるだろう。

この室長が自分からやってくるのは、本当に珍しい。
注目が二人へと向けられるが、いいから研究を進めてくれ、との少女の言葉に、周りの者達は再び研究へと戻っていった。

ケラノス > 「……力?……あ~…何となくだが何を読み取られたかは分かった気がする。
…俺の適性はそうなると少し変わってるぽいな。まぁ自由には使えねぇんだろうが」

男は馬鹿ではないので、少し考えて彼女が読み取ったものを大まかに把握した様子で。
勿論、無自覚の適性なので分かるのはこの研究所では研究されていない、少し変わった方向性というくらい。
義眼の輝きも、彼女の瞳の輝きが消えるのに合わせて元の赤い色合いへと戻り。
そして、まさか解析対象にされかかっているとは流石に予測も付かぬ男である。

さて、彼女が扉へと手を触れれば鈍い響きが。そして、何事も無かったかのようにゆっくりと扉が押し開かれる。

「……へぇ、これが術式の研究施設なのか」

無論、ここまで本格的で大規模なのは初めて見る。自然、視線があちこちに向いてしまう。
様々な研究者が書物を調べ、陣を描き、術を試している…その光景だけでも見学する価値がある。
男が希望したのは主に補助や防御系統の術だが、それも多岐に渡れば一目で分かるもの・分からないものが混在している。

「……今の反応からして、アンタが直接こうして顔を出すのは結構珍しいみたいだな」

周囲の視線を浴び、しかし彼女の一言でまた研究に没頭していく連中を眺めて一言。
正直、ここで研究している術は矢張り自分が使えるとは思えないが…それでも、見るだけで矢張り得るものはある。

ミリーディア > 「前例が無い訳ではないがね、思っている通り、少々変わったものだ。
使えるかどうかは…君の努力次第だろう」

それでも時折向けられる研究者の視線。
意味を察しているのか、何かあるなら後に回せと言わんばかりに手を振っていた。
男へと言葉を返しながら、時に男が興味を向ければ足を止め眺めさせてやる事だろう。
望むならば、術の行使の協力を男にさせてやったりもするのだが。
先に言っていた通り、ここは防御と補助を専門にしている場所。
色んな相手に試す機会はあって損はないのだ。

「普段、何かあれば儂の元に直接来るように言ってあるんだ。
理由は何となく分かるだろう?」

面倒だの何だの言っている少女だ、少し考えれば答えは出るかもしれない。
ともあれ、こうして見て回っている訳だが、それをどう物にするかは男次第である。
そうして、この敷地内を一周するように回ってゆけば、元の扉の前へと辿り着く。

「……と、ここではこんなものだが…まだ見るかい?
満足したのなら、魔導具の方に向かうとするんだが…」

扉の前で足を止めたまま、後ろを付いてきているだろう男へと問うた。

ケラノス > 「むしろ、前例が無い方が逆に戸惑うな。…未知の適性ってのも心躍らない訳じゃねぇが。
やっぱり、前例があれば多少のノウハウが無い訳でもねぇって事だしよ」

そんな男の見解。使えるかどうかは自分次第、というか現状は体質のせいで単体では使えない。
だからこその義眼であり、背中に背負っている長刀による補助が欠かせないのだが。
…と、いうよりこの時点では彼女からまだ結果を知らされていないので努力のしようもなかった。

見学そのものはスムーズに進む。時々、研究者に対して質問したり術式の手順や構成を説明して貰ったり。
ただ、結果は矢張り今の自分では少々使うのは難しい、という予想通りの結果だった。
研究者の視線は時々自分にも向けられるが、そういう視線は特に気にせず、一通りそんな事をして満足したようで。

「ああ、アンタが直接出向くとしたら…そうだな、只事じゃないだろうなぁ」

彼女の態度を見ていれば何となく分かる。今回は例外的に案内という用向きがあったとして。
そういう特殊な場合を除けば、彼女がわざわざ足を運ぶ用件は決して多くは無いだろう。

「…ん、一先ずこんなもんで。魔導具の方をよろしく頼むぜ」

敷地を1周して元の扉の前に戻ってくれば、彼女の質問にそう答える。
彼なりに得るものはあった。主に知識方面だが人間の研究する術式は矢張り興味深い。
自然と顔が若干楽しげなのは見応えがあったからなのだろう。ともあれ、少女の案内で次の施設へと向かいたい。

ミリーディア > 男の意見は尤もだ。
面倒で言葉を省いてしまっていたのだから仕方が無いのだが。
後でその辺りは教えてやる、とちゃんと伝えるべきだっただろう。
なのだが、それが少女の性格であった、フォローもまだない。

なんだかんだでここの案内は終わる。
これが男にとってどう影響があったりするかは分からないが、少なくとも何らかの経験の一つにはなっただろう。

「了解した、それでは次に行こう…一旦出なければな」

そう言えば、扉を抜けて敷地内を出る。
扉は独りでに閉まってしまうも、少女はその扉の前から動かない。

「では、次は魔導具を製作している者達の場所だな」

少女はそのまま振り返り、再び扉を前にするように立っている。
その手が扉へと再び触れれば、先と同じように、ヴンッ、とまた鈍い響きが感じられた。
それが収まってゆけば、やはり扉を押し開いてゆく。
同じ扉を開いたはず、それなのに、開いた先に広がる中の光景は一変していた。

各自適当なスペースにテーブルや椅子、他は私物か、後は材料を置いて何かの製作に集中している。
見る者が見れば分かるだろうし、元々それを目的としている男にも分かるものだ。
さっきは術の研究者達の場だった扉の向こう、今は魔導具の製作者達の場となっていた。

ケラノス > 男としては、まぁ後で義眼の鑑定の時にでも纏めて聞けるだろう、という楽観的な考えだ。
既に彼女の性格にある程度は適応してきている、と言えなくも無い。勿論説明が省かれる可能性は低くないが。

さて、興味深い術式の研究施設だったが、男にとって次はある意味で本命だ。
一度扉から外に出たが、どうやら別の場所に移動する訳ではない様子。

「…ん?別の場所に移動するって訳じゃねぇのか?」

素朴な疑問。ただ、彼女がさっき自分達が出てきたその扉に再び触れれば、またあの鈍い響きが。
そこで、空間に干渉して別の場所に繋げているのだろうと薄っすらと察する。
思ったとおりか、扉が押し開かれれば全く別の光景がそこにはあった。

「…おぉ~…良いなここ。あっちは義肢系…あっちは装飾系。それにあっちは武器にも使えるヤツか。
…材料も良いの使ってるし、職人もレベル高ぇな…流石王国の施設だ」

特に、自分の義眼も一応は含まれる義肢系は自然と目が行きがちだ。
もっとも、如何に一流の材料や技術者があろうと、男の義眼はまたそれとは隔絶しているのだが。
で、若干先ほどよりテンションが上がっているのか、、自分から近くの技術者にあれこれ話を聞きに行こうとする始末だ。

ミリーディア > 「君にはすぐに分かると思うが…この扉は儂が作った特別製。
扉を門とし、儂を鍵とし、空間を繋ぐな?
ただ、それだけでは中から出れん。だから中から出るのは自由に出来るようにしてあると言う訳だ。
この研究施設、すぐに室長室があるのはそれが理由さ」

扉を開きながら、男の問いに答える。
そうした問答をしている間に、思った通り男はそれを大雑把にだが理解はしている事だろう。
男の本命はこの魔導具、それは男の行動が物語っていた。

少女はと言えば、男の後ろからのんびりと付いてきている。
男だけが向かえば訝しげにする技術者だが、その後ろに見える少女に気付けば、男の話に素直に答えてくれるだろう。
流石に長話になりそうだったら制止しておくが。

ケラノス > 「ああ、やっぱりそんなカラクリか。鍵がミリーディアってのは、それだけで最大の防犯な気もするが。
まぁ、でも室長室が直ぐにあるのは理解したぜ。それに、これなら無駄なスペースや手間を省けそうだし」

彼女の解説に納得したように頷く。細かい説明をされると流石に付いていけないが、ある程度なら付いてこれる男だ。

…そして、技術者にあれこれ質問したり、組み立て中の魔導具を見せて貰ったり。
挙句の果てには、完成品を使わせて貰おうとする…が、そこは流石に止められた。勿論すんなり引き下がるが。
ただ、技術職の者達も見た目と違って、男の魔導具の知識や扱いに少し驚いてはいるようだ。
術式と違い、こちらは男でも扱えそうなのもあるし、そもそも魔導具持ちなのもある。
やがて、一通り見学や質問をして満足したのか彼女の方へと振り向いて。

「…と、悪ぃ待たせたなミリーディア。取り合えずこんな所で十分だ、ありがとな」

矢張り見学を頼んで正解だった。技術職の者達も「コイツ、意外とデキるな」的な視線を男に向けていた。

ミリーディア > 「そう、それに儂が好き勝手にやってもばれないしな。
先の一つに、下らん玩具の製作場もあれば、儂の趣味の一環も備えてある、便利だろう?」

平然とした様子でさらりと口にするが、内容は少し際どい。
お上の連中に聞かれたりしたら、何を言われるか分からない内容だった。
尤も、本当にそうなったとしても少女は変わらず平然としていそうだが。

「そうか、連中も使い慣れた者で自分の作った物が試用して貰えたんだ、悪くはないだろう。
意外とな、それが出来る相手が来る事もないんだ」

その手の輩は大体いつも忙しいもので、試用したい時に居ない事が多いのだ。
ある意味では、この突然の来訪者はありがたいものだったかもしれない。

「さて…なら、そろそろ儂の部屋に戻るとしよう。
その魔導具を見せて貰いながら、さっきの事を説明してやろう」

そう伝えると、少女は再び扉へと移動して行く。
扉を二人が抜けるのに合わせ、扉は閉まっていくだろう。
後は室長室へと向かい、残った仕事を終えるだけだ。

ケラノス > 「そっちはそっちで興味は惹かれるが…まぁ、それはそれとして。確かに便利だな…秘匿性が高いってのが特に」

平然とした様子でなんか際どい事を口にしている少女だが、男も割とあっさり納得している。
まぁ、そちらの見学、はしてみたいが別の機会になろう。見学出来るかはさて置き。

「そうなのか?俺からすれば、こういうのは積極的に使って試行錯誤を繰り返して完成度を高めていくって認識なんだが」

自分が実験台になってもいいくらいだ。ある程度扱いに慣れていて知識もある。
とはいえ、そこまで申し出るのは流石にでしゃばりすぎだろうと自重はしておく。
彼女の促しに頷いてから、研究職の連中に軽く手を振って例を伸べてから扉へと移動する。
そのまま、外に出て扉が閉まればそれを一瞥してから室長室へ。後は先ほどの結果と義眼の鑑定で終了だ。

「いや、しかし…こういう研究職も悪くねぇな。やっぱり壊すばかりの生活だと作るってのは新鮮だわ」

殺す、壊す。そればかりで生かす、作る肯定や作業は見ていて飽きない。
勿論、使い方次第で殺傷にも用いられるのも数多いが、それはそれだ。
ともあれ、再び少女の後に続いて男も先ほどの室長室へと向かうのだ。

ご案内:「王都マグメール 王城内研究所」からミリーディアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城内研究所」からケラノスさんが去りました。